消滅したらネオだった件   作:ライノア

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第五話後編:裁判の結末

KIA SIDE

裁判所に連れられた俺達は証言台に(たたず)んでいる。

台座に乗せられたリムルは鎖と鉄球が繋がれた足枷(あしかせ)を付けられ、証言台の左右には代理人とベスター。

更にその左右側には鳥の(くちばし)の様な形状をした長柄(ながえ)戦斧(おの)を、右手に(たずさ)えている紺色のマントを(まと)った軽装甲の兵士達が控えている。

漂っていた静寂な空気は、とある人物の登場により吹き飛んだ。

 

裁判官「ガゼル・ドワルゴ王の御出馬である!」

 

裁判官の掛け声と同時に螺貝(ほらがい)に近い重低音の笛音が鳴り響く。

俺達はカイジンさん達と左右の二人に合わせて跪き、リムルも俺のジェスチャーで身を屈めた。

重低音の笛音が鳴り終えると、ドワーフの英雄王 現王ガゼル・ドワルゴが兵士が両脇に控えている玉座に深く腰掛ける。

褐色(かちいろ)の肌と、後ろに()で付けた漆黒のオールバック。

目の前からしたら威圧感は半端ではなく、均等の取れたごつい体付きに、西洋の鎧には赤いマントを靡かせる。

 

リムル(やっべぇこの男...化け物だ)

キーア(おいおい、王の目の前だぜ。蛇足な事は一切言うなよ?)

リムル(わ、分かってるって)

 

裁判官「これより、裁判を始める。一同、規律!」

 

裁判官の許可を得て、俺達は立ち上がる。

 

リムル(立ってまーす)

キーア(立ってるのは元からだろ?)

 

裁判の開始が告げられた。

武装国家ドワルゴ。この国の裁判で自由に発言出来るのは伯爵(はくしゃく)位以上の貴族だけで、それ以外はガゼル王の許可がなければ発言の許可はされない。

許可なく発言してしまえば、その時点で罪が確定し、更には不敬罪まで上乗せされる始末だ。

この国の裁判は冤罪(えんざい)だろうと関係ない。それが此処でのルールだそうだ。

これらは全て代理人...この世界に()ける弁護士の様な存在に任せるしか他にないのだが、それが中々上手く行かないのが現実である。

この代理人とは二日前に何度も打ち合わせをしていたが、初めて顔を合わせた時点から嘘臭かったからな。これは裏切るに違いないと、俺は表情を変えずに警戒していた。

それから一時間掛けて、双方の言い分が発表される。

 

代理人「...と!この様に、店でお酒を(たしな)んでおられたベスター殿に対し、カイジンらは複数で店に押し入り、暴行を加えたのです!これは断じて許されるべき行為ではありません」

カイジン「...買収されたな」

キーア「はい。俺の予想が見事に当たりましたね」

 

俺達以外の奴等には聞こえない声量で、カイジンさんは自分達が嵌められた事を愚痴る。

 

リムル(何だって?弁護してくれるんじゃなかったのか!?)

キーア(それが現実なんだよ。世の中、良い弁護士が居ると思ったら大間違いだ)

リムル(そう言われると何も言えないけど...あいつ、あんなに怪我してなかったろうが)

 

ベスターはカイジンさん達が重症を負わせていないのにも関わらず、重傷を負わせられたと見せかける様に左腕に包帯を巻いていた。

裁判官は代理人の証言は嘘偽りはないかと問い掛ける。

 

裁判官「それは事実であるか?」

代理人「はっ。間違い御座いません」

 

言い訳もさせて貰えないと同時に、代理人が嘘を()く事も許されない。

バレたらその時点で死罪だ。余程の覚悟か、何らかの事情が無ければ、嘘を吐くなど考えられないだろう。

 

ベスター「ガゼル王よ!お聞き届け頂けましたでしょうか?この者達への厳罰を申し渡しください!」

 

ベスターがガゼル王に進言する。

更には俺達を一(いちべつ)し、勝ち誇った笑みを浮かべている。

再度ガベルを叩く音が響き渡り、俺達に対する判決が下された。

 

裁判官「これより、判決を申し渡す!」

リムル(これは、罰金で済むとは思えないな。やな予感しかしない...)

裁判長「主犯、カイジン。この者は、鉱山での強制労働二十年に処す。その他、共犯者共は鉱山での強制労働十年に処す。これにてこの裁判は閉廷————」

ガゼル「...待て」

 

重く深い静かな声が閉会の言葉を(さえぎ)った。

ガゼル王は目を見開いてカイジンさんを見つめる。元軍であったカイジンさんとは面識があった様だ。

 

ガゼル「久しいなカイジン。息災(そくさい)か?」

カイジン「…はっ!」

裁判官「カイジン。答えて宜しい」

 

カイジンさんの返答と同時に俺達は再度(ひざまず)くと、裁判官から応答の許可が下る。

どうやら王の問い掛けには、返事しても大丈夫のようだ。

 

カイジン「はっ!王に於かれましても、ご健勝で何よりで御座(ござ)います...」

ガゼル「...カイジンよ。余の元に戻って来る気はあるか?」

 

その言葉にベスターは一気に青ざめ、裏切り者の代理人は、死にそうな程の土気色の顔色になっていた。

カイジンさんは顔を上げてガゼル王と対面する。

 

カイジン「...恐れながら王よ。わたくしは既に二人の主を得ました!この契りは、わたくしの宝であります。この宝、例え王の命令であれど、手放す気はありませぬ!!」

兵士A「無礼な!!」

キーア(リムル。早くオーラを出せ!ほんの一瞬だけでいい!)

リムル(ええっ、いきなりそんな事言われても...(いいから早く!!)ああもう、分かったよ!どうなっても知らないからな!?)

 

その言葉に周囲が気色ばみ、護衛の兵士達からカイジンに戦斧を向けた殺気が放たれている。

俺に催促(さいそく)されたリムルは抑制していたオーラを一瞬だけ出して、兵士達を怯ませる。

それでもカイジンに怯えは無く、むしろ堂々と胸を張って王を目を合わせていた。

 

ガゼル「で、あるか…」

 

カイジンさんの決意を見届けたガゼル王は呟く。

ガゼル王が小さく手を上げると、兵士達は仮面の下に戦慄の表情を隠しながら戦斧を下げる。

辺りを再び支配する空気が改めて王者の覇気と共に判決を言い渡される。

 

ガゼル「判決を言い渡す。カイジン及び、その仲間は王国より国外追放とする。以上である!

余の前より消えるが良い!」

 

身が震える程の威圧を放ってはいるものの、俺とリムルには王が寂しそうに見えていた。

(すす)り泣くカイジンさんの背中を俺は優しく(さす)り、寂しさが募るまま裁判は閉廷となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

NO SIDE

裁判所はさっきまで騒々しいやり取りがあったとは思えない程の静寂に包まれていた。

六人の犯罪者が、尻尾を巻く様にこの場を去った後、誰一人として動く者は居ない。

その静寂を壊すかの様に、ガゼルはこの場に残ったベスターに判決を言い渡す。

そう。この裁判はキーア達が知らぬ間にまだ終わっていなかったのだ。

 

ガゼル「さて、ベスター。何か言いたい事はあるか?」

ベスター「お、王よ。私は...そ、その...」

 

ベスターは見苦しく王に縋り付かんばかりに言い訳を考えるも、何も思い浮かばなかった。

対するガゼルは終始感情を(のぞ)かせずに、冷徹な態度で失望の言葉を吐く。

 

ガゼル「...残念だ。余は忠実な(しん)を一人失う事となった」

ベスター「な、何を(おっしゃ)います!?カイジンなど...あの様な者達、王に忠誠を誓うどころか...何処の馬の骨とも分からぬスライムと人間の二人組に…!」

ガゼル「ベスターよ。お前は勘違いをしておる」

ベスター「えっ...?」

 

静寂に何の感情も覗えない声にベスターは喉を鳴らす。

言い訳を考えなければとベスターの心臓は早鐘を打ち、頭は空転する。

 

ガゼル「余が失う忠実な臣。それは...!」

ベスター「!!」

 

言われなくても理解出来てしまった。その失望の目線は明らかに自分の事を指していた。

どうすればいいのか頭を回転させる。だが、その答えは何も考えは浮かばない。

 

ガゼル「余はお前に期待していたのだ。ずっと待っていた...魔装兵事件の際も、お前が真実を話してくれるのを...!」

ベスター「お、恐れ...恐れながら...!」

 

ベスターは恐怖で頭がいっぱいであった。

「返答しなければ」。だが、言葉が何も思い浮かんで来なかった。

 

ガゼル「そして今回も。それを見よ」

 

裁判官が一つの(しな)を指し示す。いつの間にか近習が運んで来た物。

実はこの品はキーアが裁判が始まる前に、ガゼル王に見せてやってほしいと頼み込んで今に至る。

見た事もない液体の詰まった袋状の球体に、ベスターは(うつ)ろな瞳で見た。

 

ガゼル「何か(わか)るか?ヒポクテ草から作られた完全回復薬『フルポーション』だ」

ベスター「そんな...ドワーフの技術の随意(ずいい)を集めても、98%の抽出が限界の(はず)...!一体、どうやって...!?」

 

ベスターの脳がそれを理解するのに(しば)しの時間が必要であった。

その抽出方法を知りたいと顔が(ゆが)む。

 

ガゼル「それを(もたら)したのは、あのスライムと人間だ。お前の行いが、あの魔物と人間との繋がりを()った。何か言いたい事はあるか!?」

 

決定的にベスターは立ち上がった王の怒りの深さを知る。

最早言うべき事など、何もないのだと。

 

ベスター「何も...御座いません、王よ」

 

涙が込み上げて来る。

ベスターは此処で初めて王に見捨てられた事を理解した。

 

ベスター「私は...王の役に立ちたいと...幼い日に初めて王を見た日から、ただそれだけで...私は...道を誤ったのか?カイジンに嫉妬した時からか?(ある)いはもっと前か...?」

 

いつから自分は間違ったのか。

解らない。ただ解るのは、自分は王の期待を裏切ったという事実。

 

ベスター「王の期待を裏切ってしまい...申し訳ありませんっ...!!」

 

膝から崩れ落ち、謝罪するベスターにガゼルは判決を言い渡す。

 

ガゼル「...ベスターよ。二度と、余の前に姿を見せるな...そして最後に一言、お前に言葉を送ろう。大儀であった!!」

 

ガゼルは立ち上がり、裁判所を後にした。

最後に残ったのはベスターだけとなり、啜り泣きながら自らの犯した愚かしさの代償を悔やむ。

その一部始終を扉に背中を付きながら聞いていたキーアは何処か思うところがあったのか、口元を下げる。

今更叱咤(しった)しようとしても、ベスターをただ落ち込ませるだけ。

だからせめて心の声でこう告げよう。

居場所がないなら、俺達が歓迎してやる。いつでも待ってるからな、と。

そう心の中で呟いたキーアは扉から背中を離し、その足で裁判所を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

KIA SIDE

 

裁判所を後にした俺が外に出ると空は既に(だいだい)色に染まり、リムル達が扉の前で待っていた。

 

キーア「悪い、四人共。今戻った」

リムル「遅いぞキーア。何処行ってたんだよ?」

キーア「ちょっと寄り道してきた。(ほとん)ど何もなかったけどな」

カイジン「...そうか」

 

リムル達が知らぬ間に国外追放を言い渡されたベスターの気を(つか)った俺の言葉の意味を悟ったのか、カイジンさんは敢えて問わずに一言だけで済ませた。

 

カイドウ「兄貴、元気でな」

カイジン「迷惑を掛けたな。お前も元気で...」

 

(ようや)く俺達が揃ったところで、カイドウさんとカイジンさんは互いの無事を祈る。

 

カイドウ「リムルの旦那にキーアの旦那。兄貴を頼む」

キーア「ああ。任せろ」

リムル「心配要らない。こき使うだけだ」

キーア「だからお前、こき使うの他に別の言い方があるだろ?」

 

俺とリムルの遣り取りを聞いて、この二人なら兄貴を託しても大丈夫だとカイドウさんは微笑する。

そして自分が警備員としての役目を果たさんと、裁判の判決に従って俺達に立ち去るよう命じる。

 

カイドウ「これより判決に従い、カイジンとその一味を国外追放とする。早々に立ち去れ!」

 

大門が閉まる直前、カイジンさん達の無事を祈る様に笑みを浮かべた。

 

キーア「さてと...行くか」

リムル「森で俺達の仲間が待ってる」

カイジン「...ああ」

 

門が完全に閉まるのを確認した俺達は、リグルや彩月との待ち合わせ場所である森の入り口へと向かって行くのだった。

職人を連れて帰るという当初の目的は果たされた。

だが、俺達が知らぬ間にドワルゴンでは様々な疑問が出ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

NO SIDE

ベスターに判決を下した後、ガゼルはとある廊下にて近衛である金髪のエルフ『アンリエッタ』が現れる。

 

ベスター「アンリエッタか。代理人は捕らえたか?厳罰に処せ」

アンリエッタ「はっ!」

 

近衛が駆け寄り、ベスターの共犯の代理人を厳罰に処すよう命じる。

 

ガゼル「あのスライムと人間の動向を監視せよ。人間があの様な魔物を使役していたのとは...!絶対に気取られるなよ?絶対にだ...」

 

念を押してまで、ガゼルは命令を発する。

普段は寡黙な王が念を押してまで発する命令の重要さに、周囲の気を更に引き締めた。

 

アンリエッタ「はっ、この命に代えましても!」

 

アンリエッタはそう言い残し、闇に消えた。

ガゼルは思った。あのスライムを使役している人間は何者だと。

本来ならばスライムは喋らず、あの様なオーラを出せる筈がない。

若しそれが全て解き放たれれば、平和な時代が終わろうとしているのかもしれないと、リムルとキーアを警戒した上でこう述べた。

 

ガゼル「あの人間が使役しているスライム、あれは化け物だ。まるで暴風竜ヴェルドラの如き...!!」

 

武装国家ドワルゴン。

今後何度も関わりあう事になる国家。

尻尾を巻く様にこの国から立ち去ったリムル達は知る由もなかったが、キーアだけがその気配を感じ取っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ED『田所あずさ/RESOLVE』

 

~次回、転生したらネオだった件~

 

フューズ「で、聞こうか。ジュラの大森林はどうだった?」

 

キーア「これが、リムルの運命の人...!」

 

シズ「それってゲームの台詞でしょ?『悪いスライムじゃないよ』って」

 

第六話:シズと三人の冒険者

 

全てを破壊し、全てを繋げ!

 




名前:吉木アキノリ
種族:人間
称号:世界の破壊者
魔法:なし
技能:ユニークスキル『放浪者』、ユニークスキル『撮影者』、ユニークスキル『生還者』
スキル:『銀極光窓簾』、『機器十年器』
エクストラスキル:『不老』、『魔力感知』、『力量操作』
耐性:毒耐性、電気耐性、麻痺耐性、熱耐性

~使用(召喚)したカメンライド~

なし

未使用カメンライド一覧
-昭和-
1号、2号、V3、ライダーマン、X、アマゾン、ストロンガー、スカイライダー、スーパー1、ZX、BLACK、BLACK RX
-昭和(ネオライダー)-
真、ZO
-平成1期-
クウガ、アギト、ファイズ、ブレイド、響鬼、カブト、電王
-平成2期-
鎧武、ドライブ、ゴースト、ジオウ←New!(ただし、まだ使用不可能)
-TVシリーズ外-
仮面ノリダー、ホッパー1号(The First版1号)、ホッパー2号(The First版2号)、ホッパーVersion3(The Next版V3)、G、アマゾンズ(オメガ、アルファ、ネオ)

コンプリートフォーム(平成1期)の解禁は...

  • オークロード戦
  • カリュブディス戦
  • 精霊の棲家での攻略
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