ゼンレスゾーンクウガ   作:アルティメットルパン三世

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捜索

 

 翌日の朝、DMにアンドーからの連絡があった。

 クレタがプロトタイプの捜索をすると決断したらしいので悠介とリンは直ぐ黒雁街跡地へと向かった。

 

 現場に着くと、クレタが二人を迎えた。

 

「プロキシ、悠介。わざわざ来てくれてありがとう。…白祇重工は、本腰を入れてプロトタイプの捜索をする事に決めた。」

「簡単な事じゃなかったよね、決心出来たみたいでよかった!」「ああ、プロトタイプについては会社の重要技術が詰まってる。社長として、あれを放っておくような真似は出来ねぇ。

「とはいえ、アイツを探すのはグレースの専門だ。詳しい話はアイツとしてくれ。悪いが、あたしは用がある。」

 そう言い、クレタは席を外しその場から去る。

 

「あ…しゃ、社長、待ってくれ!」

 

 ベンがクレタを呼び止めようとするも彼女は聞く耳持たずに歩いていった。

 

「クレタ、まだグレースさんとギクシャクしてるみたい…」

「今はそっとしておいた方がいい…大丈夫。今のクレタの心には雨が降ってる。だけどその雨が晴れたら青空になってグレースさんとも仲直り出来るよ。」

 

 心配するリンに悠介は彼女の肩に手を置いてグレースと仲直り出来ると言ってあげた。

 と、そこへアンドーとゴウラムを乗せた台車を押しながらグレースがやって来た。

 

「心配すんな、ベン。ウチの社長は、一度決めた事を後から後悔するようなタマじゃねぇ。」

「その通り。おチビちゃんが決断してくれたなら、それだけで充分さ。ここからは、私がなんとかしてみせる。」

 

 クレタを信じるアンドーとグレースに悠介は、彼女が信頼されているんだなと感じた。

 

「グレースさん。ゴウラムの様子はどうですか?」

「ゴウラムちゃんならほぼ完璧に直ったよ。流石は超古代…ましてや異世界の技術!実に面白い仕組みだったね!」

 

 台車に乗っているゴウラムは目を閉じ、背中に埋め込まれている霊石アマダムが緑色に点滅している。

 

「おぉ…すっかり元気そうだな!後は目を覚ましてくれたらいいんだけど。」

 

 ゴウラムを撫でながら悠介はそう言った。

 

 その後、悠介とリン、クレタを除いた白祇重工の三人はこれからについての会議をする。

 

「プロキシ、早速だけど…先ずは、この前脱走した知能重機の話から始めよっか。あの子たちを隅々まで点検したけど、論理コアの故障はおろか、エーテルに侵食された様子さえなかった。あの子たちを変えたのは、プロトタイプからの信号だったの。」

 

 グレースの結論から言うには、プロトタイプの信号があの3台の重機の論理コアの性能を底上げしたという。

 

「でも3台のうち、プロトタイプから明確なメッセージをうけたのは、パイルドライバーのフライデーだけだった。あの子がずっと言っていた「封印を固める」っていうのが、正にその事だよ。」

「「封印を固める」って、どういう意味?ていうか、単なる厨二病の妄想じゃなかったんだね。」

「残念ながら、あの子は最後までうまく言葉にすることが出来なかったけど…どうやらプロトタイプは、他の知能機械に助けに来てほしかったみたい。」

 

 プロトタイプが送信したデータを調べてみた結果、最初に受信したのはパイルドライバーだった。

 メッセージ量も、3台の中で一番多かった。他の2台は受信した量と少なく内容自体も所々途切れていた。

 

「それにあの子たちが逃走した後、会社の他の知能機械はプロトタイプからの連絡を一切受けてない。」

「つまり…これらを統合すると、プロトタイプの通信モジュールにはもう、自主的にほかの設備と送信するだけの力がない可能性が大きいな。」

「そう。おチビちゃんもきっとそれに気づいてる。だからこそ、早く決断しなかった事を後悔しているんだ。でも、あの子が自分を責めるにはまだ早い。」

 

「プロキシ、悠介くん。ウチの知能機械はメッセージを受信すると、送信モジュールが自動的に1バイトのリプライ信号を返すようになっているんだ。この機能なら消耗が少ないから、まだ生きているかもしれない。」

「ということは、3台の子供たちにプロトタイプへ呼びかけてもらって向こうが返してきた信号を追跡すれば…その位置を特定できる。」

「プロキシ、時間が無い。ホロウでのガイドや位置情報の分析は任せたよ。悠介くんもボディーガード頼んだよ。」

 

 こうしてクウガとパエトーン、そして白祇重工はプロトタイプを探すためにホロウへ入った。

 

───────────────

 

『もしもし、みんな聞こえているかい?君たちは今、新エリー都と旧都の境界付近にあるホロウの中にいる。このエリアは、地下鉄改修プロジェクトの建設予定ルートの一部にあたる。だけど立ち入りに関して、治安局からは何の許可も降りてないから…そこは気をつけてくれ。』

 

 H.D.Dシステム越しにアキラが皆にそう告げる。

 

「なあベン…またこの場所に戻ってくるハメになるとはな。」

「なんだよ、ここら辺に来たことあんのか?」

「旧都陥落前は、開発途上の新エリアとしてそれなりに注目を浴びていたんだ。政府とTOPSは、ここの建設に大金をつぎ込んでいたし…ウチの会社もこの辺りでプロジェクトを手掛けていたことがあったな…それはさておき、早いところプロトタイプの捜索を始めよう。」

 

『よし、今回は僕が行動計画を説明しよう…

 

最初に、パイルドライバー、デモリッシャー、デュアルショベルの3台をホロウの特定ポイントに送り込む。

それぞれが配置に着いたら、グレースが信号発信機を起動。

 

3台には、プロトタイプのリプライ信号を受信させ中継器の役目を果たしてもらう。

3台が中継する信号の強度はそれぞれ異なる。次は彼らの近くに適した場所を見つけて、信号を分析する必要がある。そうする事で、プロトタイプの具体的な座標が見つかるはずだ。

 

それと、僕たちが信号を分析し終わるまで、プロトタイプとの通信は継続してないとダメだよ。

グレースさんとパイルドライバーの持ち場はこの近くにあるから、僕が連れていこう。リンは他の人と一緒に、後の2台を指定地点に連れて行ってくれ。

 

あともう一つ、前にデュアルショベルを奪おうとした未確認が他の重機を奪おうといつ狙ってくるか分からないから各自、注意するんだ。』

 

 こうして、パエトーンと白祇重工によるプロトタイプ捜索作戦が行われた。

 

「3台の力を借りて、プロトタイプを探すぞ!パイルドライバーはグレースに、残りはウチらに任せろ!」

 

 パイルドライバーの特定ポイントはグレースに任せ、デモリッシャーとデュアルショベルを特定ポイントへ向かわせる。

 

『ここで、愛の信号を発信しちゃえばいいのね?』

「あー、普通の捜索信号でいいぞ…」

 

 デモリッシャーを特定ポイントに配置させた後、デュアルショベルを移動させて特定ポイントに配置した。

 

「よっしゃ!これで3台とも指定の位置に着いたぞ!」

『グレースさん、聞こえる?今からプロトタイプに信号を送ろう。具体的な操作は頼んだよ。』

「はいはい!それじゃ子供たち、後は任せたよ。頑張って先輩に呼びかけるんだ!」

 

 そう言ってグレースはプロトタイプへ通信を開始した。

 開始してから数分後、デモリッシャーの方に反応があった。

 

「うん、デモリッシャーの所にリプライ信号が返ってきた…よしよし、3台ともプロトタイプからの信号を受信したよ!」

「ハハッ、やったな!」

 

 作戦は順調に進んでいた……しかし、突如謎の音が発した。

 

「おい、どうしたグレース、そいつぁなんの音だぁ?」

「大した事じゃないよ。エーテリアスが来ただけさ、すぐに片づける。発信機の高周波はプロトタイプにだけじゃなく、エーテリアスにとっても刺激になるようだね。」

 

グオオオオッ……

 

『いや待った。グレースさん、強いエーテル反応を示す個体が近づいてる!お供がパイルドライバーだけでは太刀打ち出来ない!』

 

 その音はディルウィングの様な雑魚だけじゃなく、ファールバウティの様な大型エーテリアスまで呼び寄せていた。

 

「グレース、発信は一旦止めろ。これ以上エーテリアスを刺激すんのはマズい。お前はパイルドライバーと一緒にそこから離れるんだ!」

「おチビちゃん、それはダメだよ。さっきプロキシも言ってたじゃないか。信号の分析が終わるまで、通信は継続させなきゃダメだって。」

「あたしは発信を止めろと言ったんだ!今そっちに向かってる、続きはウチらがエーテリアスを倒してからだ!」

 

 クレタはグレースに離れろと命じるが通信を聞いていた彼女は首を横に振る。

 

「クレタ、聞いて…確かにプロトタイはリプライ信号を送ってきた。だけど送信の間隔は、いまこの瞬間もどんどん遅くなっているのが現実さ。つまり、プロトタイプの通信モジュールにはもう、全てのメッセージに返事をする余力はないんだ。今止めたら、もうチャンスはないかもしれない。」

「プロトタイプの論理コアは、白祇重工にとって大事な物だよ。私はそれを、簡単に諦める訳にはいかないさ!」

 

「グレース、バカな事すんな!諦めるとか、そういう問題じゃねぇだろ!お前一人じゃ、そんだけのエーテリアスにゃ勝てっこねぇ!プロトタイプがなくなった所で、また新しい技術を開発すりゃ…」

 

 クレタの言葉をかき消すようにファールバウティの咆哮が響き渡る。

 

「クレタ、この辺にしておこう。「お客さん」が来た。こいつらの相手をしながら、君と言い争う余裕はない。」

 

 そう言うと、グレースは通信を切った。

 

「おい待て…グレース!行くな!姉貴ッ!!クソッ!どいつもこいつも、自分勝手な事言いやがって!プロキシ、クウガ、今すぐ助けに戻るぞ!」

 

 グレースを助けに4人(+ボンプ一体)はパイルドライバーが配置されている場所へ全速力で走り出した。




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それでは、また次回。

治安局からのヒロイン

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