消滅したらネオだった件   作:ライノア

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第一話:暴風竜ヴェルドラ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アキノリ「う、ううん...」

 

意識を取り戻した俺は頭を片手で抑えながら起き上がり、視界の周囲を見渡す。

倒れていた場所は洞窟(どうくつ)。静寂な空気が漂う中で水滴音が小さく響く。

洞窟の辺りには薬草らしき白い花が草叢(くさむら)の様に生い(しげ)り、水色の鉱石が所々に散らばっている。

俺はある人の形見であるマゼンタの二眼レフカメラ BlackBIrd-flyを首に掛けられているのを確認する。

 

アキノリ「此処は、何処だ?確か俺は、レグレットに看取(みと)られて死んだ(はず)...」

 

左側付近には六つの元素を宿した神秘の印が()め込まれ、赤いセンターレンズの上に翠色(すいしょく)のデータ収集装置を一周する様に18の紋章が刻まれているマゼンタのベルト『ディケイドライバー』とカードケースに似た可変型の武器『ライドブッカー』が置かれてあった。

 

アキノリ「ってか、何でディケイドライバーのライダーズクレストが追加されてるんだ?」

《解。ディケイドライバーは新たに、ネオディケイドライバーへと進化しました》

 

ディケイドライバーとライドブッカーを拾った俺は一つの疑問を抱いていると、突然と脳裏に響く。

人の意思を感じない女性寄りで無機質な音声だ。

 

アキノリ「誰だ。俺に語り掛けているのは?」

 

俺がそう答えると、謎の声が再び俺の脳裏に響いた。

 

《解。ユニークスキル『放浪者』の効果です。

能力が定着したため、速やかな反応が可能となりました》

 

成る程、大体分かったきた。

俺は適当に洞窟を徘徊(はいかい)しながら試しに「スキルとは何だ」と問うと、撮影者は一秒足らずにその答えに応じてくれた。

 

放浪者《解。何らかの成長を世界が認めた際に、(まれ)に獲得出来るのが『能力』です》

アキノリ「つまりはお前が言っていた『撮影者』や『放浪者』は俺が消滅する間際にベラベラ喋った結果、創造された能力みたいなものと解釈してもいいんだな?それじゃあ、一応聞いておくが、撮影者はどんな能力を持っているんだ?」

放浪者《実写して対象物を一つの情報源として解析。

その対象物のスキルを獲得出来ます。

解析が完了すれば、擬態化や複製も可能です。

フィルムは無限に実写対象を記憶し、更に解析に及ばない有害なものを隔離する事も可能》

 

じゃあ、俺がディケイドライバーを二つ使ってる様なものか。

だったら、その保存対象はこのディケイドライバーやライドブッカーにも影響するのか?

 

放浪者《解。撮った対象に魔法などが写っていた場合は、その魔法をライドブッカーが通じて解析。解析が完了すればカードとして収める事も可能です》

 

意外と便利だな。それじゃあ、この薬草についての解析を頼む。

 

放浪者《...解析が完了しました。

ヒポクテ草。魔素が濃厚な場所にしか繁殖しない貴重な薬草。

傷薬、回復薬の原材料》

アキノリ「魔素...?」

放浪者《魔素とは、この世界に干渉しうる————》

アキノリ「...悪い、手短に説明してくれ。頭がこんがらかる」

放浪者《...魔物に取っては生命の元。とある物質です》

 

つまりは生命力といったところか。それがこの洞窟に満ちた結果、こうして貴重な薬草が生えている。

ヒポクテ草の解析が完了して、一つの情報源として収納。

そしてライドブッカーを通じて回復薬...所謂ポーションのアタックライドカードとして生成出来るって事だよな?

 

放浪者《その通りです》

 

大体分かってきた。それじゃあ遠慮なく!

俺は此処にあるヒポクテ草の写真を撮りまくった。それと同時に解析が完了し、ライドブッカーから一枚のカードが飛び出す。

そのカードを手に取ると、黄緑の液体が入っている瓶が九本描かれていた。

『ATTACK RIDE LOW POTION』と英語で表記されている。どうやら解析に成功した様だ。

 

アキノリ「新カードが続々と増えてるなんて、夢じゃないかしら...あいだ!?って、何だ。さっきの鉱石じゃないか」

 

新しいカードを見ていると、足元に何かが打つかる。先程見た水色の鉱石だ。

 

放浪者《魔鉱石。魔素の濃度が高い鉱石が、長い年月を掛けて魔素を取り込んで変異した石。

とても貴重な物です》

アキノリ「いいな!それじゃあ...!」

 

一応、魔鉱石も撮りまくる事にした。

因みにオリジナルのライダーカードを作成するのにも条件があり、例として薬草の写真を十枚撮れば、さっきの様にローポーションのアタックライドカードが完成するとの事。

若しこの世界の役目を終えたら、このスキルを活用するのも悪くはないだろう。

新しいカードが増えていくのは俺にとっては都合がいい。

 

???『グオオオオオオオオオオッ!!!!』

 

刹那(せつな)に響き渡る咆哮(ほうこう)と共に地面が振動する。

その影響で崩れた小石が落下し、俺は咆哮した方へと赴く。

其処には球体の結界が貼られており、封印されていたと思われる巨大な竜の影。

だが肝心の姿は全く見えておらず、確認出来るのは(だいだい)色の眼光のみ。

睥睨(へいげい)されていたのは、あの某RPGの最初の敵として登場するモンスター『スライム』だった。

 

???『久方振りの客人だと思って仕掛けに出てやったが、どうやら死にたいらしいな!?』

???『すいません、すいません!思った事が伝わるとは思わなくて!自分、口もなく目もない状態でして...!』

???『ほぉ、目が見えないのか?フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ...!!』

 

平謝りする様に謝罪するスライムの言葉にドラゴンは理解し、怒りが消え失せたのか更に大きく高笑いする。

スライムは首を傾げる様に体を左側に伸ばす。

 

ドラゴン『我の姿を見ての発言かと思ったが、目が見えないのか。よし、見える様にしてやろう。其処(そこ)に居るもう一人の客人も該当だ』

スライム『も、もう一人...?』

アキノリ「既に気付いていたのか?」

ドラゴン『フフフフフフフフフ...この我の前に気配を消そうするなどと三百年早いわ』

 

観念して俺は竜の影の前に現れる事にしたが、逆に興味深そうに睥睨する。

 

ドラゴン『ほぉ、人間か。これは珍しい...せっかくだ、貴様も見える様にしてやろう。(ただ)し、条件があるがな。どうする?』

 

ドラゴンからの取引を受けようとしたが、スライムは要件を恐る恐る問う。

 

スライム『因みにどんな条件ですか...?』

ドラゴン『簡単だ。見える様になったからと言って、我に怯えるな。そして又話をしに来い...それだけだ。お前達にとっては良い話だろう?』

アキノリ「それだけでいいのか?その言い様だと、お前にも何か事情あるらしいな」

 

俺の言葉にドラゴンは(うなず)くと、孤独そうな目で事情を話した。

 

ドラゴン『うむ。実はな、三百年前にこの洞窟に封印されてな。それから暇で暇でどうしようもなく退屈しておったのだ...』

アキノリ「まるで転生前の俺じゃねーか」

 

このドラゴン、よっぽどの暇人かよ。いや、暇人ならぬ暇ゴンか。

『転生』の言葉にスライムは驚愕(きょうがく)する。

 

スライム『''転生前''って、あんたも俺と同じ転生者なのか!?』

アキノリ「ああ、少し訳ありでな。お前が何故封印されているのかは気になるところだが、先ずはその要件を飲むのが先決だ」

ドラゴン『比較的な受け入れ方だな。良かろう...魔力感知という能力がある。使えるか?』

スライム『いえ、使えないです...』

アキノリ「左に同じく。生身で魔法が使えない普通の人間だからな」

 

俺達がそう答えると、ドラゴンは魔力感知の説明を簡略してくれた。

 

ドラゴン『そうか...簡潔に説明しておくが、魔力感知は周囲の魔素を感知するスキルだ。其処の人間は我が扱える様に細工しておく。スライムよ、やってみるがいい』

スライム『魔素を感知すると、目が見える様になる?』

アキノリ「まぁ、やるだけやってみるしかないな」

スライム『...そう、だよな。そうしなきゃ話が進まないし。やってみるか!ふんッ!むぅぅぅぅぅぅぅぅ...!!』

 

ドラゴンにそう言われたスライムは体内を巡らす様に魔素を動かすと、周囲に青や緑と言った中間色の霧が発生。

それに紛れる様に、(ほこり)に類似した小さな紫のエネルギーが恐らく魔素だろう。

 

アキノリ「放浪者。俺にも魔力感知は扱えるか?」

放浪者《解。暴風竜ヴェルドラの施しにより、エクストラスキル『魔力感知』を獲得しました》

 

難なく習得したな。

ってか、エクストラスキルってなんだ?

 

放浪者《通常のスキルよりも、威力性能が(けた)違いのスキルです。

現在習得しているエクストラスキルが『不老』と『魔力感知』、そして『力量操作』の三つとなります。

魔力感知を使用しますか?》

「「YES(OK)!」」

 

もう一つのエクストラスキル『不老』の説明は後にして、勿論OK一択。

そう即答すると俺の視界から魔素が完全に取り除かれ、鉱石が結界の色に反射していたためか、洞窟内を照らす虹色の光明となる。

 

スライム『おおっ〜!!()える!視える!視えるぞ〜!!』

 

魔素が取り除かれた事で普通の視界になった事を喜ぶスライムは、実際に自分の姿が見えているのかを確認すべく、(みずうみ)へと向かう。

 

アキノリ「少しは視える様になったか?」

スライム『...うん。やっぱ俺、スライムだ』

 

自分の姿を確認したスライムは、改めて自分が転生した事を実感する。

 

ドラゴン『...どうだ?』

スライム『はい、出来ました!有難(ありがと)うました!』

アキノリ「ああ。お陰様でな...!?」

 

視線をドラゴンに向けた瞬間、スライムの絶叫がし始めた。

俺もその姿を見て目を見開く。

 

スライム『えぇぇっ!?ド、ドラゴン!!!?』

アキノリ「まさか、本当にドラゴンだったとはな...!」

 

翼膜(よくまく)が少し欠けている大きな翼を持つ黒を基調にした巨体。

両肩には刺々(とげとげ)しい複数の白い突起があり、(だいだい)色の眼光で(にら)みを()かせる頭部には湾曲(わんきょく)した四つの角が生えている。

その邪悪な外見はさながら悪魔を彷彿(ほうふつ)とさせる。

その刺々しい見た目からして、まさに邪竜と言ってもいいだろう。

ドラゴンは人差し指で『来い』とジェスチャー。

約束を破るわけにもいかないので、俺はスライムと共にドラゴンの正面へ出る。

 

ドラゴン『それでは改めて自己紹介しよう。我が名は暴風竜ヴェルドラ...』

スライム『暴風竜...』

アキノリ「ヴェルドラ...!?」

ヴェルドラ『如何にも。この世に四体のみ存在する竜種の一体である...』

 

邪悪な外見のドラゴン改めヴェルドラの自己紹介。

この世に四体しか居ないって...それじゃあ、この世界のドラゴンはそれほど最も恐れられている種族って事じゃないか。

 

ヴェルドラ『フフフフ...フハハハハ!フハハハハハハハハハハハハハ...!!』

 

暴風の如く高笑いにより、地面が大きく揺れ出す。

 

ヴェルドラ『おい。約束は覚えているな...?』

スライム『もっ、勿論ッスよ!怯えてなどいません!んじゃあ、(また)話に来ますんで!』

ヴェルドラ『待てッ!!』

スライム『ひえぇっ!?』

 

恐縮していたスライムはそのまま立ち去ろうとしたが、未曾有のスライムに興味を持ち始めたのか、ヴェルドラはスライムを呼び止める。

 

ヴェルドラ『実に珍しい。スライムは本来、思考もしない低位モンスター。それなのに自我がある...ユニークか?』

スライム『''ユニーク''と言いますと...?』

ヴェルドラ『異常な能力を持つ個体の事だ』

スライム『ちょっと、よく分からないッス...』

 

ヴェルドラの説明をまるで理解していなかったスライムは、自分の身にあった事情を話す。

 

スライム『その...自分、人間だったんですけど、刺されて死んで、気が付いたらこんな姿になってて...』

ヴェルドラ『成る程。貴様もこの人間と同じ転生者という訳か』

スライム『''転生''、やっぱり、本当に俺はスライムに生まれ変わったんですね...』

 

スライムが転生した境遇を聞いたヴェルドラは、意味深そうに話を進める。

 

ヴェルドラ『お前達、物凄く稀な生まれ方をしたな』

アキノリ「稀、だと...?」

ヴェルドラ『異世界にやって来る者は(たま)にいるが、転生者は我が知る限り初めてだ。魂だけで世界を渡ると、普通は耐えられないからな。それに、一度死んだ人間が再び人間として転生したのはとても奇妙なスケールだ。しかも、この洞窟で倒れていたとはな...』

アキノリ「俺もその答えを探している。何故俺がこの世界に飛ばされたのかを知りたい」

スライム『ってことは、転生じゃなくて異世界からこっちに渡ってきた人も居るんですね』

 

スライムの質問にヴェルドラは即答する。

 

ヴェルドラ『うむ、異世界人と呼ばれている。そういう者達は世界を渡る際に特殊な能力を獲得するらしい』

 

成る程、大体分かってきた。

つまりは俺のユニークスキルの一つである『放浪者』や『撮影者』を獲得したのにも納得が行く。

若しかしたら、俺やこのスライムと同じ様に、日本人もこの世界に転移している可能性もある。

 

スライム『ちょっとその異世界人に会ってみたいと思います!』

ヴェルドラ『...何だ?もう行ってしまうのか?』

スライム『しょんぼりしてる!?』

 

この場を後にしようとした俺達を見て、ヴェルドラは露骨に寂しそうな表現をしていた。

 

アキノリ「俺は少しだけお(いとま)しよう。他にも聞きたい事があるしな...お前はどうすんだ?」

スライム『え、ええっと!俺も、もう少し居ようかな?どうせ暇ですし...』

ヴェルドラ『そうか!ゆっくりしていくがよい!』

 

それを聞いて上機嫌になるヴェルドラ。

どうやら邪悪な外見とは裏腹に、重度の寂しがり屋らしい。

 

アキノリ「お前はさっき封印されていたと語っていたが、何かあったのか?」

ヴェルドラ『よくぞ聞いてくれた!あれは今から三百年前の事...』

 

ヴェルドラは三百年前の出来事を俺達に語った。

三百年前にとある街を灰塵(かいじん)と化したところを討伐(とうばつ)依頼を受けた勇者が現れる。

ヴェルドラ本人は相手を舐めすぎていたのは確かで、途中から本気を出したが敗北を(きっ)してしまう。

 

アキノリ「それで、その勇者は強かったのか?」

ヴェルドラ『ああ、強かったよ。加護を受けた人間の勇者と呼ばれた存在だ』

 

そして『絶対空断』と『無限牢獄』という二つのスキルを駆使した勇者によって封印され、今に至るという。

 

アキノリ「大体分かった。その虹色の結界が無限牢獄という訳か?」

ヴェルドラ『ああ、その勇者は自分の事を召喚者と言っておったな』

スライム『召喚者...異世界人とは違うのですか?』

ヴェルドラ『三十人以上の魔法使いで何日を掛けて儀式を行い、世界から呼び出すのだ。だが、召喚主の協力な兵器としての役割も期待されておる。召喚者は召喚主に逆らえぬ様に魔法で魂に呪いを刻まれる...』

スライム『何じゃそりゃ!?酷い話ですね!』

 

スライムは召喚者の扱いに憤慨するが、俺は一つ言っておいた。

 

アキノリ「お前はそう思うだろうが、弱肉強食こそが絶対な真偽だ。会社だってセクハラとかパワハラとかよくあるだろ?どんな手を使ってでも、上に立つためならば手段は選ばないのと同じだ」

スライム『...そっか、それじゃあ何も言い返せないな。んで、勇者に封印されてからずっと此処で?』

ヴェルドラ『そういう事だ。もう暇で、暇で...』

 

そりゃ、三百年も長く滞在したら暇だよな。

 

スライム『おい、あんた。ちょっと来てくれ。話がある』

アキノリ「えっ、ちょっと...おい!」

 

スライムがヴェルドラから少し離れる様に俺は岩の間に隠れる。

 

アキノリ「んで、何だよ話って?」

スライム『実は...ごにょごにょごにょ』

 

俺はヴェルドラに相談を持ち掛けるべく、もう一度正面に出る。

 

アキノリ「おいヴェルドラ。少し話があるんだが、聞いてくれるか?」

ヴェルドラ『何だ?申してみよ』

アキノリ「俺達とダチになってみるつもりはないか?」

ヴェルドラ『!? 何だと!?スライムと人間の分際で暴風竜と恐れられる我と友達だと!?』

アキノリ「嫌なら良いんだぜ?俺はお前の事を綺麗(きれい)さっぱり忘れて、このスライムと一緒に洞窟を出るまでだ」

 

絶好宣言されたと思われ、両腕を組んだヴェルドラは恐慌しながら反論する。

 

ヴェルドラ『バッ、馬鹿!誰も嫌だと言っておらんだろうが!?...仕方がない。お前達の友達になってやるから感謝せよ!』

スライム『素直じゃないな。最初からそう言ってくれればいいのに』

アキノリ「決定だな。よろしく頼むぜ、暴風竜さん」

アキノリ『あ、ああ...』

 

握り拳、スライムの小さな義手、暴風竜の爪の先端を友情の証として合わせる。

こうして俺は暴風竜ヴェルドラとスライムのモンスターとダチになった。

 

アキノリ「それで、これからどうするんだ?」

ヴェルドラ『ん?』

アキノリ「お前が(かつ)て戦っていた勇者が掛けた無限牢獄の事だ。此処、出られないんだろ?』

スライム『まぁ、仲間が三百年も封印されていたのは可哀想だしな」

ヴェルドラ『おっ、お前達...!』

 

ヴェルドラが俺達を見て目を(うるお)わせる。

可愛い少女なら兎も角、ドラゴンがそんな表情見せるのはNGだろ。

そんなヴェルドラだが、腕を組んで洞窟に関する情報を伝えた。

 

ヴェルドラ『脱出方法があるなら有難いが...実はな、後百年も待たずに我の魔力は底を突くところだったのだ。魔素は漏れ続けておるし...』

スライム『だからこの洞窟は魔素が濃くて、貴重な薬草や鉱石が出来たのか...魔力が底を突くとどうなる?』

ヴェルドラ『大した事はない』

アキノリ「...ないのか?」

ヴェルドラ『...ふん。朽ち果てるだけの事よ』

 

長い牢獄の中で朽ち果てるのは流石に可哀想だな。

そう考えていると、スライムは結界の方へ近付く。

 

スライム『''大賢者''。''捕食者''で無限牢獄を捕食しろ』

 

スライムはユニークスキルと思われる捕食者で自身の体を伸ばして触れてみると波紋が生じ、数秒で光の粒子となって弾ける。

やはり勇者の封印は格が違う様だ。

 

スライム『やっぱり。そう簡単にはいかないか...』

ヴェルドラ『無理であろう...?』

スライム『うーん。どうにかならないか?』

ヴェルドラ『おい!自分のスキルとばかり話するでない!』

 

自分のスキルと話している様子を見てヴェルドラは嫉妬しており、解析が終わるまでの間は胡麻(ごま)()る様な仕草を取っていた。

 

スライム『...飽く(まで)可能性だが、無限牢獄の内側と外側から解析出来れば解除出来るかもってさ』

ヴェルドラ『ほぉ...いや、しかし内側からと言っても、我のスキルは我と共に封印されて使えぬぞ』

スライム『情報だけ寄越してくれれば、解析はこっちでやるから』

ヴェルドラ『しかし、それには少し時間が掛かろう。お前達だってずっと此処に居ていいのか?ま、まぁ、我は別に構わんが...』

アキノリ「そうか、せっかくこの世界に来たんだ。俺達も同郷の者を探したりしたいからな」

 

改めてスライムは本題に入るべく、提案を持ち掛けた。

 

スライム「それで改めて提案だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の胃袋に入らないか?」

アキノリ「...は?」

 

まるで理解が追い付かなかった。

胃袋に入れとか言われたら誰でも躊躇(ちゅうちょ)するが、後百年経過すればヴェルドラは孤独死してしまう。

 

スライム『俺のユニークスキル『大賢者』と『捕食者』で無限牢獄を解析を行い、内部からはヴェルドラが破壊を試みる。胃袋の中では隔離されるので消滅する虞もない...どうだ?』

アキノリ「成る程。それがお前のスキルなら、可能性はあるかもしれないな...」

ヴェルドラ『...フフフフフフフフフ、フハハハハハハ...フハハハハハハハハハハハ...!!』

 

スライムのスキルに感心していると、ヴェルドラは高笑いをする。

 

ヴェルドラ『それは面白い。是非やってくれ!お前達に我の全てを(ゆだ)ねる!!』

アキノリ「おいおい。そんな簡単に信じてもいいのか?」

ヴェルドラ『無論だ。此処でお前達の帰りを待つよりも、三人で無限牢獄を破る方が面白そうだ!』

スライム『じゃあ、今から捕食者で...』

ヴェルドラ『ちょ、ちょっと待て!』

 

今直ぐにスライムはヴェルドラを体内に格納を行うが、何か大事な事を忘れっちゃいないか?と言わんばかりに制止する。

 

ヴェルドラ『その前に、お前達に名前を付けてやろう。お前達も我に名を付けよ』

アキノリ「ちょっと待て。俺には吉木アキノリっていう名前があるんだぞ!?まぁ、ファンタジーな世界に来た時は『リノア・キーア』って偽名を名乗ってるけど...」

ヴェルドラ『構わん、そちらも同格だという事を魂に刻むのだ。人間でいうファミリーネームみたいなものだが、我がお前達に名付けるのは加護になる。其処のスライムはまだ名無しだから、お前も名持ちの魔物の仲間入りが出来るぞ』

 

つまりはヴェルドラとの共通名を名乗れるのか。

流石に簡潔なファミリーネームは却下だな。

 

スライム『名持ちの魔物か。いいな...!』

ヴェルドラ『いいだろう?カッコいい名を頼むぞ』

アキノリ「そっちもな」

 

さてと。風は英語で『wind』や『air』の他にも、『gail』『storm』『hurricane』などの様々な英名がある。

ヴェルドラは確か、街一つを灰塵と化した程の騒動を起こしたから...ん?待てよ。ヴェルドラって、確か称号は『暴風竜』だったな。

だったら、この単語なら使えるかもしれないぞ。

同じタイミングでスライムは頭からびっくりマークが浮かび上がり、同時に名付けた。

 

「『テンペスト!』」

ヴェルドラ『なにぃ!?テンペストだとォッ!!!?』

スライム『だ、駄目かぁ...?』

アキノリ「いや、そうでもなさそうだぞ?」

 

突然の咆哮でスライムは溶けかけのアイスみたいになるが、その声色からしては喜びも含まれていた。

 

ヴェルドラ『素晴らしい響きだ!!今日から我は暴風竜ヴェルドラ改め、ヴェルドラ=テンペストだァァァァーーーーッ!!!!』

アキノリ「気に入った様で何よりだ」

ヴェルドラ『...そしてお前には''リムル''の名を与える。キーア、お前にも''テンペスト''の名を授ける。それぞれ''リムル=テンペスト''、''キーア・R=テンペスト''を名乗るがよい!』

 

その時、俺達の魂の奥底で何かが変化した。

キーア・R・テンペストの名が魂の奥底で刻まれた事を。

スライム改めリムルの体が発光すると同時に再構築され、取り出したネオディケイドライバーのデータ収集装置『ペリドットメジャー』の上に一つの紋章が刻まれる。

片仮名で『カメン』の『メ』が、10時10分を指していた紋章だった。

 

放浪者《告。ネオディケイドライバーに新たなライダー『ジオウ』の力が追加されました。使用可能とされる条件としては平成ライダーをクウガからビルドまでのライダーに変身する必要があります》

 

説明有難さん、放浪者。

これで今後の戦いで力を発揮出来る。

 

リムル『俺は...リムル=テンペスト』

キーア「同じく、キーア・R=テンペスト」

ヴェルドラ『リムル、そしてキーア...』

リムル「じゃあ今から俺がお前を喰うけど、さっさと無限牢獄から脱出してこいよ?」

ヴェルドラ『ふふふ、任せておけ。そんなに待たせずにお前達と相まみえようぞ』

キーア「...決まりだな!」

 

俺は二眼カメラのシャッターを押す事でユニークスキル『撮影者』を発動し、ヴェルドラの情報源を記録。

続けてリムルは自身のユニークスキル『捕食者』を使用。

まるで蛇が飲み込んだ卵の殻を割るかの様にヴェルドラを無限牢獄ごと包み込む。

(やが)て元のサイズに戻り、リムルはもう一つのユニークスキル『大賢者』に無限牢獄の解析を任せた。

 

キーア「...実に呆気なかった。今まで三人で話してたのに、何だか(さみ)しいな」

 

この日、世界に激震が走った。

天災級モンスター''暴風竜ヴェルドラ''の消滅が確認された。

その原因を作った俺とリムルは、そんな騒動をも知る(よし)もなかった。

放浪者に聞いてみたところ、ヴェルドラの反応はないが完全に消滅した訳ではない。

そういえば、ディケイドライバーの他にも何かありそうな気がするな...。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

OP『氷川きよし/限界突破×サバイバー』

 

 

~次回、消滅したらネオに覚醒してた件~

 

ベルヤード「ヴェルドラが消滅したという事は、魔物の活性化が予想されるのだぞ!?」

 

リムル『ヴェルドラを食ってから、何日過ぎただろう...?』

 

エレン「なんか魔物の気配を感じたんだけど、気のせいかなぁ...?」

 

ディケイド「この世界での初陣(ういじん)だ。変身!」

 

ゴブリン「強き者よ。この先に何か用事がお有りですか?」

 

第二話:ゴブリン邂逅

 

 

全てを破壊し、全てを繋げ!

 

 

 

 




ステータス
名前:吉木アキノリ
種族:人間
加護(←New!):暴風竜の紋章
称号:世界の破壊者
魔法:なし
技能:ユニークスキル『放浪者』、ユニークスキル『撮影者』、ユニークスキル『生還者』、ユニークスキル『破壊者』、ユニークスキル『接続者』
固有スキル:『銀極光窓簾(オーロラカーテン)』、『機器十年器(マシンディケイダー)
エクストラスキル(←New!):『不老』、『魔力感知』、『力量操作』、『魔力感知』
耐性:なし

~今作オリジナルスキル~

エクストラスキル『不老』
このスキルを持っている人間は不老となる。

エクストラスキル『力量操作』
本人のイメージ通りに力量を調整出来る。
この能力を駆使して、生身の人間であれど気絶させる程の威力に調整可能。
また、自身の体重も調整可能。

ユニークスキル『放浪者』
エクストラスキル『完全記憶』から進化したスキル。困った時に様々な知識を授けてくれる。
撮影者と連動して様々な解析を行い、あたかも独立した人格があるかのようにキーアの脳内に語りかけてくる。

ユニークスキル『撮影者』
対象を情報源として保存するだけでなく、対象を解析。
倒した魔物によっては、耐性やスキルを自分の物にしたりする事も出来る。
又、撮影したものの対象の擬態や、情報をライドブッカーと連動させる事で新たなライダーカードの生成や対象の複製が可能。

ユニークスキル『生還者』
対象の魂を保管することが出来る。

ユニークスキル『破壊者』
対象の物質体(マテリアルボディ)・星幽体(アストラルボディ)・精神体(スピリチュアルボディ)のどちらかを十秒間の間だけ機能を破壊する。

ユニークスキル『接続者』
仲間との思念伝達が可能。
更に生還者と連動することで、保管した魂を別の対象に移す事も可能。

コンプリートフォーム(平成1期)の解禁は...

  • オークロード戦
  • カリュブディス戦
  • 精霊の棲家での攻略
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