このまま結果が変わらなければ、ホシノには幸せホシノになってもらいます!
「...それでは、アビドス対策委員会の定例会議を始めます。始めたいのですが......」
「ちょっと、先生!朝からシャキッとしなさいよ?ほら、寝癖ついてるし...あ!ネクタイも曲がってるわよ?まったく...」
「ん!セリカ、先生にくっつきすぎっ!先生は私に任せるべきっ!」
「へぇ...?生徒に好かれて良かったですね?朝宮先生...?」
「朝から空気が悪すぎる...!!」
「そこっ!いい加減にしなさいっ!!」
清々しいほどの朝に響き渡る、アヤネの叫び。
...いや、どうしてこうなった。
「だいたい!セリカちゃんは、ついこの間まで先生やシキさんに対して距離を取っていたじゃないですか!」
「うぐっ...!?そ、それは...」
「シロコ先輩も、もっと先輩としての威厳を持ってください!」
「...ご、ごめん」
「先生もです!いざという時には頼りになるのに...普段からもっとしっかりしてください!」
「す、すみません...」
「うんうん、アヤネちゃんもっと言ってやって---」
「シキさんもです!!」
「へ?私もっ!?」
まさかの指摘に動揺するシキ。
「...先生もシキさんも、大人ですから色々とあるのでしょうが、それにしても何かあった時の先生への態度があからさまです!その度に、気不味い空気を味わう私たちの身にもなってください!!」
「はい...すみませんでした...」
「...まったく、もうっ!!」
プリプリと頬を膨らませて怒るアヤネに、みんな小さくなって頭を下げる。
アヤネちゃん、恐るべし...!
「えっと、アヤネちゃん?気持ちは分かりますが、そろそろ始めませんか?」
「あ...すみません!ノノミ先輩!」
「うへ、アヤネちゃんは怒らせると怖いからね~。おじさんも気を付けよっとー」
おっほん!と、アヤネは一つ咳払いをして仕切り直す。
「本日は先生にもお越しいただいたので、いつもより真面目な議論ができると思うのですが...」(チラッ)
「「「「よ、よーし!張り切っていくぞー!」」」」
「は~い☆」
「うへ、よろしくねー」
「早速議題に入ります。本日は、私たちにとって非常に重要な問題...。「学校の負債をどう返済するか」について、具体的な方法を議論します。ご意見のある方は、挙手をお願いします!」
こうしてなんとか議論は始まったのだが......。
「...どうして...どうして、マトモな意見が一つも出ないんですかっ!?」
「ん!それは心外、セリカのマルチ案件は別にしても他はマトモだった」
「どこがですかっ!?銀行強盗に生徒を拉致するとか、スクールアイドルとか...!!何を考えているんですか!?」
「水着少女団のクリスティーナで~す♧」
「この空気のなか、そんなマネが出来る君がNo.1だよ...ノノミちゃん!」
「もー面倒だしさー、先生とシキさんに決めてもらおうよー?」
「えっ!?これまでの意見からですか!?ホシノ先輩、正気ですか!?」
「あはは~、今日のアヤネちゃんは容赦ないねー?大丈夫だよー。先生達が選んだものなら、間違いないってー」
「何でそう言い切れるんですか!?」
まあまあ...と、みんなでアヤネを宥めて落ち着かせ、先生とシキは決断する。
「「アイドルグループ結成!私がプロデューサーになる!!」」
「えぇっ!?本気ですか!?いえ、正気ですか!?頭、大丈夫ですか!?」
「「アヤネ/アヤネちゃん...そこまで言う?」」
「あはははー!よし、決まりー!それじゃあ早速、方向性を話し合おうー!」
「きゃあ~☆楽しそうです!」
「え?ほ、ホントに?え?え?」
「計画は大胆なほどいい。というわけで、先生にはプロデューサーをしてもらって、シキには一緒にアイドルしてもらう」
「ヴぇっ!?わ、私がアイドル!?いや、流石にキツいって!ねえ?コウくん?」
「(!!動揺してるからか、昔の呼び方に!?)大丈夫だよ、シキちゃん!!僕が君をトップ・オブ・ザ・トップアイドルにしてみせるから!!」
「コウくん...」
「シキちゃん...」
「...い...いいわけないじゃないですかぁ!!」
ガッシャーン!
「出たー!アヤネちゃんのちゃぶ台返しー!」
「きゃあ、アヤネちゃんが怒りました!非常事態です!」
「キシャアーーー!!」
---
「いやぁー、悪かったってば、アヤネちゃーん。ラーメン奢ってあげるからさ、怒らないで、ねっ?」
「怒ってません...」
「はい、お口拭いて。はい、よくできましたねー☆」
「赤ちゃんじゃありませんからっ」
「...何でもいいけどさ。なんでまたウチに来たの?」
そう、現在アビドス一行はお馴染み「柴関ラーメン」へ来ている。
アヤネのご機嫌取りも兼ねているが、一番の理由は収集がつかなくなったからである。...是非もないね!!
「アヤネ、チャーシューもっと食べる?」
「(もごもご)ふぁい」
「あ、私の煮卵もあげるね?」
「じゃあ、私は餃子をあげる」
雛鳥に餌をやる親鳥のごとく、アヤネにラーメンの具やらを分けていると、店の扉が開き新たな来客が店内へ入ってくる。
「あ...あのう...」
「いらっしゃいませ!何名様ですか?」
「こ、ここで一番安いメニューって、お、おいくらですか?」
「一番安いのは...。580円の柴関ラーメンです!看板メニューなんで、美味しいですよ!」
「あ、ありがとうございます!」
「ん?」
一番安いメニューを聞き、お礼を言ったあとその客は外へ出ていってしまう。
その反応にセリカは呆気にとられていると、再び扉が開き、今度は複数の人物と共に先程の客が戻ってくる。
「えへへっ、やっと見つかった、600円以下のメニュー!」
「ふふふ。ほら、何事にも解決策はあるのよ。全部想定内だわ」
「そ、そうでしたか、さすが社長、何でもご存知ですね...」
「はあ...」
「4名様ですか?お席にご案内しますね」
「んーん、どうせ一杯しか頼まないし大丈夫」
「一杯だけ...?でも、どうせならごゆっくりお席へどうぞ。今は暇な時間なので、空いてる席も多いですし」
「おー、親切な店員さんだね!ありがとう、それじゃあお言葉に甘えて...あ!わがままついでに、箸は4膳でよろしく。優しいバイトちゃん」
「えっ?ま、まさか一杯を4人で分け合うつもり?」
「ご、ご、ごめんなさいっ。貧乏ですみません!!お金がなくてすみません!!」
「あ、い、いや...!その、別にそう謝らなくても...」
「はあ...ちょっと声デカいよ、ハルカ。周りに迷惑...」
「そんな!お金がないのは罪じゃないのよ!胸を張って!」
「へ?...はい!?」
「お金は天下の回りもの、ってね。そもそもまだ学生だし!それでも、小銭をかき集めて食べに来てくれたんでしょ?そういうのが大事なんだよ!」
「え、えーと...」
「もう少し待っててね。すぐ持ってくるから」
捲し立てるだけ捲し立ててから、セリカは厨房へ向かって去っていった。
「...何か妙な勘違いをされてるみたいだけど?」
「まあ、いつも貧乏ってわけでもないんだけどね。しいて言えば、金遣いの荒いアルちゃんのせいだし」
「”アルちゃん”じゃなくて社長でしょ?ムツキ室長、肩書きはちゃんと付けてよ」
「ん?だってもう仕事は終わったじゃん?ところで、社長のクセに社員にラーメンの一杯も奢れないなんてねー?」
「うぐ...」
「今日の襲撃任務に投入する人員を雇うために、ほぼ全財産使っちゃったし...」
「ふふふ。でもこうして実際ラーメンは口にできるわけでしょ?それぐらい想定内よ」
「たったの一杯じゃん。せめて4杯分のお金は確保しておこうよ...」
「ぶっちゃけ、忘れてたんでしょ?ねえ、アルちゃん。夕飯代取っておくの、忘れてたんでしょ?」
「...ふふふ」
「はあ。ま、リスクは減らせた方がいいし。今回のターゲットは、ヘルメット団みたいな雑魚みたいには扱えないってことには同意する。でも全財産をはたいてまで人を雇わないといけないほど、アビドスは危険なの?」
「それは...」
「アルちゃん、ビビっただけでしょー?」
「誰がビビってるって!?全部私の想・定・内!失敗は許されない。あらゆるリソースを総動員して臨むわ。それが我が便利屋68のモットーよ!」
「初耳だね、そんなモットー...」
「今思い付いたに決まってるよ♪」
煽られまくっている自称社長の少女は「依頼が成功したら、全員ですき焼きよ!」と豪語し、ムキになる。
そうこうしていると、目的のものが席へ運ばれてくる。
「はい、お待たせしました!お熱いのでお気をつけて!」
セリカの元気な声と共に机に置かれたそれは、ラーメンと呼ぶにはあまりにも...以下略。
「ひぇっ、何これ!?ラーメン超大盛りじゃん!」
「ざっと10人前はあるね...」
「こ、これはオーダーミスなのでは?こんなの食べるお金、ありませんよう...」
「いやいや、これで合ってますって。580円の柴関ラーメン並!ですよね、大将?」
「ああ、ちょっと手元が狂って量が増えちまったんだ。気にしないでくれ」
「大将もああ言ってるんだから、遠慮しないで!それじゃ、ごゆっくりどうぞー!」
笑顔で去る二人を見送り、再びラーメンに集中するアル達。
やはり、その量に圧倒される。
「う、うわあ...」
「よくわかんないけど、ラッキー!いっただきまーす!」
「...ふふふ、さすがにこれは想定外だったけど、厚意に甘えて、ありがたく頂かないとね」
「食べよっ!」
ムツキの掛け声で一斉にラーメンを啜る。
「「「「お、おいしいっ!」」」」
「イケるじゃん!こんな辺鄙な場所なのに、このクオリティ!」
「でしょう、でしょう?美味しいでしょう?」
「あれ...?隣の席の...」
「うんうん、ここのラーメンは本当に最高なんです。遠くからわざわざ来るお客さんもいるんですよ」
「ええ、わかるわ。色んな所で色んなのを食べてきたけど、このレベルのラーメンはなかなかお目にかかれないもの」
「えへへ...私たち、ここの常連なんです。他の学校のみなさんに食べていただけるなんて、なんか嬉しいです...」
「その制服、ゲヘナ?遠くから来たんだね」
ノノミから始まり、アヤネ、シロコと会話に加わっていく。
アルはアビドス組とワイワイと盛り上がっていくが、それを少し警戒した目で窺う者が一人...。
「...君は話に加わらないの?」
「!」
「あ、ごめんごめん。急に話しかけて、ビックリさせちゃったかな?」
「い、いや、大丈夫...」
(声を掛けられるまで、気配を感じなかった...?この人いったい...)
「大人の人ー?誰だれー?」
「おっと、自己紹介しないとね!私はシキ。連邦生徒会の「シャーレ」って組織で働いてます。よろしくね?」
「私はそのシャーレの先生だよ。よろしくね」
(ねえ、カヨコちゃん?シャーレってさ...)
(うん、例の組織だね。まさか噂の大人達に、こんなところで会うなんて...。それに、あの制服はアビドスの生徒だよね)
(あ、ホントだ!)
「あれ?どうかした?」
「ううん。何でもないよ!ラーメン美味しいねって話してたの~。ね?カヨコちゃん?」
「...そうだね。ここまで美味しいラーメンは、始めて食べたよ」
カヨコとムツキが何かを誤魔化したのを、大人二人は察したが敢えて指摘せずに、二人の調子に合わせて話を続ける。そうしていると、アルの快活な声が聞こえてきた。
「うふふふっ!いいわ、こんなところで気の合う人達に会えるなんて。これは想定外だけど、こういう予測できない出来事こそ人生の醍醐味じゃないかしら!」
(アルちゃん、なんにも気付いてないみたいだね?)
(...言うべき?)
(...面白いから放っておこ♪)
(......はぁ)
((あ、このカヨコって子、苦労人ポジションだ...))
アルの能天気さと、ムツキの提案に額に手をあてて溜め息を吐くカヨコ。
それを見たコウとシキはカヨコに対して、ほろりと涙を流した。
「...ラーメン、美味しいです...えへへ」
最後に、幸せそうにラーメンを食べるハルカは可愛いねって。
ユメ先輩は復活した方がいい?
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ユメパイは必要!
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死人にくちなし。ふようら!
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そんなことより、おうどん食べたい...。