消滅したらネオだった件   作:ライノア

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~これまでの消ネオは...?~

「兄は通りすがりの魔族の、ゲルミュッド様に付けてもらったそうです」

「クソ雑魚の魔物とクソガキの癖しやがって!舐めてんじゃねぇぞ!!?」

「まぁ、スライムとゴブリンを従える魔物使いだから絶好の鴨と思われたんたんだろうな 」

「俺だって『無理だ』って最初は断ったんだよ... 」

「 それにしてもゴブタの奴、よくこんなに寝るな...」

「ドルドさんの言ってる事は真実だが、飽く迄まで倒したのは俺が召喚したディケイドの方だけどな」


第五話前編:カイジンとベスター

OP『氷川きよし/限界突破サバイバー』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

KIA SIDE

 

カイジン「グアッハッハッハッハッハッハッハッハ!しっかし、恐れ入ったよ。俺の渾身の一振りが、まさかあっという間に量産されちまうとはねぇ...!」

リムル「カイジンの造ったオリジナルが凄かったからな!」

 

夜の蝶で楽しむ中、豪快(ごうかい)なカイジンさんが高笑いを上げる。

 

キーア「リムルはただ、魔鉱(かい)を消費して複製しただけですよ」

 

俺がリムルの行動について代弁すると、カイジンさんは(あご)を下げて低く唸る。

少し間を置いて肩の力を抜きながら今後の目標を語り出す。

 

カイジン「...正直思うところはあるが、次は旦那達にも絶対真似出来ない様な凄い奴を作ってみせるってモンだ。腕が鳴るぜぇ!!...ぷはあっ!!」

 

俺やリムルが真似出来ない様な自分だけのオリジナルの武器を作る。

今後の目標に腕を鳴らしているカイジンさんは、小刻みに喉を鳴らして酒を飲む。

 

リムル「そうこなくっちゃ!」

キーア「...良い夢だな」

リムル「ああ。ママさん、おかわり!」

キーア「俺もジュースおかわり!!」

 

紫のドレスを着ているこの店のママさんはリムルに酒を、俺にはジュースを木製のコップに()む。

 

エルフママ「スライムさん、味分かるの?」

キーア「本来ならスライムに味覚とかはないんですけど、リムルは綺麗(きれい)な人にお(しゃく)して貰えると何でも味が美味くなる気がするんです」

エルフママ「あら、お上手ね。人間さんはスライムさんの事を大事に思ってるのね。さぁ、どうぞ!」

 

俺はリムルが言おうとした事を代弁すると、ママさんが俺達に酒とジュースをお酌する。

因みにゴブタは今でも牢に入ったままだ。悪ぃなゴブタ、今度お前も誘ってやるから堪忍な?

それから宴会は進行していき、赤いドレスのエルフがある相談を持ち掛けてきた。

 

赤いドレスのエルフ「ねぇねぇスライムさん、人間さん。これ、やってみない?」

リムル「ん?おおっ!これは、伝説の...!!」

 

両手を中央に寄せる様なジェスチャーをするも、リムルにとってはドラクエで有名なパフパフをしてる様にも見えた。

だが、俺にはそのジェスチャーの意味を理解していた。

 

キーア「そのジェスチャー、一目見ただけで分かるぞ。占いだろ?」

赤いドレスのエルフ「正解!私、得意なのよ?結構凄いって評判なんだから!」

リムル「...それで、何を占ってくれるんだ?」

 

パフパフではない事を理解したリムルは、少し残念そうな表情を隠しながら俺達に何を占うかを(たず)ねる。

 

赤いドレスのエルフ「うーん。そうねぇ...何が良い?」

リムル「うーん...」

キーア「俺達の運命の人...とか?」

緑のドレスのエルフ「それいいね!スライムさんと人間さんの運命の人、見てみたい!」

 

緑ドレスのエルフの発言で全員の目線が俺達に合う。

話を戻して、赤いドレスのエルフは水晶玉を(ひざ)に置いて占いを始める。

その間に俺は誰かがテーブルの椅子に座るのを見た。恐らくさっき感じ取った奴の気配だな。

リムルの運命の人が同じスライムではない事を祈っていると、水晶玉には徐々に運命の人らしき人物が映ってきた。

 

赤いドレスのエルフ「あっ、何か見えてきた!」

 

水晶玉に映ったのは藍色(あいいろ)の瞳を持つ白い服装を身に(まと)った黒い長髪の日本人と思われる女性と、五人の子供達。

一人だけ女性の前に立っていた黒髪の少女は、女性に抱き寄る。

その目には涙を流し、他の四人も悲しげな表情を浮かべていた。

恐らく、何らかの理由で別れる事になってしまったのだろう。

立て続けに俺の方も占ってもらう事にし、珍しい形をしている石を拾うオレンジの瞳を持つ紫がかったショートヘアーの少女が映し出される。

恐らく私服からして小学生、俺と同じ異世界人であるのは確定だ。

 

リムル(さっきの女性と女の子、日本人っぽいな)

カイジン「綺麗な人と可愛げな子だったな。リムルの旦那、顔赤くなってるぜ?」

リムル「赤くなってるって、色変わんないって!」

赤いドレスのエルフ「あっ!スライムさん、運命の人が気になるんだ〜?」

緑のドレスのエルフ「ズル〜い!浮気者〜!」

 

運命の人、か。さっきの女性は(いず)れ会うにせよ、ショートヘアーの少女はこの世界の役目が終わってからの旅で会う可能性がある。

俺はあの少女が誤って異世界転移しない事を祈っていると、先程店に入っていたと思われる男が口を開く。

 

???「良いんですか?こんなところでのんびりしてて...カイジン殿」

 

薄い緑の服に白いマントを羽織った服装。(ひげ)を生やした細い体型の長身な男性。

辺りに静寂な空気が漂い、他のエルフ達はその男に対して嫌悪感を抱いている。

自分の名を呼ばれたカイジンさんは冷静な表情で目を(しか)める。恐らくこの男がベスターで間違いないだろう。

 

キーア「この男が......」

カイジン「ああ。大臣のベスターだ」

リムル「あれが噂の...?」

 

大臣ベスターはゆっくりと俺達に歩み寄り、ロングソード二十本の件を持ち掛ける。

 

ベスター「遊んでいる場合なのですかな?確かロングソードの納品の期限は————「さっき納めてきた」期限に間に合わなければ...えっ!?納めてきた!?」

カイジン「ああ。きっちり二十本」

ベスター「そ、そんな...!」

カイジン「納品書を確認するか?」

 

期限以内に納品を終わらせたことにベスターは素っ頓狂(とんきょう)な声を上げるが、一旦喉を鳴らして傲慢(ごうまん)に評価する。

その発言からして、ロングソード二十本の納品は無理だと理解した上で発注していたのは目に見えていた。

ベスターはエルフの膝に乗っていたリムルに目を向ける。

 

ベスター「...そうですか。受けた仕事を期日前に納品するとは、当たり前の事にして当たり前の事ですとも。当たり前...それよりも、それですよ。それ」

リムル「えっ、俺?」

ベスター「其処の人間は()も角...いけませんなぁ、この上品な店に下等な魔物を連れ込んでは...気分が悪くなる」

 

ベスターは魔物であるリムルを下等と見做した上で取り出したハンカチで口を防ぐと、ママさんに魔物の来店に関して尋ねる。

 

ベスター「おい。この店は魔物の連れ込みを許すのか?」

エルフママ「魔物と言いましても、無害そうなスライムですし...」

ベスター「はぁ!?魔物だろうが違うのか?スライムは魔物ではないと抜かすか?」

エルフママ「いえ、その様な訳では決して...まぁまぁ大臣様。一杯如何ですか?さぁ、どうぞ」

 

問い詰められたママさんは言葉を(にご)してベスターの怒りを()らそうと、穏やかな笑顔を絶やさずに果実酒を汲んだコップを差し出す。

ベスターはママさんと取り合おうとしていない。明らかに目的は俺達であった。

 

ベスター「ふん。魔物にはこうするのがお似合いよ...」

キーア「!!」

 

そう言ってベスターはリムルを上から果実酒をぶっ掛けてきた。

 

緑のドレスのエルフ「きゃあっ!?」

赤いドレスのエルフ「スライムさん!?」

キーア「リムル!!」

リムル「大丈夫だよお姉さん。ドレス濡れなかった?」

緑のドレスのエルフ「あ、はい...」

 

流石の俺もキレそうになったが、此処でキレては駄目だ。

ぶん殴ろうとしても相手は大臣だ。どんな処罰が待ってるかも分からない。

それと、俺達の短気でカイジンさんや他の皆に迷惑は掛けられない。

その刹那(せつな)、立ち上がったカイジンさんの拳がベスターの顔に直撃。奴を後方へと後退させる。

 

カイジン「ベスター!俺の客に舐めた真似してくれやがって覚悟は出来てんだろうな!?」

 

手首の骨を鳴らすカイジンさんに対し、ベスターは小物臭く大臣という肩書を盾に譫言(たわごと)を吐く。

 

ベスター「き、貴様!?大臣である私に大してその様な口を...!!」

キーア「種族差別野郎のお前が、それを言う立場か?」

ベスター「な、何を...!?」

 

俺はネオディケイドライバーを腰に巻き、ライドブッカーから取り出した四枚のアタックライド カードをドライバーに装填しようとしたが、カイジンさんの二発目の拳がベスターを吹っ飛ばす。

背後に居た護衛も、殴り飛ばされたベスターと打つかってドミノ倒しの様に倒れた。

 

リムル「いいの?そいつ、大臣なんだろ?」

キーア「...いいや、ああいう奴に大臣の肩書きなんて通用しない」

 

カイジンさんはゆっくりと立ち上がると、鍛冶師を探す依頼について再度尋ねる。

 

カイジン「...なぁ、旦那達は腕の良い職人を探してんだよな?俺じゃ、駄目かい?」

 

俺達の方へ向き直るカイジンさんの言葉に必ず責務を成し遂げる決意を感じた。

大臣を殴った時点でもうこの国に居場所はないが、(おとこ)には言葉が不要な時がある。

口元を緩めた俺とリムルはゆっくりとカイジンさんの元へ歩み寄って歓迎する。

 

キーア「...その言葉を、ずっと待っていた」

リムル「駄目どころか大歓迎だよ!此方(こちら)こそ(よろ)しく頼む。カイジン!」

 

綺麗事はどうだっていい。俺達は好きに生きてたらそれでいい。

俺達とカイジンは熱く(うなず)き合った。

それから数分後、カイドウさんが警備隊達を引き連れて現場に駆け付ける。

 

カイドウ「なぁ兄貴、何やってんだよ...」

カイジン「...ふん。其処の馬鹿が、リムルの旦那とキーアの旦那に酷ぇ事しやがるからちょっとお(きゅう)()えてやったのよ」

カイドウ「...『ちょいと』って、大臣相手にそれはマズいだろ?」

 

目線を()らしたカイジンさんの証言に、溜息(ためいき)混じりにカイドウさんが正論を突き付ける。

 

カイドウ「悪く思うなよ?決まりだからな。兄貴達の身柄は裁判まで一旦拘束させてもらう」

ドワーフ兵士B「俺達も仕事なんで」

 

苦笑する左側のドワーフ兵士が、鎖と繋がった手錠を掛けられた俺達を連行する。

 

リムル「裁判?」

キーア「お前も呑気だなリムル。ほら行くぞ」

 

俺とリムルはカイジンさん達を道連れにする形で再び牢に戻る事となり、ゴブタは相変わらず呑気に寝ていた。

 

キーア「相変わらず呑気に寝てんな」

リムル「ロングスリーパーか!?」

カイジン「俺が短気で起こしちまったばっかりに、皆も巻き込んじまった...すまん!」

 

自分の短気で事態を起こしてしまった不甲斐なさにカイジンさんは頭を下げて謝罪する。

 

キーア「カイジンさん。何もあんたを責めてる訳じゃない」

ガルム「大丈夫。問題ないさ」

ドルド 「そうそう。親父さんが気にする必要はないですよ」

ミルド「うんうん!」

 

ドワーフ三兄弟は俺と同じ気持ちでカイジンさんを励ます。

 

リムル「俺とキーアも裁判を受けるのか?」

カイジン「そうなるな。まぁでも、死刑にはならんさ。罰金ぐらいで済むだろう。グアッハッハッハッハッハ...!!」

 

牢屋内にカイジンさんの高笑いが響き渡る中、俺はカイジンさんとベスターの関係について尋ねる。

 

キーア「なぁ、カイジンさん。ベスターはあんたを目の敵にしていた。奴との間に一体何が...?」

 

俺の質問にカイジンさんはベスターとの関係を語る。

 

カイジン「...俺は、この国の王ガゼル・ドワルゴに(つか)えていたんだ。七つある王宮騎士団の、その一つの団長だった。奴はその時の部下 副官だった。公爵(こうしゃく)の出でな。俺は社民の出だったし、面白くなかったんだろう。当時からよく衝突していた...」

 

カイジンさんが軍を辞める切っ掛けとなった『魔装兵事件』。

当時のドワーフ工作部隊は新たな革新技術もなく、七つの部隊で最低の評価に容認していた。

技術の立場なら花形であるべきベスター派と、今のままで堅実(けんじつ)に研究を進行すべきカイジン派の二つの派生は議論で拮抗(きっこう)。会議でも収歛(しゅうれん)する事はなかったという。

その状況の中で、エルフの技術者との共同開発が立ち上がったのが『魔装兵(まそうへい)計画』だった。しかし...

 

カイジン「(こう)を焦ったベスターの計画の一つ、魔装兵計画が...倒産しちまった。ベスターは自分の失態を全て俺に押し付けた。軍の患部を抱き込み、偽の証言まで用意してな...で、俺は責任を持って軍を辞めたって訳だ!」

 

焦ったベスターの独走で魔装兵は暴走を引き起こして計画は頓挫(とんざ)し、技術者が出(そろ)う魔装兵計画は破局を迎えた。

この件の濡れ衣を着せられたカイジンさんは軍を辞退せざるを得なかった。

結局のところ、カイジンさんがこの国に滞在すると、軍に返り咲いて自分の地位を(おびや)かすか(わか)らないという事だ。

 

カイジン「あいつは、(いま)だに何かと俺を目の敵に無理難題を押し掛けてくる。ま、今回の件もそうだ」

リムル「しょうもない奴だな」

キーア「だが、根っからの悪人ではないのは確かだ。カイジンさんとは馬が合わなかったんだろう」

カイジン「そうだな。あいつは元々研究熱心で努力家だ。功を焦ったのも、王の期待に答えようとした結果だしな....俺がこの国から出て行けば、あいつも少しはマシになるだろうな。リムルの旦那、キーアの旦那。これから世話になるぜ」

 

俺達はゆっくりと立ち上がったカイジンさんの差し伸べた手を取る。

 

リムル「ああ」

キーア「改めて宜しく頼む」

ガルム「それじゃあ、俺達もカイジンさんに付いて行きます」

ドルド「そうっすね。カイジンさんと一緒に働けるなら、何処でも行きます!」

ミルド「うんうん」

 

ドワーフ三兄弟も立ち上がり、ガルムさんがカイジンさんに付いて行く事を決意する。

 

カイジン「お前達...」

ガルム「リムルの旦那、キーアの旦那。俺達が付いて行ったら迷惑かい?」

リムル「ううん!皆(まと)めて面倒見てやるさ!こき使うから覚悟しとけよ?」

キーア「こき使うは流石に言い過ぎなんじゃねぇか?」

 

俺を除いた四人の高笑いが響き、遂に裁判当日。

カイジンさん達がまだ寝ているのに対し、呑気に寝ていた逆さ()りのゴブタが遂に目を覚ました。

 

ゴブタ「...ん?リムル様にキーア様、何かあったんスか?」

リムル「俺達はちょっと藪様(やぶよう)があるから、このまま置いて行っていいか?抜け出したかったら、相棒のテンペストウルフでも召喚したまえ」

キーア「おい、(いく)ら何でもその言い方はあんまりだぞ」

ゴブタ「そうっスよ!酷くないっスか!?ってか、何すかこれ!?降ろして!おーろーしーてー!降ろして下さいy————むぐぐ、むぐ、むぐ、むー!?」

 

そう言ってリムルは逆さ吊りのままゴブタの口を粘糸で塞ぐ。

俺も少し可哀想と思ったが、関係のないゴブタまで巻き込まれるのは御免だからな。

さて、こっちは少しマシな証拠でも揃えてやるか。

 

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