とある青年呪具屋の呪術記録《カースレコード》   作:サマーオイル悟

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第42話:死滅回游② 開店秘話

 

 呪霊は、徒党を組まない。

 しかしそれは、あくまで現代的な認識だ。呪霊のレベルが現代、正確に表せば五条悟爆誕より以前に高かった呪術全盛、平安の世では──多少なりともその性質が異なっていた。

 

 昔昔の遥か昔、太古の昔から、そうだった。

 一口に「呪霊」と言えど、一族とまではいかないものの、ある種「系統」のようなものは存在する。

 化かす、騙す能力に特化した狐系、狸系の呪霊。体躯の大きさと猛烈な膂力に特化した熊系の呪霊。食い荒らす事に特化した蟲系の呪霊──などなど。

 

 そんな中、そういった特定のカテゴリーに区分ができない恐怖の対象を、人は「鬼」と呼び畏れた。荒くれ者が居れば、たとえそれが人間だろうとも、人ならざる者──「鬼」や「鬼子」と呼んでいた。

 そうして、人ならざる者の目印のつもりなのか、いつしか「鬼」とされる者達には、頭なり額なりに人には決して存在しない角が生えるようになった。

 

 しかし「鬼」として生まれた呪霊とて、人を捕食したいと願うもの。人間を騙す意思がある鬼には、いつしか、肉体を構成する呪力を変質させ、肉体を作り替える能力が芽生えた。そんな鬼達は、能力を利用し人間に対し更なる悪事を重ねるようになる。

 

 少々の時は流れ、世代は交代し。

 何の因果か、人々の巨大な恐怖を形にしたような巨大な身体を持つ、凄まじい鬼呪霊が一匹、出現。

 その鬼は己を「天下の主人(あるじ)である」という意味を込めて主天(しゅてん)と名乗るようになった。

 

 名は体を表す──とは、よく言ったものである。

 その鬼、主天の名が世間に広まるにつれて、彼の力は益々膨れ上がっていった。

 その力に惹かれてなのか、もしくは敵対せぬ為に軍門に降ろうとしたのか──主天の元には「鬼」とされる者達、または「鬼」を名乗る者達が、自然と集まるようになった。

 同じ系統の呪霊が、集まるようになったのだ。

 やがては「主天」の名の通り「日本三大呪霊」に数えられるまでに増長した。

 人々の恐怖は増えゆくばかり。それに伴い主天の力も増すばかり。

 

 後に、彼の軍門に降った鬼達は自分達で格付けを行い、四天王が結成された。それが大江山四天王、またの名を主天童子四天王──熊童子、虎熊童子、星熊童子、金童子の4人である。

 こうして、日本初と言える「呪霊による徒党」が明確に誕生する事となった。

 

 ────しかし、そうして武士にも負けぬ強大な組織力を得て、都を襲い金品や酒、女を飽きるまで強奪しても尚、主天はどこか、満たされぬ気持ちがあった。

 主天と肩を並べる程の実力者と噂される鬼が──茨木童子が、彼の軍門に降らないからだった。

 

 実のところ、茨木童子は、腕っ節だけでは主天に敵わない。茨木童子が「強い」とされていたのは、その智謀が由来だった。

 腕っ節だって、主天にはまず負けるだろうというだけで、その辺の鬼呪霊に比べれば、四天王にすら圧倒的に勝るとされていた。

 そんな、誰より主天に近い強さを持つ茨木童子は仲間を持たず単独行動をとっており、それ故に──いつどこに現れるかまるで分からない、神出鬼没な存在であった。

 

 ──茨木童子を、自分の手元に置いておきたい。それが、都を殆ど欲しいままにできた当時の主天の新たな目標だった。

 そこで主天は、数多くの配下に、茨木童子を探し出して己の元に連れてくるようにと命じた。

 

 結果として、茨木童子は見付からなかった。

 探されていると感じる度、適当な人間や鬼などに化けて、適当に逃れていたからである。

 その事に勘付き憤慨した主天は、数と力にモノを言わせた殲滅作戦を実行する、と都に向けて宣言。都の人間も呪霊も関係なく鏖殺する──と。

 

 これはまずいと、人間(術師)も茨木童子を血眼になって探すようになった。茨木童子が見つからないせいで都が壊滅させられ人間も呪霊も関係なく鏖殺など、無関係な人間からすれば、たまったものではない。

 

 見かねた茨木童子は、自ら、主天の前に現れた。これにより主天は先の宣言を撤回。人間達もやっと心の平穏を取り戻した。

 そして主天と茨木童子の対決が始まったものの、前評判に違わぬ実力を発揮し、しかし僅差で主天が勝利。茨木童子は、主天の軍門に降る事になる。

 しかし、その圧倒的な強さから、四天王などでは全く足りないと主天は判断。そうして、茨木童子は主天の右腕のような存在に──大江山鬼呪霊一派の副頭領という立ち位置に落ち着いたのであった。

 

 ────呪霊には、原則として、性別は無い。

 性別があるとすれば、傾国の美女が呪霊化したり個人の恨みがそのまま呪霊化したり、性別も含めて畏怖され呪霊が生まれるなど──そういった特殊な例くらいだろう。

 例えば、玉藻前の仮想怨霊は女体である。口裂け女などはまさに「性別も含めて」恐れられている。その結果として口裂け女などは「女」という性別を有している。

 そういった存在は例外的なものと言える。原則、男性的または女性的な見た目だろうとも、実際は、性別無しだったりする。

 

 しかし、主天も茨木童子も、同じ元人間だった。

 主天はかつて絶世の美少年とされており、しかし受け取った恋文を読まずに燃やし、それによって、気持ちを伝えられなかった女達の恨み辛みが、彼を殺し、人ならざる者に変えてしまった。

 茨木童子もまた絶世の美少女とされ、これまた、主天と同じように……。

 

 主天に敗れた茨木童子は、主天の軍門に降った。

 それは互いの同意の上であったものの、主天は、茨木童子に「その先」を求めた。

 即ち、子作りだ。万が一にも主天に近いレベルの実力者である茨木童子が裏切らないようにという、保険のつもりもあったのかもしれない。

 

 上記の通り、呪霊にはそもそも原則として性別が無いものの、主天は男、茨木童子は女が呪霊化した存在であったが故に、奇跡的に呪霊同士で子を成すことができてしまった。

 そうして生まれたのが────。

 

 

『あなたも生まれ変わっていたのね……いばな』

 

『あんだぁ? オラんこと知ってんのかい?』

 

『羂索のヤツ、嫌味のつもりかしら。ここに春夏が居なくて良かったわ……』

 

 京都結界(コロニー)に突入した茨木童子は、春夏のように、着地狩りに遭う事も無く、無事に着地できた。空を飛べる存在は、これだから強い。

 しかし、春夏と合流しようとする茨木童子の前に現れたのは、1本の角を額から生やしボロのような布を纏い、けれども弱々しい感じはせず、寧ろ逆にかなりの乱暴者というのが見て取れる少年──。

 主天と茨木童子の間に生まれた、いばな童子だ。

 

『オラんこと知ってんのかって、聞いてんだよ!! 聞こえねーのか? ツンボかテメェ!』

 

『──知らない。あなたの事なんか、知らないわ』

 

『あぁ? オラの名ぁ呼んどいてか?』

 

『ええ。だってあの子、とうの昔に死んでるもの』

 

 主天に産まされた穢らわしき我が子──いばな。

 主天が討伐された際は、そう多くない残党と共に逃走に成功するも、それから暫くして、残党と共に人間達へ復讐を決行。──が、渡辺綱の手によっていばな童子も祓われている。

 今、こうして茨木童子の前に居るのは。魂が巡り純粋な呪霊として生まれ落ちた、かつていばな童子だった誰かである。

 呪力の質が似通っていても、別人でしかない。

 茨木童子は、残像を残すような速度で、急速に、いばな童子の横を通り抜ける。すれ違いざまに頭を引っこ抜き……ポイと、無造作に投げ捨てる。

 

『あぇ……え? オラ……あれ?』

 

『願わくば二度と生まれてこないでほしいものね。せっかく綱に殺して(・・・・・)もらったのに(・・・・・・)

 

『え? は? ……あ……あぁ…………』

 

『5点が追加されました』

 

『あら。彼も泳者(プレイヤー)だったのね。知らなかったわ』

 

 頭を抜かれて、踏み潰されたいばな童子は、当惑しながら消えていった。

 

『……いばなが居たから、何となく察してたけれど。やっぱりこの気配……酒呑童子なのね……』

 

 ◆

 

 ────主天と茨木童子の繋がりにより、大江山鬼呪霊一派はより強固な組織となった。力の主天に知恵の茨木というのは、都では有名な話であった。

 朝廷による討伐隊も、何度も撃破していた。

 

 そんな中、遂に帝は呪霊退治に特化した源頼光に大江山鬼呪霊一派の討伐を命じた。こうして、頼光四天王の渡辺綱、坂田金時、卜部季武、碓井貞光は動き出す。

 この頃、既に様々な鬼呪霊やら土蜘蛛呪霊などを討伐しており、頼光四天王の名、その栄光は世間に広まっていた。

 そんな彼らなら主天討伐も成し遂げるだろう──結論から言えば、その期待を全く裏切らなかった。

 

 頼光四天王は、主天の被害者が語る「主天は酒が好き」の言葉から、酒を飲ませて酔わせて殺そうと思い立ち、実行したのだ。

 都で酒を奪いまくっていたことから、主天は酒が好きである事は有名な話であった。

 如何に呪霊退治の名手であろうと、正面戦闘ではまるで歯が立たないのは、明白だった。けれども、それで諦めるような頼光四天王ではなかったのだ。

 一部では彼が酒呑みである事を揶揄い「酒呑(しゅてん)」と呼ぶ者も居た。

 

 そんな不名誉なアダ名が付けられるほどに、都の人間にまで主天が酒好きである事が広まっていた。

 結果として頼光四天王のこの策はハマり、無事、主天を討伐する事ができた。

 右腕のような存在とされていた茨木童子を筆頭に鬼呪霊達は散り散りになってしまったが、そもそも呪霊は徒党を組まないのでこれらについては新たな問題を起こすまで放置という事になった。

 

 主天は、あまりにも強すぎた。だから、本来なら徒党を組まないハズの鬼呪霊達が、奇妙な結束力を持ってしまったのだ。

 

 主天の討伐後、その名が有する絶大な力を恐れた人間は、読みはそのままに当てる漢字だけを変え、そして彼を討伐した際の方法、またはエピソードに肖って「酒呑童子」と改名。討伐エピソードなどを後世に残す際には「主天」ではなく「酒呑」の字を使うようにと、当時の帝が命を下した。

 酒呑童子──主天とは、それ程の鬼呪霊だった。

 

 それから程なくして。

 頼光四天王の筆頭の渡辺綱は何気なく一条戻橋を渡っていると。

 

『お前、あの時の呪具使いだな?』

 

「なっ……き、貴様は! 茨木童子ッ!!」

 

『人の身でありながら──力及ばずながら、あの、主天を下すとはな。中々にやる。加えてその小柄な体躯、艶やかな頬、紅をさしたような唇。フフフ、気に入った』

 

「!?」

 

『お前、(わらわ)のモノになれ。愛宕山へゆくぞ』

 

「うわぁッ!? は、離せッ!!」

 

 綱の髪を掴んで、そのまま空を飛ぼうとするが。たとえ1人きりだろうと、四天王は四天王。慌てず呪具を抜き、茨木童子の右腕を斬り落とす。

 

『貴様ァッ! ……クソッ、ここは退いてやる!』

 

「クッ、逃げられたか。だが、まぁいい。コイツで斬られた部位は再生しない。ヤツは腕を取り戻しに俺の元に来るハズだ……」

 

 小柄な体躯を持つ渡辺綱がどうして数々の武勲を挙げることができたか。彼は呪具を集めるのが趣味だった。それがまさに呪霊に特効であり、四天王に上り詰めるようになったのである。

 この時、綱が使用したのは「再生阻害」の効果を有する呪具。呪霊は、呪力さえあれば幾らでも再生できてしまうが、それすら封じてしまえる代物だ。

 ある事を思い立った綱は茨木童子の太く筋肉質な腕を馬に括り付け、帰還した。

 

 それから数日後────茨木童子は、綱の縁者に化けて、どうにか腕を取り戻そうとしていた。

 しかし綱は、上記の通り、腕を治癒させられない茨木童子ならば自分の元に来る事が分かっていた。それ故に、茨木童子がどんな変装をしようとも全く無意味だった。

 

「お前、茨木童子だろう?」

 

『何を言って……。私はあなたの義母(はは)です、お忘れになりましたか?』

 

「呪力が漏れているぞ」

 

『なっ!? そんなハズは無い! 妾がそのような初歩的な過ちをすると思うてか!?』

 

「掛かったな。呪力が漏れているのは嘘だ。見事な変身技術だな」

 

『……人間め。大抵の鬼は、嘘が嫌いなのだぞ』

 

「だろうな。主天をダマくらかした時、色んな鬼の視線が俺達にそう訴えかけていた」

 

『物分かりが良いじゃあないか。妾の腕を寄越せ。さもなくば、貴様の一族郎党を鏖殺し、貴様だけ、愛宕山に連れて行くぞ』

 

「腕を返して欲しければ、俺と『縛り』を結べ」

 

『貴様……そのような寝言を言える立場だと、そう、思っているのか……?』

 

「思っているさ。茨木童子、お前の腕は、ここには無いのだ。俺が封印したからだ」

 

『!?』

 

「封印を解けるのは俺だけ。場所を知っているのも俺だけ。もしも俺を殺してしまえば、お前は一生、片腕のままだぞ」

 

『……人はどこまでも汚く、醜い手を使うな』

 

「弱さ故だ。人は弱い。術式を持たぬ俺は、呪具を使わねば呪霊になど太刀打ちできん。それですら、主天には遠く敵わないから、酒に頼ったのだ」

 

『……「縛り」の内容を聞かせろ』

 

「俺の子や孫──いや、末代まで仕える事を誓え。さすれば腕は返そう。腕があれば再生もできるぞ」

 

『は?』

 

「端的に言おう、お前を俺のモノにしたくなった。だが、俺には既に家族が有るし、呪霊と添い遂げるなどは常識的ではない。しかし唯一の女鬼呪霊とも言えるお前を、この家に繋ぎ止めておきたいのだ」

 

『ほォ……?』

 

「強い女が、好きなのだ。お前、女だと聞いたぞ。一時期、主天がお前を捜索していたのも、女であるお前を、モノにする為なのだろう?」

 

『それは違う、ヤツは妾の力を求めて──いいや。確かに、そうなのかもしれない。現に、ヤツの子を産まされたからな……』

 

「なッ!? そんな話は初めて聞いたぞ!」

 

『その名を、いばな童子。先の主天討伐の戦からは数名の残党と共に生き残っているぞ。いずれ、父の仇だと言わんばかりに問題を起こすだろうなァ?』

 

「なんと……!!」

 

『──そうだ。渡辺綱よ。いばなを討伐してこい。そうすれば、この家に留まってやらんこともない。子々孫々──末代まで、渡辺の家に仕えてやろう』

 

「!?」

 

『妾の穢らわしき過去を精算してやる。綱、貴様を使ってな。……どうする? 渡辺綱よ』

 

「俺は……しかし、お前の子だろう、茨木童子」

 

『産まされた子になど、何の愛情も未練も無いが? それとも、人間は違うのか? 暴漢に犯され、子を孕まされたとしても、その子を愛し、育てるのか? 妾には、それこそ正気とは思えぬがな』

 

「──つまり、主天と茨木童子には婚姻関係などは無かったのだな?」

 

『なんだ? あったら困るのか?』

 

「いや! よい口実を得た!」

 

『は?』

 

「茨木童子は主天により囚われの身となっていた。表向きには、お前を匿う事になるから、何かしらの建前は必要なのだ」

 

『……そんなものか?』

 

「そんなものなのだよ、人間社会というものはな。本音と建前を使い分けねば、武士とて生きてゆけぬものでな」

 

『……武士と言う割に子供のようだがな、お前は』

 

「んなっ!? ななっ、何を言うか!」

 

『呪具を、呪物を蒐集しているようだしな。一端の武士ならば、武具を蒐集して見せよ』

 

「ぐぬぅ……! 俺を武士として認めぬ、と?」

 

『そんな呪いに満ちたモノなど売り払ってしまえ。家族も迷惑しているのではないか?』

 

「あぐっ……そ、そうなのだ……穢らわしいと簡単に吐き捨て、呪具や呪物の魅力を分かってくれない! 血を分けた家族とは言えど……!」

 

『知るか、そんなものは。妾に言うな。武士として認められたくば、己の身を焼かんばかりの呪いは、手放すがいい。坂田金時を見よ! 己の術式一つで我ら鬼と対等以上に渡り合ったではないか!』

 

「金時は例外だ! 鬼神の如く身体強化できるなどズルいではないか!! 幼少の頃から、熊と相撲をしてきたなどと言っている男だぞ!? 金時のその話は『金太郎』という童話にもなっているんだ!」

 

『しかし少なくとも貴様よりは「武士」であろう』

 

「う……うぅっ……どうしても、武士として認めてはくれないのか……?」

 

『言わずとも分かるだろう』

 

「うううう……!!」

 

 実の所──茨木童子は、己の害になる呪具を綱の手元から離しておきたかっただけである。例の再生阻害の呪具だ。

 しかし、それだけを失わせようとしたら、綱にも茨木童子の思惑は露見してしまう。

 ──木の葉を隠すなら森の中という言葉がある。厄介な呪具を綱の手元から離したいのであれば──厄介でない呪具も、呪具ですらない呪物でさえも、一切合切、全てを手放すように仕向ければいい。

 武士として認めるなど、片腹痛い。

 

 こうして渡辺綱の蒐集物、もといコレクションを商品として、綱の自宅から離れた場所にて、販売が行われるようになった。

 渡辺綱による蒐集物バザーの始まりである。

 本来ならすぐに売り切れるハズだったが、当時の人間達は、とても親切であった。売る一方であった綱の心情を推し図り、自身が所有する呪具や呪物と綱が販売する呪具や呪物とで、自然と、物々交換を行うようになっていった。

 

 茨木童子から武士と認められたい綱は物々交換を断ろうとしていたが。

 例の再生阻害の呪具がとうに売れてしまっていた事により、言い出しっぺである茨木童子は既に綱の呪具コレクションには何の興味も無くなっていた。

 だから寧ろ「人々の善意を無下にする方が武士に似つかわしくないだろう」と、彼に、呪具や呪物の物々交換を許可した。

 

 その結果、綱の存命中に在庫が0になる機会は、遂に訪れなかった。綱の遺言により、子々孫々にもこの事業は脈々と受け継がれる事になった。

 それが、現代にまで続き、渡辺春夏が受け継いだ渡辺道具店の成り立ちである。

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