消滅したらネオだった件   作:ライノア

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~これまでの消ネオは...?~

「全員気楽にな。最善を尽くす、その事だけを考えろ!」

「今夜あのゴブリンの村を滅ぼし、このジュラの森への足掛かりを作ろうぞ!!」

「名持ちの魔物になるという事、それは!魔物としての格を上げ、進化を齎らすのです! 」

『『我が主(リムル様)。ご回復、心よりお慶び申し上げます!』』

「ルールは三つ、最低この三つは守ってほしい。一つ、人間を襲わない。二つ、仲間内で争わない。三つ、他種族を見下さない。以上! 」

「だったら、そのドワーフの居るドワルゴンとやらに行ってみる」


第四話前編:トラブル

OP『氷川きよし/限界突破サバイバー』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

KIA SIDE

ジュラの村を出発してから、俺達はアメルド大河(たいが)と呼ばれるところを沿()って北上(ほくじょう)していた。

川を沿ってでの移動は迷う事はないので、念の為にリムルが脳内イメージで地図を表示していた。

案内役の同行者は一度ドワルゴンに伝令があった者として、ゴブタに任せる事にした。

俺達の前を走るテンペストウルフに進化した牙狼族の走る速度はまるで疲弊(ひへい)感を見せていなかった。

村を出てから大体三時間は経過してるからか、一度の休憩も入れていないのにも関わらず推定時速80kmに近い速度で走り続けている。

岩場や(がけ)があっても振動で疲れさせない走り方で、俺達にとっては非常に楽だ。

これなら一週間は掛からないのかもしれない。時間はまだまだたっぷりあるし、ゆっくり気長に行こう。

 

リムル「おい、あんまり無理はしなくて良いぞ!」

キーア「疲れない程度にな?」

『『はっ!!』』

リムル「うわあ〜!何故加速する〜!?」

 

リムルはテンペストウルフ達に無理をしない様にと声掛けるが、何故か走るスピードを上げた。

嵐牙達がスピードを上げて日が沈んできたので川で一旦休憩を挟み、進行は明日に備える事にした。

理由はリグル達に色々と確認しておきたい事があったからだ。

夕暮れ空が写る川を(なが)めながら、俺はリグルにある事を(たず)ねる。

 

キーア「なぁ、リグル。お前の死んだ兄貴は誰に名前を付けて貰ったんだ?」

リグル「兄は通りすがりの魔族のゲルミュッド様に付けてもらったそうです。見所があるからと...」

 

『通りすがり』だと?それを名乗っていいのはディケイドとディエンドの変身者だけだ。

魔族が名乗っていいものじゃないと、俺は内心で嫉妬しながらクエスチョンマークを浮かべるリムルはそのその魔族の名前を聞きそびれていた。

 

リムル「ゲル...?」

キーア「ゲルミュッドだ」

リグル「魔王軍の幹部です」

 

魔王か。ヴェルドラは勇者も居ると語っていた。

なら、この世界にも魔王が居てもおかしくはないだろう。

ヴェルドラが封印されてから三百年。(いま)だに勇者が実在しているのかは分からないが、きっと何処かで会えるだろう。

話を戻すが、名付けによって魔物は進化するのか。俺がフェリルに名を付けた時にガルルに似た様な姿になってたから、名付けた親によって進化の過程が違うのかもな。

俺達が嵐牙とフェリルに目を向ける。

この二匹の意見も聞きたかったからな。早速俺達と目が合うと、リグル達と一旦距離を取って話し合う。

 

キーア「嵐牙、フェリル。お前らに確認したい事がある。お前らは...一度は同胞を(あや)めた俺達を、今でも恨んでいるのか?」

 

俺の問い掛けに嵐牙は一度は視線を離す。やはりこいつらにも思う事はあった様だ。

 

嵐牙『...我は親父殿と同じく、思うところはあります。しかし我が主とキーア様は、我々を許したのみならず、名前まで授けて下さりました!』

フェリル『我が息子の言う通りですキーア様。お二方は我や息子達に生きる道を与えてくれた!感謝こそそれども、恨む様な事は一切ありません!』

キーア「...そうか。お前の気持ちが聞けて良かったよ嵐牙。お前も有難(ありがと)なフェリル、成長したな」

フェリル『はっ!我らの忠義は、リムル様とキーア様...二人方だけで御座(ござ)います!』

 

嵐牙やフェリルが俺達にリベンジをしに来たとしても、(こころよ)く受けてやるまでだ。

それまでに確実に強くなってもらわなくちゃ困るからな。

次の日の夜、森林に囲まれているスペースがあったので、俺達は休憩がてら骨付き肉を喰っている。

 

リムル「ゴブタ」

ゴブタ「はっ、はいっ!?」

リムル「俺達が向かってる場所はどんなところなんだ?」

 

リムルがクエスチョンマークを出して尋ね、一度ドワルゴンに行った経験のあるゴブタが肉を食うのを中断して質問に答える。

 

ゴブタ「え、ええっとっスね...正式には『武装国家ドワルゴン』と云う名称っス。天然の大洞窟(どうくつ)を改造した美しい(みやこ)でドワーフだけじゃなくて、エルフや人間もいっぱい居るっス。国王のガゼル・ドワルゴと呼ばれる人物で、国民に物凄く慕われてるっス」

リムル「エルフ...エルフ〜!」

リグル「リムル様?」

彩月「大丈夫ですか...?」

 

リグルと彩月の呼び掛けで、リムルは我に返る。

 

リムル「そ、そのドワルゴンって、俺みたいな魔物が入っても大丈夫なのか?」

リグル「心配いりません。ドワルゴンは中立の自由防衛域都市。あの地での争いは、王の何に於いて禁じられているのです。この千年、ドワーフ郡は不敗を誇るのだとか...」

リムル「千年!?凄いな...!」

 

千年も不敗の成績を持つドワーフ軍を益々知りたくなった俺は、好奇心を心の中に止める。

すると、一度ドワルゴンに行った経験のあるゴブタが不安そうに呟くが、リグルが笑顔でそうならないと断言する。

 

ゴブタ「前に行った時は門の前で絡まれたっスけど...」

リグル「トラブルなんて、起きませんよ!」

キーア「だといいがな。若し冒険者達が魔物を見掛けたりしたら、護衛の目を盗んででも殺ってそうだ」

彩月「キーア様、お肉がいい感じに焼けてますよ!」

キーア「おっ、こりゃあ良い焼き加減だ!」

 

後日、俺達は北上へと向かった。

ドワルゴンはゴブリンの足で歩いてざっと二ヶ月は掛かる程の距離で、そのルートを辿って行くと山脈に出て目的地であるドワルゴンがあるらしい。

カナート大山脈をも乗り越え、嵐牙やフェリル達が気張ってくれたお陰で俺達はたった三日で走破した。

リムルは何か嫌らしい事を妄想していたが、そんな事はさて置いて此処から先は俺とリムル、ゴブタの三人で行く事となった。

 

リグル「本当にリムル様とキーア様、ゴブタの三人で行かれるのですか?」

リムル「ああ、余り大勢で行って目立たない方が良いだろう。ゴブタは案内役として連れて行く」

ゴブタ「大丈夫っスよ!」

 

リグルは寂しそうな声を漏らして必死に呼び止めるが、一度ドワルゴンに行った経験のあるゴブタは笑顔で返す。

 

嵐牙『我が主...』

フェリル『息子よ、リムル様とキーア様なら大丈夫だ』

キーア「フェリルの言う通りだ。何かあったら、俺達が思念伝達で伝える。少し時間が掛かるかもしれないが、お前らは此処で待っていてくれ」

リグル「はい。お気を付けて!」

 

リグルと彩月は俺達の武運を祈ってお辞儀をし、嵐牙は(さみ)しい声色(こわいろ)で遠吠えを上げる。

大門の前には行列が出来ているものの、今日はもう閉まっていた。

だが、その下には木材で出来た小さな出入り専門の扉が設置されている。

 

リムル「...凄い行列だな」

キーア「持ち物チェックが厳しそうだ...」

ゴブタ「中に入れば、自由に行動出来るんスけどね」

???「おいおいおいおい!魔物と弱そうな奴がこんな所に居るぜ?」

???「まだ中じゃねーし、此処なら殺しても良いんじゃね?」

 

武装国家の名に恥じない警備体勢。行列に並んでいる俺達は、背後から声を掛けられ向き直る。

其処には左(ほお)に傷がある鶏冠(とさか)髪の男性と、頭部の右側には大きな十字の傷痕と左側に(くい)が打ち込まれたつるっ禿()げの男。

 

リムル(はい早速絡まれました!キーアのフラグ見事に回収です!)

 

昨日俺が言った事を伏線回収としてリムルが投げ()りに宣言する。

二人の意味不明な供述は、俺達に向けられた害意のある声にも聞こえた。

ナイフを突き出し、舌を出しながら不気味な笑みを浮かべているつるっ禿げの男の表情に、戦慄(せんりつ)していたゴブタは自分の身に起きた出来事を語る。

 

リムル「おいおいゴブタ君。何か聞こえないかね?」

ゴブタ「...はい、聞こえてるっスね。前の時も此処でボコボコにされたっス。弱い魔物の宿命みたいなモンなんスよ」

リムル「宿命、ねぇ...」

キーア「昨日お前の言っていた事は本当だったらしいな。ゴブタ」

 

昨日ゴブタが呟いていた事は本当であった事を意味し、弱肉強食と云っても過言ではない。

 

男A「おい、雑魚い魔物とクソガキ!こっち無視してんじゃねーよ!!」

男B「って言うか、喋るスライムってレアじゃね?見世物として売れるんじゃね!?」

キーア「今更気付いたのか。それと勝手に俺の仲間を人身売買しないでくれないかなぁ?」

 

男二人組のウザったい会話に俺は普通に愚痴を(こぼ)し、リムルは俺と一緒に決めたルールについて質問する。

勿論、これは確認の意味でだ。

 

リムル「...ゴブタ君。ルールその一を覚えているかね?」

ゴブタ「はい!勿論っス。ルールその一『人間は襲わない』」

キーア「よし、よく言えたな。それじゃあ、()()くしゃがみながら耳を塞げ。俺達が良いと言うまでは決して後ろを振り向くな」

ゴブタ「りょ、了解っス!」

 

俺達の命じられ、了承したゴブタは全身を屈めて耳を塞ぐ。

そして俺は接続者で、森の出入り口で待機していたリグルや彩月達に状況を説明しながら思念を送る。

 

キーア『聞こえるか?リグル、彩月。たった今、俺達は人間の男二人に絡まれた。だが、安心しろ。こっちは大丈夫だから、お前らは成る可く身を(かが)めて俺が良いと言うまでは決して目を開けたりするな。後、一応耳は塞いでおけ。以上だ』

 

そう言って俺は思念伝達を終えて、男二人の前に立つ。

こっちだって、ムカつく態度を取られたんだ。だからこれはそれのお返しだ。

 

「「あ?」」

リムル「おいおい。俺達は寛大だから、今なら許してやる」

キーア「失せろ。痛い目に合わされる前にな」

 

挑発してから静寂(せいじゃく)さが漂う空気は、俺達に挑発された二人の怒声によって数秒足らずで吹き飛んだ。

 

男A「クソ雑魚の魔物とクソガキの癖しやがって!舐めてんじゃねぇぞ!!?」

男B「お前ら死んだぞ!?殺さずにしてやろうと思ったんだろうな!俺達を怒らせた以上、そうは行かねぇぞォッ!!」

リムル「クソ雑魚の魔物と...」

キーア「クソガキだぁ?それは俺達の事を指して言ってるのか?」

 

俺達の質問に男は指を差す。

 

男A「おめぇらに決まってるだろうが!?」

リムル「ほぉ〜?俺達がただのスライムと人間に見えるのか?」

キーア「あんたら、何勘違いしてるんだ?其処まででしゃばるなら仕方がない...」

「「見せてやろう。俺達の真の姿を!!」」

【カメンライド ディケイド!】

 

そう宣言したリムルは擬態を使用してテンペストウルフに、俺はネオディケイドライバーを腰に巻き、ライダーカードを装填してディケイドに変身する。

だが、リムルが擬態したテンペストウルフの角が二倍の長さで追加され、黒嵐星狼(テンペスト・スターウルフ)に進化していた。

 

リムル(...あれ?何か擬態が進化してる?)

キーア(お前...いつの間に擬態を進化させてたのか?)

リムル(いや、俺に聞かれても分かんねーよ!)

 

俺達が心の中で会話している内に、男二人は武器を構える。

 

男A「...へっ!どうせ見た目だけだろ!?」

男B「ディケイドだか何だか知らねーが、それでビビって逃げるとでも思ったか!?」

ディケイド(こいつらは俺の噂を全く聞いていない。どうやら逃げてくれそうにもないみたいだ...)

リムル(もう逃げてくれよ。めんどくせー)「...やれやれ。もういいや!掛かって来い!!」

 

自棄になったリムルは敵の先制攻撃を譲る。お言葉に甘えた男二人は四人の仲間を呼んだ。

 

男A「へっ、死にやがれ!」

男B「お前らもやれ!」

 

後ろに声を掛けたのは、同じパーティのメンバーと思われる三人組。

手数が増えた事で、先手を譲られた五人は一斉攻撃を仕掛ける。先ずはお手並拝見と行こうか。

 

男A「喰らえァァァッ!!」

男B「斬撃!!」

男C「重波斬!!」

男D「ファイヤーボール!」

男E「マジックウォール!」

 

緑の魔法陣と共に展開したマジックウォールを除いて斬り掛かる男の剣をライドブッカーで受け流して八景で吹っ飛ばし、飛ばした十字の斬撃波とファイヤーボールはリムルに放たれるも無力化され、地面を抉りながら進行する空気の斬撃はオーロラカーテンで防ぐ。

 

男C「ば、馬鹿な!?」

男D「俺のファイヤーボールが...!!」

男E「何て頑丈なんだ!やはりディケイドの噂は本当だったのか...!?」

 

やはり俺の噂は此処でも広まっていた様だ。

リムルは(うな)りを上げて威嚇(いかく)する。

 

リムル「俺達のターンだな」

ディケイド「今度はこっちの番だ...リムルと其処のあんたらも少し待ってくれ。こっちには準備ってものがあるんだ」

【アタックライド イリュージョン!】

 

ディケイドが五人に分身しているライダーカードを装填すると、俺は四人に分身した。

 

男A「な、何だ!?」

男B「増えやがった!?」

ディケイドB「驚くのはまだ早い」

ディケイドC「本番は此処から。破壊者の本気の半分を、お前らに見せてやる」

ディケイドD「今回は特別サービスだ。気絶しても知らないぞ?」

 

そう言った分身BCDはそれぞれライダーカードを取り出す。

Bはルビーの様な赤い宝石が頭部に埋め込まれているライダー。

Cは翼を広げた(たか)彷彿(ほうふつ)とさせる赤い頭部に緑の複眼を持つライダー。

Dはキバ ガルルフォームのライダーカード。

 

【カメンライド ウィザード!】

【オーズ!】

【フォームライド キバ ガルル!】

『ヒーヒー!ヒーヒーヒー!』

『タットバ!タトバ!タットバ!』

 

Dはキバ ガルルフォームに。

周囲を旋回する生物の姿が描かれたメダル型のオーラが鷹・虎・飛蝗(ばった)の絵柄に止まると、黄色く(ふち)取られた一つの円形となってCの姿を変える。

Bの正面に出現した赤い魔法陣を通り抜けると、その姿を変化させる。

猛禽(もうきん)類を模した緑の複眼を持つ赤い頭部、黄色い縁取りに折り(たた)まれている(かぎ)爪を持つ胴体、そして昆虫の脚を模したラインが走る緑の脚部。金に縁取る胸部の円形プレートには鷹、虎、飛蝗の順で描かれていた。

銀に縁取られる黒いローブを(なび)かせ、頭部と胸部の赤い部分はルビーの様に煌めいている。

絶望を希望に変える指輪の魔法使い『仮面ライダーウィザード』と、明日へ向かう旅人『仮面ライダーオーズ』となったBとCは更にライダーカードを取り出す。

 

ディケイドB「D。ガルルセイバーを少しだけ貸して貰えないか?」

ディケイドD「ガウッ!」

【アタックライド ビッグ!】

【アタックライド コピー!】

 

Dのガルルセイバーを拝借したBは二枚のライダーカードを装填。

ガルルセイバーを手に持った右腕は4~5m程の巨人に近い巨人の腕と化し、更にはその状態でBの横に十人もの分身達が並び立つ。

 

【フォームライド オーズ ガタキリバ!】

『ガータガタガタキリ!ガッタキリバ! 』

 

メダルのオーラが連なって今度は緑一色に重なると、Cを昆虫の姿を模した緑のオーズへと姿を変える。

脚部であるバッタレッグはそのままだが、頭部は鍬形(くわがた)(あご)を模したオレンジの複眼を持つ頭部と蟷螂(かまきり)を想起とさせるブレードを収納させた両腕。

800年前の王が、この姿の人海戦術をフル活用して1万もの敵の軍勢を壊滅に追いやった『最強コンボ』の称号を持つオーズ ガタキリバコンボ。

このコンボは数の暴力で圧倒する人海戦術を得意とするものの、その代償として分身体が受けたダメージや疲労が全て変身者、本体である俺に跳ね返ってしまう。

それを補う為に分身がこの形態に変身する事で本体である俺の疲弊(ひへい)を回避出来る。

 

ディケイドC「ブレンチシェイド!MAX50!!」

 

とある世界の印を結ぶ真似をしたCは自身を50人に倍増させ、49人もの分身達は同時にライダーカードを装填。描かれていたのは、スペースシャトルと宇宙服を足して二で割った様な白いライダー。

 

ガタキリバ達『変身!』

【カメンライド フォーゼ!】

 

C本体を含むガタキリバ達が同時変身した事で蒸気が周囲に噴き出すが、難なく払い除ける。

宇宙服の様な胸部装甲にオレンジのラインが入っている白い戦闘服の戦士。丸・バツ・三角・四角が刻まれる四肢。

スペースシャトルを模した頭部の黒いシャッターには触覚パーツが付けられ、オレンジの複眼を覗かせる。

仮面ライダーフォーゼに変身したガタキリバ達は一斉にアタックライドカードを装填する。

 

【アタックライド ビート!】

 

ガルルセイバーのに一つに付き小型の盾『ウルフェンヘアードシールド』に五体ずつ虫の様にへばり付く。

ガタキリバ達はライダーカードを装填し、右足に深紅色の小型スピーカーボックスが装備される。

俺もライダーカードを取り出し、描かれていたのは地球を愛する心に感銘を受けた地空人達の改造によって誕生した大自然の守護者。

俺は敢えてそのカードをドライバーに装填せず、代わりに取り出したシアンカラーの銃『ネオディエンドライバー』の装填機構『ディヴァインフォアエンド』に入れる。

 

【カメンライド J!】

 

フォアエンドをポンプアクションで上に突き出し、ライダーズクレストが投影される読み取り装置『ライドリーダー』からアルファベットのJの英文字が浮かび上がる。

二つの銃口『ブッカーマズル』を左側に向けて引き金『エンドトリガー』を弾く。

砲身から光の球が射出され、それが弾けると三原色の人影が三角形を描く様に旋回。

三原色の影が一つになると、その影はライダーの姿に変換させた。

深緑色をベースにした赤い複眼の飛蝗ライダー。

顔の中央には銀のクラッシャーが実在し、全身の隅々には黄緑と緑の(くだ)取りが入っている。

(へそ)に辺る部分には赤い四角形の宝石が埋め込まれている『仮面ライダーJ』は、何と召喚された時点で特殊能力『ジャンボフォーメーション』によって巨大化した40mもの巨人そのものとなっていた。

圧倒的な身長を誇るJの姿に、男達は戦慄(せんりつ)する。

 

男C「何だこいつは!?」

男D「姿を変えたり、増えるだけでなく、こんなにもデカい巨人をも使役出来るというのか!?」

ディケイドA「驚くのはまだ早いって言ったろ?此処からが俺達の真骨頂だ!」

 

俺はBにファイナルアタックライドとは違う別の黄色いライダーカードを装填した状態のネオディエンドライバーを投げ渡す。

ディヴァインフォアエンドを再度突き出し、ライドリーダーから表示された内容を見たBは驚愕する。

 

【ファイナルフォームライド...】

ディケイドB「リーダー、この為にJを...!?」

ディケイドA「問題ない。やれ」

 

リグル達にも被害に遭いかねない事を承知の上でBは若干躊躇(ちゅうちょ)はしていたが、ガルルセイバーにへばり付いていたガタキリバ達の人数を一瞥(いちべつ)

留守中のリグル達の安全を信じてエンドトリガーを弾いた。

 

ディケイドB「...ああ。少し寝違えるぞ!!」

【ディ、ディ、ディ、ディケーイド!】

 

ライダーを変形させる『ファイナルフォームライド』による波動を受けた俺は変形によって曲がった両足がディヴァインサイドハンドル、背中からはネオディメンションバックルを模した装甲が俺の全身を覆い被さる様に出現。

巨大なネオディケイドライバーへと変形を果たし、Jの腰に装着。

クウガからキバまでの平成仮面ライダーのライダーカードを下から通り抜け、Jはディケイドの新たな姿となった。

アンダースーツ『ディヴァインスーツ』はマゼンタから銀をベースにしたものとなり、両肩と胸部装甲にはクウガを中心に右からアギト・龍騎・電王・キバ。左からカブト・響鬼・ブレイド・ファイズのライダーカードが連なり、頭頂部に出た突起のライダーカードにはディケイドの新たな姿の顔が描かれている。

額にある『Iシグナル』は黄色から緑に、翠色(すいしょく)の複眼もマゼンタに変色する。

ジャンボフォーメーションによって巨大化したJがネオジャンボディケイドライバーで変身した巨大な敵専用フォーム『仮面ライダーネオジャンボディケイド コンプリートフォーム』の誕生だ。

これで相応の準備は整ったが少し気掛かりがあったので、ライドブッカーからキバのフォームライドカードを取り出し、ドライバーに装填した。

 

【フォームライド キバ ドガバキ!】

 

波紋が浮かび上がった俺はキバへとカメンライドするが、通常のキバとは少し違かった。

左腕はガルルフォーム。右腕は半魚人を模した緑、そして銀に縁取られた四角形の大胸筋の紫。

三つのフォームを併せ持つキバ『ドガバキフォーム』になった俺は、右腕を模した紫の鉄槌『魔鉄槌 ドッガハンマー』の持ち手『サンダーグリップ』の半分を地面に突き刺し、開いた手『サンダーフィンガー』に隠された血眼の赤い単眼『トゥルーアイ』に(にら)まれた冒険者達の身動きを封じる。

 

ガタキリバ「透明防音壁!」

 

カメンライドしていないガタキリバが半月状の白いポケット『四次元ポケット』から丸い緑色の透明な盾『透明防音壁』のグリップを持って身体を360度回転。

これにより、騒音や大きな音を反射させる事が可能だ。

 

ディケイドA(CFJF)「さぁ、これで本当の意味で準備万端だ。覚悟は良いか?俺達は出来てる...聞いてくれ『咆哮の大楽団(ハウリング・オーケストラ)』」

男A「お、おい待て!悪かった!この勝負、お前らのk————『アオオオオオン(グオオオオオオオオオ)!!!!』ぎゃあああああああああッ!!!?」

 

()いなんてするな。時間の無駄だ。

格の違いを絶望的に見せつけられた男の敗北宣言を無視したリムルは威圧による咆哮を放ち、俺はガルルセイバーの小型の盾『ウルフェンドヘアーシールド』に向かってデスボで叫ぶ。

同時に無数のガルルセイバーにしがみ付いていたガタキリバ達はビートモジュールの小型スピーカーユニット『ツイータービートユニット』から高音域の音を再生。

大型のスピーカーユニット『ウーファービートユニット』からも低音域の音を再生していたので、高音と低音の二つを楽しめる欲張りセットだ。

それに対応する様に、ガルルセイバーの顔を模した(つば)『ワイルドジョー』から発せられた猛々(たけだけ)しい咆哮による約50倍もの音波衝撃で男達五人を吹っ飛ばす。

 

ディケイドA(CFJF)「ふぅっ、サパっとした。これを機に、もう二度と他人を見た目で判断するんじゃないぞ?...って、流石に聞こえてないか」

リムル「ちょ、ちょっと今のはやり過ぎじゃないか...?」

 

吹っ飛ばされた五人だけでなく並列していた者達にも危害が及び、土煙が晴れると其処にはさっきまで並んでいた人達がうつ伏せになって倒れていた。

よく見てみると、耳から出血していた者も多数居た。

 

『『''威圧''と''咆哮の大楽団''の効果を報告します』』

ディケイドA(CFJF)「何か迷子センターで流れてそうなチャイム流れてんだけど!?」

 

迷子センターで流れそうなチャイムと共に、大賢者と放浪者は威圧と咆哮の大楽団による被害報告を通達する。

 

大賢者『逃走80名』

放浪者『錯乱884名』

大賢者『失神1564名』

放浪者『失禁476名』

大賢者『鼓膜破壊57名』

 

ビートモジュールの装置『ボックスエンクロージャー』は発生した音同士が打ち消し合わない様に余分な音波を遮断(しゃだん)する他、内部で音波を反響させて増幅する機能を持つが...まさかこんな結果になってしまうとはな。

我に返ったリムルと俺は、被害報告を中断させる。

 

リムル(いや、被害報告とかいいから...)

ディケイドA(CFJF)「報告はとても有難(ありがた)いが、今のは流石にやり過ぎた」

ドワーフ警備員「こらぁ!其処のお前らー!!」

ディケイドA(CFJF)「Ah,Sh*t!」

 

怒声が聞こえる後方へ向き直ると、さっきの咆哮に気付いたドワーフ達が部下二人を連れて現場に駆け付ける。

リグル達の方も心配だが、今は急いで変身解除するのが優先だ。

リムルは一瞬でスライムの姿に戻れたが、俺は召喚したJや分身達の消滅と同時にファイナルフォームライドを解除。

ギリギリで変身を解除した直後に警備員達に俺達は目撃されてしまう。

 

ドワーフ警備員「えっ...?スライムと、人間?」

リムル「てへぺろ(ーw<)!」

キーア「じゃねーよバーロー!!!!」

 

数時間後、事情聴取の為に俺達は牢に入れられた。

何が案内役だ。前回とはいえ今回も絡まれたどころか捕まっちまったじゃねーかと、縄で捕縛され呑気に寝ているゴブタに心の声で愚痴を入れながら俺はドワルゴン警備隊隊長 カイドウさんの事情聴取を受けていた。

因みにさっきのハウリング・オーケストラで鼓膜が破壊された人達はドワルゴンに搬送された模様。

 

カイドウ「...で?」

キーア「後はありません。以上です」

 

カイドウさんは()め息を吐きつつも、今回の騒動を(まと)めたメモを見て若干(じゃっかん)納得はしている。

 

カイドウ「()る程な。まぁ、スライムとゴブリンを従える魔物使いだから絶好の(かも)と思われたんだんだろうな」

キーア「本来なら撃退する(はず)が、こんな結果になってしまうなんて...大変ご迷惑をお掛けしました!」

カイドウ「まぁ、大体目撃者の証言と一致する。今回君達は————「隊長!大変だー!!」」

 

カイドウさんの部下と思われるドワーフが息切れで俺達の元へ駆け付ける。

 

ドワーフ兵士「鉱山にアーマーサウルスが...!!」

カイドウ「何だと!?討伐隊は!?」

ドワーフ兵士「既に向かいました!それより、魔鉱石の洞窟に奥まで潜ってたガルム達が大怪我を...!」

カイドウ「回復薬は?」

ドワーフ兵士「それが、戦争の準備だかで足りてないんですよ...!」

 

城に回復薬が備蓄してるなら出せよと言ってはいけない状況だ。

完全に空気と化した俺は、視線を向けたリムルに樽を指差す。

俺の言いたい事を納得したリムルは、早速(たる)の中に入る。

回復薬が足りてないなら、こっちで作ればいいと思ったからだ。

 

カイドウ「くっ、あいつらは俺の兄弟みたいなもんなんだ。と、兎に角回復薬を探せ!何としてもかき集めろ!」

キーア「その必要はないですよ。カイドウさん」

カイドウ「何、それはどういう...って、ああっ!!何勝手に出て来てんだお前ら!?」

【アタックライド スモール!】

 

ディケイドウィザードに変身していた俺は、アタックライド スモールの効果で身体を伸縮させてリムルの上に乗っていた。

いつの間に脱走していた事に気付かなかったカイドウさんは俺達を叱るが、今はそれどころじゃない。

人命救助はどの世界でも当然だ。

 

リムル「まぁまぁ。それどころじゃないんでしょ?あれ。必要なんじゃないですかね?」

 

リムルが表示させた矢印と俺が向けたブッカーソードの方向には、樽一杯に汲まれている清らかな水。

これはリムルが樽一杯に汲んでいた水に回復薬を混ぜて出来た物だ。

 

カイドウ「これは...!」

リムル「回復薬ですよ。飲んで良し、掛けて良しの優れ物ですよ!さっき、鼓膜が破壊された人達にも使ってやって下さい。取り敢えず、試してみちゃどうです?」

ドワーフ兵士「隊長、魔物と人間の言う事を信じるんですか!?」

カイドウ「時間がない!」

 

リムルに使用を(うなが)されたカイドウさんは眉を細く(しか)める。

背後に居た部下も流石に疑念を抱いてはいたが、仲間が窮地に陥っている事態に誘いを断念せざるを得なかった。

カイドウさんは牢獄の鍵を開け、(ふた)を押して密封した樽を(かつ)ぐ。

 

カイドウ「おいお前ら、ちゃんと牢に入ってろよ!?」

キーア「あ、ちょっと待って下さい!アーマーサウルスがまだ倒れされてないなら、こいつを連れて行って下さい!」

【カメンライド ディケイド!】

 

俺は取り出したネオディエンドライバーにディケイドのカードを装填、エンドトリガーを引くとディケイドを召喚する。

 

ドワーフ兵士「ディケイド!?魔王にも匹敵する魔人と噂には聞いていたが...お前、本当に魔物使いなのか!?」

カイドウ「そんな事考えてる暇もない!()に角、あの魔人を連れて行けばアーマーサウルスを倒せるかもしれない。行くぞ!」

ドワーフ兵士「はい!カイドウ隊長!」

 

そう言ってカイドウさんは樽を担ぎながら、俺が召喚したディケイドを連れて現場へ急行して行った。

此処での役目を終えた俺達は牢の中へ戻る。仲間思いな立派な隊長だな、この性格なら信用しても良さそうだ。

 

 

 

 

コンプリートフォーム(平成1期)の解禁は...

  • オークロード戦
  • カリュブディス戦
  • 精霊の棲家での攻略
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