消滅したらネオだった件   作:ライノア

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~これまでの消ネオは...?~

「私は又、大切な人を...殺してしまうところだった」

「息をするのが苦しくても、今を生きる事を諦めないでほしい!俺とリムルが作る平和な街で皆が笑い合う姿を、見ていてほしいっ...!!」

「ギルドマスターに調査結果と、シズさんの事も報告しなきゃあならんしな」

「...お前の名は、ゲルド。軈てジュラの大森林を手中に収め、豚頭魔王になれ。その為には、世界の破壊者『ディケイド』を始末しろ」


第二章:蝕む脅威
第九話前編:着せられた濡れ衣


NO SIDE

 

???「はぁっ...はぁっ...はぁっ...はぁっ!」

 

雨が降る曇天(どんてん)。とある黄色い髪の大鬼族(オーガ)の少女が息を乱しながら、壊された村を走り出す。

突然にやって来た豚頭族(オーク)達の襲撃から一晩が経ち、生存者が居ないかを駆け回っていた。

 

???「お父ちゃん!お母ちゃん!無事————っ!!」

 

自分以外に生存している同胞は(わず)か七人。最後の希望である育て親が居た今でも崩落寸前の小屋へと辿(たど)り着く。

だが、扉を開けた瞬間に少女は無惨な現実に突き付けられる事となる。

視界に映る部屋の所々に血飛沫(しぶき)(あと)が残り、自分を育ててくれた親の姿が何処にも居ない。

この時少女は悟る。自分を育ててくれた両親はもう此処には居ない。あの醜い豚共によって自分達以外の者達と同じく鏖殺(おうさつ)されてしまった事を。

 

黄色い大鬼族「...嫌っ、嫌ああああああああああああああああッ!!!!」

 

少女はその場で膝を突いて慟哭(どうこく)を上げる。

彼女の慟哭を聞いて駆け付けた他の大鬼族は、少女を優しく抱き締める。

少女の兄的存在である長髪を結んでいる緑色の大鬼族は、自身の力の無さに握り拳を作る。

 

緑の大鬼族「まさか、こんな事が...!!」

???「あらあら。自分達の仲間が殺されて、よっぽど悔しそうねぇ〜...」

赤い大鬼族「誰だッ!?」

 

そんな彼女達の元にとある声が聞こえてくる。

赤い大鬼族の怒声でその姿を現し、黒いフードを被った女性が現れる。

顔は確認出来なかったが、表情に色艶(いろつや)がある事だけは確かだった。

白い和服を着た老人の大鬼族と、青い大鬼族は戦闘態勢に入るも、女は丁重に彼らを(なだ)める。

 

???「そんなに警戒しないで貰えるかしらぁ〜?私は単なる通りすがりの女...所謂(いわゆる)、無力なあんた達を変える為の手助けをしているの。自分達の仲間を殺されて、悔しくなぁい?」

 

他人を煽動する様な言い草に赤い大鬼族と黄色い大鬼族、桃色の大鬼族と緑の大鬼族意外の四人は込み上がった憎しみを、怒りを、あの女に打つけようとしていた。

だが、彼女は突然手で制止する。何故なら黄色い大鬼族が小さく呟いていたからだ。

 

黄色い大鬼族「...ない

???「あらぁ?声が聞こえないわぁ。もう一回大きな声で言ってもらえるかしらぁ〜?」

 

その拳は爪痕(つめあと)が残るくらいに握り締めており、歯(ぎし)りを立てた口から込められた憎悪を一気に吐き出される。

 

黄色い大鬼族「誰があたし達の村を襲撃したの!!?あたし達が何をしたって言うの!!?許せない...!!あたし達の幸せを奪った奴等が憎いッ!!もっと力があれば、あの豚共から他の皆を助けられたのに!!

赤い大鬼族「俺もだ...!もっと力があれば、父上や母上...兄者をこの手で助けていたというのに!!俺は、俺達は無力な自分が憎いッ...!!」

???「...そう。それは大変だったわねぇ〜。それじゃあ、そんなあんた達に力を与えてあ・げ・る」

黄色い大鬼族「ホント...?」

???「ええ、本当よぉ〜。今度はその誰にも負けない力で、精々自分を鍛え上げて仲間の(かたき)を討つ事ね」

 

そう言って女は大鬼族達にとある物を投げ渡す。

金色の鬼の顔が象られた音叉が青・黒・緑、笛が紫と白、弦の付いたブレスレットが赤と黄色といった『変身音叉(おんさ)』、『変身鬼笛(おにぶえ)』、『変身鬼弦(きげん)』と呼ばれるアイテムが七人の大鬼族に配られる。

 

???「あんたも結構強そうだから、(まと)めて三つあげるわ。どれを使うかはあんたに任せる」

 

桃色の大鬼族はそれらを三つ同時に渡されたが、どれを選べばいいのか迷っているため、本人の意思に任せる事にした。

 

黄色い大鬼族「これがあれば、皆の仇を...!!」

???「やる気満々ね...ついでだから教えてあげるわ。あんた達の村を襲撃させ、豚共を操った黒幕の名前を...」

黄色い大鬼族「...教えて。そいつは、一体誰なの?」

 

黄色い大鬼族は訝しみながらも、自分達の村を豚頭族達に襲わせた元凶の名前を問う。

フードの女は後ろを向いて彼等が見えないところで口角を吊り上げ、黒幕の名を語った。

 

???「黒幕の正体は''ディケイド''。魔王にも匹敵する程の力を持つ、いずれはこの世界を破壊する最低最悪の悪魔よ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

OP『氷川きよし/限界突破×サバイバー』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

KIA SIDE

 

イフリートとの激戦から数日が経過し、村の復興は着々と進行していた。

カイジンさんやドワーフ三兄弟の衣類と道具作成。住居建設を進め、リグルド達ゴブリンロードが村の統治を行う流れとなっている。

俺達が指示しなくても、それぞれがちゃんと自分の仕事に取り組んでいる。俺達も楽出来るしな。

そんな様子をシズさんと共に見ていた俺は突然リムルに呼び出され、周囲を見渡して誰も居ないのを確認する。

俺達専用のテントに入ると、リムルは体を震わせて抗魔の仮面を吐き出す。

イフリート暴走の際に出来た(ひび)は完全に修復されていた。

 

キーア「シズさんの仮面、直ったんだな」

リムル「ああ。この通りな!」

キーア「...なぁ、リムル。その仮面の事なんだけどよ、お前が持っててくれないか?」

リムル「えっ、だってこれはシズさんの大切な物だぞ。急に持っててくれって頼まれても...「イフリートが分離された今のシズさんには必要ない物だ。それは俺達がシズさんの依頼を()け負った代理品として思えばいい」『依頼の代理品』か...分かった。キーアがそう言うなら有難(ありがた)く貰っていくよ」

 

抗魔の仮面をシズさんの依頼の代理品として受け取ったリムルの様子を、シズさんは指を口に当てて私が居る事は黙ってる様にとジェスチャーする。

 

リムル「さて、よーく見とけよキーア...ふふふ。ふははっ。ふははははははっ!!へ〜んしんっ!!」

 

俺の変身ポーズを真似て、擬態で人間の姿になるリムル。

先ずは手始めに手の動作を確認する。

 

リムル「ふむ...凄くスムーズに擬態出来るな。人間の体だ、有難い...」

キーア「それも良いが、せめて服は着ようぜ」

 

人間に擬態するとやはり全裸になってしまうので、流石にヤバいと思った俺は布団の毛布を上に被せる。

 

リムル「視覚に、聴覚...」

キーア「それで、人間の姿に戻れた感想は?」

リムル「ああ。っていうか、スライムの方がよく見えてたし、聞こえてたな」

キーア「やっぱスライムの姿に慣れちまったか。魔力感知の影響か?...まぁ、そんな事はどうでもいい。確認したい事があるんだろ?」

リムル「...そうだったな。なぁ、大賢者。イフリートを捕食したから分身、俺も使えるのかな?」

 

リムルの質問に、大賢者は即答する。

俺も大賢者の声はユニークスキル『接続者』で聞こえている。

 

大賢者《解。分身体含め、イフリートの保有スキルは解析完了しています》

キーア「問題ないみたいだな」

リムル「それじゃあ、早速試してみるか。分身体!」

 

リムルは翳した手から出した黒い(もや)がリムルの分身体を形成する。

 

リムル「やはりシズさんに似ている...前世の俺の要素は欠片もないな」

キーア「そりゃシズさんの体をコピーしてるからな。無理もねぇよ」

リムル「何という美少...年?女?流石に人の性別を確認しない訳ないよな?まぁ、感覚で何となく分かってんだけどさ」

キーア「手で隠さずちゃんと見んかい」

 

俺はリムルの両手を抑えながら分身体と向き合わせると、(ひざ)を突いて衝撃を受ける。

 

リムル「...おおぅっ!息子、復活ならず...!しかも、中性...いや、性別がない。無性だった...!」

 

そう。俺も予想は付いていたが、スライムの時点で性別なんてものはなかった。

少しだけショックを受けながらも、リムルは牙狼の毛皮で加工した服を着て分身体を黒い靄として回収する。

 

キーア「まぁ、スライムの時点で性別はなかったのかもな」

 

俺の正論にリムルはある事を思い付いたが、流石に良からぬ事を想定してしまった俺は直ぐに止めさせた。

それから数分後、俺達はリグルドと彩月から建築情報を聞いていた。

 

リグルド「報告は以上であります」

リムル「ああ、問題ない。二人共、ご苦労さん」

 

労いの言葉を掛けるリムルに、リグルドは今日の晩飯の誘いに関して(たず)ねる。

 

彩月「あ、それとっ!今日もお食事は必要、ないのですか...?」

リムル「ああ。どうせスライムの体に味がしな————」

キーア「おい待てリムル。それはもう解決してるだろ?」

 

スライムの体だからどうせ味覚はないのだろうと言い草をするリムルだが、俺は人間の姿になった事で克服したと指摘する。

 

リムル「お、おお〜っ!リグルド、彩月!!今日から俺も飯を食う事にする!!」

リグルド「何と...!では今夜は宴会ですな...!?」

キーア「おうよ。頼むぜ」

彩月「はいっ!!早速、皆に伝えに行きましょう!リグルド村長!」

リグルド「うむ!今日は良い宴会になりそうだ!!」

 

俺達の依頼に承り、リグルドと彩月は早速村の皆にリムルも飯を食うと伝達に回る。

 

リムル「メニューは何だろ〜?肉かな?肉だろうな〜!となると米も欲しいけど...この世界に(いね)ってあるのかなぁ?今度探してみるか!」

シズ「リムルさん、楽しそう」

キーア「今までスライムだったリムルに味覚はなかったからな。元人間の魔物が、人間の姿を得て美味い物を食える様になる...これ程喜ばしい事なんて、他にないさ」

 

上機嫌に歩き、人間の料理を食える事に期待しているリムルは独り言を呟きながら(よだれ)を垂らす。

俺達は今、ヴェルドラと出会った洞窟(どうくつ)(おもむ)いている最中だ。

シズさんを同行させている理由としては、夜の蝶で見た五人の子供達に関して質問したい事が山々あったからだ。

 

リムル「あったら田んぼを作って...ん?」

 

リグル達周辺警備が食糧調達に向かおうとしていた。

メンバーの一人として彩月も唯一のゴブリナ戦闘員でもあるので、警備員にも所属している。

 

彩月「あっ、リムル様!キーア様!」

リムル「食料調達ご苦労さん」

リグル「有難う御座(ござ)います。これから森に向かうところです」

キーア「今回は俺の相棒が人間の姿を獲得した記念の宴をやる予定だ。美味そうな獲物を頼むぜ」

 

ゴブタはリムルが宴に参加するのかを尋ねる。

 

ゴブタ「今日はリムル様も食べるっスか?」

リムル「おうよ!何せこの体に味覚があるからな!」

 

その時、胸を張って言うリムルにゴブタは蛇足を言い出した。

 

ゴブタ「おぉ...いっぱい食べたら、おっぱい育つっスかねねぇ〜?」

キーア「...ゴブタ。少し言いか?」

ゴブタ「えっ、何っスk————ぐぶぇっ!?」

 

俺は俊敏な動きでゴブタの金的に蹴りを入れ、そのままリムルの回し蹴りに繋げた。

そして蹴り飛ばされたゴブタの前に、シズさんが前に出る。

 

シズ「...ゴブタ君。リムルさんならまだ良い方だけど、女の子にそんな事言っちゃ...駄目だよ?」

ゴブタ「...は、はい、っス」

 

ゴブタは蹴られて金的を抑えて引き()った表情で(もだ)えながら謝る。

シズさん、何故か笑みを浮かべてるけど、まるで笑ってないな。

流石元爆炎の支配者。この人の前では一切の蛇足は通用しないだろう。

 

リグル「...すいません!ゴブタにはきっちりと教育しておきますので...それから、特上の牛鹿(うじか)をご用意致しましょう!」

キーア「ああ。頼むぜ」

 

そう返答した俺だが、牛鹿か...牛に鹿の様子を足した感じの生物かもしれないな。

 

彩月「お任せ下さい。お二人の期待に必ず答えて見せます!最近は森の奥に移動してる魔獣が多いので、獲物は豊富なんですよ?」

キーア「...ちょっと待て、リグル。何かあったのか?」

リグル「いえ、魔獣は環境の変化などで移動したりしますからね。大した事はないと思うのですが...」

キーア「いや、そうだとしても人手が要るな。フェリル、嵐牙」

 

俺の呼び出しに、フェリルと嵐牙が俺達の影から現れる。

 

嵐牙『お呼びですか?我が主、キーア様』

リムル「嵐牙。リグル達と森に同行してくれ」

キーア「お前もだフェリル。何かあれば()ぐに連絡しろ」

フェリル『心得ました、お任せ下さい...息子よ』

嵐牙『...はい、親父殿。遠慮は要らぬ、我と親父殿を連れて行け。リグル殿、彩月殿!』

 

嵐牙は心強い事を言ってはいるが、パンティングと尻尾を左右に振ってる時点でイメージが全て崩落。最早これは狼ではなく、ただデカいだけの犬でしかない。

俺はその可愛さに口角を緩みかけたが、此処は風格を崩す訳にはいかないので自力で耐えた。

気を取り直して、俺達はヴェルドラと出会った洞窟に赴く。

リムルがシズさんの体をコピーした事で獲得したユニークスキル『変質者』の効果を試しておこうと思っていたところだった。

 

シズ「これが、あの暴風竜ヴェルドラが封印された洞窟...リムルさんが捕食者のスキルで食べたってアキノリ君から聞いたけど...」

キーア「ああ。今頃無限牢獄を解析しながら、イフリートの相手をしてるんだろうな」

 

俺は少し休憩を挟みつつ、シズさんにあの五人の教え子について(たず)ねる。

 

キーア「なぁ、シズさん。聞きたい事があるんだけど...」

シズ「どうしたの?」

キーア「夜の蝶って店での占いであんたの生徒と思われる五人の子供を見たんだが、そいつらもあんたの同じく召喚者なのか?」

シズ「その子達は国によって召喚されたんだけど、不完全な状態で召喚されたからから大量の魔素で死んじゃう。だから私は、あの子達を助けたいの」

 

シズさんによれば、不完全な状態で召喚された十歳未満の子供は数年もしない内に大量の魔素で死に至るという。

その五人を国が召喚したのにも関わらず、見境なく捨てたのだ。

それは到底許される行為じゃないが、シズさんは召喚された経験もある証人としてそいつらを救う手段を唯一知っていた。

それはイフリートと同じ上位精霊を同化させれば、死を免れる事だった。

だが、シズさんがイフリートを制御出来なかった理由としては、『魔王レオンを憎んでいるシズさんに対し、当時敵意に反応して行動するだけのイフリートは魔王レオンを崇拝(すうはい)している』という事。

それが原因で当時幼少期だったシズさんと、薄い自我しか持たなかったイフリートは分かり合えず、最終的には勇者から貰った抗魔の仮面やシズさんのスキルでイフリートの力を抑制するしかなかった。

 

シズ「私とイフリートは馬が合わなかったんだと思う。当時のイフリートは魔王レオンに対する忠誠心が強かったから...」

キーア「シズさん、それはあんたのせいじゃない。召喚された上でいきなり無言で精霊を憑依させられたなら、恨むのも当然だ」

シズ「...アキノリ君、有難う」

 

俺はシズさんを励まし、早速リムルは本題に入る。

変質者というスキルは統合と分離。簡潔に言うなら、スキルの統合と分離を行う事で新たなスキルを獲得するというもの。

 

リムル「何これ?えげつない...」

 

その一つとして使用したのが、リムルの周りを囲んでいる青黒いの炎だ。

 

放浪者《エクストラスキル『黒炎』です》

リムル「これも、使い所を考えないとな...」

 

リムルは姿勢を低くしながら両腕を左右に突き出すと、黒炎は消滅。

水面からはとてつもない蒸気が浮き上がる。

 

キーア「んじゃ、今度は俺の番だな」

 

俺も渇望者の使用で新たに獲得したユニークスキル『複製者』でイフリートの能力の一つである『分身体』を獲得。

試しに使ってみると、俺の分身体の三人分を形成出来た。

 

放浪者《『生還者』と連動し、ユニークスキル『接続者』を使用しますか?Yes/No》

 

放浪者が突然俺に接続者の使用を問われる。

 

キーア「勿論、Yesで!」

 

今更試さない訳がない。俺は接続者の効果を使用し、ネオディケイドライバーに眠る分身体B、C、Dの三人組の魂を移せるかを試していた。

暫くして、放浪者からの吉報が届く。

 

《告。個体名:ディケイドB、ディケイドC、ディケイドDの魂を分身体に移す事に成功しました》

キーア「いよしッ!!」

 

俺はガッツポーズを取り、B達と思われる三人に話し掛けてみる。

 

キーア「B、C、D。俺が分かるか?うぐっ...!?」

ディケイドB?「...リーダーなのか?」

ディケイドC?「此処って確か、ヴェルドラと初めて出会った場所だよね...?」

ディケイドD?「一体どうなってるんだ?それに、何だか力が湧き上がってくる様な...?」

リムル「キーア。今ので魔素の四分の三くらいは持っていかれたぞ」

 

マジかよと俺は目を見開く。

俺がB達の名前を呼んだ瞬間、B達の体が眩しいくらいに発光していた。

これにより俺は約四分の三くらいの魔素を持っていかれた。

 

《告。個体名:B、C、Dは仮面分身(マスクドクローン)から幻影分身(イリュージョンクローン)へと進化しました。変身なしでも自力での行動が可能となりました》

ディケイドC「凄い...俺達、進化したよ!」

ディケイドB「さっきまでよりは力が漲る...!」

ディケイドD「彼処(あそこ)にEが居れば、もっと大いに喜べたのにな」

「「「......」」」

 

BとCはさっきまでより力が上昇した事に驚くが、Dはディケイドイリュージョンの一人であるEの事を呟く。

そう。今この場にEが居ないのは俺が原因だ。

激情態に暴走した俺を止める為にEは立ち向かったが、力及ばず消滅してしまった。

EはDとは仲が良かった。それを奪ってしまったのは同じディケイドとはいえ、俺自身にも責任がある。

 

キーア「...そうだな。元を辿れば、俺が激情態になって暴走したのが原因な訳だし、俺の罪は死ぬまで未来永劫消えないだろう。Eの分まで、俺達が頑張るしかない」

C「そうだよ。いつまでも後ろを向いてるDを、Eは絶対望まないよ!」

B「俺達も俺達なりの責任がある。今は前を向いて進むしかない」

D「...そう、だな。悪いリーダー。BもCも、こんな俺を励ましてくれて...有難な」

 

俺達に励まされたDは頭を下げるが、俺は肩を置いて激励する。

 

キーア「気にすんな。Eの分まで、俺達で頑張るぞ」

D「...ああ。これもシズさんのお陰だな。本当に感謝しかない」

シズ「ううん。私だけなら自分のスキルにこんな使い方があることさえ知らないままだったと思う。二人のお陰だよ」

キーア「そういえば、リムル。お前、抗魔の仮面をまだ付けてなかったよな?試しに付けたらどうだ?」

リムル「そういえば、まだ付けてなかったな。それじゃ、お言葉に甘えて...」

 

リムルは抗魔の仮面を付けた自分の姿が映った(みずうみ)で確認する。

 

リムル「...似合うな」

シズ「うん。似合ってるよ」

キーア「まぁ、良いんじゃねぇか?」

大賢者、放浪者《...はい》

 

淡白に大賢者と放浪者の少々(あき)れた声色で呟くと、嵐牙とフェリルが思念伝達で俺達に緊急事態を伝える。

 

嵐牙、フェリル『『リムル様!キーア様!』』

大賢者、放浪者《個体名:嵐牙とフェリルからの思念伝達。声援から緊急要請と推測》

キーア「早速嫌な予感が的中したか。直ぐに救援に向かうぞ!」

「「「ああ(うん)!」」」

 

俺はオーロラカーテンでマシンディケイダーを召喚しながら、ネオディケイドライバーでB達を回収。

(またが)った俺の後ろにリムルとシズさんが乗ったのを確認してマシンディケイダーを走行させる。

 

リムル「キーア。一応お前も持っとけ!」

 

ディケイダーを走行させている途中でリムルが俺に何かを渡してきた。

それはリムルが持っていたのと同じ抗魔の仮面だった。

 

キーア「これって...!」

リムル「複製品だ。お前は要らないと思うかもしれないが、念の為付けとけ!」

キーア「分かった。有難く貰っておく...!」

 

俺は抗魔の仮面を付けると倒れていたゴブタを目撃し、ディケイダーを停車させて駆け付ける。

 

キーア「ゴブタ!大丈夫か!?」

ゴブタ「斬られたっス!超痛いっス!!死ぬっス〜!!」

キーア「落ち着け。元気な程傷は浅いぞ」

 

俺が大袈裟(げさ)に騒ぎ立てるゴブタに『まだ死んでない』と伝える中、ゴブタに浅い切り傷を負わせたとされる男三人が立っていた。

二本の黒い角が(ひたい)に生えた赤髪の青年。戦国時代でありそうな赤い中装甲の甲冑(かっちゅう)を身に纏い、目の下には赤い涙ラインが刻まれていた。

その右側にいるのは、白い二本角を額に生やす黄土色のマフラーを首に掛けた白い薄着の老人。納刀した刀の刀身を四分の一くらいに抜刀した状態でいつでも居合斬りが出来る状態にしている。

もう片方にいるのは緑の結び髪が特徴で黒い一本角を生やす美青年。風来坊を連想させる深緑色の和服を纏い、赤髪の青年と同じく納刀状態の刀を手に持っている。

 

リムル「...何だお前ら?」

ゴブタ「...あっ!リムル様とキーア様じゃないっスか!心配なったから来てやったんっスね!?」

リムル「ああそうだな。元気そうだし、回復薬は要らないみたいだな」

キーア「おい!?」

ゴブタ「ちょっとぉっ!?欲しいっス!冗談言って、済まなかったっスよぉ〜!!」

 

リムルが後ろを向かずに回復薬をゴブタにぶっ掛ける。

 

ゴブタ「た、助かったっス!」

「「ウオォォォォォォォォォン...!!」」

 

俺もリムルと共に牛歩して三人の男に近付いて行くと、上空で嵐牙とフェリルの遠吠えが響き渡る。

空を(あお)ぐと、嵐牙と二人の男が木の中から飛び出しては互いに接触した武器が金属音を鳴らす。

嵐牙とフェリルは螺旋(らせん)状の角から衝撃波を放つ。

額には白い二本角が生やし背中に蝶々(ちょうちょ)結びにした麻紐(あさひも)を背負った木槌(きづち)を武器に紺色の甚平(じんべい)を着た大男と、額には黒い一本角を生やし逆手持ちで忍者の様な服装を纏う二刀流の青髪の男は防御体勢に入りながら左右に回避。

二体の衝撃波に激しく揺らされた木からは数十枚もの葉っぱを飛ばす。

男二人が着地すると、嵐牙とフェリルはそのまま正面から向かって行く。

黒い大男と青い青年は戦闘体勢に映るが、横切る様にして青い炎の壁が二体を阻む。

嵐牙とフェリルは間一髪のところで急ブレーキを掛ける。

木の影から隠れていたのは、薄紫の長袖を羽織り、その下には臙脂(えんじ)色の着物を纏うピンク髪の女。赤い青年と同じく白い二本の角が生えている。さっき嵐牙とフェリルを妨害させたのはこいつで間違いないだろう。

服装的には巫女(みこ)を連想させるが、目の下の涙ラインがある為、赤髪の青年とは兄妹である可能性が高い。

 

リムル「嵐牙!」

キーア「フェリル!」

 

状況を確認すべく、俺達は嵐牙とフェリルを呼び戻す。

 

嵐牙『主達よ。申し訳ありません。我らがいながら、この様な...!』

 

黒い一本角を持つ薄紫の結び髪の女性はモーニングスターを振り上げ、リグルは刀身で受け流して防戦に追い込まれている。

彩月の方は両腕にガントレットの様な物を装備している白い二本角を持つ黄色いショートヘアーの女の格闘技に翻弄(ほんろう)され、実力は互角ではあるものの、一方的に追い詰められているのは彩月の方だった。

 

リムル「戻れリグル!」

キーア「彩月、お前もだ!」

薄紫の大鬼族「ふんッ!!」

黄色い大鬼族「はぁッ!!」

 

リグルと彩月は身を(かが)めつつ地面を左足で蹴り、後方に下がりながら俺達と合流する。

 

リグル「リ...リムル様、キーア様!申し訳ありません...」

キーア「よくやった。後は俺らに任せてゆっくり休め」

彩月「あ、有難う御座います...」

 

リムルはリグルと彩月にポーションを掛けて回復させ、リムルは嵐牙とフェリルに今の状況を尋ねる。

リグル達以外の者達は死傷には(おちい)ってはいないものの、状態異常の魔法によって眠らされていた。

 

リムル「嵐牙、フェリル。この倒れている者達はどうした?」

嵐牙『はっ!魔法によって眠らされております』

フェリル『あの桃色の髪の仕業です』

キーア「...魔法か。今回は中々厄介な相手になりそうだ」

 

八人の男女と対峙する中、彩月が呟く。

 

彩月「まさか大鬼族(オーガ)出会(でくわ)すなんて、運が悪いですね...」

キーア「大鬼族?」

 

目の前に対峙しているのは八人の大鬼族。

この世界に()ける鬼的な存在だが、俺が思っていたイメージとは少しだけかけ離れていた。

リムルは少し前に立ちながら、大人の対応をする。

 

リムル「おいお前ら。事情は知らんが、うちの奴等が失礼したな。話し合いに応じる気はあるか?」

 

実力は明白ではあるものの、ゴブタ達は致命傷を負ってはいなかった。他の警備隊の方は無傷で眠らされている。どうやら訳ありだろうな。

そう推測していると、ピンク髪の大鬼族が小声で兄である赤い大鬼族に話し掛ける。

 

ピンクの大鬼族「お兄様。あの仮面...」

赤い大鬼族「ああ...正体を現せ!邪悪な魔人共め!!」

シズ「えっ...!?」

 

赤い大鬼族の怒声にシズさんは不安の声を漏らし、リムルは慌てながら問い掛ける。

 

リムル「おいおいちょって待て!?俺が何だって!?」

キーア「''邪悪な魔人''、だとよ」

 

赤い大鬼族は俺達に指を差しながら俺達がただの人間ではないと見抜く。

 

赤い大鬼族「魔物を使役するなど、普通の人間に出来る芸当ではあるまい」

黄色い大鬼族「見た目を化かしたってそうは行かない!あたし達の姫様の前では、抑えてるオーラもお見通しだよ!!」

白い大鬼族「正体を現すがいい...」

青い大鬼族「黒幕が出向いてくれるとは、好都合と言うもの...」

緑の大鬼族「何なら(いっ)その事、切り捨てた方が早いねぇ...」

 

大鬼族達にボロクソ言われてリムルは内心でショックを受けている。

 

リムル「なぁ、あのな...?」

赤い大鬼族「ふん!貴様らの言葉など聞く耳を持たん。全てその仮面が物語っている...!」

シズ「ちょっと待って。この二人の仮面は、私が預けた物と複製品よ!」

 

シズさんが代弁するも、赤と黄色の大鬼族はまるで聞いてくれやしなかった。

 

黄色い大鬼族「言ったでしょ?あんた達の言葉なんて聞く耳を持たないって。父ちゃんや母ちゃん...村の皆の仇、今此処で討つ!」

赤い大鬼族「同胞の無念、その億分の一でも、貴様らの首で(あがな)ってもらおう!」

「「邪悪なる(醜い)豚共の仲間め!!」」

 

こっちは殺意マシマシだと感じた瞬間、大鬼族達は何かを取り出す。

取り出したのは鬼の顔が刻まれた音叉、笛、弦付きのブレスレット。

 

キーア「それは...!!」

 

それを見た俺は目を見開く。折り(たた)まれたフォーク部分を展開して自分の体の箇所(かしょ)に軽く叩いて音を鳴らし、笛を吹き、左腕に付けたブレスレットに格納されていた弦を(つま)弾くと音波が発生。額には鬼の顔が浮かび上がる。

 

「「「「「「「はァッ!!!!」」」」」」」

 

青と緑の炎、吹き荒れる(だいだい)色と紫の竜巻、降ってきた赤・緑・黒紫の落雷。

それを手で 振り払った大鬼族達の姿を大きく変えた。

俺が前にカメンライドした響鬼の胴体をベースにしたライダーが三人、(すだれ)を連想させる湾曲(わんきょく)した胸部装甲のライダーが二人、そしてギターの弦を模した装甲を纏うライダーが二人。

ピンク髪の大鬼族以外は『音撃戦士』と呼ばれる仮面ライダーへと変身を果たす。

 

キーア「裁鬼(さばき)弾鬼(だんき)勝鬼(しょうき)剛鬼(ごうき)蛮鬼(ばんき)鋭鬼(えいき)、そしてオレンジの方の闘鬼(とうき)...それを何処で手に入れた?」

蛮鬼「お前に教えるつもりはない!!」

 

大鬼族達に『変身音叉』『変身鬼笛』『変身鬼弦』を何処で入手したかを問うが、黄色い大鬼族が変身した黒をベースに縁取りと両腕が黄色い音撃戦士『蛮鬼』が否定する。

嵐牙が小声で俺達にどう対処するかを持ち掛ける。

 

キーア「成る程な、大体分かった。どうやら仲間や家族を殺されて、相当我を失っているらしい...」

嵐牙『どう致しますか?』

キーア「そんなの決まってるだろ?お前はフェリルとシズさんで、唯一変身していないピンク...桃色を足止めしろ。間違ってもぶち殺すなよ?そうなれば奴等の殺意が更に沸きかねない」

嵐牙『はっ!』

 

あの蒼炎の壁は厄介だからな。壁貼り役は成る()く遠ざけておきたい。

 

リムル「どうも裏がありそうだ。邪魔だけしてくれればいいから、残りは俺達が倒すよ」

フェリル『ですが、それだとお二人が変身した大鬼族を七体相手する事に...』

リムル「問題ない。負ける気がしない!」

嵐牙『流石は我が主人達。承知!!』

キーア「さて、俺達もそろそろやるぞ」

 

俺はネオディケイドライバーを腰に巻き、ネオディエンドライバーの方はリムルに投げ渡す。

 

キーア「今回はお前が使えリムル。使い方は見て分かってる(はず)だ」

リムル「ああ。俺の初変身、見せてやるか!」

 

俺はライドブッカーからディケイドのライダーカードを取り出し、リムルはネオディエンドライバーにディエンドのライダーカードを装填してフォアエンドを前に突き出す。

 

【カメンライド...】

「「変身!!」」

【カメンライド ディケーイド!ディエーンド!】

 

ライダーの名前が告げられ俺はディケイド、リムルはディエンドに変身した。

 

ディエンド(リムル)「おおっ〜!これが変身か!意外とカッコいいな...!」

ディケイド「だろ?」

蛮鬼「ディケイド?...そうか、お前だな!あたし達の村を滅ぼした''悪魔''というのは!!」

 

俺達が()り取りをする中、蛮鬼は突然に怒声を上げる。

 

ディケイド「''悪魔''だと?」

蛮鬼「そうだ!あたし達の故郷はお前が操る豚共のせいで皆喰い殺された!!此処でお前を倒して、皆の敵を討つ!!」

ディエンド(リムル)「...キーア。お前、相当な濡れ(ぎぬ)を着せられたみたいだな」

ディケイド「まぁ、これがディケイドに変身した転生者の宿命(さだめ)ってやつだ。冤罪(えんざい)を掛けられるのも、敵に回されるのも慣れっこだ」

 

既にディケイドとしての宿命に慣れていた俺は、冷静にその事実を()み取りつつも受け入れる。

赤い大鬼族が変身した音撃戦士『裁鬼』は、専用のエレキギターを模した剣『閻魔(えんま)』を構えながら俺達に告げる。

 

裁鬼「まさか、黒幕自らが正体を現わしに来るとは...舐められた者だな。だが、俺達にとっては都合が良い。真の勇気か、ただの蛮勇(ばんゆう)か...?その度胸に敬意を払い、挑発に乗ってやろう。後悔するなよ...!!」

ディケイド「ああ。お互い、悔いのない戦いになる事を祈ろう」

ディエンド(リムル)「来るぞ、キーア!」

 

転スラ日記のストーリーは...

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