就活の闇に飲まれそうになったので、シュテるんに癒してもらうために書きました。
バレンタインネタです。遅いです。でもバレンタインネタです。
この話には、独自設定、キャラ崩壊が含まれています。お気を付けください。
なのセントでシュテるんの優しさブルーが作れた記念です。
あと、独自設定、キャラ崩壊が含まれます。(大事な事なので2回言いました)お気を付けください。
――バレンタインデー。
それは、元はキリスト教の聖人ヴァレンティヌスの命日であった。彼の生涯を通した『愛』と言う最も偉大な物への献身を褒め称え、愛の大切さを見つめ直す日。それがバレンタインデーであった。
ここ、極東の地日本にも、その日は伝わっている。――――日本で2番目にカップルが睦み合う日として。
そんな日本ではある製菓会社の陰謀により、チョコレートをばら撒く日として認識されている。
ブレイブデュエルと言えど、総本山を日本に置くゲーム。そんなゲームがバレンタインと言う大型イベントを逃すはずもなく、ブレイブデュエルではバレンタイン特別ローダーが設置されていた。
まず、大前提としてブレイブデュエルでは、キャラクターカード、つまりプレイヤー等の人間が描かれたカードを複数枚所持する事はほとんどない。
それは、ブレイブデュエルのデッキはプレイヤーカードと、数枚のスキルカードで構成されるからである。しかし、リライズ用のカードとしてキャラクターカードを持つ場合がある。
そんなブレイブデュエルだが、数少ないキャラクターが描かれたカードが存在する。
通称SRと呼ばれるそのカード群は、眉目秀麗で可憐な少女たちが集う各店のショッププレイヤー(さらにグランプリ上位ランカー)でもある少女達が描かれているスキルカードである。
ショッププレイヤー達が使う強力なスキルが使えるようになるSRカードは、可愛らしい少女たちが描かれている事もあり、一種の神カードへとその価値を変えている。
SRカードをオークションで競売にかけると際限なく上がり続ける金額は、消費者センターでも問題になったほどだ。
そんなSRカードはグランプリや、特別イベントなどで、キャンペーンキャラクターとして選ばれたショッププレイヤーのカードが上位3000位以内に入った者へ景品として渡されるなど、手に入れる機会はとても少ない。
なぜ、こんな話を始めたかと言うと、バレンタインにかこつけて設置された特別ローダーに、そのSRカードは入っていると発表されたのだ。
世界で3000枚しかない激レアカードでは無く、だれもが金を積めば手に入れられる確率のあるSRカードとして発表されたそれは、見目麗しいショッププレイヤーがカードを通じてこちらにチョコを渡していると言う姿が描かれたカードだった。
発表された後ネットで炎上すらしかけたそのローダーは、否定的な意見もあれど世の金持ちなデュエリスト達を大いに沸かせた。
強い、可愛い、使える(意味深)そんな1枚で3度おいしいSRカードを手に入れるチャンスとブレイブデュエル設置店では連日大騒ぎとなっている。
だれかが言った。
『バレンタインは女の戦い』なのだと。
その例に漏れず、ここブレイブデュエルの総本山であるグランツ研究所で戦いを繰り広げている者が居た。
ローダーに1000円を投入し、一度に12枚引くのは少女から大人へと変わっていくような年齢の少女。
「くっ! またはずれですかっ」
出てきた12枚のカードを見ると心底恨めしそうにつぶやき、ローダーの順番待ちの最後尾へと並び直す。
待機列はほとんどが無駄に金を余らせているような大人がほとんどの中で、その少女は異彩を放っていた。
その少女の事を人々は珍獣を見る目で見つめる。
それもそのはず、彼女の外見はとても見目麗しく、その完璧なまでに整えられたプロポーションは見るモノを男女問わず魅了し、眼鏡の奥から覗く瞳は知性的なカッコよさすら見せる。
そんな彼女はブレイブデュエルで1、2を争う有名人であり、今ローダーを引くためにやってきた者の中には彼女のSRカードが目当てである者も少なからずいる筈なのだ。
その少女の名は『シュテル・スタークス』。
『シュテル・ザ・デストラクター』のリングネームで知られる、世界最強のデュエリストなのだから。
そんな超絶有名人であるシュテルは、自分が奇異の視線にさらされている事すらお構いなしに、今まで引いた60枚のカードと、その中に燦然と輝く3枚のSRカードを恨めし気に見つめていた。
「くぅっ、キリエ、レヴィ、王と来て私のカードがっ、1枚も出ないだなんてっ!」
なぜ彼女が自分のSRカードを求めているのか?
ナルシストだから?
それは違う。シュテルは自分が柔らかく微笑んだカードを見て悦に浸るような変態では無い。そもそもショッププレイヤーは他人のSRカードならいざ知らず、自分のSRカードにはほとんど価値を見出さない。
なぜなら、SRカードを使用して使えるスキルは、すでに自分自身の力で扱えるのだ。自分以外のSRカードならば、強力なリライズカードとして利用できたり、強力なスキルカードとして使用できたりと利用方法もあるのだが、自分のSRカードだけは利用価値がほとんどない。
ではなぜシュテルが自分のSRカードを欲しがっているのか、それは一重に世界で一番愛するシュテルの恋人、星 明のためだった。
明に自分のカードを使って欲しい。明に自分のバレンタインカードをプレゼントしたい。そんな純粋(?)な想いが彼女にローダーを回すことを強いていた。
そうして、シュテルが自身の運の無さを嘆いている間にも、列は進み6度目となるシュテルの順番となった。
紙幣投入口に千円札を押し込み、『出ろ』と強く念じながらローダーを回す。
「出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ」
その念はもはや怨念となってシュテルの口から放たれる。
そんな般若のようなシュテルの様子を真後ろで見ていた男性は、あまりの恐怖にネットの某掲示板に書き込みをしていた。
【ブレイブデュエル】シュテるんが怖すぎる件について【バレンタインローダー】
1. 名無しさん
特設ローダーを回すシュテるんが怖すぎるので、ディアーチェちゃんのファン止めます。
――完全にただのクソスレだった。
そんな事が真後ろで行われているとは知らず、怨念を込めてシュテルはローダーを回しきる。
出てくるのは12枚一束になったカードたち。それを纏めている紙を引きちぎり、カードを開封する。
マナーとして開封はローダーから離れて行うのが暗黙の了解なのだが、あまりにもSRカードを求める般若となったシュテルは居てもたっても居られず即座に開封する。
――クズ
――クズ
――クズ
――あ、これはそこそこ使えますね
――クズ
――クズ
半分を超えてもまだSRカードは出ない。
シュテルの手が震える。
シュテルがローダーを回した回数はこれで6回。金額にして6000円。学生では相当の大金である。
7枚目、8枚目とめくり、9枚目をめくるその手が止まる。
右下に燦然と輝く大文字のS。SRカードの証拠だ。それを保証するかのように、そのカードはキラキラと照明を反射し輝いている。
――き、きた! 今度こそ!
シュテルの手がさっきまでとは違った理由で震える。シュテルには確信があった。4枚目となるSR。今度こそ自分のカードを引く、と。
意を決してめくり、カードを確認する。
そこには、可愛らしく微笑み
『キリエ・フローリアン【バレンタインギフト~キリエstyle~】』
そのカードには無慈悲にそう、書かれていた。
そう理解した瞬間、シュテルの時が止まる。
――は?
自分じゃなかった。しかも、よりにもよってダブった。
その事実がシュテルの脳みそに達した瞬間、シュテルの中の何かがキレた。
「Scheiße!」
つい出てしまった母国圏の言葉で叫びながらシュテルは目の前のローダーを両手で叩く。
「Verdammt! Warum brauchen Sie Kyrie komm heraus!? Joke auch weiß zu hauptsächlich! Scheiße ist!」
淑女にあるまじき汚らしい言葉を叫ぶシュテル。その強く握りしめられた両の拳は特設ローダーへと何度も振りかざされていた。
「お、おい! なにをしておるのだ! シュテルよ!」
「しゅ、シュテるんがご乱心だーっ!」
騒ぎを聞きつけて大慌てでやってきたのは、ブレイブデュエルをしていたディアーチェとレヴィだった。
「ディアーチェ! レヴィ! 聞いてください! キリエですよ!? キリエ!!」
駆けつけてきたディアーチェとレヴィに先ほど出たSRキリエを突き付けながら叫ぶシュテル。
「おぉ~。SRカード! 凄いじゃんシュテるん!」
そのカードを見て呑気にレヴィが褒めるが、今のシュテルには逆効果であった。
「なにが凄いですって!? キリエなんか欲しくありませんよ! なんですかこのローダー! インチキじゃないんですか!? 6回引いて私のSRが1枚も出ないとかおかしいでしょう!!」
あまりもの勢いで詰め寄られ、レヴィはなにも言えず、頷くしかできなかった。
「と、とりあえずこっちに来い! そして落ち着け!!」
ひたすら喚き散らすシュテルの腕をつかみ、スタッフ専用エリアへと対比するディアーチェとレヴィ。
「Verdammt! 何がバレンタインデーですか! What's chocolate!」
頭に血が上りすぎて、言語がごちゃ混ぜになりながらもひたすら悪態を吐くシュテルは、グランツ研究所になんとも言えない空気を残したまま、研究所の奥へと連行された。
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「落ち着いたか?」
ディアーチェ特性のはちみつ入りホットミルクを無理やり飲まさたシュテルは、そのなんとも言えない甘さとホットミルク特有の安心感のおかげか、先ほどまでの狂乱は息をひそめ、いつも通りの冷静さを取り戻していた。
「えぇ。お騒がせして、申し訳ありませんでした」
両手にカップを抱えながらディアーチェを見つめるシュテル。
「うむ。その顔はもう大丈夫そうだな」
そんなシュテルの顔をみて、キチンと落ち着いたと判断したディアーチェ。
「して? どうした? なぜあそこまで荒れていたのだ」
今なら大丈夫だろうと判断し、ディアーチェが話を振ると、シュテルはポツポツと語り始めた。
バレンタイン特設ローダーで自分のSRが手に入る。明はグランプリで成績を残せるほど優秀では無いのでこれを機にぜひ自分のカードを使って欲しいと思った。バレンタインだし、チョコと一緒にカードもプレゼントすれば最高じゃね。やっべ、私やっぱ天才だわ。
シュテルの話をざっくばらんにまとめるとこうなる。
「……はぁ~」
つい、ディアーチェの口から大きなため息が出る。
明と付き合い始めたシュテルはなんというか、時たま視野が狭くなることが多くなった。まるで世界には自分と明だけが存在しているかのような。そんな行動、暴走をするときが時たま起こるようになったのだ。
今回もその暴走の一件、そして、そんな暴走に付き合わされるのは、大抵がディアーチェなのだ。
共にシュテルをひっぱて来たはずのレヴィはいつの間にか消え、この場にはシュテルとディアーチェしか居ない。
――なぜ、我だけこんな役回りなのか……。
自分の悲しき運命に、頭痛がしてくるディアーチェ。最近、こうやって頭を押さえる事が増えた気すらする。
「貴様が欲しいと言えばカード位作ってやるものを」
頭を押さえながらディアーチェはそう言う。
ディアーチェ達はユーリやグランツ博士の手伝いをする事が多々ある。その関係で、わざわざ一般公開されたローダーを回さなくとも、SRカードの1枚や2枚は好きに作る事だって可能だ。
「なぜ、わざわざ半狂乱までして特設ローダーを回したのだ」
しかも、6千円も使ってまで。その言葉は飲み込み、質問をする。
「…………です」
「は?」
「……たんです」
「なんだって?」
ディアーチェの質問に俯いて小声で返答するシュテル。その声があまりにも小さかったため、ディアーチェは2回も聞き返す羽目になってしまった。
「自分の力で、プレゼントしたかったんです」
「…………」
3度目でやっと聞こえたその言葉に、ディアーチェは言葉を失う。
――まったく、こやつは……。
付き合うきっかけとなった告白の前日と言い今日と言い、シュテルは明の事となると見境が無くなり、良く不可解な行動をとる。
「そうか、しかし無駄に散財するのはやめておけ。すでにSRを4枚も出しているのだろう? それをトレードに出せばだれか承諾してくれるんじゃないか?」
そして、その不可解な行動を、シュテルの暴走を嗜めるのは、いつもディアーチェだった。
ディアーチェの言葉を聞いてまさに目から鱗が落ちたと言わんばかりに瞼を見開くシュテル。
「さすがは王。感服いたしました」
「ん、そうか」
「では、善は急げ、思ったら吉日です! それでは!」
高速で走り去り、トレード登録装置があるロビーまで駆けるシュテルの背中をディアーチェは呆れた、しかしどこか優しい瞳で見つめていた。
――ま、我はあやつの“王”、だしな。
シュテルに迷惑を掛けられるのもたまには悪くない。そう思うディアーチェだった。
******
世界1位特設ローダー乱心事件、ネットでそう言われている日から数日たち、バレンタイン当日。シュテルは無事に明に自分のSRカードと丹精込めて作り上げた傑作のチョコを渡す事が出来た。
「恥ずかしいので、誰にも見られないように自室で開けてください」
いつもは冷静な顔をその時は珍しく羞恥の色に染め、居た堪れないと言う様にモジモジして言うシュテルに明も困惑していた。
言われた通り帰宅し、自分の部屋へと到着し包みを開けると、出てきたのは高さ15cm程の箱と2つ折りのメッセージカードだった。
メッセージカードを開くと、そこにはシュテルのバレンタイン特別SRカード『シュテル・スタークス【バレンタインギフト~シュテルstyle~】』と『シュテル・スタークス【バレンタインギフト~優しさブルー~】』の2枚が挟まっていた。
その明の想像絶する価値を有するカードを見つめ、明は驚愕し、数秒硬直する。
気を取り直して、メッセージカードに書かれている文字を読むと、そこには
『最愛の人 明へ
私を食べて、私を使ってください(はーと)
貴方の嫁 シュテルより』
と、なんとも意味深な事が書かれていた。
明は声に出しづらい気恥ずかしさに悶絶しつつも、15cm程の大きな箱を開封する。
シュテルの地味な特技に工芸や彫刻などがある。シュテルはとにかく手先が器用なのだ。
そんなシュテルが作ったチョコレート。サイズも相まってさぞ立派な物が出てくるのだろう。
そう確信し、恥ずかしさと高揚感が同居した気持ちのまま箱を開封する。
開けたと同時に漂ってくる香ばしいカカオのにおい。甘い甘い蕩ける様なチョコレートの香り。
そんな香りに包まれながら姿を現すチョコレートは、明が思っていた通り、見事な造形のチョコレートでできた彫刻だった。
そして、明の想像を絶するほどの物だった。
「っーーーーー~~~~~~~~~~~~っっっつっ!!!」
声にならない叫び声をあげ、机に突っ伏す明。
メッセージカードに書かれていた意味深な文の意味が、理解できた明だった。
開封されたそれは香りも見た目もチョコレートである。
しかしそれは高さ15cm弱の、そう、言わば美少女フィギュアのような造形をしたそれは、スラリと伸びる肉付きの良い足を投げ出し、その豊満な双丘を片腕で抱えており、残った片腕はまるでこちらを誘惑するように突きだしている。その腕の先にあしらわれた指は、まるでその先からフェロモンを発しているかのような妖艶さを醸し出し、硬いはずのチョコなのにマシュマロのような柔らかさすらその抱えられ潰れた双丘は感じさせ、柔らかく微笑んだその表情は、まさに雄を誘う雌の顔。チョコレートで作られているにも関わらず、細部まで作り込まれたその彫刻は、髪の毛にすら生気を感じる程の出来栄えだった。
そう、シュテル・スタークスは手先が器用なのだ。
彼女の作った渾身のチョコレート、言うならばそれは1/11スケールの『シュテル・スタークス【お誘いバレンタイン~大人用~】』だった。
――こりゃ確かに誰にも見せられないわ……。
その日の夕食時、明少年の顔はまるで悟りを開いた仏陀の様な顔をしていたと言う。
と、いうわけでバレンタインネタでした。
途中でシュテるんが吐いてる暴言はドイツ語です。グーグル翻訳でパッと日本語を翻訳してもらったので、雑です。
そしてあまりにも汚い言葉なので、ルビは振りません。雰囲気でお察しください。
言い訳では無いのですが、私はキリエが嫌いではありません。
でも、ローダー回して新SRが2枚、旧SRが3枚来た時はさすがに頭にきました。シュテるんくれよ。
その怒りが込められています。
結局飴60個と15k位で優しさブルーにできたのでまぁ、結果オーライですが。
それでは、またいつか。