「着きました、殺斗様。ここがノーブル学園です」
「へぇ〜、寮暮らしっていうから大きい学校とは思ってたけど、島全体が学園になってるとはねぇ」
プリキュアに会いに行くと決めてから数日後、殺斗とリリスは上空から目的の場所であるノーブル学園を見下ろしていた。
「じゃあ、こっからは僕1人で行くよ。ここまでの護衛ありがとね」
「本当によろしいのですか?プリキュア達の容姿を確認しなくても。ベルフェから写真も送られてきていますが……」
「結構だよ。姿まで分かってたら面白くない。学園内にいるのがほぼ確定してるんだ、ちょっと分からない方が探す楽しさもあるでしょ?」
殺斗は多少情報が無い方が探す楽しみがあると言う。
「殺斗様がそうおっしゃるのであれば、アタシは何も言いません。それでは、アタシは夢ヶ浜におりますので、失礼します」
そう言うとリリスはその場から消滅するように姿を消した。
「さてと、僕も行こうかな」
1人残された殺斗はゆっくりと学園内に降り立つ。
「さあ、プリキュアはどこにいるのか……楽しみだ」
そう呟きながら、殺斗は学園内を歩きプリキュアの捜索を始めた。
その日、ノーブル学園はいつものように授業を終え放課後を迎えていた。
「はぁ〜、今日も授業疲れた〜」
そう言いながら校舎から出てきたのは、栗色の髪を団子ヘアーに纏めた太眉の少女、春野はるかである。
彼女の夢は童話に出てくるようなプリンセスになることで、今日もレッスンを受けるため第二生徒会室へ向かっていた。
「ん?」
しかしその道中、はるかはあるものが目に留まる。
それは学園内をキョロキョロしながら歩いている少年の姿だった。見た感じ年は自分と同じくらいで、怪我をしているのか片目には眼帯を付けている。
「学園の生徒……じゃないよね……?」
少年が着ているのは白を基調としたもので、どこかの学ランのようにも見えるが、少なくともノーブル学園の制服ではなかった。
その少年はすれ違う生徒達全員に目を向けており、まるで誰かを探しているようだった。
「ねぇ!」
気になったはるかは少年に近づき声をかける。
「あなたさっきからキョロキョロしてるけど、どうしたの?」
「ああ、ここには人を探しに来たんだけど、初めて来たからどこに何があるか分からないんだ」
「そうなんだぁ。……じゃあわたしも手伝うよ!その人探し!」
少年のそれを聞き、はるかは手伝いを買って出る。
「まあわたしも今年入学したばかりだけど、少しは学園のことも分かるからさ、きっと助けになれると思うよ!」
「へぇ、じゃあお願いしようかな」
「うん!あ、わたしはるかって言うの、よろしくね!」
はるかが自己紹介すると、少年は少し目を見開いた。
「はるか……?ねぇキミ、もしかして本名は春野はるかだったりする?」
「え?なんでわたしの名前知ってるの?」
「やっぱりそうか……!僕が探していた人のうちの1人はキミなんだよ」
「ええっ!?そうだったの!?」
少年の探し人が自分だったことにはるかは驚愕する。
「僕もまさかこんな風に会えるとは思わなかったよ」
「はぇ〜……ん?うちの1人?じゃあ他にも探してる人がいるの?」
「うん、海藤みなみと天ノ川きららって言うんだけど、はるかちゃんは何か知らないかな?」
「みなみさんときららちゃんも!?それならこれから会う予定だから一緒にいかない?」
「へぇ、良いの?」
「(プリキュアやパフ達のこと話さなければ大丈夫だよね)うん、たぶん大丈夫だと思う」
「そう言うなら、案内してもらおうかな」
「分かった。じゃあついてきて」
そう言うとはるかは少年に背を向け歩き始め、少年もそれについていく。
「……あ!」
しかし突然立ち止まったかと思えば、その場で振り返り少年と向き合う。
「そういえばあなたの名前まだ聞いてなかった。なんて言うの?」
「ああ、そうだったね。僕の名前は殺斗、殺すの殺と北斗の斗と書いて殺斗だよ」
「な、なんかちょっと物騒な名前だね……あ、ご、ごめん……」
失礼なことを言ってしまったと思ったはるかは頭を下げて謝る。
「ふふ、いいよいいよ気にしないで。それより早く案内してよ」
「あ、うん、じゃあこっちだよ!」
相手が気にしてない様子なのが分かり、はるかは気を取り直し案内を再開する。
だがはるかは気づいていなかった。彼女が案内をしている間に、殺斗がニヤリとした笑みを浮かべていたことに。