思い付いたら取り合えず書いていくスタイル...。ゆっくり書いていきます。
「アハハハハハハッ!どうした小娘ッ!!ペースが落ちてきているぞッ!もっとワシを滾らせぬかッ!!」
「クッ!?...貴女、本当に人間ですかっ!?」
「失礼だな。少し人より顔が良く、スタイルも抜群でほんのチョッピリだけ...人より強いだけだろう?」
「謙遜しているのか自慢しているのか、どちらなのですっ!?」
「自慢だな♪」
「あぁっ...!もうっ!!ヤりづらいッ!!」
---ここは学園都市「キヴォトス」。数多ある学園と、それを運営・維持している「生徒」と市民により営まれる場所。
そんなキヴォトスの人々の喧騒と
「...先生」
「...何かな?早瀬さん?」
「ユウカでいいです。て、そんな事よりっ!あの人ですよ、あの人っ!本当に先生と同じ、
「あの身のこなしや、研ぎ澄まされた技の数々...。相手はあの「狐坂ワカモ」だというのに、一切引くどころか常に圧倒している...!凄い...!」
「...あぁ、うん。そうだねー......」
「その反応...。あまり驚いていないということは、先生はあの方の実力を知っていたのですか?」
「君は、火宮さんだったね?...まあ、それなりに彼女とは長い付き合いだからね?あと、あんまり彼女に影響されないでね?」
「あ、私もチナツで大丈夫です。長い、というとご学友とかですか?」
「それは~...え~と......。あははは...」
「---何だ、これから向き合うべき貴様の生徒達だろう?であれば、生徒の疑問にはハッキリと答えてやらぬか。この阿呆が」
チナツの質問にバツの悪い表情で誤魔化していると、いつの間にか近寄っていた「彼女」が背後に立って、煮えきらぬ先生の頭を小突いていた。
「痛っ!?...痛いよ!『シキ』さん!?」
((((いつの間に背後にっ!?))))
「少し小突いた程度で大袈裟な...。ふむ。小娘共、コウが答えたくないようだからワシから教えてやろう!」
「ちょっ!?待って、シキさん!?」
シキの言葉に慌てて口を塞ごうと飛び掛かってきた先生を、ヒラリと避けると声高らかに彼女は胸を張り告げる。
「改めて名乗ろう!...ワシの名は『
「むふー!」とでも言いそうな表情で「元カノ」の部分を強調してそう告げたシキに、生徒達は驚愕の叫びを上げ、先生は「もう、どうにでもなぁーれ...」と虚空を見つめて力無く笑っていた。
...冒頭で戦っていた相手?なんかシキさんに、お姫様抱っこされて目を回してますね。
---ここでいきなりだが、時を戻そう。
---え~と...あれは確か幼稚園の年長組の時、日課の鍛練を行っていた時のことだった。
「あ、私転生者だわ」
いきなり頭ん中で前世の記憶が蘇ったのよね。こう...ホワンホワン~...。って感じに。
「シキちゃん?どうしたの?」
「なんでもないよ、コウくん」
まあ、察しの良い方ならもうお分かりだろうが、「朝宮コウ」と私「須賀原シキ」は幼馴染みだ。
コウは何が面白いのか、いつも何をするでもなく唯黙って私の鍛練する姿をニコニコと楽しそうに眺めていた。
え?私が鍛練している理由?上手く言えないんだけど...なんかある時ふと「身体を鍛えなきゃっ!」って思ったんだよね。
(しかし転生か...。今の私になる前の要因ってやっぱり...あれだよなぁ......)
今の「私」ではなく、前の「俺」が覚えている最後の記憶。それは......。
---とある日、とある場所で、とある青年がスマホを片手に歩いていた。
「くそっ!!また、ガチャ爆死かよっ!?俺のバイト代があぁあああーーーっ!?」
「お兄ちゃん...。街中で急に叫ぶのやめてよ...。私はもう慣れてるけど、周りからの目が痛いんだって......」
「う...。すまん、アズサ。けどさ!酷いんだぜ?このゲームのキャラ排出率!」
「どれどれ...あれ?でもこれ、ピックアップ召喚率2倍ってなってるよ?」
「所詮、確率は確率よな。全っ然!出ねぇっ!はぁ...。あと十連1回分の石しか残ってねぇよ...。回すか?いやでも、貯めておいて次のピックアップに回すのもありか...?」
ブツブツと、スマホの画面を見つめたまま眉間に皺を寄せて考え込む兄に呆れた視線を送りつつ、妹は告げる。
「何度も言ってるけどさ?ゲームにいくらお金を注ぎ込んでも、所詮はデータだよ?現実に形として残せるものにこそお金を使おうよ。...例えばこのグッズみたいにさ!」
「...妹よ、それについては俺も何度も言ってるけどな?分かっちゃいるけど、止めらんないんだよ...。それと、これも何度も言ってるけどな?そのグッズだけはありえねぇ。キモすぎるって...」
「そうかなぁ...?可愛いと思うけどなぁ...」
妹は俺の言葉に、手に持つ本人曰く「可愛い」動物の縫いぐるみを抱き締めてしょんぼりしてしまう。
...妹よ、いつかその感覚を共有できる友達ができるといいな。
「そんな事より!お兄ちゃん、もうガチャは回さないの?」
「ん?んー...。引いてみるか?」
「え!?良いの!?」
「そんな驚くことか?」
「ガチャ狂いのガーチャーであるお兄ちゃんが、他人にガチャを譲ってるんだよ!?」
「失礼すぎんか?」
自覚はあるが、他人に言われると腹が立つので軽めにデコピンを繰り出してからスマホを妹へ渡す。
妹は額を擦りながら若干、涙目でスマホを受け取る。
「うぅ...。ヒドイよ、お兄ちゃん!可愛い妹が傷物になっちゃったよ!」
「いらんこと言うからだろう?あと、言い方よ」
「あはは...。で、ホントにこれ回していいんだよね?」
「おう。任せたぞ、妹よ」
「任された!...よーし!いっくよぉー!ていっ!」
妹の可愛い掛け声と共にスマホの画面がタップされる。
十連(正確には十一連)ガチャの召喚演出が進んでいくが、結果は著しくない。
やはり駄目かと兄妹で肩を落としかけたその時...。
「お、お兄ちゃん!虹!虹回転が出たよ!?」
「おおお、おち、落ち着け!まだだ...!すり抜けの可能性もある...!」
最後の十一連目で最高レアキャラ確定の演出が出て、不意を突かれたために慌てる兄妹。
しかしピックアップすり抜けもあり得るため、落ち着くように妹へ促す兄だが、こちらも動揺を隠しきれない。
(最近めっきり見なかった虹回転!?ウッソだろ!?頼むから、すり抜けてくれるなよ...!)
「回転が収まるよ、お兄ちゃん!この絵柄は...どうなの?」
「一応、ピックアップキャラのクラスだな...。だが、イラストが見えるまではまだ...!」
「お願い...!当たって...!!」
そして遂に、その時は訪れる...!
「...いぃぃぃいいやったぁあああっ!!でかしたぞ!妹よっ!」
「きゃっ!...もうっ!苦しいよ、お兄ちゃん♪」
「お前は世界一の妹だ!愛してるぜ!マイ・エンジェル!」
「わわっ!?お兄ちゃんが愛してるって!愛してるって...!えへへ...♪」
人の目や周囲の状況などどこ吹く風で、狂喜乱舞する兄妹。
---そう。兄妹には周りが見えていなかったのだ。
---だから気付いた時には既に、目前まで暴走したトラックが迫っていて。
「え...?おにい......」
「ごめんな......」
何に対する謝罪だったのか...。自分でもよく分からないまま、言葉を口にして、トラックに気付いた兄は妹を安全圏まで投げ飛ばして宙を舞う...。
兄の最後に見た視界には、絶望に染まった表情で涙を流し、自分の名を叫び続ける妹と...スマホに映るガチャのリザルト画面だった。
(で、急に自分の前世を思い出しましたと...。あんな最低な死に別れ方しといて、今の今まで妹の事も何もかも忘れて、のうのうと新しい人生を謳歌しているとか...本当に最低だな、私)
そうやって自己嫌悪に陥っていると、不意に頭を撫でられる。
「...何してんの?」
「えっと...なんだか、シキちゃんが凄く悲しそうにしてたのと、どこか遠くに行っちゃいそうな気がして...?」
「なんで疑問形なのさ...。うん、でも、気付いてくれて、ありがとう...」
私はコウくんに抱き着いて静かに涙を流した。無性に悲しくなったのと、幼いながらも彼なりに私を元気づけようとしてくれているその気持ちが、とても心地良かったからだ。
今ではハッキリと思い出せるのは妹の声くらいしかなくて...。顔も、名前も、霞がかって上手く思い出せないが、どうか幸せになってもらいたいと願わずにはいられなかった。
(今思い返すとあの時にはもう、君に惹かれていたのかもね...。まあ、今は元カノだけど)
目の前で生徒達に詰め寄られ慌てふためいているコウを眺めながら、私は過去に思いを馳せながらそう思う。
「ま、今は取り敢えず今世を楽しみますか!」
様々な想いを振り切るように、私は転生して何度目になるか分からない決意を口にした。
いったい主人公は何のガチャを引いていたのか...。あ、シキちゃんの容姿は某運命のスカサハ似で能登ヴォイスの持ち主です。あと、感情が昂ると口調が変わります。