この人を仮に「A美さん」とします。 作:あり
お久しぶりです。
『はじめに』
皆様、初めまして。
このたびご縁がありまして、『月刊██████』ホラー特集コーナーの一筆を任されることとなりました、クロノススクール2年、████と申します。
文章というのは、書き手の内面が否応なく滲み出るものだと、先輩方はおっしゃっていました。私自身、単独でこうして多くの方の目に触れる場で筆を執るのは初めての経験であり、正直なところ、少し緊張しています。
それでも今、こうしてこの文章を読んでくださっているあなたに何かを届けられることに、言いようのない興奮を覚えてもいます。
さて、そんな私が受け持つことになったのは最近何かと人気なホラー特集です。きっと読者の中には、「そんな前置きはいいから、さっさと怖い話を寄こせ」と思われている方もいらっしゃるでしょう。
ごもっともです。
ですが、どうか今しばらく、もう少しだけお付き合いください。私には、この場を借りて、どうしても伝えておきたいことがあるのです。
今回お届けする数々の怪談は、私がキヴォトス各地を巡り、実際に耳にした「誰かの記憶」から再構成したものです。語ってくれた生徒たちは、それぞれ異なる学校、異なる学年に在籍しており、見ず知らずの者同士と言っても差し支えありません。
彼女らが話してくれた怪異の記憶もまた、地域も背景も異なる、まったく無関係なエピソードばかり――そう、最初は私もそう信じて疑いませんでした。
ですが、いくつかの取材を終え、資料を整理していたたある晩、私はふと気づいてしまったのです。どの話にも、わずかずつではありますが、何かしらの“共通点”があるのではないか、と。
偶然にしては不自然すぎる一致。それをここで語ってしまってもいいのですが、せっかくですし実際に読んで見つけ出させる方が面白いでしょう。
それに、このような特集を読んでいるようなあなたのことですから「考察」はお好きなはずです。
見えてきた「共通点」が私の思い過ごしであれば、それに越したことはありません。
ですが、もし、もしもこれから掲載されるエピソード群の中に、何か引っかかるものを感じ取った方がいらっしゃいましたら……どうか、雑誌裏表紙に記載された感想・情報提供フォームより、私までご一報ください。どんな些細なことでもかまいません。
あなたの一言が、点と点を繋ぐ線となるかもしれないのです。
それでは、お待たせいたしました。いよいよ本題へとまいりましょう。
恐怖の一端を、ほんの少しだけ、あなたの日常に差し込ませていただきます。
どうぞ、最後までお楽しみいただければ幸いです。
※なお、掲載されているエピソードは、取材内容を基に構成しておりますが、登場人物のプライバシー保護やその他の事情により、一部内容を再構成・改変している場合がございます。あらかじめご了承くださいませ。