消滅したらネオだった件   作:ライノア

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第十四話後編:罪から解放せし者

A SIDE

 

黒いフードの豚頭族(オーク)「...!我らが父王よ」

豚頭族兵士A「王よ」

豚頭族兵士B「魔王、ゲルド様...!」

 

黒いフードの豚頭族に続き、豚頭族郡が一斉に(ひざまず)く。

豚頭魔王改め、豚頭鬼王は自らを魔王と名乗りながら名を付けた。

この場合は《奪った》と()った方が正解だろうか? 

奴にとってはゲルミュッドを魔王にしたと云う野望を叶えたと思い込んでいるかの様にも聞こえた。

自我の無い豚頭帝の精一杯の忠誠心は、無論俺達がそんな事に気付く事はなく一切関係ない。

自我が生じ、知性の輝きを放つ目。

自らの意思で魔王を宣言した、豚頭(オーク)鬼王(デビルキング)ゲルド改め仮面ライダー鬼餓(きが)蘇芳(すおう)は、豚頭帝など比べ物にならない程に強化している。

背後に居た紅丸達が臨戦体勢になっているものの、逆に黄爛と橙矢はゲルミュッドと拮抗した影響で疲弊(ひへい)している。

ガタキリバとニンニンコミック達も既に消滅し、イリュージョンズ達は体力を一時的に温存していた。

 

裁鬼「紫苑、緑羽」

勝鬼「はっ、承知しています」

鋭鬼「これは休む暇もないねぇ!」

 

紅丸に命じられた紫苑と緑羽は鬼餓蘇芳との距離を詰めながら武器を構える。

 

リムル「...おい」

紅丸「此処は俺達にお任せを。どうやら舐めて掛かれる相手じゃなさそうです」

 

余裕な表情から真剣な表情に変わり、紅丸達はゲルドを敵と認識した。

 

紫苑「薄汚い豚が魔王だと?思い上がるなァッ!!!!」

 

魔王種に進化したゲルドをあっさりと否定して叫んだ紫苑が跳躍(ちょうやく)し、自らのオーラを(まと)わせた剛力丸を大上段から振り下ろす。

同時に緑羽も刀身に緑の炎を纏わせた刀を振り下ろし、激突した二つの剣と肉切り包丁が壮絶な火花を散らした。

金属音と共に反動によって発生した突風で、辺りに飛び散った火の粉を掻き消す様に水飛沫(しぶき)が舞う。

ただでさえ筋力馬鹿の『剛力』持ちである紫苑と緊急時に圧倒的な一撃を放つ緑羽を上回る筋力でゲルドは押し勝ってみせた。

武器を上に(はじ)かれ、包丁の面で吹っ飛ばされた二人は直ぐに空中でバク転して着地し、身を屈めながら武器を左右に構える。

距離を詰めたのを予測していたゲルドが肉切り包丁を振り上げるも、瞬時に剣線が走る。

受ける事は(おろ)か、回避も不可能。白老が音もなく放った抜刀による一閃で首を斬り落とす。

同時に紫苑と緑羽が左右を擦れ違い様にゲルドの胴体を輪切りにしていた。

 

リムル『...やった!』

ディケイドA『いや、まだだ!』

 

これは確実に即死だと誰もが思っていたが、リーダーや俺達イリュージョンズはこの程度では死んでいないと悟る。

何故なら切られた首や胴体から一瞬だけ湿地を血に染め上げるが、数秒も経たずに止血していた。

輪切りにされた胴体や四肢(しし)が、触手の様に絡み付いた黄色いオーラで繋ぎ止められた。

そして体を繋ぎ合わせていた際に拾っていた頭も、着地直前の白老と緑羽を肉切り包丁で()ぎ払う際に回収。

首の付け根と繋がると傷口からラベンダー色の霧が発生し、それが接続完了を合図していた。

白老はその迅速(じんそく)な回復能力に驚愕(きょうがく)で目を見開き、緑羽もゲルドの再生能力を評価する。

 

リムル「凄まじい回復能力だな...」

鋭鬼「ええ。首を断たれても(なお)動く回復能力は厄介極まりませんねぇ...!」

 

豚頭魔王の最も恐るべき能力は強大な回復能力であると理解した。

各種耐性を持っていないのにも関わらずこの回復力。これに耐性を加えると確実に討伐が不可能となってしまう。

 

鬼餓蘇芳「ああ...腹が減った」

 

闇に溶け込む様に瞬間移動していた蒼影にゲルドは白眼を向けていたが、既に仕掛けて居たであろう粘鋼糸を張り巡らされて退路を断たれる。

 

弾鬼「操糸(そうし)妖縛(ようばく)(じん)。これでもう逃げられん...やれ、紅丸!!」

裁鬼「腹が減ってるなら、これでも喰らってな!黒炎獄(ヘルフレア)!!」

 

翳した左手から放たれた黒紫の火球が着弾すると、黒い半球形のドーム状となって巨大な(まゆ)をゲルドごと閉じ込める。

内部を高温の嵐が吹き荒れ、()えた魔王を焼き尽くさんとその猛威を奮う。

だが、その十数秒後。半球形ドームが消失した場所に悠然と立つ豚頭(オーク)魔王(ディザスター)

炎のドームが消える直前に雄叫(おたけ)びを上げた嵐牙が一点に収束させた黒稲妻をゲルドの頭上に落とし、フェリルが交差させた腕から巨大な三日月状の斬撃を放つ。

狙いは良い、俺やリムルだったら今と同じ様に攻撃していた。

 

リムル「魔素切れか?」

嵐牙『面目ありません...!』

ディケイドA「俺達の影に潜って、ゆっくり休め」

フェリル『はっ!』

 

嵐牙が魔素切れを起こしてリムルに怒られた時と同じ大きさとなり、フェリルも全ての魔素を消費して放った一撃の影響で(ひざ)を着いて荒くなった息を整える。

二匹は今の一撃で魔素量が空になり、スリープモードになりかけていた。

こればかりは仕方ない。『黒稲妻』の消費量はかなり多く、フェリルの強大な斬撃は消費するエネルギーによっては威力が増大する。

これ以上撃つ事は出来ないだろうと判断した俺達は牙狼親子を影に避難させると、白煙(はくえん)が広がる様に晴れた。

其処(そこ)には皮膚(ひふ)は焼け(ただ)れていたゲルドの姿が俺達の目に飛び込んだ。

 

リムル「まさか...!」

ディケイドB「攻撃を受ける直前にオーラを放出させて、熱対抗を行なったんだろう。本来なら塵芥と化してもおかしくない威力だ。それだけじゃない、魔化魍紛いの音撃戦士になった影響で耐久力も尋常ではない程に上昇している...!」

ディケイドD「そんなのありかよ...!!」

鬼餓蘇芳「...これが、痛みか」

 

焼け爛れた箇所(かしょ)に黒煙が立ち上っている自分の体を見たゲルドは痛みを理解した。

先程までとは圧倒的に異なる魔力は、正に魔王を自称するだけの事はある。

若しも魔王種の状態で更に進化したら、本当の意味で魔王になるだろう。

 

リムル「嘘だろ...!?」

 

自分の渾身の一撃を耐えられた紅丸は顔を顰めるどころか、あの天然なリムルでさえも絶望の表情に(ゆが)みかけた。

確かに黒炎獄は強力だが、飽く(まで)集団向けの技に過ぎず、対個体への技には弱い。

エネルギーを無駄に散らし過ぎる為、対個体へはもっとエネルギーを収束させなければならない。

そうすれば恐らく抵抗や再生を許さず、完全に焼き尽くす事が出来ていた。

致命的なダメージを受けずに済んだゲルドの前に、首に灰色のスカーフを巻いている豚頭(オーク)将軍(ジェネラル)が跪きながらこの身を捧げようとした。

 

豚頭将軍「王よ。この身を御身(おんみ)と共に...」

鬼餓蘇芳「うむ」

ディケイドC「っ!させない!!」

【フォームライド ビルド ライオンクリーナー!】

 

Cがライオンクリーナーにビルドアップし、ロングレンジクリーナーによる吸引力で一時的に動きを止めている間にラビットラビットがビルドのライダーズクレスト刻まれた(くれない)の胸部装甲『スピーディーチェストアーマー』による強化装置で運動速度と反応速度を1.5倍に上昇。

両脚に内蔵されている『ディメンションスプリンガー』による高速で身を屈めながら跳躍し、そのまま護身術で豚頭将軍の身柄(みがら)を回収した。

 

ディケイドC「自分の命を無駄にしようとしないで!若し粗末(そまつ)にしようとするなら、今此処でお前を(ちり)一つ残さず消滅させてやる!!」

 

Cの願う『生きろ』と云う叱咤(しった)の言葉に、豚頭将軍は(わず)かながらも白かった瞳が色を取り戻そうとしていた。

豚頭将軍は(かす)かにまだ死ねないと思ったのか、何の抵抗もなくラビットラビットに身柄を拘束された。

 

ディケイドC「どうしても食べたいなら...腕だけでも我慢して!」

 

Cはフルボトルバスターで切断した右腕をゲルドに放り投げ、即座に駆け付けたフェニックスロボのリジェネレートフレイムで何事もなかったかの様に再生された。

 

リムル「自己再生と回復魔法か...」

鬼餓蘇芳「足りぬ...!もっとだ!!もっと大量に喰わせろォッ!!!!」

 

Cに投げ渡されたゲルドは片腕を食らうと黄緑色のオーラが立ち上り、焼け爛れた火傷(やけど)の跡が超高速で()えていく。

片腕だけでは満足出来なかったのか、ゲルドは腹いせに(かざ)した手から赤い魔力弾を紅丸達の頭上に放つ。

 

【アタックライド グラビティ!】

ディケイドD「行け、C!」

ディケイドC「有難(ありがと)うD!ロングレンジクリーナー!!」

 

ゲルドの牽制(けんせい)をランドドラゴンにカメンライドしたD任せ、オーロラカーテンで瞬間移動したCはロングレンジクリーナーで魔力弾を吸引する。

 

紅丸「リムル様、キーア様...」

リムル「大丈夫だ。任せろ」

 

リムルも捕食者で魔力弾を分け合う形で吸収すると、ゲルドの方へと牛歩する。

 

リムル(俺達にだってな、奥の手があるんだよ。ちょっと卑怯だが...)

【【カメンライド ディケイド!】】

 

ゲルドの背中から四つの貪欲に塗れた赤黒いオーラが生成される中、CとDはディケイドの姿に戻る。

 

B SIDE

 

その様子を見ていた黒いフードの豚頭族は唯一知性があったのか、タイプスピードタイヤから銀のラインが三つ走っている赤いタイヤ『ジャスティスハンター』にタイヤコウカンした俺が投擲した円形の盾『ジャスティスケージ』から無数の支柱(しちゅう)から突き刺さり、巨大化したジャスティスケージが上から被さる事で監獄の(おり)となる。

『ジャスティスハンタータイヤ』に装着されたフレーム『ハンティングバンパー』には高性能の衝撃吸収装置が組み込まれているため、獰猛(どうもう)な敵を取り押さえる程の防御やジャスティスケージの補強に利用出来る。

ディケイドドライブは即座にオーロラカーテンでシズさん、リーダー、黄爛、橙矢の四人を瞬間移動させた。

 

ディケイドB「其処で大人しくしていろ。柱に触れれば感電死すると思え」

蛮鬼「あれ?此処は...」

鎧武「兄ちゃん、その豚頭族...」

ディケイドA「ああ、唯一飢餓者(ウエルモノ)の影響を受けていない豚頭族だ。恐らくは魔王ゲルドの息子だろう」

蛮鬼「魔王ゲルドの、息子...!?」

 

すると、黒いフードの豚頭族はジャスティスケージ内で跪きながらディケイドドライブに請願(せいがん)する。

 

黒いフードの豚頭族「様々な姿に変える者、世界の破壊者 ディケイドよ。貴方に頼みがある...」

ディケイドA「...聞こう。成る()くお前の同胞達に聞こえない声でな」

 

黒いフードの豚頭族は頷き、他の豚頭族達に聞こえない程度に懇願(こんがん)する。

 

黒いフードの豚頭族「我らが父王ゲルドは、他の魔物を喰らった影響で自我すらも失い掛けている。王が死ねば、我々豚頭族は大飢饉(ききん)による環境が更に悪化し、一族の全滅になりかねない。我々の犯した罪は一生消えない事は重々承知している。だからどうか、飢餓(きが)に追い詰められている子供達を、同胞を救おうとした我らが王をお救い下さい!!」

ディケイドB「...やはりか。リーダーと黄爛の憶測通り、豚頭帝出現の原因は大飢饉による飢餓だったか...」

 

実はリーダーがリムルの女装に紛れて黄爛達と外で豚頭帝誕生の経歴について語っていた。

勿論の事、俺達イリュージョンズもその話を聞き取っている。

 

キーア『それで、話って何だ?』

黄爛『うん。実はね、トレイニー様から飢餓者の話を聞いて...あたし、思った事があるんだ。豚頭帝出現の原因は、飢えによる環境が原因なんじゃないかって』

キーア『...俺も同じ事を考えていた。豚頭帝は元々普通の豚頭族だった...だが、飢餓による影響で豚頭族の村は徐々に破局の状態へと(おちい)った。トレイニーさんが言っていた仮説が本当なら、豚頭帝は過去に出現していたとされた話と合致(がっち)する』

シズ『四人共。さっきの話、聞かせてもらったんだけど...私、どうしても心当たりがあるの』

黄爛『シズお姉ちゃん...?』

 

話を聞いていたシズさんが博識な知識を頼りに、俺達に話し始める。

 

シズ『魔大陸と呼ばれるところに住んでいる種族は、とても豊かな大地に住む権利を得る代償として大量の農作物を(おさ)める必要があったの。それもかなりの税で払われてて、払えない者には死が与えられるの』

 

ヴェルドラが捕食された事でジュラの森にも大きく影響が出ており、自然がより豊かになってきている。

其処に豚頭帝が少しでも森の恵みを与えるべく、ジュラの森に向かい自身も餓死しかけたところでゲルミュッドに会った可能性が高い。

 

橙矢『それで豚頭族達はどんどん追い詰められて、真面(まとも)に食事が出来ない状態に...その魔王は何もしてくれなかったの!?』

シズ『(そもそ)もの話、魔王自身が手を下す必要はないわ。魔大陸は極めて危険な場所とも言い伝えられていて、沢山(たくさん)の魔物が資源を狙って襲いに来るの。そして狙われた場所は一瞬で危険地帯と化してしまう...』

黄爛『つまり、豚頭族達は納める税が足りてなかったって事?』

緑羽『その可能性が高いねぇ...』

キーア『豚頭族達は魔王に守護を放棄された上で魔大陸から安住の地を追われる様に彷徨(さまよ)い、ジュラの森の近郊(きんこう)にまで至った...はっきり言って、豚頭族達がゲルミュッドの名付けの被害者である事は大だ』

 

シズさんの話と俺の憶測を聞いた黄爛の中にある豚頭族達に対する憎悪が薄れていった。

 

黄爛『...あたし、豚頭帝(オークロード)を助けたい。豚頭帝だけじゃない、豚頭族達が安心して暮らせる場所を一緒に見つけてあげたい!』

橙矢『俺もだよ姉ちゃん!確かに俺達は豚頭族達に村を襲われた身だけど、邪悪な魔人の良い様に利用されるのは(しゃく)に触るよ!』

 

憎悪から慈悲へと変わった黄爛と、ゲルミュッドの様な(やから)の操り人形にされるのを否定する橙矢の気持ちは誰よりも強かった。

緑羽が異論もなく(うなず)き、シズさんは兄妹の小さな成長を見て優しく微笑(ほほえ)む。

 

キーア『...決まりだな。だったら、今こそ俺のスキルを使う時が来た』

 

そして今に至り、俺は黒いフードの豚頭族にゴブタに預かっていた二眼レフカメラを見せながらゲルドを救う方法を伝える。

 

 

 

 

 

ディケイドB「俺のスキルには、このカメラと呼ばれる物で撮った対象を保存する事が出来る。魔王ゲルドの肉体から魂を切り離せば、彼を死から救える」

黒いフードの豚頭族「そんな事が...!ですが、どうやって父王(ふおう)をお救いになられるのですか?」

ディケイドB「簡単な事だ。エンゲージと呼ばれるスキルで魔王ゲルドの精神世界に侵入し、其処で魂を保護する」

ディケイドA「だったら俺が魔王ゲルドにダメージを与えている間に、リムルにゲルドを捕食するタイミングを(うなが)す。完全にゲルドを倒し切るにはそれしか方法はないが、脱出出来るタイムリミットはゲルドの肉体が完全に消滅するまで...それは同時にゲルドの魂が消滅する事を意味する。それまでの間に何とか救ってみせるさ」

 

確かな希望を胸にゲルドを救う事を宣言した俺に、ゲルドの息子は感謝の言葉を俺達に告げる。

 

ゲルドの息子「感謝する。我々を罪から救う者よ...どうか、父王をお救い下さい!」

ディケイドB「任せろ。お前らは加害者の皮を被せられた側とはいえ、罪の意識はそう簡単に消えるものではないという事だけは覚悟しておけ。しっかし、この世界でも飢餓で苦しんでる者が居るんだな。俺だったら、()ぐに駆け付けてやれるのに...」

シズ「...アキノリ君。魔王ゲルドの精神世界に入るについてなんだけど、私も連れて行ってほしい。子供達を想う気持ちは私には分かるもの。だから、私は彼の心を知りたいの」

蛮鬼「...あたしも!」

鎧武「俺も!」

 

シズさんに続く様に、黄爛と橙矢はゲルドの精神世界に行く事を決意する。

 

ディケイドA「...分かった。絶対に生きて帰るぞ」

「「「うん!」」」

 

三人が大きく頷くとゲルドの前にリムル、C、Dが立っていた。

ゲルドの息子の監視をBに任せ、俺は三人の戦いを見届ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

C SIDE

 

リムル「出番だぞ大賢者...お前に託す!さっさと敵を打ち倒せ!!」

大賢者《了。オートバトルモードへ移行します》

ディケイドC「リーダー!体力温存と同時に、其処の豚頭将軍をお願い!」

 

大賢者の声が俺とDの耳に響く。

リムルの赤く染まった九角形の瞳が、ゲルドを見遣(みや)る。

俺はリーダーに豚頭将軍の身柄を確保を任せた俺とDはガタキリバとニンニンコミックに再変身し、全ての分身達は消滅。

Dは四コマ忍法刀を操作して三人に、俺は印を結んで三人に分身する。

 

【フォームライド ゴーストグレイトフル!】

【ビルド!ライオンクリーナー!】

『剣豪発見巨匠に王様!侍坊主にスナイパー!大変化〜!!』

『ライオンクリーナー!イェア...!』

 

黒の金で構成された豪華絢爛(けんらん)な鎧を纏い、十五のパーカーゴースト達がアーマーサブライムに収まった俺はグレイトフル魂に。

Dはライオンクリーナーになり、サポートに徹する。

 

【フォームライド ビルド ラビットラビット!】

【オーズ ラトラーター!】

【ファイズ アクセル!】

【カメンライド カブト!】

『紅のスピーディージャンパー!ラビットラビット!ヤベーイ!ハエーイ!』

 

前後に繋がったプレス機に押し込まれたガタキリバが漆黒のラビットタンク『ハザードフォーム』となった矢先に現れた四肢にスプリングが備わった赤い(うさぎ)が装甲として分割し、ラビットラビットフォームにビルドアップ。

 

『ラッタラッタ!ラトラーター!』

『Change Beetle.』

 

他のガタキリバやニンニンコミックの二人もラトラーター、アクセルフォーム、カブトに姿を変えた。

 

ディケイドC「さてと...お手並み拝見と行くよ!」

鬼餓蘇芳「食らい尽くせ!混沌喰(カオスイーター)!!」

『START UP.』

 

赤黒いオーラが獲物に襲い掛かる蛇の様に俺達を蛇行(だこう)する。

触れる物全てを腐食させ、喰らう黄色いオーラそのものが豚頭魔王の能力の真髄(しんずい)

事実、その技はユニークスキル『飢餓者』の能力の一つだ。

腐食効果を(ともな)い接触する全ての物質を腐敗させる。

抵抗に失敗したら腐食し、生物ならば死が(おとず)れる。

 

ディケイドファイズ「よーい...どんッ!!」

 

鬼餓蘇芳が追撃を行う。

ファイズアクセルの操作に合わせて、スピード系のライダー達は肉眼では追えない程の速度でゲルドに接近。

 

『冷蔵庫!ジャストマーッチデース!』

 

瞬時にフルボトルバスターのセレクトランサーを(ひね)り、クアッドフルボトルシリンダーに『フルボトル』と呼ばれるアイテムを強く湿地を踏み込んで飛んだラビットラビットは素早く装填。

即座にセレクトランサーを捻ってキャノンモードに切り替え、左腕を補助グリップ『フルアシストグリップ』に持ち替える。

 

『ジャストマーッチブレーイク!』

 

全身を捻りながら必殺発動のトリガー『ブレイクマッチトリガー』を引き、(のこ)状の斬撃ユニット『FBバスターブレード』に氷を付加(ふか)させた斬撃でカオスイーターを凍結させる。

其処からラトラーターのトラクローによる三線の黄色い斬撃、アクセルフォームのライドブッカーによる高速移動の赤い斬撃、ディケイドカブトの『カブトクナイガン』と呼ばれる可変型の武器とライドブッカーの二刀流による斬撃で輪切りにした。

手間が(はぶ)けた大賢者も俺達が道を作った事で接近するのに造作(ぞうさ)もなかったが、カオスイーターが切断されても直ぐに再生してしまう。

距離が間近になったところを大賢者が右袈裟(けさ)斬りでゲルドの左腕を刎ね飛ばし、切り離された断面を黒炎が徐々に(むしば)んでいく。

再生能力を封じたが、これもカオスイーターと同じくほんの一時的に過ぎない。

黒炎を宿した刀を某仕事人が外道の血を払う様に振り、そのまま俺と大賢者はゲルドとの距離を詰める。

大賢者が振り下ろされた黒炎の刃と明日を切り(ひら)く大剣は受け身を取ったゲルドの肉切り包丁を(みね)から高火力で加熱させた。

 

鬼餓蘇芳「馬鹿な...!!」

 

驚愕で焦った表情でゲルドは距離を取り、湿地に突き刺さった肉切り包丁は一瞬で溶解。

左腕の断面を見た喰えば再生出来ると判断したゲルドは、白い目に怒りを灯しつつ残った方腕で左腕の断面ごと引き千切ってそのまま喰らった。

 

ゲルドの息子「マイロード!」

 

ゲルドの息子が手を伸ばしながら声を掛けるも、最早同胞の言葉などゲルドの耳には届いていない。

完全に飢えの力に飲まれ、吹き荒れる突風と共に発生した黄緑色のオーラが立ち上る。

 

鬼餓蘇芳「今こそお前らを喰ってやろうぞ!餓鬼之行進演舞(デスマーチダンス)!!」

 

左腕を瞬時に再生させたゲルドは両手を広げ、赤い魔力弾を生成。

質、威力、範囲の三つを兼ね備えた攻撃だが、速度が遅いのが救いだ。

投擲(とうてき)した魔力弾は数十に分散され、大賢者は捕食者で無力化させる。

Dがオーロラカーテンで大賢者の背後に瞬間移動してロングレンジクリーナーで吸引し、グレイトフルが右腕の『ツタンブレイザー』によるエネルギー集中で時空を歪ませた狭間(はざま)に残った弾を除去する。

 

【アタックライド コネクト ビッグ!】

 

その隙にゲルドが右腕で大賢者を掴もうとしたが、赤い魔法陣によって出現した巨大な右拳(うけん)がゲルドと激しく押し合う。

 

鬼餓蘇芳「ヌァッハハハハハ!このまま喰らってくれるわ!!」

【アタックライド バインド!】

フレイムドラゴン「今だ、大賢者!!」

 

立て続けにバインドによる溶岩の(くさり)でゲルドの全身を捕縛したフレイムドラゴンの掛け声と同時に、大賢者がイフリートを彷彿(ほうふつ)とさせた目を光らせる。

足元に出現した赤い魔法陣から放つ煉獄(れんごく)の炎がゲルドを襲う。

フレアサークルを浴びたゲルドは苦鳴を上げるが、完全に焼き払うまでには至らなかった。

 

鬼餓蘇芳「うあああああああァハハハハハハハハハハハハハハ...!!」

 

苦鳴を上げていた筈のゲルドが高笑いをしていた。

黒炎を含めた腕を喰らった事で、炎耐性を獲得した可能性が高い。

やはり、リムルがゲルドの肉体を喰わせるしか打開策はない。

 

大賢者《至急、再演算を行い———「CとD、リムル。交代だ」っ...!》

 

その時、リーダーが俺達に交代を命ずる。

 

ディケイドA(大賢者も悲しそうな顔するなよ。お前らのお陰で、ゲルドを救える可能性が見えてきた)

リムル(キーア。魔王ゲルドを助けるのか?)

ディケイドA(ああ、豚頭族の王たる彼が、此処で死ぬべきじゃないと思ってたからな)

リムル(...分かった。キーアの力で魔王ゲルドが生まれ変われるなら、俺はそれを見届ける。だが、最後は俺にもやらせてくれよ?)

ディケイドA(ああ。トドメは勿論(もちろん)お前に任せるつもりだ。それまで体力温存しとけよ?)

 

 

 

 

 

A SIDE

 

リムルは俺に後を任せる様に後方に下がり、俺は魔王ゲルドと対面する。

 

鬼餓蘇芳「貴様が世界の破壊者 ディケイドか...噂には聞いていた強さだが、俺には炎は通じぬ様だぞ?」

ディケイドA「そうかよ。焼き豚になって他の奴等の生きる(かて)になった方が幸せだったかもな?」

鬼餓蘇芳「...ふん」

 

皮肉を言われ、ゲルドは低く鼻で笑う。

 

ディケイドA「さっきは俺の分身達が世話になった様だな。お前は俺達を敵と見做(みな)した...今こそ本気でお前の相手をしてやるよ」

鬼餓蘇芳「ヌァッハハハハハ!!笑止!今までは本気でなかったとでも?」

ディケイドA「そうだ。だから見せてやるよ...俺の真骨頂をな!」

 

俺はパラミネートベルトの右側に付けられた携帯端末を取り出す。

マゼンタをメインに七つのラインパーツが施され、中央にあるタッチパネルの左側にはカードの差し込み口がある。

 

【クウガ!アギト!龍騎!555!剣!響鬼!カブト!電王!キバ!】

 

金色のバーコードに囲われた黒いカードの下には銅色で『DECADE COMPLETE』、下の左側には白いグローバルアイコンをバックにしたジャンボコンプリートフォームのディケイドの顔。

その下には上から順に『2000 2009』『MASKED RIDER DECADE』『08/09』と表記され、中央にはクウガからキバまでのライダークレストが刻まれている。

ライドブッカーから取り出した『コンプリートカード』と呼ばれる機動キーの役目を持つカードをファイナルカメン端末『ケータッチ』の差し込み口に装填。

クウガから龍騎は縦一直線、ファイズからキバはじぐざぐ形式になぞり、最後にFの英文字を押す。

 

挿入歌『Machiko/Winning The Soul』

 

【ファイナルカメンライド ディケイド!】

 

ライダーカードが(ひたい)に重なると、俺はジャンボコンプリートと同じ姿になる。

だが、違う点を上げるとするなら、取り外したネオディメンションバックルを右側に移し、サイドハンドルを開いた状態のネオディケイドライバーにケータッチを装着したところだ。

ディケイドの真の姿とされる『コンプリートフォーム』となった俺はライドブッカーのブッカーソードをゆっくりと剣先を()でつつ牛歩し、それを見たゲルドは再度デスマーチダンスを放つ。

 

~光の速さで駆け抜ける衝動は~

~何を犠牲にしても叶えたい強さの覚悟~

 

俺は瞬時にオーロラカーテンをドーム状に展開し、ゲルドの頭上と足元に展開していたオーロラカーテンを通じて跳ね返す。

跳ね返すと云うよりは、移動させたと云った方が分かり(やす)いだろうか?

恐らくはこの技は着弾と同時に腐敗させる効果を持っているが、技を放ったゲルド本人には効かない。

せめてもの牽制で済ませ、俺は取り外したケータッチを操作する。

炎耐性は獲得しているからな。であればこいつだ。

 

~(no fear)一度きりの~

~(trust you)この瞬間に~

~賭けてみろ 自分を信じて~

 

【ブレイド!カメンライド キング】

 

ブレイドのライダーズクレストとFの文字を押すと胸部装甲『ヒストリーオーナメント』のカードが全て金色のブレイドに更新される。

俺の端に召喚されたのは、黒いスーツをベースに13体のアンデッドのレリーフが浮かび上がっている重厚(じゅうこう)()絢爛(けんらん)な鎧を纏った黄金のブレイド『キングフォーム』。

 

【ファイナルアタックライド ブ、ブ、ブ、ブレイド!】

ディケイドCF「ロイヤルストレートフラッシュ!!」

 

俺がブレイドのファイナルアタックライドカードをネオディメンションバックルに装填し、ワールドファインダーを叩く。

サイドハンドルがない(ため)、ワールドファインダーがその役目を果たす。

同時にブレイドも俺がライドブッカーを構える動作とシンクロし、『重醒剣(じゅうせいけんん)キングラウザー』を構える。

ドーム状のオーロラカーテンを解除すると同時にスペードの10、J、Q、K、Aの順にカードのエネルギーが並び、振り下ろした武器から放たれたエネルギーの刃をゲルドに浴びせる。

技を放ったブレイドが消滅すると、続けて俺はケータッチを操作する。

 

~時には運だって必要と言うのなら~

~宿命の旋律も引き寄せてみせよう~

 

【キバ!カメンライド エンペラー】

 

続いてキバの紋章を押し、ヒストリーオーナメントが黄金のキバに置き換わる。

金色の鎧を身に纏い、赤い胸部装甲には三つ。額にある三日月の装飾にも一つの緑玉(りょうぎょく)が埋め込まれている。

背中に赤いマントをはためかせ、右腕に装着された左腕の赤いブレスレット『キバックル』に止まっている『タツロット』と呼ばれる小さな魔竜によってカテナが解き放った事で本来の姿となったキバ『エンペラーフォーム』。

 

【ファイナルアタックライド キ、キ、キ、キバ!】

ディケイドCF「ファイナルザンバット斬!!」

 

『魔皇剣ザンバットソード』に四枚の翼を持つ蝙蝠(こうもり)『ザンバットバット』が(くわ)えている刀身『インペリアルブレード』に赤いエネルギーが集約。

俺のブッカーソードにもマゼンタのエネルギーが集約され、同時に放つ事で三日月状のエネルギー刃を飛ばす。

ゲルドはカオスイーターで喰らおうとしたが、攻撃が届く直前に相殺(そうさい)された。

続けて響鬼のライダーズクレストを押す。

 

~走れ今を まだ終われない~

~辿り着きたい場所があるから~

~その先へと進め~

 

【響鬼!カメンライド 装甲(アームド)

 

二本の角が金色となり、額の鬼の顔が銀色で甲の文字が象られている響鬼紅。

真紅と金色を基調とした重圧感が(あふ)れる鎧を纏い、背中には音撃棒烈火を二撥(にばち)(たずさ)えている。

 

【ファイナルアタックライド ヒ、ヒ、ヒ、響鬼!】

ディケイドCF「音撃() 鬼神覚醒!!」

 

鎧武者の様な風貌(ふうぼう)の響鬼『装甲響鬼』は、俺の動作に合わせて拡声器と剣を足して二で割った様な武器『音撃増幅剣・装甲(アームド)声刃(セイバー)』を構える。

マゼンタと(だいだい)色の炎を纏わせた長大な剣で、デスマーチダンスを放とうとしたゲルドの両腕を豪快に()ね飛ばす。

 

~涙さえも強く胸に抱きしめ~

~そこから始まるストーリー~

 

【電王!カメンライド ライナー】

 

次は頭頂部に電車のパンダグラフを模したアンテナが付けられ、赤い電仮面の両端に紫、青、黄色と云った電王の四フォームを彷彿とさせる配色で翼の様な形でパーツが付けられている。

 

【ファイナルアタックライド デ、デ、デ、電王!】

 

赤い軽装甲とアンダースーツを纏った電王『ライナーフォーム』が、四つの電仮面が付けられた赤い剣『デンカメンソード』を持ちながら背後に現れた線路のオーラエネルギーに乗る。

勿論俺はその後ろに乗って正面に居るゲルドを()れ違う様に横一文字で斬る技だが、この技は空中戦や高速移動が得意な敵には当たらず、より強力な敵には受け止められる事が多い。

だからこそ、この時の為の保険を使う。

 

ディケイドCF「電車斬り...」

【アタックライド クロックアップ!】

 

一時的にクロックアップを使用し、高速移動能力を付加させた横一文字斬りでゲルドの半身を二つに分ける。

再生をある程度止めるべく、俺はクウガのライダーズクレストを押す。

 

~果てしなく続く~

~winning the soul~

 

ディケイドCF「行くぞ、雄大!」

【クウガ!カメンライド アルティメット】

 

(かつ)ての旅仲間の名を叫び、黒いボディを金色に(ふち)取られた攻撃的な姿をしている漆黒(しっこく)のクウガ『アルティメットフォーム』が俺の横に並ぶ。

 

【ファイナルアタックライド ク、ク、ク、クウガ!】

 

手を(かざ)す事で周囲の物質の原子と分子を操り、対象をプラズマ化させる超自然発火能力『パイロキネシス』で再生しようとしているゲルドの肉片を構成する分子をプラズマに置換させて発火させる。

発火させると云っても、力量操作でゲルドが灰にならない程度の威力で放っている。

 

【ファイナルアタックライド ゴ、ゴ、ゴ、ゴースト!ファイナルアタックライド エ、エ、エ、エグゼイド!ファイナルアタックライド ビ、ビ、ビ、ビルド!】

 

~追い続けた答えが 心惑わしたとしても~

 

『ムゲン!ゴッドオメガドライブ!』

『ハイパー!クリティカールスパーキーング!』

 

背中に単眼と無限大の文字を合わせた紋章が浮かび上がり、右足にマゼンタと銀のアニメエフェクトが纏われる。

 

~助走つけて飛び出すのさ~

~今がその時だ~

 

『ジーニアースフィニーッシュ!』

 

そして助走を付けて跳躍し、虹色のグラフでゲルドの胴体を拘束。

ディケイドのファイナルアタックライドカードを装填して一直線に飛び蹴りを放つ。

 

【ファイナルアタックライド ディ、ディ、ディ、ディケイド!】

 

~掴め今を 変えたいなら~

~描いた夢を未来に掲げ~

~恐れないで挑め~

 

グラフ線を滑走しながら出現した黄色いカードのエネルギーを突き抜ける。

解体された体を再生させつつゲルドは片腕にデスマーチダンスを凝縮(ぎょうしゅく)させて放ったエネルギー波で押し切るが、エグゼイドの能力で腐食効果をも無効化させる。

 

鬼餓蘇芳「何ィッ!?」

ディケイドCF「力量操作...70%ッ!!」

 

~走れ今を まだ終われない~

~辿り着きたい場所があるから~

~その先へと進め~

 

ディケイドCF「だりゃあああああああああッ!!!!」

 

エネルギー波を押し切った俺の右足はゲルドの鳩尾(みぞおち)に命中。

力量操作で100%中70%に威力を引き上げ、ゲルドを大きく蹴り飛ばした。

 

~涙さえも強く胸に抱きしめ~

~そこから始まるストーリー~

~果てしなく続く winning the soul~

~woh woh woh~

 

『究極の一発ゥ!パーフェクト!』

 

大きく後退して膝を突き、立ち上がったゲルドに後から表示された『HIT!』の嵐で打撃ダメージを与えるもゲルドは平然としていた。

恐らくパイロキネシスを受けた直後に肉片をほんの少しだけ喰って回復していたのだろう。

 

ディケイドCF「ぐっ...!クソッ、威力を底上げし過ぎたか...!!」

 

力量操作による威力増大の反動で、(ほとん)どの力を出し尽くした俺は膝を突いてしまった。

 

鬼餓蘇芳「...今のは中々効いたが、最早貴様には何も出来ぬ!このまま俺に喰われるがいい!!」

 

勝利を確信したゲルドは背中からカオスイーターを出現させて全てを出し切った俺を喰らおうとするが、敢えてこれを狙っていたんだよ。

死が近付いているのにも関わらず、(かす)かな希望を捨てなかった俺に笑いが溢れてしまう。

 

鬼餓蘇芳「何がおかしい?貴様は飢餓者で腐食され、我らの糧になると云うのに...」

ディケイドCF「いやぁ、標的を俺に向けてくれた事が嬉しくってさ...お陰様であいつに、本当の意味でトリを飾らせる事が出来たからな...!」

鬼餓蘇芳「あいつ、だと...?」

ディケイドCF「後は任せたぞ...リムル!!」

 

俺がタイミングを仕切る様に言うと、水色の液体が足からゲルドに絡み付く。

俺の思い通りの展開になり、『大賢者』のサポートを全面に受けて能力を駆使し戦ったリムル。

今までにない最適化された戦闘方法は『黒炎操作』も簡単に扱えているなど、リムルにはまだ使い(こな)せていなかった能力も『大賢者』のサポートを受けるならば容易く扱えた。

それでも地力の違いは如何(いか)ともし(がた)い。(やが)てはリムルの動きに対応し出し、ゲルドが優位になったかも知れない。

能力を使いこなせても、技量は上がらない。

ゲルドも進化仕立てであり、飢餓者を使い熟せていない(ゆえ)に現在は有利に戦えていただけに過ぎない。

だからこそ、一旦リムルに休息を与えてこの形に持ち込む必要があった。

 

鬼餓蘇芳「ぬおっ!?おぉっ、ぐぅうううっ!き、貴様ァッ...!!」

 

瞬間的に相手を圧倒し、最も相手の得意とする能力での戦いへと誘導する。

全ては計画通り。ゲルドはリムルを腐食させて喰らうつもりでいるだろうが、リムルもお前を飢えから解放する為に喰らうつもりなんだよ。

リムルはスライムだ。本来使えるスキルは『溶解,吸収、自己再生』の三つだ。

確かにリムルの自己再生は、豚頭魔王の能力に(おと)るだろう。だが、スライムである身体は腐食への耐性が高い。

俺はリムルの本来の姿がスライムである事を告げる。サプライズってのは、こういう時に取っておくもんだからちゃんと覚えておけよな。

 

ディケイドCF「お前も一人の敵に集中しすぎて油断した様だな。リムルは今こうして人間の姿をしているが、本来の姿はスライムだ!」

リムル「ああ!喰うのはお前の専売特許じゃねぇんだよ。俺がお前を喰うのが先か、お前が俺を喰うのが先か...相手を食い尽くした方が勝ちだ!!」

 

リムルの捕食者による侵食が進む中、ゲルドはリムルの体の一部を引き剥がして飢餓者による深緑色の煙を噴出させて腐食させる。

だが、飽く迄腐食させたのはリムルの体の一部に過ぎず、捕食者による侵食はどんどん肥大化していく。

リムルの一部が足まで到達し、ゲルドは負けじと足を踏み込んでリムルの顔を握り潰す様に腐食させる。

例え握り潰したとしても、飛び散った体の一部がゲルドの左腕に絡み付いて侵食させる。

何度腐食させて捕食者による拘束から逃れようと、リムルの侵食が止まる事はなかった。

相手の腐食攻撃で溶け出した様に思わせつつ、崩れた身体を操作して相手に絡み付いていく。

相手が気付いた時は既に遅し。

スライム本来の戦闘方法で相手を取り込む。引き剥がそうとするが、既に全身を覆っているリムルに効果はない。ご自慢の再生能力も、こうなって仕舞(しま)えばどうしようもない。

 

黄爛「キーア様!」

橙矢「兄ちゃん!大丈夫?」

ディケイドA「ああ。何とかな」

 

通常形態に戻った俺に駆け寄る黄爛達。

状況は膠着(こうちゃく)状態へと移行した。リムルの溶解攻撃に対して、ゲルドは再生能力で対抗してくる。

同時にリムルへの腐食を仕掛けてくるが、その攻撃は自己再生で防げる。

お互いがお互いを喰らい合う。その単純な光景はまるで、『(おのれ)の尾を噛む蛇』と呼ばれているウロボロスに類似(るいじ)した()なる現象。

俺達が勝つ為に、ゲルドの魂を保護する為にこの状況へと持ち込む事こそが勝利条件。

スライムの保有する『溶解,吸収』能力はリムルの『捕食者』との相性は抜群で、溶かして吸収すると同時に『捕食者』の能力が発動する。

確かに飢餓者は強力なユニークスキルだが、倒して喰う事に特化した捕食者の方が優れている。

生きている相手からも能力を解析し得る捕食者に、相手が死んでからしか能力を奪えない飢餓者。

この瞬間に勝負は決した...とこの場に居る者達はそう思っているが、俺にはまだやるべき事がある。

それは、ゲルドの魂の保護だ。さっきゲルドの息子に言ったばかりだが、リムルがゲルドの肉体を完全に消化するまで果たさなくてはいけない。

たった一度の人生でタイミングも、些細(ささい)な失敗も許されない状況において、俺は二枚のライダーカードを取り出す。

黄爛達が連れて来たであろうフェニックスロボのリジェネレートフレイムで殆どの傷が完治され、ゆっくりと立ち上がりながら一枚のアタックライドカードをシズさんに手渡す。

 

【フォームライド ウィザード オールドラゴン!】

シズ「...じゃあ、行くよ。三人共」

「「「ああ(うん)!」」」

【アタックライド エンゲージ!】

 

オールドラゴンに変身した俺に、シズさんが代役としてネオディケイドライバーにアタックライドカードを装填(そうてん)する。

両腕がドラグヘルクローになっているためネオディケイドライバーを使えず、代わりに誰かがライダーカードを装填する必要があった。

 

ディケイドA「よし...行くか!!」

 

ゲルドの頭上した赤い魔法陣にシズさん達を纏めて抱えた俺とイリュージョンズは、赤い魔法陣を潜ってゲルドの精神世界へ侵入したのだった...。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リムル「何だ?この風景...って、何でキーア達がいんの!?」

ディケイドA「落ち着けリムル。此処は恐らく、ゲルドの記憶の世界だ。そしてこれが、故郷の姿だろう」

黄爛「こんなに木が枯れ果てて...」

橙矢「ねぇ、あれ見て!」

 

魔王ゲルドの過去の記憶に飛んだ俺達の目に移った光景は、乾燥して(ひび)割れた大地に数ヶ所生えている枯れ果てた木木。

橙矢が指差した方向から子供の泣き声が聞こえた。

腹を空かせ、()せ細くなっている豚頭族の子供達。

この光景を見れば大体とは言えない程に察した。俺達の推測通り、豚頭族達が魔大陸から避難してきた枯れ果てた大地に食糧がなかった事を。

シズさんは戦争で食糧の大切さを知って、悲痛な顔を浮かべる。

泣いている豚頭族の子供達の前に現れたのは、豚頭鬼王になる前のゲルドとその息子。

ゲルドはゆっくりとしゃがみながら、子供達に優しく話し掛ける。

 

ゲルド『腹が減ったのか?少し待っていなさい...』

ゲルドの息子『...!......』

 

そう言うとゲルドは子供達の前であるのにも関わらず、自らの左腕を引き千切り、枯れ果てた大地にそっと置く。

余りにも自傷行為にも等しい悲惨な光景にゲルドの息子は頭を下げる。

 

ゲルド『さぁ、食べなさい。しっかり食べて、大きくなるのだぞ?』

 

片腕を食い終えた子供達の背中を見送った後、ゲルドの息子はこれ以上の自傷行為を止めるよう懇願する。

ゲルドの足元には、枯れ果てた地面を染めた血跡が残っている。

 

ゲルドの息子『王よ、もうお止め下さい。この大飢饉の中、王である貴方まで失っては、我ら豚頭族には最早絶望しかありません...!』

 

痛切な願いを耳に、ゲルドは再生した片腕を見遣りながら今の状況を語る。

 

ゲルド『...一昨日生まれた子が今朝死んだ。昨日生まれた子は虫の息だ。この身は如何に切り刻もうと再生するのに...これが既に絶望でなくて、何だと云うのだ?』

ゲルドの息子『王よ...!』

 

大飢饉によって追い込まれた豚頭族の子供達の為に、ゲルドは元からあった高い再生能力を(もち)いて自分の身を犠牲にしてでも命を繋いできた。

それでも将来ある多くの赤子や子供が餓死(がし)し、その光景を見続けなければならない。

ゲルド自身もそれを承知の上で行っている。

 

ゲルド『...森に入り、食糧を探す』

ゲルドの息子『!しかしジュラの森は、暴風竜の加護を受けし場所...!』

ゲルド『その暴風竜は封印されて久しい。少しばかりの恵みを...』

 

絶望的な状況に(おちい)られたゲルドはジュラの森へ(おもむ)くと告げる。

ゲルドの息子はジュラの森はヴェルドラの消失で危険な魔物が潜んでいると呼び止めるも、その逆にヴェルドラを捕食した影響で自然環境が豊かになっている。

ゲルドは布のフードを被りながらジュラの森へと向かう。

だが、自身も何も口にせず、子供達に身を与え続けた命の炎は今でも消えそうだった。

 

ゲルド(腹が減った...何でもいい。飯が食いたい...うぅっ...!)

 

うつ伏せに力尽き、倒れたゲルドの前に二人の人物が現れる。

一人はゲルドやリグルの兄貴の名付け親であるゲルミュッド、その背後に居た一人は清楚(せいそ)な美顔とは裏腹に俺が雄大と冬美を突き放す切っ掛けを作った悪女 姫崎詩慧理。

その顔を見た瞬間、俺は怒りを込み上げる様に握り拳を作っていた。

 

ゲルミュッド『お前に名前と食事をやろう』

ゲルド『...貴方は?』

ゲルミュッド『ゲルミュッド。俺の事は父と思うがいい...このまま死ぬか?』

 

生きるか死ぬかの選択を(せま)られ、(いぶか)しむ様子でゲルミュッドを警戒していたが、このまま民や子供達を放っておく事が出来なかったゲルドに選択の躊躇(ちゅうちょ)などなかった。

 

オービッグの王『名前を...そして、食事を...!』

ゲルミュッド『...お前の名はゲルド』

ゲルド『...ゲルド』

 

頭に優しく手を乗せたゲルミュッドに名を与えられたゲルドは授けられた名前を復唱。

体が発光し、名持ちの魔物となる。

 

ゲルミュッド「軈てジュラの大森林を手中に収め、豚頭魔王になれ。その為には、世界の破壊者『ディケイド』を始末しろ。奴は(いず)れ、お前の国を滅ぼさんとする''災(さいやく)''の悪魔だ」

 

其処でゲルミュッドはゲルドに名前と血肉を与えた。

これから名付けを断念した大鬼族(オーガ)の里を滅ぼす為に。

 

詩慧理『あらぁ〜、ゲルミュッドちゃん。そんなに種を植えつけて大丈夫なのぉ〜?そのせいでぇ、あんたの魔力が弱まってきてるわよぉ〜?』

ゲルミュッド『うるさい、人間と云う下等な種族であるお前の助言を受けるつもりはない。そうでなければ、俺があのお方に殺されかねない...!!』

 

姫崎に図星を突かれ、少しだけ焦るゲルミュッド。

どうやら他人の弱さに付け込んで利用しようとする悪癖(あくへき)は相変わらずの様だな。

血肉を食い終えたゲルドはゆっくりと立ち上がり、視線を姫崎の方へ移す。

 

ゲルド『...其方(そちら)の方は?』

詩慧理『あらぁ?自己紹介をし忘れたわね。あたしはシエリ・ヒメザキ...魔王クレイマンちゃんにお(つか)えする復讐者よぉ〜。そ・れ・にぃ〜、豚頭族達が飢餓に困ってる様だから、あんたに力をあげようと此処まで来たの...それは同時にぃ〜、あんたの一族を滅ぼそうと企んでるディケイドと呼ばれるバケモノを倒す事を意味するわぁ〜。報酬はたんまりとあ・げ・る。さぁ〜て、あんたならどうするかしらぁ〜?このまま子供達が飢え死にするのを黙って見るか、それともぉ〜...子供達を助ける為にあたし達という悪魔と魂を売るか...選択はあんたの自由よぉ〜?』

 

姫崎の手には黒く染まった変身音叉が握られている。

悪魔の(ささや)きが迫る中、子供達を助けたい決意を動かしたゲルドは変身音叉(おんさ)を手に取る。

 

ゲルド『...同胞は今でも飢えている。俺が魔王となった暁には、この世の飢えを引き受ける...!』

詩慧理『良い子ねぇ〜...それじゃあ、契約成立ね』

 

姫崎は怪しげな笑みを浮かべると変身音叉の持ち手をゲルドに持たせ、既に展開していたフォーム部分を自身の腕に軽く叩いて音を鳴らす。

フォーム部分に波紋が広がり、その腕を額に持って行くと(いのしし)の顔が浮かび上がる。

苦鳴を上げたゲルドの全身が深緑色の炎に包まれ、荒れ狂う様に両手で振り払うと仮面ライダー鬼餓へと姿を変えた。

ゲルドはリムルに背を向けながらこれまでの出来事を語った。

 

鬼餓蘇芳「あの方達は教えてくれた。豚頭(オーク)(ロード)となった俺が喰えば、餓死者の支配下にある者は死なない...邪悪な(たくら)みの(こま)にされていた様だが、()けるしかなかった。だから俺は食わなければならない。お前が何でも食うスライムだとしても、ディケイドが全てを破壊する悪魔だとしても、俺は喰われるわけにはいかない」

 

それがゲルドが豚頭鬼王 鬼餓蘇芳になるまで飢えの道を選んだ理由であった。

ゲルドの強い決意に、リムルは(あご)を引く様に体を低くしながら即答する。

 

リムル「食い合いは俺に分がある。お前は負ける」

鬼餓蘇芳「俺は他の魔物を食い荒らした。ゲルミュッド様を食った。同胞すら食おうとした...同胞は飢えている。俺は負ける訳には行かない...」

リムル「この世は弱肉強食、お前は負けたんだ。だからお前は死ぬ」

鬼餓蘇芳「俺は負ける訳には行かない。俺が死んだら、同胞が罪を背負う。俺は罪深くとも良い...皆が飢える事のない様に、俺がこの世の飢えを引き受けるのだ」

リムル「それでも、お前は死ぬ...だが、安心しろ。俺がお前の罪を全て喰ってやるから」

 

仲間を飢えから解放させる為に、ゲルドは飢える力と音撃戦士の力を得た。

だが、今でも尚、同胞を救う為に自身も飢えている。

リムルが豚頭族全ての罪を喰らってやる事に、ゲルドは(たず)ねる。

 

鬼餓蘇芳「俺の罪を、喰う...?」

リムル「ああ。お前だけじゃなく、お前の同胞全ての罪も喰ってやるよ」

鬼餓蘇芳「同胞も含めて罪を...ふっ。お前は欲張りだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リムル「そうだな。俺は欲張りだよ」

 

すると、リムルを中心に辺り一面が広がり、ゲルドの記憶世界が塗り替えられる。

 

挿入歌『TRUE/君の中の僕へ』

 

ゲルド「お、おおっ...!」

 

~Lead the way~

~Take me home~

~思い出は明日の道しるべ~

~ほら ほら 帰ろうか~

~With you 僕らの街へ~

 

鬼餓蘇芳から名付け前の姿に戻ったゲルドは、目の前の光景に目を見開く。

其処に広がっていたのは、鬱蒼(うっそう)とした草原に()んだ水が流れる川。

森陰からは日光が差し込み、何処からか鳥の(さえず)りや子供達の笑い声が聞こえてくる。

ゲルドが見たかった自然溢れる世界。その光景を見たゲルドは涙を流しながらリムルに謝意の言葉を述べる。

 

ゲルド「強欲な者よ、俺の罪を喰らう者よ...!感謝する...」

 

俺はネオディケイドライバーを外して変身を解除し、ゲルドの元へ近付いて(ひざま)く。

 

キーア「...魔王ゲルド。いえ、民を思う豚頭族の王よ。やっと飢える力から解放されましたね」

ゲルド「お前は...」

キーア「俺は貴方を飢えから解放したリムルの仲間です。ゲルド王、貴方の嘘偽りなき覚悟...深く心に感銘(かんめい)致しました」

 

~見上げた星は~

~過去のかがやき~

~優しくて寂しい~

 

~だけど大丈夫~

~息をするたび~

~感じてる~

~僕の中の「君」を~

 

キーア「そんな貴方であるからこそ、豚頭族の民が笑って暮らせる姿をどうか見届けてほしいのです。今、貴方の肉体は間もなく完全に消滅します。ですが、俺の持つスキルは魂を保護する力を有しています。つまり貴方の魂を現実世界で喰われている鬼餓蘇芳の肉体から切り離し、貴方を死から救えるのです」

 

~知らない未来も~

~きっと怖くない~

 

~Lead the way~

~Take me home~

~託された愛を渡すように~

 

キーア「貴方はゲルミュッドやシエリ・ヒメザキに利用される事を覚悟の上で、私利私欲の為でなく民を救うが為に飢える力と音撃戦士の力を得た。貴方の覚悟を側近から知った時、貴方はまだ此処で死ぬべきではないと悟りました。だからこそ俺は、貴方を死から救いたい...俺の力で新たな肉体も生み出せます」

 

俺は敬意を払いながら、ゲルドに生きてほしいと懇願する。

 

~生きて 生きて~

~命をつなぐよ それが~

 

ゲルド「貴方の申し出は有難い...だが、俺は数え切れぬ罪を犯した。そんな俺が助かるなど、許される事ではない...」

 

自分の罪の重さを知りながらも死ぬ事が償う罪だと思っているだろうが、俺はそれを否定して続けた。

 

~いま いま 守るべき~

~I wish 最後の願い~

 

キーア「死ぬ事だけが償う道とは限りません。それに、鬼餓蘇芳としての貴方はもう間もなく居なくなる。これから生まれ変わって、新たな道を歩む事は決して罪ではありません」

ゲルド「しかし...っ!」

シズ「自分を許せない気持ちは分かるよ。私も昔、友達を(あや)めてしまった。そんな後悔の中で生きてきた私を救ってくれた人が居たの」

 

~日が昇る頃~

~空と海とが~

~手をつなぐ まどろみ~

 

~'静か'な祈りを~

~確かめたくて~

 

シズ「私、自分の寿命が尽きそうだった。そんな私にアキノリ君は手を差し伸べてくれた。だから貴方も...生きて罪を償えるなら、その道を捨てないでほしい」

 

温かい手が触れたシズさんの優しい言葉でゲルドの心が癒されていく。

其処へ黄爛と橙矢が牛歩しながらゲルドに近付く。

 

~目を閉じた~

~朝の匂いがした~

 

~ここに来れたこと~

~きっと良かったよ~

 

黄爛「...ゲルド王。あんたは確かに、ゲルミュッドやシエリ・ヒメザキの駒にされていたかもしれない。でも、それは民や子供達を救う為に自分の意志で仮面ライダーになった事。キーア様の力で今までのあんたは消えて、''真の仮面ライダー''として罪を償う事は決して許されない事じゃない」

 

~Lead the way~

~Take me home~

~思い出は明日の道しるべ~

 

リムル「全くキーア。お前の方が俺より欲張りじゃないか...俺も良いと思うぞ。お前を喰ったのは、それしか倒す方法がなかったからだ」

 

~遠く 遠く~

~続いてくStory 永遠に~

~ほら ほら 帰ろうか~

~With you 僕らの街へ~

 

橙矢「ゲルド王。若し兄ちゃんの力で生まれ変われるなら、一緒にこの光景を現実にしようよ」

ゲルド「この...景色を...?」

キーア「そうですゲルド王。俺とリムルは楽しく暮らせる街を作っています。俺達と共に、豚頭族の皆が笑い合える街を作りませんか?」

 

俺が差し伸べた手をゲルドは涙を流しながら取る。

これで、ゲルドの魂回収の条件は整った。

 

ゲルド「本当に許されるのか...同胞達と救われ、笑い合えるのか...」

キーア「ええ。俺達でそうするのです」

 

俺はB達に魂回収の準備を(うなが)す。

 

キーア「B、C、D。始めるぞ」

B「分かった。撮影者でゲルドの能力を解析...」

C「ついでに生還者で保管したゲルド王の魂を...!」

D「接続者でライダーカードに移す!」

 

イリュージョンズ達が手順を追って魂を保護する準備が整った。

俺は差し伸べた手を取ったゲルドをカメラで撮ると、その魂がとあるライダーカードに宿る。

 

ゲルド「俺を罪から救う者よ、感謝する。俺の飢えは、満たされた...!」

 

~Lead the way~

~Take me home~

~託された愛を渡すように~

 

リムル「安らかに眠れ。ゲルド」

キーア「お前の新しい肉体は、後で作っておく」

シズ「今はゆっくり休んでいて...」

 

ゲルドの魂を移したとあるライダーカードに(ねぎら)いの言葉を掛けると、何処からか声が聞こえてくる。

 

~生きて 生きて~

~命をつなぐよ それが~

 

紅丸『キーア様!早く脱出を!』

ゴブタ『シズさん!黄爛さん!橙矢!急ぐっス!!』

 

紅丸とゴブタがエンゲージしていた俺に必死に声を掛けている。

 

キーア「おっと、そういえば時間がないんだっけな。ゲートを出入りしたいところだが、流石に時間がないな...だったら!」

 

俺は翳した手からオーロラカーテンを展開し、四人で手を繋いで潜り抜ける。

 

~いま いま 守るべき~

~I wish 最後の願い~

 

キーア「リムル。後で現実世界で合流だ」

リムル「ああ。後始末とかいっぱいあるけど、俺達なら大丈夫だろ」

キーア「...だな。それじゃあ帰るか。俺達の街に」

「「「うん!」」」

 

相棒との掛け合いを終えると、オーロラカーテンを潜り抜けた俺達は現実世界に戻るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

KIA SIDE

 

オーロラカーテンを潜り抜ける際に紅丸達が俺達が死んだのかと思い込んでいる。

だが、突如(とつじょ)出現したオーロラカーテンを見て、その理論は呆気なく破壊された。

螺旋(らせん)の形状に変形したリムルが人間体になると同時に、俺達はオーロラカーテンを完全に通り抜けた。

 

紅丸「キーア様!」

ゴブタ「シズさん達も無事で良かったっスよ!」

キーア「馬鹿野郎が、こんなので俺達が死ぬと思うか!?」

 

俺達の勝利宣言に紅丸達は歓声を上げた。

一方で飢餓者の効果が消失した豚頭族軍がゲルドの死による悲嘆(ひかん)(なげ)きを上げる中、俺が見せたとあるライダーカードを目にしたゲルドの息子は静かに瞑目(めいもく)してゲルドが飢えの力に解放された事に安堵(あんど)する。

 

ゲルドの息子「王よ。やっと解放されたのですね...」

トレイニー「流石はリムル様とキーア様。見事約束を果たして下さいましたね」

リムル「良いタイミングだな。トレイニーさん」

 

木の葉が混じった渦が弾けると、トレイニーさんが姿を現す。

 

ゴブリン兵A「おい!あれ、樹妖精(ドライアド)様じゃないか!?」

ゴブリン兵B「えっ!?」

ゴブリン兵C「うわ、本物!?」

 

その姿を見たゴブリン達は後ろでざわつき始めるが、直ぐにトレイニーさんは喉を鳴らして制止すると同時に宣言する。

 

トレイニー「森の管理者の権限に()いて、事態の収束に向けた話し合いを行います。日時は明日早朝、場所は蜥蜴人族の地下大迷宮で行います。参加を希望する種族は一族の意見を纏め、代表を選んでおく様に。以上です」

ゴブリン兵A「代表だって、どうする?」

ゴブリン兵B「えっ!?俺、無理!!」

 

豚頭族達は平然としているが、ゴブリン達は再度ざわつき始める。

まぁ、時間はまだあるからゆっくり考えればいい。

そんな中、俺達は気分を変えるべく湿地帯を見渡せる程の(おか)に移動した。

此処では蜥蜴人族(リザードマン)達の本拠地が見え、その後ろの山々から顔を出す様に夜が明けようとしていた。

 

キーア「綺麗(きれい)な夜明けだな...」

リムル「ああ。まだ話し合いがあるけど、一応終わったな」

「「(うん)はっ...」」

 

戦いの終結に、紅丸と黄爛は(うなず)く。

 

キーア「豚頭帝を討ち滅ぼしたら、自由にしてもらってもいいと云う約束だったな」

リムル「今までご苦労だった「と言いたいところだが、そうでもなさそうだぞ」えっ...?」

 

俺の遮った言葉に、リムルは言葉を漏らす。

顔を見れば分かる。この表情は、これからも俺達の役に立ちたいという決意だった。

紅丸達は俺に視線を合わせながら小さく頷き、俺達に話し掛ける。

 

紅丸「リムル様、キーア様。お願いが御座(ござ)います...何卒(なにとぞ)我らの忠誠をお受け取り下さい。我ら、これからもリムル様とキーア様にお(つか)え致します」

キーア「...だとよ」

リムル「...良いのか?」

 

リムルは無表情でも開いた口から出た喜びの声が出てしまう。

 

白老「異論は御座らぬ」

緑羽「私も爺やと同じ気持ちですねぇ」

蒼影「貴方方に会えて、自分達は幸運であります!」

 

其処へ橙矢と紫苑が俺に抱き寄る。

 

橙矢「俺も!兄ちゃんやリムル様と一緒にいたい!」

紫苑「私はリムル様の秘書兼護衛ですよ。絶対に離れませんからね!」

紅丸「我らの命、果てるまで!」

 

紫苑、黄爛、橙矢以外の四人は頭を下げるが、黄爛が一歩前に出て頭を下げてきた。

 

黄爛「...キーア様。初めて会った時に貴方を怨敵だと誤解して、本当に申し訳御座いませんでした!出来れば私達鬼人を、これからもお二人にお仕えしても宜しいでしょうか...!?」

キーア「何言ってんだよ。それはとっくに過ぎた事だろ?前にも言ったじゃないか...『俺達はお前らを受け入れる』って。これからも、宜しく頼むぞ!」

黄爛「...はいっ!」

キーア「それと、敬語は不要だ」

 

俺に敬語は不要と言い渡すと、黄爛は()に落ちた様に深呼吸をしてとびきりの笑顔で言った。

 

黄爛「...じゃあ、お言葉に甘えて。これからも宜しくね、キーア様!」

 

こうして紅丸達は正式な仲間になったのだったが、まだ問題は解決していない。

勿論の事、豚頭族達もこのまま野放しにする訳にもいかない。

この日の翌日、ジュラの森大同盟成立として歴史に刻まれる重要な会談が行われる事となる。

それに、姫崎が言っていたクレイマンという存在。

奴がゲルミュッドを裏で操っていたなら、今後も警戒心を(おこた)らずにしないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ED主題歌『Molfonica/Color of Us』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

NO SIDE

 

詩慧理「へぇ〜。ゲルミュッドちゃんを倒しただけじゃなく、名付けたばかりのゲルドちゃんをも追い込むなんて...ホンットに、強さが(けた)違いなバケモノね」

 

とある城の豪華な部屋にて、水晶球で豚頭帝の様子を鑑賞(かんしょう)していた詩慧理。

色艶(いろつや)のある余裕そうな表情とは裏腹に、キーアに対する憎悪の声が込み上がる。

其処へラプラスが現れ、トレイニーに腕を切り飛ばされた事への愚痴を(こぼ)す。

 

ラプラス「せやな。そんな事よりも、いきなり人の腕を切り飛ばすとか非常識な姉ちゃんがおったで?」

???「笑わせるな。その程度、君にしてみれば大した事ないんだろう?ラプラス」

 

ラプラスに声を掛けたのは、蝶ネクタイを付けた白いスーツを着ている薄紫色の髪を後ろに纏めた紳士的な男。

 

ラプラス「まぁな。せやけど(ふところ)の水晶も割れたらどないしよ思たから、万が一詩慧理に預けといて正解やったわ」

???「それは英断だね。私もそれを楽しみにしていたんだ...だけど、君が不覚を取るなんてあり得ないだろう?」

 

ラプラスは気楽な態度でソファーに座りながらもう一つの水晶球を詩慧理に預けていた事を語る。

これが破壊されれば、こちら側の情報収集が(はかど)らなくなるところであった。

 

詩慧理「買い被りし過ぎよぉ、クレイマンちゃん。そ・れ・よ・りぃ、これ。良くも悪くも面白い光景よぉ〜」

 

『クレイマン』と呼ばれる男はソファーに片足を上げて座り、顎に手を乗せながら詩慧理が持っていた水晶球に映ったとある光景を見ると目を見開く。

 

クレイマン「......ゲルミュッドを使えん男だと思ってはいたが、撤回しよう。奴のお陰で今後の計画が進められそうだ」

ラプラス「へーえ...中々意外な反応やな。十大魔王が人柱 人形傀儡師(マリオネットマスター) クレイマンに、其処まで言わせるとはねぇ」

 

その水晶球には、ゲルドを討ち倒したリムルとキーアが映っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第三章、突入...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~次回、消滅したらネオだった件~

 

リムル、キーア「「豚頭族の罪は、全て俺達が引き受けた。文句があるなら俺達に言え」」

 

ゲルドの息子「弱肉強食とは言っても、憎しみはそう簡単に割り切れるものではない...」

 

アビル「判決を申し渡す」

 

ラプラス「若し協力が必要なら、格安で受けおうたるわ」

 

ガゼル「俺の剣で、貴様らの本性を見抜いてくれるわ!」 

 

第十五話:ジュラの森大同盟

 

全てを破壊し、全てを繋げ!




名前:吉木アキノリ
種族:人間
称号:世界の破壊者
魔法:なし
技能:ユニークスキル『放浪者』、ユニークスキル『撮影者』、ユニークスキル『生還者』、ユニークスキル 『命名者』、ユニークスキル 『渇望者』、ユニークスキル 『構築者』、ユニークスキル『複製者』
スキル:『銀極光窓簾』、『機器十年器』
エクストラスキル:『不老』、『魔力感知』、『力量操作』
耐性:毒耐性、電気耐性、麻痺耐性、熱耐性

~使用(召喚)したカメンライド~

鎧武

未使用カメンライド一覧
-昭和-
1号、2号、V3、ライダーマン、X、アマゾン、ストロンガー、スカイライダー、スーパー1、ZX、BLACK、BLACK RX
-昭和(ネオライダー)-
真、ZO
-平成1期-
保管完了
-平成2期-
ジオウ(変身条件達成)
-TVシリーズ外-
仮面ノリダー、ホッパー1号(The First版1号)、ホッパー2号(The First版2号)、ホッパーVersion3(The Next版V3)、G、アマゾンズ(オメガ、アルファ、ネオ)

-使用したカメンライド(コンプリートフォーム)-
クウガ アルティメットフォーム、龍騎サバイブ、剣 キングフォーム、装甲響鬼、電王 ライナーフォーム、キバ エンペラーフォーム

FINAL KAMEN RIDE
-平成1期-
アギト シャイニングフォーム、555 ブラスターフォーム、カブト ハイパーフォーム、
-平成2期-
ダブル サイクロンジョーカーエクストリーム、オーズ プトティラコンボ、フォーゼ コズミックステイツ、ウィザード インフィニティースタイル、鎧武 極アームズ、ドライブ タイプトライドロン、ゴースト ムゲン魂、エグゼイド ムテキゲーマー、ビルド ジーニアスフォーム、グランドジオウ

シズさんは...

  • リムル陣営
  • キーア陣営
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