とある青年呪具屋の呪術記録《カースレコード》 作:サマーオイル悟
「──あっ、僕は領域使わないけど、春夏は好きに使っていいからね?」
「そうじゃないとそもそも戦闘にならんでしょ」
「はっはっはっ、そうとも言うかもね!」
「……」
「漏瑚も羅喜さん達も祓わないよう気を付けるよ、なんて言われても、やっぱり気乗りしないかい?」
「そりゃ俺、戦闘狂じゃないしな……」
「春夏は、酔うとそういう心のブレーキが無くなるから強くなれる──ように感じられるんだろうね。素面で春夏のブレーキを無くさせるには──うん、何かご褒美でも用意すればいいのかな?」
「ガキか俺は」
「実際ガキでしょ〜」
「くっ……」
フームとしばらく考え込む2人。数秒後、2人は声を揃えて、同じような事を提案する。
「「
「!」
「ははっ、考える事は一緒か。ただし条件はある。今日中に、僕に一撃でも入れる事だ。もちろん例の天逆鉾の欠片での攻撃は無しだよ」
「チッ」
当然である。
しかし春夏もそれは薄々分かっていた。そして、この無理難題とすら思える試練を突破する術なら、春夏は、既に備えている──。
「じゃ……始めようか?」
「……布瑠部由良由良」
(春夏の頭上に……魔虚羅の法陣?)
「恨みはもう無いが、ブン殴らせてもらうッ!!」
「そのつもりでおいで!」
しかし素で殴る事はできない。彼の拳は無下限のバリアの前には全くの無力であり、ビタリと無限に遅くなってしまう。しかし今の春夏には1つ秘策があるのだ。
「領域展延……!」
術式を付与していない領域を身に纏って、そこに無下限の術式を流し込む事で、無限バリアを中和。
春夏はこの技術を、事変後に死刑が確定して乙骨憂太により一旦殺され、京都
(法陣が黒くなった……適応が中断されてるのか)
「これならどうだッ!!」
「領域展延──漏瑚に教わったのかな? あの時、渋谷で雑草と一緒にソレで僕を襲いに来たよ」
「そうさ、漏瑚に教わったんだ。出力を上げれば、俺の拳はアンタにも届くだろ……!」
「そうだね、その通りだ。──けど、今の春夏には合わない手かもね」
「……ッ!!」
出力が低い春夏では、出力が大事な領域展延は、あまり有効打にはならない。渋谷事変にて、花御を無限バリアで潰して押し花にしたように。五条は、バリアの出力を上げて、展延で中和しているハズの春夏の拳をゴリゴリと遠ざけ始めたのだ。
「な、うぐッ、そん、なッ……!?」
「別の手を模索してみよう、ねっ!」
「ごぶぉっ……!?」
その時──瞬時にバリアを解除し、展延を纏った彼の拳は軽く手のひらで受け流されてしまい春夏の体勢はガクリと崩れ。
術式順転「蒼」の応用を効かせ、吸い込むような反応を拳に纏わせた五条は、春夏の腹を殴り抜く。吸い込まれるような感覚に調子を狂わせた春夏は、展延での中和も何もできずそのまま殴られてしまい後方に吹っ飛ばされてしまう。
「おげぇぇぇっ……!!」
「結構
「クソ! 『呪い移し』で金童子の術式をこっちの制服に移植してんだぞ? それでこのダメージって流石にエグいって……!」
(何の音だ? 法陣は……回ってない。黒いままだ)
「ゲホッ。……展延ダメか。じゃ……コレなら!」
展延を解除して霊装呪法を発動。そしていつものメリケンサックを装備した春夏は、凄まじい呪力を拳に集中させて。
「これでもくらえッ!!」
「!?」
しかしそれも、再度発動させた無下限バリアにてガードしてしまう。
反転術式ビームなら、五条悟にとって害ではないという判定になるので無下限バリアも貫通する──というのが春夏の見立てだった。
そしてこの戦いは、五条悟に一撃入れれば勝ち。攻撃を当てればいいだけで、彼にダメージを与える必要はないのだ。だから、彼の無下限バリアに攻撃ではないと誤認させる事ができれば、このビームで彼を撃つ事そのものは可能だった。
その見立ては、間違っていなかった。
けれども残念な事に今回の無下限バリアはオートではなく、マニュアルで発動されたものであった。それにより、本来なら無害である為にバリアを貫通してしまう正のエネルギーも、バリアの対象として指定されてしまったのだった。
春夏の反転術式ビームは、五条に届かなかった。
「……チッ」
「RPGみたいなターン制バトルじゃあないんだ、ドンドン仕掛けてきなよ! 術式順転『蒼』ッ!」
「うぉあっ!?」
術式順転「蒼」によって、春夏の身体は勢いよく青い球体──「蒼」に引っ張られる。春夏は背中のバッグから業龍剡月刀を取り出し、熱線を放つ事で破壊を目論むが、どうも出力が足りないようで蒼を破壊できない。
「マコ!!」
『潰されてこいって言ってんの!? ったく、ケガなんてしたら許さないからっ!』
(アレが2人目の魔虚羅か……お転婆だなぁ)
蒼によるその引力を利用し、マコは超高速で蒼へ向かう。右手から剣を生やして、正のエネルギーを纏わせると、呪力を中和して破壊せんとする。
「吸い込まれんなよ!」
『だ、大丈夫だし! こんくらい……!』
「ははっ……出力は落としてるから安心してよ」
『は、はぁ〜ッ!? わざわざ加減されるほどっ、マコはザコザコじゃないんですけど!?』
マコが蒼を中和しているからか、身体が引かれる強さも徐々に落ちてきている。しめた──と、彼は五条悟も巻き込んで結界を構築し、すぐに解除。
(結界を作ってすぐ解除! これはさっきの──)
「結界式の瞬間移動だッ!!」
五条悟の背後に瞬間移動した春夏の手には、既に業龍剡月刀は無い。両の手が空いた彼は、智拳印の印を結ぶ。
「領域展開……!!」
純白の空間が、五条悟を巻き込んで展開される。結界で閉じられており逃げ場は無い。この戦いでは五条悟は領域を封じられている。故に、対処方法は殆ど無い。
「シン・陰流『簡易領域』」
「……ま、使えるんならそうくるだろうさ。そうくるだろうよ……!」
彼の領域「月下霧消之理」の必中効果を防御し、未だ「春夏の所有物」になるまいと耐える五条悟。必中効果さえ当ててしまえば出力も落とせるのに、それができないからもどかしいものである。
(へぇ、僕の簡易領域でも剥がされるのがそこそこ早いな。僕と同じで、押し合いに滅法強いタイプの領域か。これなら、あの火山頭もイチコロっしょ。まぁ、攻撃性能が皆無な領域だしな。やっぱ必中に全振りしてるタイプは領域の中でも厄介だな)
なお、この領域には先程の「蒼」もマコも同時に巻き込まれている。それによって、簡易領域で身を守れる五条本人とは違い「蒼」は春夏の所有物との判定が下される。
それにより出力が一気に低下した「蒼」はマコのトドメの一撃により破壊されてしまう。
「行けッ、マコ!」
『はいはい!』
(ツインテの魔虚羅をオフェンスにしつつ、春夏はそのサポートに回るか! 攻撃させまくることで、あのツインテの魔虚羅に無下限への「適応」を促す算段か。──けど甘いね。多少手は抜くけど、僕も反撃くらいは……ッ!?)
その時。五条の六眼は、彼に向け警鐘を鳴らす。春夏が「何か」をしようとしている──その前準備段階に突入したことを、彼に知らせた。
けれども、それを受けて反撃に出ようとしていた五条が防御に転じるまでのゼロコンマ数秒の隙で、春夏は五条とマコを纏めて一つの結界に封じ込む。
「……これでどうだ」
ふわりと、春夏のバッグから薙刀が飛び出した。ポルターガイストが起きているようなその挙動に、五条は一瞬だけそれに目を奪われるが、すぐにその薙刀が自分に襲い掛かってくる事は無いと気付く。
「僕と魔虚羅を纏めて結界で囲っちゃ、春夏も僕に攻撃、入れらんなくない? 魔虚羅1人くらいなら余裕でいなせる。ましてや、子供の姿なんかしてるおかげでリーチも短いし、ねッ!」
『ゲフッ……ぐ、このォッ! 女の子に暴力なんて、サイッテーじゃんッ!』
「君、式神でしょ? 多少は大目に見てよ」
簡易領域が全て剥がれ落ちる直前、マコを強めに殴り飛ばして次の攻撃までの時間的な余裕を作り、もう一度、簡易領域を張る。
体勢を立て直したマコが再び猛攻を仕掛けるが、五条はそれを全て捌きながら反撃もする。
傍から見れば、幼女に殴る蹴るなど暴行を加えるアラサー男性である。絵面があまりにも酷すぎる。しかし春夏は、それを見て逆に頬を緩めた。
「……結界で囲んでるせいで、俺も五条先生に攻撃を当てられない……なんて、本気で思ってるのか?」
(!? まさかコレは、ただの結界じゃなく、帳のように何かしらの出入りの条件を指定できる、特殊仕様の結界なのか? だとしても、魔虚羅と薙刀で僕に攻撃を当てることなんてできないけど……)
激しさを増すマコの攻撃を捌きつつ、彼らを囲む結界に向かって飛んでくる薙刀の行方を注視する。貫通して結界内に飛び込んでくるようなら、マコの手に渡らないように注意しよう──と先を読んで、対策を練るが。
「……!?」
ギャリィッ──と嫌な音を立てて、薙刀は結界にぶつかり、弾かれてしまった。それを見て、結界の構成要件の設定ミスか──と春夏のミスを疑う五条だったが、これこそが、彼の狙いだった。
「『鈍重なる聖域』」
「ぐッ!?」
突如、身体が数十倍に重くなってしまった五条はその場に片膝をついてしまう。マコからの攻撃を、どうにか両手だけで凌いでいる状態だ。
「この呪具──『
「!? 反転術式を
「
「…………ッ!!」
「マコラが生み出した正のエネルギーを俺が呪具に流す。こうする事で擬似的にだが呪具に込めている術式効果の術式反転を使うことができる」
「それ、式神を顕現させないで能力を使ってるって意味? かなり器用なことやってるじゃん」
「顕現させずに能力を使う──よくやってる事さ。羅喜から呪力を受け取る時もそうだ。顕現させないやり方が普通だ。──ちなみに、俺の『重力刀』の術式対象は斬りつけたもの。つまり普通の使い方をすれば、その結界自体が術式対象になるんだけど。術式対象を拡張させ、結界内の『空間』にしたよ」
(クソッ、また更に身体が重く──開示の効果か? 空間そのものの重力を強めた、って、そんな無法が通るのか? 術者からは離れているのに……!)
「無論、空間などの概念に及ぶと流石に術式対象に指定しにくくなる。そこで『縛り』だ。効果範囲をその結界内のみに絞る──つまり結界を使い空間を隔ててやる事によって、概念レベルでの術式対象の拡張を強引に可能にした」
「そんな事したら、魔虚羅まで影響を受けちゃうんじゃ……うおっ危ねっ!?」
『チッ! 当たりなさいよ!!』
「その心配は無い。マコラもマコも、俺が所有する呪具の術式効果には、既に適応済みさ」
(簡易領域もそろそろ限界か。二度目だぞ、これ。今はまだ呪力強化が万全だから、この重さも何とか受け止められてるけど、簡易領域が剥がれ、春夏の領域の必中効果を受けて呪力の出力が殺されたら、いよいよ僕も身動きが取れなくなっちゃうな……)
『当たれ当たれ当たれ当たれぇぇーーーっっ!!』
「──君。さっさと逃げないと、痛い目に遭うよ。術式反転『赫』ッ!!」
『くっ……ああっ!!』
術式反転「赫」の威力は、最低でも順転のそれの倍はある。仕方なくマコは攻撃を中断し防御にのみ徹するが、すぐに弾き飛ばされてしまい、「赫」は結界に当たって炸裂。
加減されているとはいえ、やはり「赫」は結構な威力があり、空間に強い重力を付与する為の結界は呆気なく砕け散ってしまう。
「初見だけど、やっぱ『赫』は強いな」
「その分、加減するのちょっと難しいんだけどね。ふーっ……やっと身体が軽くなった」
「簡易領域、張らなくていいのか? 三度目だが」
「呪力出力がガチガチに抑えられてるね。ひっどい必中効果だなぁ。でもま、これくらいなら春夏には良いハンデでしょ」
「にしても、流石は商人だね。『縛り』の使い方が絶妙だったよ」
「『縛り』とは契約だからね。契約を結ぶ時には、穴が無いよう、事前によーく精査する必要がある。そんな
「あー、そういう事か」
手元に戻した重力刀を背のバッグに仕舞い、再び両手をフリーに。
「──信じてたよ、先生。アンタなら、あの結界を破壊して重力を解除する……って」
「!?」
『マコラ、いっくよぉ!』
(さっきと違う魔虚羅!? 2人目か! まずい、呪力出力が死んでる中で、魔虚羅2人同時はッ!! 式神の攻撃自体は必中じゃないから無下限バリアで防御はできる……でも出力も落ちてる中では……!)
「2人同時──だと思った?」
(春夏も前に出てダメ押しする気か! ──いや、ツインテの魔虚羅が居ないッ!? 春夏の影の中に潜ったのか? どうしてこのタイミングで……!)
春夏は、悪役のような黒い笑顔を浮かべていた。
結界を破壊してくれる事も含めて、作戦通りで。五条がその想定の通りに、動いてくれたから。
「────終わりだ。『懸氷槍破』ッッ!!!」
裏梅の術式を込めて作られた紅蓮氷牙に、呪力を込める。氷がビキビキと太刀を覆い、春夏がそれを振り抜くと共に特殊な呪力を帯びた氷の槍の大群は五条目掛けて飛んでいく。
魔虚羅が攻撃できる隙を作れるように、少しでも僕の注意を引き付けたいだけか──春夏の攻撃を、そう解釈した五条だったが。
「……ゴフッ。……ッ……ゲフッ、ゴハッ!!」
氷の槍は、五条の腹を深々と貫いていた。
それを見て戦闘終了だと判断して、春夏は五条に向けた領域の必中効果を、デバフからバフに反転。これにより出力は戻ったので、反転術式での治癒も可能になった。
それを感じ取った五条は、氷の槍を抜いて治癒を開始する。
「……これ、は……」
「俺が無下限バリアを突破できる方法は主に3つ。1つ──領域を展開し、必中効果をぶつけること。だけどコレは簡易領域で防げるから、選択肢からは除外済み。2つ──領域展延。こっちは出力の差でゴリ押されるから、これも無し。とすると、有効と言えそうな手段は実質、1つだけ……」
「魔虚羅か……!!」
「前にマコだけを出していたのは、マコラは、俺の回復役にする為さ。マコには『蒼』と『赫』の──言ってしまえば無下限呪術に適応させる為に、前に出していた。先生とマコをまとめてあの重力結界に閉じ込めたのは、より多く無下限バリアに攻撃する機会をマコに与えることで、無下限への適応を加速させる為だよ。空間に重力を付与したのは、動きを鈍らせる事で攻撃しやすくさせたつもりだったが、思ってたほど、大きな結果は得られなかったかな」
「いや……その理屈はおかしい。魔虚羅が僕の無下限バリアに適応したところで春夏が無下限に適応したワケじゃない……
「
「……!?」
「無下限バリアを破る方法
「……魔虚羅同士を入れ替える為に、重力を付与したあの結界は、敢えて僕に壊させたってワケか……」
「そう。結界で囲ってマコに攻撃させまくる事で、先生の注意はマコ
「必中効果を避けようと簡易領域で守り続けても、いずれ不可侵に完全に適応した魔虚羅が僕を斬る。それを避ける為に、簡易領域での守りを捨てて必中効果を受ける事になろうとも負担を軽くさせる為に重力結界を破壊したけど──それが裏目に出たね」
「重力結界を即破壊していれば、マコの不可侵への適応が遅れて、また違うやり方になったと思うよ。あの重力結界は、あくまでも狭い空間に閉じ込めて攻撃させまくる事で適応を加速させるのが主目的。身体を重くする事で攻撃を受けてくれたら万々歳、みたいな感じだったからね」
「────はぁ〜、マジかぁ。まさか1戦目で攻撃受けちゃうとか思わないじゃん」
治癒を終えた五条は苦笑混じりにその場に座る。腹に大穴があいたはずだが、六眼のお陰なのか無事治癒できてしまったらしい。
「宿儺、絶対に魔虚羅を使ってくるよな。宿儺も、こういう使い方してくんのかなぁ?」
「どーだろ。俺よりも使い方は上手いだろうけど、まあ、魔虚羅に適応を任せる事で、それを利用して何かしら攻撃をしてくるのは間違いないと思うね。それと、展延しながらあのパンチ受けた時、法陣が回転したの分かった?」
「黒くなってて、回転はしてなかったと思うけど? ガコンッて回る音だけはしたけど、アレ何なの?」
「マコラとマコが入れ替わる瞬間まで、俺の頭上にあった法陣はマコラの法陣だよ。展延中は、適応が中断されるのは事前に分かってたからな。一度でも先生からの攻撃を受けるまでは、
「法陣すら出さず適応を開始するとかズルいなぁ。つまり、1人目の魔虚羅の法陣を頭上に出す事で、本命であるツインテ魔虚羅の適応は、実は水面下で開始させていたって事でしょ?」
「そゆこと。頭上に出したマコラの法陣そのものがブラフだったワケだ。流石に宿儺でも使えないよ、この手は。魔虚羅が2人居なくちゃできないから」
「魔虚羅を相手にするの、思ったよりしんどいな。適応が厄介過ぎる。ねぇ、呪具作るのは後でも別にいいでしょ? もう少し僕の相手してくんない?」
「それは別にいいけど、入れ替わり修行は?」
「あー……まぁ、明日でいいっしょ。僕の入れ替わり相手は憂太だし、ワガママも聞いてくれるさ」
「憂太、かわいそ。つーか、入れ替わり修行って、ぶっちゃけアンタが負けた場合に備える為の次善の策だろ? ──教え子の修行が、先生のワガママで遅れちまうんだ……絶対に宿儺に勝ってくれよ?」
「勝つさ。恵にも、捨て身で魔虚羅を召喚した件を注意しなくちゃだし。春夏はどうする? 観戦?」
「ちょっと見たらあの脳ミソ野郎を殺しに行くよ。アンタの友人の肉体は俺が取り戻しておく。今度はしっかり弔えよな」
「そーだね。今度こそ、ゆっくりアイツを眠らせてやらなくちゃね」
こうして、春夏と五条はしばしの休憩を挟んで、再び木呂子鉱山を舞台に戦闘を繰り広げた。
相変わらず五条のみ「領域は禁止」という縛りはあるもののそれでもやはり五条優勢で戦いは進む。段々調子を上げた五条はマコラ相手に黒閃をキメ、しかしマコの呪力を受けた春夏もまた漏瑚戦ぶりに黒閃をキメて──。
お互いにボルテージを上げながら、鉱山を更地にするような勢いで戦い続けた。
その途中、五条は、
そこからは春夏に対しても「赫」や「茈」などを強気にバンバン撃ち始め、春夏は久しぶりに直哉に虐められていた当時の事を思い出すほど、一方的に攻撃を受けまくった。
しかしその甲斐もあってマコラ・マコ共に無下限呪術に適応し、春夏もまた、凄まじく成長できた。やはり、成長に近道があるとするならば、強者との戦いこそが何よりの近道である。
宿儺と春夏の「魔虚羅」の不可侵突破方法の違い
宿儺の場合
宿儺「まこーら、不可侵を突破する手本を見せろ」
まこーら「呪力を変質させれば対処できるマコ!」
宿儺「それは俺には不可能だ。他の方法を出せ」
まこーら「(ガコン)それだったら、術式の対象を拡張すればいいマコ!」
宿儺「よい(ニッコリ)」
↓
五/条
春夏の場合
春夏「OKマコ、不可侵を突破する方法は?」
マコ「呪力を変質させればよくなーい?♡」
春夏「俺にゃそれができねーのよ」
マコ「ご主人ザッコ〜い♡ じゃあね、マコが変質させた呪力を流したげる♡ ご主人はマコが流した呪力をそのまんま五条悟にぶつければいーよ♡」
春夏「それだ」
↓
五・条
この違いは「それぞれの魔虚羅がどのような方向に適応を進めたのか」にあります。
宿儺の魔虚羅は「宿儺が直接手を下せるやり方」を編み出す為に、最初の解を捨てて別解を提示した。
対して春夏の魔虚羅(マコ)は「最初に思いついた方法を押し通せる方法」を提示しました。
マコは、普段からマコラと一緒に正のエネルギーを春夏に流しているので「春夏に呪力を流す」という対処法が既に彼女の中に存在していました。
なので、今回はそれを攻撃に転用したワケですね。
春夏を呪力の中継器にしているだけで、実質マコが攻撃したようなものです。