消滅したらネオだった件   作:ライノア

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~これまでの消ネオは...?~

「良いんですか?こんなところでのんびりしてて...カイジン殿」

「旦那達は腕の良い職人を探してんだよな?俺じゃ、駄目かい?」

「ベスターはあんたを目の敵にしていた。奴との間に一体何が...?」

「これより、裁判を始める!」

「リムルの旦那にキーアの旦那。兄貴を頼む」

「あの人間が使役しているスライム、あれは化け物だ。まるで暴風竜ヴェルドラの如き...!!」


第六話前編:リムルの運命の人

OP『氷川きよし/限界突破サバイバー』

 

ブルムンド王国にある一室でフューズはソファーに腰掛けている。そんな彼の元に、とある一組の調査チームの帰還の報が寄せられた。

この一室は極秘の話を行う為の応接室であり、フューズと向かい合うソファーには三人の男女がソファーに座っていた。

(ひたい)に赤いバンダナを巻き、緑と茶色の服を着た男はギド。技能職"盗賊(シーフ)"であり、隠密行動と情報収集に優れた男だ。

右肩装甲が付いている黒い服を着ているのは、金髪のセンターパートの男はカバル。技能職"重戦士(ファイター)"であり、軽口を叩くが依頼された仕事は丁寧(ていねい)。防御力は(ひい)でており、パーティーの壁役としての職務を着実に(こな)す。

最後に赤と白のドレスを(まと)い、金髪のセミロングの女性はエレン。特殊魔法に特化した技能職"法術師(ソーサラー)"であり、多彩な魔法を操るが、中でも移動系魔法に優れている。パーティーの生存率を高める為の用意周到さは、特筆すべき点である。

この三人は、フューズがヴェルドラの封印されている洞窟(どうくつ)の調査に向かわせたチームである。

最初に思ったのが、良く無事に戻ってきてくれたという事であった。

彼等に依頼した理由は生存率と情報収集能力の高さ。討伐ではなく、戦闘を回避しつつの情報収集なら、B級冒険者を(しの)ぐ能力を有するとの判断である。

 

フューズ「東の帝国がジュラの大森林を越えようとする動きはない...今のところはな。帝国は引き続き情報部が監視している。で、聞こうか。ジュラの大森林はどうだった?」

 

フューズは三人の帰還を喜んでいたが、どうしても確認しておきたい事あった。

決してその感情を表に出す事なく報告書を三人の方へ転がしながら質問する。

内心どれだけ感謝していても、(ねぎら)いの言葉など一切掛けない。

 

カバル「大変だったんだぜ?『よく無事に戻って来たな』の、一言くらいないのかよ?」

フューズ「...報告を聞こう」

カバル「帰って来たばっかりだってのに。全くよぉ...」

エレン「早くお風呂に入りたい...」

ギド「大変だったのは、旦那と姉さんの口喧嘩を宥めなきゃらならなかった、あっしの方だと思いますがね」

 

ギドの苦労振りにフューズは眉間(みけん)(しわ)を寄せると、カバルは微動だに怖気(おじけ)付く。

そして喉を鳴らしたカバルを筆頭に三人の報告を開始する。

三人の男女も慣れたもので、いつもと変わらず普段の任務報告通りの対応である。

しかし、その目にふざけた色合いは無かった。

 

カバル「ヴェルドラの消失を確認。その後内部を調査したが、何も確認出来なかった」

フューズ「...何も?」

エレン「何も、です...」

フューズ「...洞窟については分かった」

 

そして何より、三人が疑問に思った事はこれだ。扉を開けた目の前に一人の人間が現れたのだ。

その人間は自分達と同じく調査に向かっていた者で、『ジャイアントバット』『アーマーサウルス』『黒蛇』『ブラックスパイダー』といった魔物の肉を食糧として分け与えられたのだという。

あの四体の魔物はランク"A-"の魔物。あの洞窟内部で最強の存在。恐らく自分にも勝てないであろう魔物をたった一人の人間が勝てる(はず)がない。

その男がいるからこそ、この任務の成功確率が大幅に減少していた。

フューズは思案する。やはり、あの地にはその人間と何か深い関係がある。

その理由を知る必要があるべく、フューズはテーブルから立ち上がろうとした三人に結論を下す。

 

ギド「それじゃ、あっしらはこれで...」

フューズ「三日間の休憩をやろう」

「「「えっ...!?」」」

フューズ「今度は洞窟ではなく、森の周辺の調査だ。ヴェルドラが消えた後、魔物が活性化しているかもしれん...何でもいい、変化を見逃すな。(くま)なく、丁寧にな?行っていいぞ」

 

たった三日間の休暇を与えられたというのに、今度は森の周辺を調査しろとの依頼を言い渡されたカバル達は、休むどころではないと更なる絶望へと叩き落とされる。

それを理解した上でフューズは更に念を押す。

今はあの森で何が起きているのか、ヴェルドラ消失の影響で(もたら)された情報を整理する。

深く思考しながら目を開けると、恨みがましい三人の視線がフューズを(にら)んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カバル「『行っていいぞ』じゃねぇよ!!」

エレン「何ですか三日って!?もっとお休み下さいよ!今帰って来たばかりなんですよ!!?」

ギド「...その文句、ギルマスに直接言ってほしかったでやんすよ」

 

カバルとエレンの愚痴に、猫背気味でギドは向き直って正論を突き付ける。

今更と言わんばかりに二人はフューズに対する愚痴を腹に力を込めんばかりに今までの鬱憤(うっぷん)を吐き出す。

 

カバル「あんのクソ透かしジジイがああああああッ!!!!」

エレン「休みくらい寄越(よこ)せぇぇぇぇぇぇっ!!!!」

「「...はぁ」」

 

どれだけ鬱憤を吐き出しても森の調査へ向かう事に変わりはなく、カバルとエレンは大きく溜め息を()いた。

 

エレン「(また)あの森かぁ...」

カバル「おいおい。文句ばかり言うなよ?(むな)しくなるぜ...」

 

森への調査に向かうべく、早速準備に荷物の準備に取り掛かろうとしたカバル達。

最近は魔物の活性化が酷くなっており、最近では商人達の荷馬車も森へ向けては出発しない。

更には護衛を(やと)う金が大きく掛かり、採算が合わない始末だ。

 

エレン「早くお風呂に————「失礼」え?」

カバル「...あ?何だ、あんた?」

???「ジュラの大森林へ向かうのではないだろうか?」

 

そんな彼等の前に一人の人物が声を掛けてきた。

男とも女とも、老人とも若者とも判断のつき(にく)い声。

声の正体である黒い長髪の女性の表情は仮面を被っていたため、見ることは出来ない。

仮面は中央に赤い宝玉が埋め込まれ、牙を剥いてはいるものの(もっぱ)ら大人しい雰囲気の魔物を思わせる黒い模様が描かれている。

 

カバル「そうだと言ったら?」

???「森を抜けるまで、同行させては貰えないか?」

カバル「......」

 

その醸し出す雰囲気を漂わせる怪しい気配に警戒していたカバルだったが、エレンが突然歩み寄って同行を許可する。

 

エレン「いいわよ?」

カバル「ちょっ!?お前!リーダーの俺が、許可出す前に…何なのホントに!」

エレン「良いじゃない。『旅は道連れ、世は情け』ってね!エレン、カバル、ギド!」

???「...シズ」

 

エレンが自分を含めたメンバーに指差して簡潔に自己紹介する。

シズと名乗る黒髪の少女は胸に手を置いて自己紹介した。

 

エレン「(よろ)しくね、シズさん!」

カバル「..ったく。出発は三日後だ。それで良けりゃあ勝手に付いて来い」

シズ「...感謝する」

 

親指を立ててついて来いとジェスチャーしながら一言告げるカバルに、シズは感謝の言葉を述べて三人の後を追っていく。

こうして、カバル達三人は仲間を一人加えて、三日後の調査の準備に取り掛かるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

KIA SIDE

 

俺とリムルは嵐牙とフェリルに乗って、とある河川(かせん)(ただず)んでいた。

理由としては、リムルがドワルゴンの件で進化した擬態『黒嵐星狼(テンペストスターウルフ)』の力を試す為らしい。俺も同じ理由でネオディエンドライバーの性能を試す為に此処に来ている。

其処でテンペストの直ぐ近くにある場所でやると住民達も巻き込まれる(おそれ)があり、少し遠い場所で新技を試す事となって今に至る。此処なら誰の邪魔も入らないだろう。

 

リムル「良いか嵐牙、良く見てろよ?」

嵐牙『はっ!』

キーア「フェリル、お前もだ」

フェリル『御意!』

 

ネオディエンドライバーを取り出した俺はディケイドと同じく顔にプレートが刺さっているライダーカードを装填してフォアエンドを突き出してポンプアクション。

ブッカーマズルごとネオディエンドライバーを頭上に掲げる。

 

【カメンライド...】

リムル「リムル...!」

「「変身(へ〜んしんっ)!」」

【ディエーンド!】

 

ブッカーマズルから放った銃弾が裏面に描かれたライダーズクレストを思わせるライドプレートが頭上に固定して回転。

四角形を描く三原色の影が俺に重なると灰色の鎧を形成させ、頭上から降って来た十枚のライドプレートが頭部に刺さり、灰色からシアンへと変色した。

ディケイドと同じアンダースーツだが、ベースとなっているカラーはシアン。頭部に突き刺さっているプレートの数は十枚。

変身完了を合図したシグナルは赤く二つ存在し、複眼の正面を見てみるとモルフォ蝶の様にも見える。

更には黒いボディアーマーはバーコードを強調したものとなり、左右に黄色いラインを挟み込む様な銀の縁取り。同じく両脚の大腿(だいたい)から下腿(かたい)までは黄色い(ふち)取りが追加されている。

俺が変身したのはディケイドとは違うバーコードライダー『仮面ライダーディエンド』。

1号からジオウまでのライダーに変身出来るディケイドに対し、主役ライダーやそれ以外のライダーを召喚し、戦況を大きく揺るがすライダーである。

リムルも擬似的な手を左から右に持って行き、更に左に戻すと同時に(かろ)やかに飛び跳ねる。

全身を捻り出したリムルを黒い(もや)が包み込む。靄が晴れると見た目は嵐牙と同じだが、二倍の大きさと螺旋(らせん)状の二本角が目立つテンペストスターウルフとなる。

 

【カメンライド キバ!】

 

俺もネオディエンドライバーのフォアエンドを下げ、ディエンドベルトの左側に(たずさ)えている黒いカードホルダーから取り出したキバのライダーカードを装填。

再度フォアエンドを突き出しでエンドトリガーを弾いて仮面ライダーキバを召喚する。

両端に赤い蝙蝠(こうもり)の羽・城と一体化している屋根の部分が茶色いドラゴン・黄色いモアイ像・青い狼・緑の半魚人の頭部・紫のフランケンシュタインの頭を(かたど)った透明の笛型アイテム『フエッスル』を携え、中央には額に緑の三角形の宝玉が埋め込まれている黄色い蝙蝠『キバットバットⅢ世』が逆さにぶら下がっている鎖を模した赤いベルト『キバットベルト』を腰に巻いている。

更に俺はファイナルアタックライドとは違う黄色いライダーカードを装填。

描かれたのは左上にキバ、右下にはキバットの顔を模した弓矢。

 

【ファイナルフォームライド キ、キ、キ、キバ!】

 

エンドトリガーを弾いた直後に発生した衝撃波を通り抜けたキバは突然に変形を果たす。

背中にはキバットの顔が出現し、浮遊しながら蝙蝠の要領でぶら下がる。

両脚はとても柔軟とは思えない程に湾曲(わんきょく)に折れ曲がり、それがキバットの両翼を模した鳥打(とりうち)となる。

最後に突き出た矢の先端部分はキバの『地獄の門』の異名を持つ右脚の拘束具『ヘルズゲート』となっている。

背中はスロットルが追加された弓矢の名は『キバアロー』。『ファイナルフォームライド』によって変形したキバの姿だ。

俺は立て続けにファイナルアタックライドのカードを装填。

 

【ファイナルアタックライド キ、キ、キ、キバ!】

 

スロットルを引いていくと、ヘルズゲートを縛る鎖『カテナ』による封印が解放。

矢先は黄色く縁取られた三つの宝玉が埋め込まれた赤い二対の翼となって展開した。

 

キバアロー「キバって、行くぜ〜!!」

ディエンド「ディエンドファング!」

リムル『黒稲妻!!』

 

エネルギーが充填完了を合図する様にキバットの掛け声でスロットルを離すと赤く光る矢を放つ。

リムルも黒いスパークを角に帯び、そのまま極大な威力で黒紫の電撃を発射。

正面にあった大きな岩は撃ち抜かれた衝撃で大きな波が発生し、俺は擬態を解いたリムルと共に水飛沫(しぶき)に打たれ、後から来た寄せ波が俺の足首とリムルの体を()らす。

撃ち抜かれた岩の部分には大きな空洞が出来上がり、修復するかの様に螺旋を描く。

俺が蒼天を(あお)いでみると、発生した水飛沫の影響で虹が出来ていた。

 

嵐牙『黒稲妻にディエンドファング...!』

フェリル『流石はリムル様とキーア様だ!』

 

俺達の力の一部始終を見ていた嵐牙とフェリルは深く感銘(かんめい)する。

力の試みを終えた俺達をゴブリン村に戻るべく、嵐牙とフェリルは草原を駆け巡る。

 

リムル「...ああ、平和だな〜」

キーア「...だな」

 

一本の木が生えている崖から村の様子を見下ろす。村の発展は順調の様だな。

俺達がカイジンさん達四人ドワーフを連れ帰ってから数週間が経過した。

カイジンさん達の指導の元、俺達とゴブリンは新しい町を作りつつあった。

 

リムル「...ドワルゴンから村に帰ってきた時は、意外な展開にちょっと吃驚(びっくり)したな」

キーア「俺もだ。まさか五百体ものゴブリンの名付けをする羽目になってしまうなんてな...」

 

俺とリムルは数週間前に起きた出来事を苦笑混じりに振り返る。

そう、それはゴブリン村に帰ってきたばかりの事。

 

リムル『おい、リグルド。これは...!?』

リグルド『リムル様とキーア様の噂を聞き、規模を求めて近隣(きんりん)のゴブリン村から集まってきたのです!』

 

村に帰ってきた直後、俺達の目線が唐突な展開を(とら)えていた。

マッスルポーズを取っているリグルドの背後には、数百体ものゴブリンが佇んでいた。

身長は小柄で、まだ名持ちの魔物ではない様だ。

 

キーア『そ、そうか...?』

ゴブリン達『リムル様!キーア様!お帰りなさいませ!!』

 

俺達の帰りを歓迎するゴブリン達の数を放浪者に(たず)ねる。

 

キーア『なぁ、放浪者。これどれくらいの数だ?』

放浪者《解、(およ)そ五百名です》

リムル『ごっ...!?』

 

ゴブリンの数が五百体居た事実に俺は驚愕で目を見開き、リムルは咄嗟(とっさ)に言葉を詰まらせる。

 

リムル『うーん...追い返したらどうなる?』

 

リムルの質問に放浪者を通じて、大賢者が即答する。

 

大賢者《暴風竜ヴェルドラの消失により、豚頭族(オーク)蜥蜴人族(リザードマン)大鬼族(オーガ)ら、ジュラの大森林で、知恵のある魔物達が覇権を求めて動き出しています。進化前のゴブリンは淘汰(とうた)されるでしょう》

リムル(そんなあっさり...!?)

 

俺達が此処でこいつらを追い返したら、三つの種族による覇権争いに巻き込まれ滅ぼされる未来でしかない。

そんな状況を打破すべく、俺達は五百体のゴブリンを村に迎え入れる。

 

リムル『...分かった。来たい者は来い!』

キーア『来た暁には、衣食住と名を授けよう!』

 

俺達の歓迎の言葉を聞いたゴブリン達は歓声を上げ、今回はリムルが五百体のゴブリンを名付ける事となった。その結果三日間スリープモードに陥ったのは言うまでもない。

それと余談なのだが、何故か俺にはユニークスキル『命名者(ナヅケルモノ)』を知らぬ間に獲得した影響していたがリムルが「今度はスリープモードにはならない!」と意地を張って無茶した為に結局使わず仕舞(じま)いで終わり、若し使っていたら一人分の名付けに数分掛かる事はなかっただろう。

そのスキルを獲得していた理由は同じく知らぬ間に獲得していたユニークスキル『渇望者(ホッスルモノ)』にある。

このスキルは自分が「ああいうのが良いな」と自分が願ったものを獲得出来る。

使用した結果、獲得済みのスキルや物体を自分の思った通りにアレンジ出来る『構築者(クミカエルモノ)』。

渇望者によって獲得するスキルで消費する魔素は一つに付き一割で、一つのスキルを願った事で魔素を約10%を消費した。

とても便利なスキルだが成る可く魔素の消費は控え、使うなら緊急事態の時だけに使いたい。

話を戻して、カイジンさん達の活躍でゴブリンの村は大きく発展していた。

俺とリムルは嵐牙とフェリルの背中に乗りながら村の様子を見ていると、ゴブタが五人の友人に何かを指南しようとしていた様子を見掛ける。

 

ゴブタ「はいっ!じゃあ()ずオイラが、お手本見せるっス!」

 

身を(かが)めて力を入れる様に踏ん張ると、ゴブタの影から黒い靄が出現。

其処からテンペストウルフが召喚されたのだ。

 

リムル「うおおっ!召喚した...!」

キーア「先程言っていた事は本当だったんだな」

 

その様子を見ていたゴブゾウ達は興味深そうな声を上げる。

 

ゴブタ「こんな感じっス。皆もやってみるっスよ!」

 

鼻が天狗になりそうな気分になっているゴブタがゴブゾウ達に指南(しなん)しているのは、テンペストウルフの召喚だ。

ドワルゴンに置いて行かれそうになったゴブタは懸命に助けを求めていると、テンペストウルフの召喚に成功。その後はドワルゴンを脱獄し、俺達と合流して無事に村に帰る事が出来たんだとか。

 

ゴブタ「それじゃ駄目っスよ。もっとこう!ぬぬっと来て...ぽわあ〜、ポンって感じっス」

 

あいつもやる時はやる男でゴブタの評価が何段かは上昇していた。

だが、余りにも説明不足な為にゴブゾウ達から首を(かし)げられ、評価は逆に落ちてしまった。

 

リグルド「リムル様!キーア様!」

彩月「ご報告です!」

 

リグルドと彩月が突然に俺達の方へ駆け付けて来た。

因みにリグルドはゴブリンロードからゴブリンキングに昇格させた。どうやら集結してきた村の村長達のリーダーで、これもリムルの丸投げである。

彩月は現在も俺の元で鍛えており、理由は『お姉ちゃんやゴブリン村を守る為に強くなりたい』と突然志願してきたので、断る理由は特になかった。

(むし)ろ指南する立場になったのは生まれて初めてで、()()く追い込まない程度に鍛えたい。

リグルドの肉体は均等が取れる程に進化し、彩月も少し背が伸びた感じがする。

 

リムル「どうかしたのか?」

 

リムルの問いに二人は即答する。

 

リグルド「はっ!リグルら警備班が、連絡がありました。森で不審な者を発見した様です」

キーア「それは魔物か?」

彩月「いえ、人間です」

リムル「人間...!?」

 

珍しいパターンの不審者に俺とリムルは少しだけ驚く。

 

彩月「はい。領土拡大を狙った何処かの国の調査隊かもしれません」

キーア「...行ってみる価値はありそうだ。早速だが彩月、その場所に案内してくれないか?」

彩月「勿論です。直ぐにご案内致します!」

 

彩月に導かれ、俺達は早速人間の居るところに案内されたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

NO SIDE

一方で謎の少女シズを含めたカバル達四人は、ジュラの大森林を全速力で駆け巡っていた。

背後から襲って来ている巨大な魔物達は真紅の蟻『巨大妖蟻(ジャイアントアント)』で、ギロリと覗かせる黄色い眼光は怒りに満ちていた。

 

ギド「カバルの旦那が悪いんでやんすよ!?ジャイアントアントの巣に剣なんてぶっ刺すから!」

カバル「う、うるせーな!リーダーに文句言うな!!」

エレン「リーダーの癖に迂闊(うかつ)過ぎよ!?」

カバル「ぐおぁっ!?」

 

自身の無茶振りをギドに責め立てられたカバルは反論するも、エレンに迂闊の無さを指摘されると眉間と口角を下げて苦鳴を上げた。

 

エレン「死んだら枕元に化けて出てやるんだからぁ〜!!」

カバル「ヌハハハハハ!それぁ無理ってもんだ!何故なら...俺も一緒に死ぬからなあああああッ!!!!」

エレン「嫌あああああっ〜!!!!」

 

自暴自棄になったカバルの道連れ宣言にエレンは更に悲鳴を上げる。

シズはカバル達を少しでも逃げる時間を稼ぐべく、地面に強く足を踏み込んで向き直り、ジャイアントアント達と対峙する。

 

エレン「シズさん!」

カバル「おっ、おい!よせッ!!」

 

向き直ったシズと同じく踏み止まったカバル達は呼び止めるが、彼女は聞く耳を持つ間もなかった。

納刀した剣を抜刀すると刃に炎が宿り、正面の敵が一定の距離まで迫り来るタイミングを見計らって身構える。

ジャイアントアント達が襲い掛かる直後、シズは渦巻く炎から放出した火炎を浴びたジャイアントアント達は空中で爆発。

死骸(しがい)は炎に焼かれたまま地に落ち、仲間がやられた衝動に駆られたジャイアントアントの一体が炎を退けながら襲撃する。

地面を蹴ったシズは軽やかな動きと炎を纏った剣(さば)きで二体のジャイアントアントを斬り倒し、斬られた箇所(かしょ)から爆発が発生。

其処から更に距離を詰める。この瞬間が好機と見做したジャイアントアントは食い殺そうと迫るも難なく避けられ、左袈裟(けさ)斬りで仕留められた。

最後の一体はバク転の勢いで脳天を深く突き刺されようともシズを振り払おうとしたが、炎による時間差爆発で死骸が炎上したまま地に落ちる。

 

「「......」」

 

自分達よりも上の実力を見せつけられたカバル達は口を開ける。

シズはジャイアントアントを確実に仕留めるべく、一体ずつ脳天に突き刺していく。

 

エレン「す、凄い...!シズさん!まだ...!!」

 

ジャイアントアントの死骸の炎が全て自然消化した直後、一体のジャイアントアントの触覚が動いているのを捉えたエレンはシズに大きく声を掛ける。

 

シズ「うっ!?ううっ...!」

 

向き直ったシズは再び剣を構えるが突然に体がぐら付き、地に刺さった剣を支えに(ひざ)を突いてしまう。

 

エレン「シズさん!!」

【アタックライド バインド!】

 

万事休すかと思ったその時、謎の電子音が森内に響き渡る。

ジャイアントアントの真下に出現した赤い魔法陣から炎を纏った無数の鎖が体を縛り付けて更にダメージを負わせる。

 

【ファイナルアタックライド ヒ、ヒ、ヒ、響鬼!】

 

続いて鳴り響く電子音と共に飛んで来たのは、黄色い三つ巴の刻印が施された白く縁取る赤い太鼓判。

それがジャイアントアントの背面に張り付くと、そのサイズに合わせて巨大化する。

巨大化した太鼓判に飛び乗った正体は、紫を基調とした均等の取れた2m程の大きさを持つ鬼。

筋肉は溢れんばかりに盛り上がっており、頭部の赤い紋様(もんよう)は何処となく鬼面(きめん)彷彿(ほうふつ)としていた。

額には金色の鬼の顔が浮かび上がり、銀色の二本角が湾曲して側面に生えている。

胸部には胸骨を想起とさせる銀色の(たすき)と、下を覆い隠さんばかりに茶色い(ふんどし)で締めていた。

 

???「音撃打・火炎連打の型!」

 

赤い鬼の怒りと泣きの表情が刻印された(ばち)を振り上げた紫の鬼は一言掛け声で締めると、撥を素早く連打。

振り落とそうと苦鳴を上げるジャイアントアントにダメージを与えていく。

何処からか現れたのは緑を基調とした複数の軍隊。

頭部は(だいだい)色の複眼を持つ鍬形(くわがた)の頭部、両手には蟷螂(かまきり)の鎌を模した剣を逆手に持ち、脚部は飛蝗(ばった)の後肢の意匠。

三体の昆虫を混合した様な緑の軍隊達は擦れ違う様に逆手持ちの剣を振り降ろし、ジャイアントアントの前肢・中肢・後肢の順で斬り落としていく。

炎の鎖に縛られた状態で宙ぶらりんになったジャイアントアントの苦鳴は全てを肢を斬られた影響で更に増していく。

最後にシズの前に立っていたのは、赤い複眼と三日月の様に湾曲した角を持ち、銀のラインの中央に青い宝石が埋め込まれた黒をベースに金色の軽装甲を見に纏う戦士。

胸部は炎の様に(きらめ)き、隆起(りゅうき)している赤い右肩に施された金色の装飾(そうしょく)が出っ張り、同じく赤い右腕に持つ刀には金色の戦士の頭部に類似した(つば)を持つ。

紫の鬼が締めに撥を振り上げたタイミングで、金色の戦士は素早く取り出した黄色いカードをドライバーに装填する。

 

【ファイナルアタックライド ア、ア、ア、アギト!】

???「セイバー...」

 

電子音と共に湾曲の角から扇子の様に左右に二本展開し、金色の戦士は居合の構えを取る。

 

【アタックライド 音撃棒ゥ、烈火ァ...!】

???「鬼棒術・烈火連弾!!」

 

トドメを刺す直前に装填した赤いカードの効果で、撥の先端部分に炎の気が纏われ、セロ距離で巨大な火の玉を連打式で放つ。

 

???「...スラッシュ!!」

 

炎を纏った居合斬りによる右袈裟斬りを放つ。

だが、まだこれで攻撃は終わっていなかった。

 

【アタックライド 鬼火!】

???(鬼幻術...鬼火!!)

 

最後の一振りで撥を振り下ろした紫の鬼は片足でジャイアントアントの胴体を軽く蹴って距離を取り、口から吐いた紫色の火炎を浴びせる。

 

【ファイナルアタックライド オ、オ、オ、オーズ!】

ガタキリバ達『おおおおッ...!!ハイヤァァァァァッ!!!!』

 

何処からか取り出した緑の軍隊達は周囲の空間を断裂する程の斬撃を一斉に放ち、紫の火炎に包まれたジャイアントアントは苦鳴を上げる事も許されず爆散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

KIA SIDE

Bはウィザード、Cはガタキリバにカメンライドしており、Dは奪われた居場所を奪い返す太陽の戦士『仮面ライダーアギト』の基本形態『グランドフォーム』の右腕が赤く変化した派生形態『フレイムフォーム』。

俺は炎の音撃戦士『仮面ライダー響鬼』になっている。

『オーズバッシュ』による一斉攻撃の影響で、発生した爆風で仮面が宙に舞ったのを確認したBは透かさずアタックライドカードを装填する。

 

【アタックライド エクステンド!】

 

伸縮自在となった片腕で掴み取った仮面をリムルに渡したBはCやDと共に役目を終えた様かのに消滅。

前に聞いた事のある声がしたが、俺は自分の姿を響鬼からディケイドの姿に戻す。

ディケイドの噂が広まっている虞があるからな。ライダーカードを装填しなくても自力でディケイドに戻る事も可能だ。

 

エレン「シズさん!シズさん、大丈夫!?」

シズ「え、ええ...」

ギド「今のは、何でやんす...!?」

カバル「魔物みたいな奴等だったが...?」

 

やはりな、こいつらは前に俺達が洞窟から出ようとした際に出会した三人組だ。

そんな中、リムルはジャイアントアントと呼ばれる魔物達の死骸の捕食を既に完了していた。

 

リムル「おいキーア。一斉攻撃も良いが、余りにもオーバーキル過ぎるぞ?」

キーア「良いんだよ、これが俺のやり方なんだ」

 

俺達のやり取りを聞いていた男二人は身構えて戦闘態勢に入る。どうやらディケイドの状態で再会するのは気不味いと思った俺は、サイドハンドルを引いて変身を解除して即座にリムルを抱き抱える。

土煙が完全に晴れ、正面に立っている正体を見た三人組は予想外な展開に愕然(がくぜん)として呟く。

そりゃそうだ。たった二人のスライムと人間が目の前に居たら誰だって疑問を抱く。

 

「「「スライムと...ああっ!!」」」

シズ「その人がどうかしたの...?」

ギド「前にアーマーサウルスや黒蛇の肉をくれた人でやんす!」

カバル「まさかこんなところで再会するなんてな...!」

 

俺の顔を見た三人は一斉に声を上げながら俺を指差す。

やはりこの三人は俺の事を覚えていた様だ。

 

キーア「久し振りだな。名前は確か...カバル、ギド、エレンで合ってるな?」

エレン「名前...覚えててくれたんだ!それに、貴方の背後に居るのって...スライムだよね?」

リムル「...ああ。スライムで悪いか?」

カバル「あ、いや...?」

 

身を引き()る様に仮面を返しに行くリムル。

カバル一行は未だに口が開いたままだった。

 

カバル「スライムが喋るとは...」

エレン「信じられない...!まさか、さっき感じた魔物の気配の正体って...!!」

キーア「そうだ。俺の相棒リムルはお前らと出会した時は上手くオーラを抑制出来てなくてな?今は抑制出来てるから割と馴染(なじ)める方だぞ。ほらよ。これ、あんたのだろ?」

リムル「済まんな。怪我、しなかったか?」

シズ「...ええ。大丈夫」

 

リムルが口で(くわ)えていた仮面を返すと、シズと呼ばれた女性は静かな笑みを浮かべる。

左目に四つの(あざ)が付いている黒い長髪と藍色(あいいろ)の瞳を持つ女性。

先程夜の蝶での占いで見た、リムルの運命の人だった。

 

リムル(思ったより早く出会えたな...)

キーア(これが、リムルの運命の人...!)

シズ「助かったよ。有難(ありがと)う」

 

感謝の言葉を述べるシズは穏やかな笑顔を浮かべた。

コンプリートフォーム(平成1期)の解禁は...

  • オークロード戦
  • カリュブディス戦
  • 精霊の棲家での攻略
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