消滅したらネオだった件   作:ライノア

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第十四話前編:黒幕

GELMUD SIDE

 

ゲルミュッド「クソ共がッ!!役立たずめッ...!!」

 

俺は樹妖精(ドライアド)から巻いた後、癇癪(かんしゃく)を起こして地面に叩き付けた水晶球の破片を踏み付ける。

鬼人だと?ゲルドには大鬼族の者の里を襲わせたが...まさか、生き残りが進化したとでも()うのか!?

それにあの獣と獣人族(ライカンスロープ)(もど)きの獣人だ!ジュラの森にあんな化け物が居るなど聞いてないぞ...!

俺が知らぬ所で、一体何が起きて居ると云うのだ...!?

状況の整理が追いつかない。まずい!何とかしなければ...!此処まで来た計画が全て潰れてしまう...!!このままでは俺が、俺があのお方に殺されてしまう...!!

 

???「何だか焦っている様ねぇ〜。ゲルミュッドちゃん」

ゲルミュッド「!?」

 

色艶(いろつや)のある声色(こわいろ)に向き直ると、其処には黒いフードを被った女が居た。

俺の協力者の一人である異世界人 シエリ・ヒメザキと、その(はし)に居るもう一人の異世界人トウキ・ワダナガだった。

その時、俺の右耳が銃撃で飛ぶ。

 

ゲルミュッド「がぁあああああああッ!?」

 

一瞬の痛みが後から伝い、俺は飛ばされた箇所(かしょ)を抑えながら苦鳴を上げる。

 

トウキ「...これは一体どういうつもり?」

 

無様に苦しむ俺を無視して奴は氷よりも冷徹な言葉を吐く。

威圧を込めて声が静寂(せいじゃく)な森全体に響き、俺は出る(はず)もない脂汗(あぶらあせ)(まみ)れた様に言い(つくろ)う。

 

ゲルミュッド「ま、待ってくれ!す、直ぐに原因を調べに———ひぃっ!?」

 

瞬時に後頭部に銃を当てられた俺は弱気な声を上げ、恐怖と焦りで言葉を上手く出せなかった。

俺を(あざ)ける様に高みの見物となっていたヒメザキはゆっくりと歩み寄る。

 

シエリ「んふふ。いい声ねぇ...そんなあんたに力を与えてあ・げ・る」

ゲルミュッド「力だと?人間風情の持つ力を、この俺が受け入れるとでも———っ!?」

 

銃身を向けて引き金を引こうとしたが、ヒメザキは手で制止しながら口を開く。

 

シエリ「あらぁ。受け入れないなら別に良いのよ?でもぉ、若し受け取らなかったらぁ...あんたはあのお方に殺されちゃうかもよぉ?」

ゲルミュッド「っ!?」

 

完全に弱みを握られている。

本来ならこの失態を全力で取り繕う筈が、たかが人間(ごと)きに謎の圧感に押されてしまう。

完全に逃げ場は無くなった。その事実を悟ってしまった俺は奴等の言葉に乗るしかなかった。

手渡されたのは中央に右手を模した装飾が付けられているドライバーと、魔物の爪が宝石を鷲掴みにしている様な(すみれ)色の指輪だった。

俺はドライバーのこの指輪の使い方を最後まで聞き終えると、トウキから警告を(うなが)された。

 

トウキ「最後に、フレイからの伝言だよ。『早くした方がいいわよ。私は寛大だから、待ってあげるわ』って」

ゲルミュッド「フ、フレイ様が...貴様らの様な人間と云う下等な種族に力を与えられるとはな。頭に来るが、俺にはもう時間がないという事か...クソッ!!」

 

更に追い討ちを掛けられ、俺は飛翔魔法を唱えて音速に到達しそうな速度で湿地帯に向かう。

こいつらの警告など、いちいち聞いてられない。野望の事など既に頭から消し飛んでいた。

俺の思考を占めるのは『死にたくない』という思いだけ。

魔王を舐めているつもりは微塵(みじん)も無かった。絶対的存在なのは重々承知している。

だが、やはり舐めていた。俺には自身が上位魔人であるという自負がある。だからこそ一体ならば魔王相手でも勝てなくとも良い勝負が出来ると考えていた。

それが四体もいたからこそ、恐れ(へりくだ)る必要がある。

だが、それは単なる間違いだった。

魔王は魔王であるからこそ恐れられているのだ。恐れられているから魔王なのではない。

そう認識した俺は自らの思い上がりに恐怖する。魔王と対等な関係など俺には不可能なのだ。

そう心から理解出来た。魔王を測る事すら出来ない者に魔王を語る事は出来ないと。

(おのれ)の野望の為ではなく、己の生存を懸けて全力でこの失態を取り繕う必要があると、俺はそう自分に言い聞かせて湿地帯へと向かった...。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

B SIDE

 

ディケイドA「悪い、遅れた!」

蛮鬼「キーア様!兄!」

鎧武「兄ちゃん!緑羽さん!」

弾鬼「その声は...橙矢か?」

鋭鬼「あの蜥蜴(とかげ)が変身したライダーに似た様な装飾だねぇ」

 

オーロラカーテンを潜り抜けたリーダーと蒼影、緑羽の三人がC達と合流を果たす。

 

鎧武「あいつが変身したライダーよりは遥かにマシだよ」

グリドン(水色服の蜥蜴人族)「お前!ガビル様をバカにしたな!?」

ナックル「今のは聞き捨てならねぇな!」

黒影(忍者服の蜥蜴人族)「(しか)り!」

ディケイドC「四人共、今は喧嘩してる場合じゃないでしょ?...ん?」

 

ガビルが変身した黒影基い黒影・真の見た目を不評価した橙矢に憤慨する木の実ライダーズだったが、即座に横槍を入れたCに(なだめ)められる。

上空から俯瞰(ふかん)していたリムルが迎撃(げいげき)準備を整えようとした矢先に上空から赤い光が見えた。

豚頭族軍と交戦中だった紅丸達も目線が赤い光に注目し、俺やイリュージョンズもその気配を捉えていた。

ジェット機を連想させる風切り音。地面に降り立った赤い流星が土煙を巻き上がる。

巻き上がった土煙が完全に晴れると、その者が姿を現す。

赤い蝶ネクタイを付けている白いスーツを纏い、頭にはプラスの装飾を付けた白いシルクハット。

エルフに似た様な薄紫の鋭利な耳。片方たる右耳は何者かによって切断され、その傷口から出た血がスーツの肩部分を赤に染め上げる。

 

リムル「魔人か?」

ディケイドB「...間違いない。こいつがゲルミュッドだ」

リムル「あいつが...?」

 

俺が言った様に、紅丸達の前に立つ魔人こそがゲルミュッドだ。

ペスト医師を連想させる金色の仮面が、より威圧感を際立たせる。

 

ゲルミュッド「一体どういう事だ!?このゲルミュッド様の計画を台無しにしやがって!!」

 

杖の先端を紅丸達に向けながら(わめ)き散らすゲルミュッド。

上位魔族にして今回の黒幕で、俺達がこの世界で最初に出会った魔族であった。 

そこはかとなく漂う小物臭。俺が理想と思っていたその威圧感は紅丸達に対して喚き散らした事で台無しとなった。 

 

ゲルミュッド「もう少しで俺の手足となって動く、新しい魔王が誕生したの云うのに...!!」

裁鬼「...魔王?」

ゲルミュッド「そうだ。だから名付けをしまくった!種を巻きまくったんだ!最強の(こま)を生み出す為になァッ!!!!」

 

ゲルミュッドがゲルドの名付け親であり、名付けを断った逆恨みで大鬼族の里を襲わせた事は既に知っている。

だが、その真の目的が最強の駒『新たなる魔王』を誕生させる為。同胞を豚頭族達に(けしか)けた元凶に紅丸達は怒りの炎を燃やす。

 

闘鬼「...その為に」

弾鬼「我等の里にも...!」

勝鬼「来たと云う事か...!?」

鎧武「お前が父ちゃんと母ちゃん、村の皆を...!!」

鋭鬼「最早許す価値も微塵も無くなったねぇ...!!」

 

酷い言い様だ。

紫苑が剛力丸の柄を強く握り締める程に右腕を隆起させる。

鬼人達が戦闘態勢になる中、ゲルミュッドが喜びの声を上げる。

 

ガビル「おおっ!これはゲルミュッド様!」

黒影(忍者服の蜥蜴人族)「これが、ガビル様の名付け親...!?」

ガビル「どうして此処に?()しかして、吾輩(わがはい)達を助けに———「役立たずの鈍間(のろま)がッ!!」

!?」

 

その時、ゲルミュッドが自身の所業を(たな)に上げて罵詈雑言(ばりぞうごん)を打つける。

 

ゲルミュッド「貴様もさっさと豚頭帝(オークロード)(かて)となれ!」

ガビル「はぁっ!?」

グリドン(水色服の蜥蜴人族)「あの人、何を言ってるの?」

 

呑気なグリドンは何を言っているのか全く理解出来ていなかったが、次の言葉で完全に理解してしまった。

 

ゲルミュッド「役に立たない無能の分際でいつまでも目障りな奴よ。豚頭帝に喰われ、力となれ!

俺の役に立って死ねるのだ。光栄に思うがいいぞ?」

 

突然の裏切りで開いた口が開かないでいるガビル。

ゲルミュッドは豚頭帝の方へ向き直って指示を下す。

 

ゲルミュッド「()れ!豚頭帝!!」

鬼餓「......」

ゲルミュッド「...どうした?」

鬼餓「...魔王に進化とは、どういう事か?」

 

無言で名付け親を見下ろすゲルドに、ゲルミュッドは後退して声を掛ける。

どうやら豚頭魔王に進化する条件を理解していない様だ。

そりゃそうだ。何せ他の種族を喰らってきたとはいえ、喰ったのは豚頭族の兵士達なのだから。

それもあるが、飢餓者(ウエルモノ)と他種族を喰らった影響で意識が混濁(こんだく)している可能性が高い。

その事を勘付かないでいたゲルミュッドは舌打ち、杖の持ち手でゲルドを差しながらその意味を分かり(ゆあす)く説明する。

 

ゲルミュッド「チッ!本当に愚鈍(ぐどん)な奴よ。貴様が魔王 豚頭魔王(オークディザスター)になって、このジュラの森を支配するのだ!それこそが私と、()()()()の望みだ!!」

リムル「()()()()...?」

ディケイドB「どうやらこの戦いに、別の奴が糸を引いている様だな」

 

リムルは疑問を呟き、俺はゲルミュッドを裏で糸を引いていた存在を知る。

まぁ、未だにどんな奴かは知らない訳だが。ゲルミュッドは黙然としているゲルドに罵詈雑言を打つける。

 

ゲルミュッド「何を()けっとしている!?豚がッ!!...時間がない。手出しは厳禁だが、俺が殺るしかないか...!!」

『ドライバーオン!ナウ!』

 

そう言うとゲルミュッドは黄土色のチョッキのボタンを外すと、ベルトの中央部分にウィザーソードガンに付いていたハンドオーサーに類似した右手の装飾を(あら)わにする。

赤く縁取られたドライバーオンウィザードリングを(かっざ)すと、呪文詠唱スピーカー『スペルエンチャンター』から音声と共に荘厳(そうごん)の鐘の音が鳴る。

赤いラインと黒い配色が施された両端に左右の操作レバー『シフトレバー』が付いているドライバーとして顕現した。

シフトレバーを親指で操作し、赤く縁取られた手の装飾『パームオーサー』を右手から左手に変えて変身待機音を鳴らす。

 

『シャバドゥビタッチヘンシーン!シャバドゥビタッチヘンシーン!シャバドゥビタッチヘンシーン!シャバドゥビタッチヘンシーン!』

ゲルミュッド「変身!」

『チェーンジ...ナウ!』

 

翳した左手から薄紫色の魔法陣を潜り抜けたゲルミュッドを、宝石を(わし)掴みにした三本の爪の様な装飾が特徴的な頭部を持つライダーへと姿を変える。

黒い両肩装甲には巨大な赤い(とげ)が出っ張り、胸部装甲の中央には六角形の宝石が埋め込まれている。

左手と同化された巨大な爪には頭部と同じ指輪が()められ、漆黒の魔物を模した両足と尻尾を持つライダーの名は『仮面ライダーメイジ』。

本来の色は琥珀(こはく)、青、緑の何方(どちら)かだが、ゲルミュッドの場合は薄紫となっている。

 

ディケイドC「今度は...メイジ!?」

ディケイドD「一体どれだけライダーが出れば気が済むんだ。この世界は...!」

 

CとDが突っ込みを入れている間にゲルミュッドはシフトレバーを操作して右手に変えると、ドライバーオンウィザードリングからウィザードの顔が彫られた紫のウィザードリングに変えてパームオーサーに翳す。

 

『エクスプロージョン!ナウ!』

グリドン(水色服の蜥蜴人族)「ガ、ガビル様!」

黒影(忍者服の蜥蜴人族)「お逃げ下され!!」

メイジ「死ねぇッ!!」

 

(ようや)く今の状況を理解したグリドンと黒影が背中を向けてガビルを死守する。

その前に立ったナックルがカッティングブレードを倒そうとするが、ゲルミュッドの翳した(てのひら)の方が早かった。

薄紫の魔法陣から放たれた魔力弾が着弾したと同時に強大な爆発がナックル達を襲う。

その威力は甚大(じんだい)で、一撃でナックル達に大ダメージを与えると同時に変身解除させた。

 

ガビル「お、お前達...!?」

水色服の蜥蜴人族「ガ、ガビル様が無事で...」

茶色い軽装甲の蜥蜴人族「良かっ、た...」

ガビル「あぁ...!あ、あ...!ぁあっ!ああっ...!ぅ、ぅぉあああああああああッ!!!!ゲルミュッド様ァッ...!!!!」

 

重傷を()った取り巻き三人は朦朧(もうろう)しながらも、ガビルの無事を安堵(あんど)して意識を手放す。

突然の裏切り。まるで理解が追い付かずに混濁し、目の前で部下が倒れる光景に絶望の表情で、慟哭(どうこく)を上げるガビル。

それに構わずゲルミュッドはシフトレバーを操作してウィザードリングを連続でパームオーサーに読み込ませる。

 

『ジャイアント!デュープ!スクリュー!ナウ!』

メイジ「豚頭帝の養分となり、俺の役に立つがいい!!」

 

特大な魔力弾を撃ち出さんと頭上にオーラを凝縮(ぎょうしゅく)させるゲルミュッド。

五本の爪『スクラッチネイル』に特大の魔力弾を撃ち出そうとオーラを集中し始めた。

凝縮させた巨大な魔力弾はウィザードリングの効果で数十個に分散させ、更には数が二倍となる。

最後に円形から螺旋(らせん)状に変化させ、属性に炎を付加(ふか)させる。

 

メイジ「ハハハハハハハハ!上位魔人の強さを教えてやる!死ねぇッ!!」

『イェス!スペシャル!アンダースタンド?』

メイジ「灼熱螺旋演舞(トリッド・スクリューダンス)!!!」

ガビル「ゲルミュッド様ァァァァァっ...!!!!」

 

炎を付加させた螺旋のエネルギー弾が一斉にガビルに降り注ごうとしていた。

だが、こんな形で最期を迎えさせるのは俺達にとっては後味が悪すぎる。

 

ディケイドA「次から次へと後味が悪させるな!」

【フォームライド ビルド ライオンクリーナー!】

『ライオンクリーナー!イェア!』

 

リーダーは即座にライオンクリーナーのライダーカードをドライバーに装填し、オーロラカーテンを潜ってガビルの前に出て左腕と一体化している掃除機『ロングレンジクリーナー』を突き出してゲルミュッドの攻撃を吸引した。

 

ディケイドA「ったく、世話の焼ける様な事してんじゃねぇよ...」

 

そのまま右肩装甲の『BLDトラッシュコンバーター』により高速で分解して自身の稼働エネルギーに変換させる。

勿論の事、リムルも同時に前に出て捕食者でゲルミュッドの攻撃を無効化していた。

 

メイジ「はぁ?」

リムル「なぁ。これが全力か?この程度の技でどうやって死ぬんだ?」

メイジ「き、貴様ら...!!」

ガビル「貴方は...貴方方は一体...!」

リムル「ほれっ!」

 

命拾いしたガビルは俺達が何者かを(たず)ねるが、今はそんな余裕はない。

リムルは四つの回復薬を投げ渡し、ガビルは慌てながらも全て受け取る。

 

リムル「回復薬だ。部下達に使ってやれ」

ガビル「は、はいっ!しっかりしろ!吾輩の為に、こんなっ...!!」

 

ガビルは直ぐに部下達に回復薬を与えながら自分の情けなさを自責する。

 

リムル「さて...」

ディケイドA「やるか。イリュージョンズと鬼人メンツ、全員集まれ」

メイジ「な、何なんだこれはっ!?」

 

リーダーの呼び出しで俺達イリュージョンズがオーロラカーテンで鬼人メンバーと共にゲルミュッドの前に立つ。

同時にリムルが粘糸でゲルミュッドの全身を拘束させる。

 

リムル「こいつが黒幕か。ガビルもこんな奴に(だま)されるなんて...」

ディケイドA「まさに可哀想としか言い様がねぇな。ゴブリンも牙狼族達も、ある意味で被害者と云う事になる訳だが...」

リムル「そうだな。だけど、俺はガビルを気に入った。助ける理由なんて、それで十分だ。俺は好きに生きる事を躊躇(ためら)わないし、別に見返りが欲しい訳じゃない」

ディケイドA「ゲルミュッドがムカついただけの話だろ?それは俺達も同じ気持ちだ」

 

リグルの兄貴も名付けられた一方で戦死してしまった。

ゴブリンに戦いを仕掛けてきた牙狼族達もある意味でゲルミュッドの被害者とも云えよう。

リーダーとリムルは話し合いながらゲルミュッドの方へ牛歩(ぎゅうほ)していく。

距離が詰まったところで歩みを止めると、ゲルミュッドが戯言を吐いてきた。

 

メイジ「き、貴様ら!さっきから何をベラベラと!この上位魔人に対してこんな事———『スピ・スピ・スピード!』ぐはぁっ!?」

 

高速移動した俺の左フックが右脇腹に捻じ込まれたゲルミュッドは、拘束されたまま背後に吊り上がる。

 

ディケイドB「黙れよ。俺達は今、無性に腹が立ってんだ」

ディケイドC「余り俺達を怒らせない方が良いよ?さもないと...」

ディケイドD「豚頭帝に喰われる前に、俺達がお前を(なぶ)り殺しにするかもな。まぁ、これから楽に倒さないでおいてやる訳だし」

メイジ「貴様ら、この俺様に———ぐへぇっ!?があぁっ...!!」

 

リムルに殴り飛ばされ、倒れ込む直前にCがオーロラカーテンで背後に回り込んで首根っこを掴んで元の位置より吹っ飛ばされる。

部下に(した)われる者は好きだが、その反対は嫌いだ。

ましてや部下を使い捨てにする者に慈悲を与えるつもりは一切ない。

 

【アタックライド コネクト!グラビティ!】

 

直ぐに体勢を(ととの)えてシフトレバーを操作しようとするゲルミュッドに待ち伏せしていたDは既にディケイドウィザードに変身しており、隙を与えずコネクトで片腕を掴みながらグラビティによる重力で空中に浮かせつつライドブッカーの光弾で蜂の巣にする。

最後に地面に大きく叩き付けられ、リムルの中断蹴りで吹っ飛ばされたゲルミュッドは駄々を捏ねる子供の様に俺達に指差して恨み(ぶし)を打つける。

 

メイジ「キエェェェアッ!!貴様らァッ!終わるぞ!?あのお方がお前らを許さんぞ!!」

ディケイドD「お前はあのお方とやらに泣き付くつもりだろうが、俺達はそう甘くはないぞ?」

リムル「そのお方の事、詳しく聞かせてくれよ?誰が糸を引いてるのか...」

 

リムルが情報収集の為に牛歩し、Dがディケイドゴーストに変身しようとライダーカードを取り出す。

 

メイジ「ひぃええっ!?止めろ!来るなぁっ!」

 

怖気付(おじけづ)くゲルミュッドはゲルドに助けを求めるべく、地べたを()う様に距離を取ろうとする。

色々知っているようだし、話して貰いたい所だが隙を付いて逃げられるのも問題だ。

尋問は考えて行わないといけないが、触れた相手の過去を干渉(かんしょう)するのがディケイドゴーストの能力だ。

喰っても知識は得られず、魔法だけを習得出来る事がリムルの捕食者をある意味で互いに(おぎな)っている。

 

裁鬼「自分の役に立たない奴は消す。それがお前のやり方なんだろうな」

鋭鬼「ゲルミュッド、だったかい?大鬼族の里で全員に突っぱねられた名付けは随分と順調の様だねぇ...」

メイジ「き、貴様らは...鬼人!」

 

突然何かと打つかったゲルミュッドは尻餅を着く。

そう。打つかった者の正体は音撃戦士に変身している紅丸達。

橙矢が今一度の確認としてゲルミュッドに尋ねる。

 

鎧武「もう一回確認するけど、お前が父ちゃんや母ちゃん、村の皆を豚頭族(オーク)達に襲わせたの?」

蛮鬼「違うんだったら早く言ってよ。あたし達も豚頭族達の相手するのも飽きちゃっててさ」

闘鬼「明確な(あだ)がこれと分かれば、殺る気も出ると云う事ぞ?」

ゲルミュッド「くっ、ああそうだよ。それがどうした!?上位魔人を舐めるなァッ!!」

 

問い詰められたゲルミュッドは棚に上げていた(みずか)らの所業を認め、右手に凝縮したエネルギー弾の雨を降り注ぐ。

だが瞬時にサポートに来ていたであろうリーダーがロングレンジクリーナーで無力化。

エネルギー弾の雨を纏めて相殺し、その隙に懐に回った黄爛が二刀の刀弦響を振り下ろして斬撃を与える。

紅丸が放った黒炎を纏わせた閻魔でゲルミュッドを滅多斬りにする。

一時はスクラッチネイルで受け流すも、橙矢と緑羽の介入による剣戟(けんげき)で封じられ、両腕を拘束させる。

紅丸は後ろを向きながら閻魔の切っ先に深く突き刺し、音撃弦の一つ『極楽』を装着。

ゲルミュッドは内部から焼かれる痛みに(もだ)え苦しむ。

 

メイジ「ぐああああああっ!?あ、熱い!熱いィィィッ!!」

裁鬼「そんなものじゃないぞ。親父は俺と朱菜を逃す為に死んだ。親父だけじゃない、黄爛の両親や多くの仲間が生きたまま喰われた。死体も跡形もなく喰われ、キーア様のフェニックスロボでも生き返らせることも出来ない...そんな程度の痛みじゃなかった筈だ!!」

メイジ「ぎゃああああああああッ!!!?」

 

紅丸は閻魔の切っ先を更に深く()じ込むと、親指を立てて清めの音の準備に入る。

 

裁鬼「音撃斬・阿鼻(あび)叫喚(きょうかん)!!」

 

地獄の閻魔に裁かれて泣き叫ぶ罪人の悲鳴が響き渡る様な音が掻き鳴らされ、ゲルミュッドを内部から焼きながら清めの音を注ぎ込む。

最後の締めで強く掻き鳴らすと、ゲルミュッドは無様に転げ落ちる。

 

メイジ「おい、豚頭帝!俺を助けろ!」

鬼餓「...腹が減った」

メイジ「クソがッ!俺を助けろ豚頭帝...!いや、ゲルドよ!」

 

それでもゲルミュッドは一瞬だけ緑色の光に包まれる。恐らく今のは回復魔法だろうな。

回復魔法の使用で致命傷は受けておらず、ゲルドに助けを求めようと必死に懇願する。

その刹那、ゲルドの瞳のない白眼が一瞬だけ理性を取り戻したのか、見開いた目を細めているのが見えた。

 

メイジ「貴様がさっさと魔王に進化していれば...!」

 

ゲルミュッドの陰口に呼応したのか、ゲルドは体をふらつかせながら重く足を踏み込む。

紅丸達が臨戦態勢に移り、ゲルミュッドは漸く動き出したかと言わんばかりに高笑いする。

 

メイジ「このクズが。漸く動いたか...ハハハハハハハハハ!!こいつの強さを思い知るがいい!殺れ、ゲルド。この俺に歯向かった事を後悔させてやる!!」

 

俺は瞬時にオーロラカーテンを展開してゲルドの巨大な肉切り包丁による斬撃を防ぎ、端に居た二体の豚頭族を別の場所に移す。

何が起きたのか全く理解出来なかったゲルミュッドは、ゲルド達を隔離したオーロラカーテンを何度も蹴り続ける。

 

メイジ「おい、今のは何だ!?それに何だこの壁は!?おのれェ!どいつもこいつも使えない奴等め!後少しで、後少しで俺の計画が達成すると云うのにぃッ!!」

蛮鬼「ゲルミュッド!あんたみたいな奴は、此処であたし達がぶっ潰す!!」

メイジ「ほざくなァッ!お前ら如きが上位魔人であるこの俺に敵う筈がないんだ!!」

『イェス!スペシャル!スペシャル!スペシャル!スペシャル!アンダースタンド?』

 

黄爛が怒号を上げるが、自棄(やけ)になったゲルミュッドはシフトレバーを操作してドラゴンが火を噴き出している刻印が施された赤いウィザードリングを翳して四回詠唱させる。

 

ゲルミュッド「ぐおおおおおおおおおッ!!!!」

 

スクラッチネイルが右腕にも顕現。ドラゴンの様な翼が生え、尾部『ドッジテイル』も巨大化する。

頭部は怪物っぽくなり、その姿はライダーの姿よりも凶悪と云ってもいいだろう。

 

蛮鬼「...キーア様」

ディケイドA「ああ。此処まで来た以上、やるしかない」

シズ「アキノリ君!黄爛ちゃん!」

蛮鬼「シズお姉ちゃん!」

 

俺がオーロラカーテンを解除するすると、他の場所で豚頭族と応戦していたシズさんが合流を果たし、状況整理で何があったのかを尋ねる。

 

シズ「この辺の豚頭族は粗方(あらかた)倒したよ。状況は?」

ディケイドA「今回の黒幕であるゲルミュッドが突然現れて、洗いざらい自分の計画を喋ってくれたから大体の目的が分かった。奴は自分の意のままに動く新たな魔王を誕生させようと各地に名付けを行った。その候補があの豚頭帝 ゲルドだ」

シズ「あれが豚頭帝...アキノリ君の話だと、ゲルミュッドの配下なんだよね。何で助けようとしないの?」

ディケイドC「恐らくだけど、今の豚頭帝は飢餓者の影響で自我すら失いかけている。今は意識が侵食されて混濁している状態だよ」

 

俺が纏めた説明にシズさんは同じく利用された身として同情し、悲しげな表情を浮かべる。

 

シズ「...何だか、可哀想」

ディケイドA「ああ。全くもってその通りだ」

ゲルミュッド「シズだと?今更あの爆炎の支配者が来たところで、俺の敵ではないわ!!」

ディケイドA「どうかな?そうとは限らないぞ」

 

俺が言い返すと橙矢は転がっていたゲネシスドライバーを拾い上げ、上にある銀色のスイッチ『リフトオフスイッチ』を押してドライバーとゲネシスコアを分離させる。

 

鎧武「ちょっと借りるよ」

ガビル「それは、吾輩のエナジーロックシード...!」

『マツボックリエナジー!』

 

戦極ドライバーにあるフェイスプレートをゲネシスコアに差し替え、既に回収していたであろうマツボックリエナジーロックシードを機動して嵌め込む。

因みにこのやり方は既に橙矢に教え込んでいた為、再度教える必要はなかった。

 

『ロックオフ!ロックオン!ソイヤ!ミックス!』

 

橙矢はオレンジロックシードのキャストパッドを閉じてアンロックリリーサーを押してスライドシャックルを解錠。

オレンジアームズが一時的に頭上に戻され、別のファスナーから既に出現していたマツボックリエナジーアームズとの融合を果たす。

オレンジロックシードとマツボックリエナジーエナジーロックシードのスライドシャックルを閉じ、カッティングブレードを倒す。

陣羽織(じんばおり)を模した鎧が橙矢の頭上に被さり、飛び散る果汁(かじゅう)と共に新たな形態に進化を遂げる。

 

『オレンジアームズ!花道オンステージ!ジンバーマツボックリ!ハハーッ!』

 

両面の絵柄は松毬(まつぼっくり)鱗片(りんぺん)が無数に並び、頭部の(かぶと)パーツ『フロントブレード』こと『ジンバーブレード』とオレンジアームズの左右の装飾『リバーサルアーム』こと『ジンバーリバーサル』は銀。クラッシャー部分『ウォークラッシャー』と後頭部の多重装甲『マルチダイアーマー』こと『ジンバーマルチアーマー』は黒に変色されたと同時に一部装甲の名称が変化。

 

メイジ「何なんだ...何なんだその姿はッ!!!?」

 

鎧武『ジンバーマツボックリアームズ』が此処に誕生した。その姿を見たゲルミュッドは恐慌(きょうこう)状態に(おちい)る。

 

鎧武「お前によって、操り人形にされた種族の...皆の恨みを晴らす力だ!!行くよ、兄ちゃん!姉ちゃん!シズさん!」

ディケイドA「ああ、今回は俺達も多少ブチギレてる。楽に死ねると思うなよ?ゲルミュッド」

蛮鬼「あんたには、種族の皆が失った者の数だけ報いを受けてもらう!」

シズ「貴方だけは...絶対に許さない!」

メイジ「ほ、ほざくなァァァァァッ!!!!」

 

挿入歌『Howling over the World』

 

ゲルミュッドは口から火球を連続で俺達に向けて放つ。

リーダーが引き続きロングレンジクリーナーで稼働エネルギーに変換しつつ俺達のサポートに徹する。

瞬時にオーロラカーテンで豚頭族達と交戦中であったガタキリバ達が次々とゲルミュッドに向かって行く。

まるで(あり)が獲物の体を覆い尽くす様にガタキリバ達は頭部『クワガタヘッド』の先端から緑の電撃を、セロ距離から遠距離に放ちながら両手の逆手持ちの武器『カマキリソード』でその箇所を切り裂き、また次の箇所へと斬撃を刻む。

ガタキリバ達に紛れる様に俺達も既にゲルミュッドとの距離を詰め、俺達イリュージョンズがディケイドブラストで頭部に着弾させて牽制(けんせい)させる。

 

【フォームライド 鎧武 ジンバーレモン!ジンバーチェリー!ジンバーピーチ!】

 

シズさんと黄爛が電気と炎を纏わせた斬撃を喰らわせる中、俺達イリュージョンズも橙矢と同じ鎧武になるべくフォームライドカードをドライバーに装填する。

三つのジンバーアームズがそのまま俺達の頭上に被さって鎧として展開。

見た目は鎧武 ジンバーマツボックリと同じだが、両端の絵柄は輪切りにされたレモン、桜桃、桃が無数に並んでいる。

鎧武『ジンバーレモンアームズ』『ジンバーチェリーアームズ』『ジンバーピーチアームズ』となったリーダーは、橙矢の側に並び立つ。

 

鎧武「B兄ちゃん達、その姿...!」

ディケイドB「ジンバーにはジンバーってな。一緒に行くぞ!」

鎧武「うん!」

 

頷いた橙矢は俺と共に三日月状の弓型武器『創生弓(そうせいきゅう)ソニックアロー』のハンドルグリップ『アーチグリップ』を右手で持ちながら射撃用トリガー『ノッキングドローワー』を左手で引く。

レーザーポインター『エイミングスコープ』で照準(しょうじゅん)(さだ)める事で照射されたレーザー光が着弾予想地点を示し、暗闇や遠距離であっても射撃精度の低下を阻止する。

両端に付けられた三日月状の刃『アークリム』と繋がっているパワーアシスト装置の弦『ソニックストリング』が射撃時の反動を吸収し、発射口『アローレスト』からエネルギーの矢を連続で撃ち出す。

一切の隙も反撃も与えない橙矢の戦闘スキルは彩月を越えたと言ってもいい程に成長している。

まるで仮面越しに濁っている目が見えているかの様に、橙矢は的確に目に(あた)る部分に集中して軽くノッキングドローワーを引き離して牽制。俺は少し充填したところで充填した黄色いエネルギーの矢をゲルミュッドの(あご)を射抜く。

 

メイジ「ぐぎゃあっ!?」

 

声を上げて(ひる)んでいる隙にガタキリバ達の二十体くらいが一定の距離を取ってライダーカードを装填する。

その一方でCはジンバーチェリーの加速能力でアークリムで斬撃を繰り出した後に距離を取って赤いエネルギーの矢を放つヒット&アウェイ戦法。

Dはそのまま待機してジンバーピーチの聴覚能力を駆使しつつ、ゲルミュッドが動きそうな箇所をピンクのエネルギーの矢で的確に狙う。

例え振り払われても、ガタキリバ達がクワガタヘッドによる電撃を湿地帯に感電しない程度の威力で牽制させればいい。

 

メイジ「調子に乗るな!虫螻(むしけら)共がァッ!!」

 

怒り狂ったゲルミュッドが巨大な尻尾を()ぎ払うも直前に黄爛は距離を取り、既に俺達と橙矢は飛び上がっていた。

ソニックアローのスロット部分『エナジードライブベイ』に各種のエナジーロックシードを装填し、スライドシャックルを押し込む。

 

『ロックオン!レモン(チェリー)(ピーチ)(マツボックリ)エナジー!』

 

(あざ)やかな色がエネルギーとなって充填され、引いていたノッキングドローワーを手離す。

エイミングスコープで(とら)えていた照準は、ゲルミュッドの四肢(しし)を色とりどりのエネルギーの矢が射抜く。

一方で瞬時に振り払われたガタキリバ達は、放出した電撃を放ちながらゲルミュッドを取り囲む様に距離を取っていた。

 

ディケイドB「今のはゴブリン達の分だ」

メイジ「クソッ!此処は一度退()いて———っ!?何だ、この光は!?」

 

此処は撤退しようと両腕の翼で羽ばたこうとしたゲルミュッドであったが、まるで重りの様に体を自由に動かせない。

自身を照射している赤い光の方を見遣(みや)ると、其処にはドガバキフォームに変身していたガタキリバの姿を捉える。

ドガバキがドッガハンマーのトゥルーアイを開眼させてゲルミュッドの神経を麻痺(まひ)させていた。

 

メイジ「貴様———がああっ!?」

 

怒声を上げるよりも先にウルフェイタルクローの切っ先を胸部装甲に引っ掛けたスマホウルフがそのまま湿地を強く蹴り上げ、ハウリングショルダーによる鋭利なショルダータックルをかます。

大きく怯ませたゲルミュッドにウルフェイタルクローによる伸縮自在な斬撃を浴びせ、攻撃が当たる際に右手のハウリンググローブに噛み付く狼のオーラを発生させる同時に斬撃を与えていた。

正に『如何なる者を牙で噛みちぎり、爪で引き裂く』牙狼族の長所を体現した様にも見えた。

 

スマホウルフ「そしてこれが、牙狼族達の分だ!!」

メイジ「ぐぎゃあああああああああッ!!!!」

 

ドガバキもオーロラカーテンでゲルミュッドの頭上に瞬間移動すると、自身の重量に(あらが)って山を真っ二つにする程の斬撃を繰り出す。

 

【ファイナルアタックライド キ、キ、キ、キバ!】

【【【【デ、デ、デ、電王!】】】】

 

ドッガハンマーを湿地に突き刺した状態でドガバキは半魚人を鰭の様なパーツが付いた緑の銃『魔海銃バッシャーマグナム』を右手で(かか)げると、高速回転させた鰭状になっている三枚の安定(よく)『トルネードフィン』が高速回転。

湿地から発生した竜巻がドガバキを纏い、銃身である『アクアインテーク』で大気中の水素酸素を強制吸入し、銃口である『アクアマズル』に収束させた水の銃弾が生成される。

その端に居たのはビブレストプレートが両端に金色の宝玉を持った『ワーシップレート』として展開し、デンキュイスは金から紫。

龍の首を模した紫の電仮面の電王『ガンフォーム』が『ガンモード』となったデンガッシャーを構えると、銃身となったパーツ二番の砲身からフリーエネルギーが龍玉『ドラゴンジェム』により紫電(しでん)を帯びて充填され、胸部装甲のパーツ『ドラゴンストーム』から名の通り巻き起こした嵐でゲルミュッドに更に怯ませる。

 

ガン「ワイルドショット!」

ドガバキ「ドガバキ・アクアトルネード!」

 

放たれた二つの弾丸がゲルミュッドに着弾した立て続けにロッドが槍投げの要領で投擲(とうてき)したデンガッシャーがゲルミュッドの腹部に吸い込まれ、亀の甲羅を模した六角形のマークが浮かび上がると同時に動きを封じる。

その間にアックスが力量操作でデンガッシャーを高く投げ、オーロラカーテンでゲルミュッドの頭上に瞬間移動。

()ぐ様にデンガッシャーを手に持ち、黄色いオーラエネルギーを纏わせた斬撃を喰らわせる。

 

アックス「...ダイナミックチョップ」

ドガバキ「からの必殺!俺達の必殺技!!」

 

電王がオーラエネルギーによって伸ばしたオーラソードで左右に斬り付け、両腕で掲げトゥルーアイを解除したドッガハンマーから巨大な拳状のエネルギー『ファントムハンド』を出現させてオーラソードと共に振り下ろす。

腕部『グレードアーム』により、筋肉が通常の十倍にまで強化された事でドッガハンマーを容易(ようい)に持てる。

 

ディケイド電王「ディケイドキババージョン!」

ドガバキ「ドガバキ・サンダースラップ!!」

 

頭部の宝石に(ひび)を割らせる程の威力で湿地に叩き落とされたゲルミュッドは(いま)だに動きを封じられたままであった。

一切の命乞いも与えず、俺達は一斉攻撃の準備を完了していた。

 

ロッド「今の一撃一撃は、大鬼族(オーガ)達の分だ!」

【アタックライド バインド!】

 

ドラゴンスタイル達のビッグとコネクトによる足元に出現した四色の魔法陣が展開し、其処から飛び出した四属性の鎖がゲルミュッドの四肢を捕縛すると同時に属性ごとにダメージを与える。

まぁ、今までの攻撃は序の口で、打ち上げたところで此処からが本番だ。

無数のオーロラカーテンから通り抜ける様にして、ガタキリバやニンニンコミック達が複数のライダーにカメンライドしていた。

 

【ファイナルアタックライド オールラ、ラ、ラ、ライダーズ!】

『FINAL VENT』

ディケイド龍騎「ドラゴンライダーキック!」

 

先ずはディケイド龍騎が先陣を切り、宙に舞ったレッダーに合わせて召喚機『ドラグバイザー』が握られた左腕を掲げて高く跳躍(ちょうやく)

そのまま飛び蹴りの姿勢に移行して右足を突き出し、レッダーの火炎に背中を押された飛び蹴りを見舞わせる。

 

『スキャニングチャージ!』

オーズ達『ボンディングセブンクラッシュ!』

 

(とぐろ)を巻いたコブラがターバンになっている紫の複眼を持つ頭部、両腕に縦に分割された亀の甲羅の様な盾を持つ胴体。鰐を両顎を模した両足を持つオーズ『ブラカワニコンボ』が助走を付けてスライディングしながら飛び上がる。

脚部『ワニレッグ』の(のこ)状の外骨格『ソウテッドサイザー』が流動路『ラインドライブ』から送られたエネルギーで(わに)の顔のエフェクトが纏われ、そのまま両足で挟み込む様に蹴りを叩き込む。

 

サゴーゾ「うおおおおおおおッ!!!!」

 

サゴーゾが両腕がガントレット状に変化した強化外骨格『ゴリバゴーン』によるドラミングで発生した重力音波でゲルミュッドの機動力を奪って牽制し、その間にガタキリバが脚部『バッタレッグ』で地面を蹴って大きく飛び上がる。

ガタキリバの後に続く様にタジャドルが両肩を保護する強化外骨格『クジャクショルダー』から展開させた六枚の光翼(こうよく)で飛翔。

続いてシャウタが脚部『タコレッグ』の大部分を展開し、本物の蛸の様に八本足で空中を浮遊する。タトバもバッタレッグでゲルミュッドの頭上に飛び上がる。

ラトラーターの脚部『チーターレッグ』による疾走は一度向けられれば驚異的な破壊力に変わり、走り出してから(わず)か100ミリ秒で最高速度へと至る。

(すね)部分『チーターラムジェット』の内部の特殊筋肉が生み出す膨大な熱が身体そのものを融解させるのを防ぎ、余分な熱を此処から蒸気の様に輩出。

太腿(ふともも)部分『チーターフレーム』は(なめ)らかな曲面で構成され、随所に見られるエアロチューナーと呼ばれる窪みが疾走時に発生する気流の圧力抵抗を軽減する。

足首『チーターアンクルトゥ』で爆発的な威力で地面を蹴る事で発生する圧力と脚部へと負担を分散させ、爪先『チーターアグソール』による疾走時には地面を確実に捉える。

 

【アタックライド ブリザード!】

 

そうして黄色い蒸気を身に纏いながら高速移動するラトラーターは、ウォータードラゴンが片手から発生した青い魔法陣から放たれたブリザードでゲルミュッドの両足を凍結させたタイミングで両腕に装備された鉤爪(かぎづめ)状の武器『トラクロー』を展開。

強化コンクリートで出来たビルの壁も容易く切り裂く程の威力でゲルミュッドの頭部の両端に斬撃を喰らわせ、サゴーゾの頭部にある重力制御器官『グラビドホーン』の硬質な刺突による頭突きでゲルミュッドの顎を打ち上げる。

 

肩に二門の大型レールガンを備え、両端に赤と青のラインが走る銀のフォーゼ『マグネットステイツ』は両肩の砲台部分『アーセナリーベース』から分離させた二門のレールガン『Nマグネットキャノン』と『Sマグネットキャノン』を連結させた『NSマグネットキャノン』の砲口『フォースランチャー』の電磁場によって発生した加速力で紫電を付加させた光弾を生成する。

 

その端に立っているのは、黒いアンダースーツをメインに青い戦車を装甲として纏ったビルド『タンクタンクフォーム』と、バネが付いている赤い装甲を身に纏い双方を向いている様にも見える兎の複眼を持つビルド『ラビットラビットフォーム』。

ラビットラビットが跳躍し、脚部の装甲ユニット『ジャンプチャンプレガース』で自在に伸縮させた右足をゲルミュッドの顔の寸前で止める。

同時にタンクタンクのワールドファインダーから出現した可変型武器『フルボトルバスター』の切り替えスイッチ『セレクトランサー』を押しながら60度下げて『ブレードモード』から『キャノンモード』に移行。

 

『フルフルマッチデース!』

 

フルボトルのスロット『クアッドフルボトルシリンダー』に金と銀のフルボトル『フルフルラビットタンクボトル』を装填しつつ正座の姿勢になる事で脚部の機動ユニット『ダッシュマッシュレガース』が戦車のキャタピラと化し、両肩の『BLDタンクタンクショルダー』が45度に砲身が向けられ無限軌道形態となる。

 

マグネット「ライダー超電磁ボンバー!!」

『フルフルマッチブレーイク!』

ディケイドオーズ達「ハイヤー!ハイヤー!ハイヤー!ハイヤー!!」

 

紫の光弾と青いエネルギー弾が着弾し、ブラカワニの蹴撃(しゅうげき)、ラトラーターの斬撃、サゴーゾの頭突きが()れ違い様に攻撃。

タジャドル、シャウタ、シャウタ、タトバの順でライダーキックが空中から繰り出される。

 

『ハザードフィニーッシュ!ラビットラビットフィニーッシュ!』

『マキシマーム!クリティカールブレーイク!』

 

僅かな隙を与えずにいた偉人特有のパーツが頭部に鏤められた豪華絢爛(けんらん)な鎧を纏うゴースト『グレイトフル魂』が右手を模した青い武器『ガンガンハンド』を振り上げ、全身各部を覆う鎧『アーマーサブライム』による能力を発揮する。

偉人の能力を付加させ、右膝の『ゴエモンテクター』で運動機能の強化による高速移動と、左腰の『ベンケプレート』の攻撃力と防御力の飛躍的上昇。

右腰の『フーディプレート』の高速飛行に右脛の『ロビングリーブ』で自身を三人に分身させる。

ガンガンハンドの先端に取り付けられた破砕装置『クラッシュフィンガーズ』を右腕の『ノブナガード』で大量生成し、ガンガンハンドを勢い良くゲルミュッドの後頭部に振り下ろす。

同時に止めていた右足が縮む勢いで蹴り抜くラビットラビットの飛び蹴りと、マキシマムゲーマーになったディケイドエグゼイドが伸縮自在の右腕による打撃を喰らわせる。

 

ディケイドアギト「グランドキック!」

ディケイドブレイド「ライトニングブラスト!」

ディケイド響鬼「鬼闘(きとう)(じゅつ)鬼蹴(おにげり)!!」

メイジ「ぐわああああああああッ!!!!」

 

頭部にある角『トライホーン』を展開させたディケイドアギトが右足に浮かび上がらせた紋章をエネルギーとして集約。

ディケイドブレイドは背後に現れた飛蝗(ばった)とヘラジカが描かれたトランプを模したエネルギーが右足と胸部装甲に吸い込まれ、頭部から右足に伝って青い電撃が纏われる。

ディケイド響鬼は火炎(づつみ)に刻まれた模様のエネルギーが紫の炎となって右足に宿る。

そのまま跳躍し、三人による飛び蹴りが放たれる。

 

ファングジョーカー「ファングストライザー!!」

オールドラゴン「ストライクドラゴン!!」

ドガバキ「ドガバキムーンブレイク!!」

 

白と黒の半身を持つ鋭利な見た目のダブル『ファングジョーカー』が右半身『ファングサイド』の脚に『マキシマムセイバー』と云う刃が出現し、全てを切り裂く回転飛び蹴りを放つ。

オールドラゴンは飛び上がると同時に出現した四つの魔法陣から出て来たドラゴンがゲルミュッドを拘束して飛び蹴りを放つ。

ドガバキはガルルセイバーとバッシャーマグナムを持った状態で構えると、右足の拘束具『ヘルズゲート』を縛る鎖『カテナ』が解き放たれ真紅に染まった二翼を広げた飛び蹴りを放つ。

蹴り抜いた際にゲルミュッドの鳩尾(みぞおち)にはFの残光とキバの紋章が浮かび上がる。

 

『フルスロットール!スピード!』

『EXCEED CHARGE』

『RIDER KICK』

 

トライドロンがゲルミュッドの周囲を旋回(せんかい)し、ディケイドドライブが蹴り抜く度にトライドロンの壁面『フルガードルーフ』を蹴って何十発もの蹴りを浴びせる。

ピンボール台のバンパーに例えてみると、怪物に変貌したゲルミュッドにとっては避けづらくダメージは相当なものとなるだろう。

そして未だに展開されていた六角形のマークに吸い込まれる様にロッドが背後から飛び蹴りを放つ。

最後に赤い円錐(えんすい)状のエネルギー『ポインティングマーカー』を右足に宿すディケイドファイズと、水色のエネルギーを集約させたディケイドファイズがゲルミュッドを蹴り抜いた。

 

メイジ「この俺が、上位魔人であるこの俺が此処まで追い詰められるだと...!?有り得ん、こんな現実があってたまるかァァァァァァァァァッ!!!!」

 

自身が追い込まれるのを認められないゲルミュッドは口から火炎を充填。

俺達もこの一撃で決めるべく、必殺技を発動を放とうとする。

 

ディケイドA「決めるぞ。黄爛、橙矢!」

蛮鬼、鎧武「「うん!」」

『オレンジスカァッシュ!ジンバーマツボックリスカァッシュ!』

 

ディケイドクウガになったリーダーが溶岩の如く古代のエネルギーを宿し、助走を付ける度に湿地を一時的に蒸発させる。

湿地を大きく蹴って跳躍した橙矢が輪切りにされたオレンジと松毬の鱗片のエネルギーを潜り抜けた飛び蹴りを放ち、同じく湿地を蹴って跳躍した黄爛も黄色い電撃を宿した飛び蹴りを放つ。

タイミングは略同時で俺もマイティキックを放ち、ゲルミュッドが口から噴き出した炎と拮抗する。

 

ディケイドA「うおりゃああああああああッ!!!!」

鎧武「たりゃああああああああッ!!!!」

蛮鬼「はああああああああッ!!!!」

メイジ「馬鹿な...!!この俺が、こんな下等な奴等にイィィィィィィッ!!!!」

 

一斉に(かつ)を入れた俺達は炎をゲルミュッドを一気に蹴り抜く。

自分の手を染めず、手にした力を過信した魔竜は自身の敗北を認めぬまま爆散した。

 

蛮鬼「父ちゃん、母ちゃん、皆。(かたき)は取ったよ...」

 

 

 

 

 

 

 

 

A SIDE

 

変身が解除され、湿地を転げ落ちるゲルミュッドの前にオーロラカーテンで瞬間移動した俺は即座にメイジドライバーを強奪する。

半ば強引だが、仮にこいつが豚頭帝に喰われた状態でこれも含まれたら、とても太刀打ち出来なくなる可能性が高いとなれば迅速(じんそく)な判断だった。

因みに奴の左側のベルトに(たずさ)えられている『ウィザードリングホルダー』にあったウィザードリングは全てガタキリバ達が回収している。

俺はゲルミュッドの腹部に一撃を加え、奴が両手の中指に嵌めていたチェンジとドライバーオンのウィザードリングも回収した。

 

ディケイドA「これでお前のライダーの力を無力化した。最後に何か言う事はあるか?」

ゲルミュッド「く、クソォ...!俺は...こんな、ところで死ぬ様な「リーダー!直ぐに其処から離れて!」———がぁあああっ!?」

『!?』

 

満身創痍(まんしんそうい)となっていたゲルミュッドが遺言(ゆいごん)を告げようとしたその時だった。

何とゲルドが突然ゲルミュッドの両腕を押さえ付け、生きたまま血肉を食い千切った。

俺はCの警告に奴との距離を取って後退し、その光景を目の当たりにする。

 

鬼餓「進化...魔王...俺は...ゲルミュッド様の願いを、叶える」

ゲルミュッド「待て!止めろゲルド!!行き倒れのお前に飯をやったのはこの俺だぞ!?喰らうのは俺ではなく、鬼人共———ぎゃあああああああああッ......!!!!」

 

醜い魔人の断末魔が湿地内に響き渡り、(やが)てその声は徐々に(かす)れて聞こえなくなっていった。

 

蜥蜴人族兵士A「あれが俺だったら、今頃...」

 

CとDに助けられた蜥蜴人族の兵士がゲルミュッドの立場だったら、今頃戦死していたであろうと呟く。

命拾いした後に見た残酷な光景に、こうして今自分が生きている事への奇跡を実感する。

そんな中、ゲルミュッドの遺体を全て食い終えたゲルドに変化が起きる。

(まがまが)しく纏われた黒紫色のオーラが立ち昇り、赤黒い渦となってゲルドの姿を大きく変化させた。

その姿は鬼餓の体色を更に焦げ茶色に変化し、左右の角は平面となる。

背中には六つの外骨格が漆黒(しっこく)の毛皮を突き出す様に飛び出ていた。

その姿は最早、魔王に成り損ねた悪鬼(あっき)と云っても過言ではない。

 

大賢者《確認しました。個体名ゲルドは豚頭鬼王(オークデモンキング)へと、進化完了しました》

ディケイドA「遂にか...!!」

リムル「豚頭魔王改め豚頭鬼王 魔王ゲルド...放置する訳にはいかないよな?」

ディケイドA「当然だ。豚小屋並の部屋にある押し入れに詰め込んだ多数の服が積め込まれてるゴミ袋の中に(はえ)の卵を見掛けたら、誰だって廃棄せざるを得ないだろ」

 

俺が蝿の卵を見掛けたらどう対処するかの例えを言うと、ゲルドは自らの進化を祝福すべく魔王誕生の雄叫びを上げる。

 

鬼餓「うおあああああああああッ!!!!俺は豚頭魔王!この世の全てを喰らう者なり!!名をゲルド...魔王、ゲルドである!!」

ディケイドA「こいつを生かしておいたら、ジュラの大森林が喰らい尽くされてしまう...リムル、確実に仕留(しと)めるぞ!」

 

飢餓に()えた災禍(さいか)の悪鬼を呼ぶならば、仮面ライダー鬼餓 蘇芳(スオウ)

今此処に、ジュラの湿地帯の命運を賭けた真の最終決戦の火蓋(ひぶた)が切られようとしていた。

 

シズさんは...

  • リムル陣営
  • キーア陣営
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