AM 10:00 新エリー都 ルミナスクエア内 大病院
院内にある病室の一つに悠介は目を覚ました。
「此処は…」
辺りを見回すとベッドは窓際、右腕には点滴が打たれていた。
「目が覚めたか五条。」
自身の名を言う聞き覚えのある声が、声のした方に顔を向けるとそこには一条が、隣には見覚えのある顔をした白衣の男が立っていた。
「一条さんと……椿さん!?」
白衣の男を見た悠介は元いた世界で自分のかかりつけ医である『椿慎一』と瓜二つだった。
「五条、彼は『椿修二』。俺の高校時代の同級生だったこの病院で医者を務めている。」
「椿だ。一条から話は全部聞いている。お前がこの世界の人間じゃない事や未確認生物第2号になれる事とかな。」
椿慎一に似た人物…椿修二は軽い自己紹介と悠介の正体を一条から説明されている事を話すと悠介の顔と体をじっくりと見る。
「すまないが五条、背中の傷を見せてくれ。」
「あっ、はい。」
椿に言われ悠介は左手で背中が見える位に上着を捲り上げる。
「………コイツは凄いな。あんなに酷かった傷がほぼ完治してやがる。」
「あのー…寒いんでそろそろ良いですか?」
「おっと、すまんな。もういいぞ」
そう言われ悠介は捲り上げた上着を元に戻す。
「その状態ならもう大丈夫そうだな。点滴が終わったら退院していいぞ。」
「わかりました」
「それと、今後はお前の担当医として定期的に検査させてもらうぞ。詳しい日時はコチラから連絡する…これが俺の電話番号だから登録しといてくれ」
椿は白衣のポケットから取り出したメモ用紙に電話番号を書く。1枚破り、悠介に手渡してから退室した。
「さてと……五条。何があったか説明してくれるか?」
2人きりになり、一条はなぜそのような大怪我を負ったのか悠介に聞く。
お尋ね者の邪兎屋とプロキシに加担してたなんて言えなかったのでその際、悠介はホロウに巻き込まれたのとその中で倒した筈のブ・ダラン・バが巨大なエーテリアスとして復活しそれと対峙した事を話した。
「……そうか、まさかあの第1号がホロウ内でエーテリアスになっていたとはな」
「そういえば俺が眠ってる間、未確認の奴らに動きは?」
「否、特にそういう事件は無かった。あったとしても赤牙組の残党を追跡してるぐらいだ」
「そうですか…」
悠介が眠ってる間、はぐれグロンギ達のゲゲルは起きてはいなかったらしい。
「それとだ。ビデオ屋の店長から手紙を預かってたから読んどけ」
一条は懐から二通の手紙を取り出す。片方はアキラからの手紙、もう片方は宛先の文字は書かれてないがウサギとハンバーガーとスターライトナイトのシールが貼られているので邪兎屋の3人からの手紙だろう。
『悠介へ
あの戦いの後、ニコ達がこの病院へ搬送してくれたんだ。全治1ヶ月らしいけど君の事だからもっと早く治ってる予感がする。
リンとイアスも色々あったけど今は元気にしてるよ。退院したら話したい事があるからまた連絡して欲しい。 アキラ』
『悠介へ
これを読んでるということは意識が戻ってるって事ね。
金庫の依頼で同行してくれてありがと。大変な思いをしたけど貴方と一緒に探索し戦えたのはちょっと楽しかったわ。
良ければまた一緒に依頼の手伝いをして欲しいんだけど……ビリーとアンビーも貴方が来るのを楽しみにしてるから。
あたし達の連絡先を載せといたから登録しときなさいよ! ニコ』
2人からの手紙を確認した悠介は安心の気持ちになって笑顔になっていた。
「……そろそろ点滴が終わりそうだ、椿を呼んでくる。帰りは俺がビデオ屋まで送ろう」
「ありがとうございます!」
袋の中がほぼ空となり点滴が終わろうとしていた。一条は椿を呼びに病室から出ていった。
その後、悠介は無事に退院する事ができ、一条の車でルミナスクエアから六分街まで送ってもらった。
PM0:00 六分街 駐車場
「ありがとうございました!」
「ああ、後はゆっくり体を労れよ。未確認の奴らが何時また暴れ出すか分からないからな」
「はい。なにかあればまた連絡してください」
悠介の言葉に一条は軽く頷いてから車を走らせた。車を見送った後、悠介はビデオ屋への道を歩き始める。
「悠介さん!」
「あっティンさん!お久しぶりです!」
悠介に話しかけたのは喫茶店『ティンズコーヒー』のマスターをしている知能機械人の『ティン』。悠介が洋風の朝ごはんの飲み物としてテイクアウトしたり、休みの日に飲みに来たりしている為、仲のいい関係だ。
「もう怪我は大丈夫ですか?1ヶ月は入院するとアキラ君とリンちゃんに聞いてましたが随分とお早いですね…」
「アハハ。自分、怪我の治りは早い体でして」
「でもこうして顔を見れてとても嬉しいです。またウチのコーヒーを飲みに来てくださいね」
「はい!」
2人が話しているとそこへ三匹のボンプがやってきた。ティンズコーヒーの傍にある雑貨店『141』で働いてるボンプ三兄弟『コウニュウ』『アンナイ』『オツリ』だ。
「コウニュウ、アンナイ、オツリ!久しぶり!」
『ンナナ!ンナワタ!(悠介さん!もう退院されたんですか!)』
『ンナンナ!(ご無事でなによりです!)』
『ワタンナ!(またウチに買い物しに来て下さい!)』
「もちろんまた買い物しに行くよ。それじゃあ皆、またね」
三匹と1人に手を振りながらその場を後にした。
「悠介じゃねぇかー!」
「あっホンマや!悠介ちゃんやー!」
次に悠介に気づいたのはラーメン屋『滝湯谷』の店長である知能機械人『チョップ大将』とゲームセンター『ゴッドフィンガー』の店長であるウサギの女性シリオン『アシャ』だ。
「チョップ大将にアシャさん、お久しぶりです!」
「その様子だともう平気そうだな!」
「悠介ちゃんが入院したと聞いて六分街の皆、心配してたんやでー?」
「いやーそれはお騒がせしました。また今度寄らせて貰いますね」
「おう!そん時は退院祝いとして一杯サービスしてやるぜ!」
「ウチも1回無料で好きなゲームさせたげるから来てな!」
「ありがとうございます!」
気さくな会話をしてから悠介は2人に手を振りながら別れ、ビデオ屋へと帰ってきた。
「ただいまー「悠介さん!」おっとっとと…リンちゃん、急に飛び交ってくると危ないよ?」
真っ先に悠介に飛び交ってきたのはリンだった。涙目になりながら抱きしめてきた。
「だってぇ…悠介さん死ぬかと思ったんだもん…」
「皆を置いて先に死ぬわけないよ。俺にはまだこの世界での冒険があるしね!」
そう言い悠介は上目遣いになってるリンに笑顔を見せながらサムズアップをした。
「おかえりなさい悠介さん。退院した事は一条さんから話は聞いてたよ」
「えーー!!お兄ちゃん…私に黙ってたの!?」
「仕方ないじゃないか。さっきまでリンは「悠介さんが死んじゃう…そんなの嫌だよぉ…」って泣きじゃくってばかりだから僕の話も聞かなかったんだから」
「ちょっ!?やめてよお兄ちゃん!///」
泣きじゃるリンのモノマネをするアキラにリンは顔を真っ赤にしてアキラの方へ走った。
『『『ンナナナ!!(おかえり悠介!!)』』』
「おっと、ただいまイアス、レム、トワ。寂しかったか?」
ビデオ屋ボンプ三兄弟も悠介が帰ってきた事に喜び、悠介の周りに集まってぴょんぴょん跳ねて喜んでいた。
「それで悠介さん。手紙の通りだけどあの後の出来事を話したいんだけどいいかな?」
「そうだったね…取り敢えず此処で話すのは止めとこう」
3人はスタッフルームに移動し、ドアを閉めた。
「それじゃあ話をしよう……」
アキラからの話によると、悠介が気絶してからリンはすぐにデータチップを読み取った。しかし、イアスが暴走し何らかのオーバーロード状態に入ったそうで六分街にあるライブハウス『404』のミラーボールみたいに光り始めた。
その後、イアスが急にまた動き出してニコ達を出口まで誘導した。リンはその途中で気を失っていて痙攣を起こしながらずっとうわ言を言っていたらしい。
ニコ達が悠介をルミナスクエアの大病院に連れ込み(その際、邪兎屋の身分がバレないように変装していたらしい)、リンは知り合いの闇医者を連れてきてH.D.Dから引っ張り出したらしい。
邪兎屋は現在、この件を調査しに出ている。
「そんな事があったんだ……」
「そう…でも本当に悪い知らせはここからだ」
「でも落ち着いてね?私も最初はこんな事になってビックリしたんだけど……『Fairy』、出てきて。悠介さん連れてきたよ」
リンがH.D.Dに向かってFairyという名を呼ぶ。すると、H.D.Dが勝手に電源が付き、ディスプレイ画面には瞳の様なモノが映っていた。
『初めまして助手2号、私はIII型総順式集成汎用人工知能、
『私はあらゆる面でマスターをサポートし、マスターがご自分の作業を完了出来るよう協力しています。』
「じ、人工知能……ってか俺が助手2号?マスターって誰?」
「私の事だよ。因みに悠介さんが助手2号でお兄ちゃんが助手3号って呼んでるみたい。」
人工知能というワードに悠介は驚愕する。自分のいた世界である2000年の時代でも人工知能というものは作られておらずまだデジタルな時代でも無かったからだ。
そして助手呼びされた事に疑問を持ったが、リンがそれに答える。
「しかもこの人工知能…この都市の80%以上の知能設備に対し無制限のアクセス権限を持ってるの。」
「つまり、Fairyが居れば累積式でホロウのデータを獲得する必要はなく毎回リアルタイムでホロウ脱出ルートを分析出来るんだ。」
「そんで悠介さんが眠ってる間に私はサブ垢でプロキシ稼業する事にしてまた一からやり直す事になったワケ!」
そして今は捨てたパエトーンのアカウントとは別にあったサブ垢でプロキシをやる事にしてやり直しているらしい。
「成程ね…まぁ取り敢えずこの人工知能…じゃなかった。Fairyと協力してパエトーンの活動をする事になった…でいいんだね。じゃあFairy、俺から一つだけ聞きたいことがある」
『……なんでしょう。助手2号』
「キミは俺達を裏切らない?」
『……肯定。先程の通り、私の役目はあらゆる面でマスターのサポートをするだけです。』
「……わかった。もう言うことは無いよ。それじゃあ改めてよろしく Fairy」
こうして、新たな仲間の人工知能『Fairy』を加えたパエトーンとクウガ。
果たして、この出会いがどの様な出来事を招くのか……
序章 完 ▶NEXT CHAPTER
主な登場人物
五条悠介/仮面ライダークウガ:松原大典(イメージボイス)
アキラ:阿部敦
リン:千本木彩花
一条業:古川慎(イメージボイス)
椿修二:小野大輔(イメージボイス)
ニコ・デマラ:芹澤優
アンビー・デマラ:種崎敦美
ビリー・キッド:林勇
朱鳶:井上麻里奈
青衣:阿保まりあ
セス・ローウェル:高梨謙吾
ジャスティン・ブリンガー:酒井正斗
クルーガー・アヌビス:稲田徹(イメージボイス)
ヒマワリのタトゥーの男:石田彰(イメージボイス)
再生侵食体ブ・ダラン・バ:宮内敦士(イメージボイス)
次章予告 (BGM:緊迫〜暴虐)
人工知能『Fairy』が新たに加わってから暫く経った。
未確認によるゲゲルも十数件発生し、多くの犠牲者が出るもクウガは全てのはぐれグロンギを撃破した。
ヴィジョン・コーポレーションの爆破解体による旧都地下鉄改修の発表がニュースで放送されていた。
その際、スタッフルームに駆け込んできた猫のシリオンの少女『猫宮又奈(以降猫又)』の話によると邪兎屋が爆破解体のエリアに居るのとまだエリア内に取り残された人々が居るらしい。
パエトーンの力を借りたい猫又にリンと悠介は猫又と共にデッドエンドホロウへと向かった。
その裏でブの一族による最後のゲゲルが爆破解体と繋がっているとも知らずに…
第1章 猫の落し物
御期待ください
邪兎屋の誰をヒロインにする?
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ニコ
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アンビー
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猫又
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いっそ全員