先生の元カノになったTS転生者です。   作:秋月 ヒカリ

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 唐突なネタバレなんすけど、前回の不穏な終わり方は別に不穏ではないです。
 少なくともアビドス編では。

 前回に引き続き、唐突に始まったシキVSホシノ戦。始まります!(短いよ!)


夢を失くした星の子

 ~アビドス高校 校門前~

 

 

 便利屋たちの集めた、さっきまで傭兵たちだったものが転がる校門前にて、銃声と打撃音と怒号が飛び交う。

 

 

 「最初から、私は貴女たち大人を信じてはいなかったんですよッ!!」

 

 「それは、何となくは察していたがなッ!!それでもワシやコウは、お主らの味方であると叫び続けるさッ!!」

 

 「お前らはいつもそうだッ!!甘い声で囁いて!子供を騙して!食い物にしてッ!!そんな甘い毒に踊らされて、信じて...!その結果が、今のアビドスだッ!!」

 

 

 ホシノは叫び、手に持つショットガンを容赦なくシキの急所を狙い撃ち抜く。

 

 もちろん素直に当たってやるわけにはいかないので、シキはソードメイスを巧みに捌き、弾き、避ける。

 しかし、衝撃までは流石に全てを無効化できずに僅かに呻いてしまう。

 

 

 「ぐうっ!?...流石に一切の手加減なしで、神秘を込めて打ち込まれればワシでもキツいか...!!...しかしなッ!!」

 

 「くっ...!普通の人間が、当たれば死ぬ銃弾の中を突っ切ってくる!?狂人がッ...!!」

 

 「ちゃんと急所は守っている!それに、苦しんでいる子供を救うためならば、この程度の痛みは何てことはないッ!!ハアッ!!」

 

 「クッ!!いちいち癇に触る...!!貴女に...大人に私の何が分かるって言うんですか!?」

 

 

 ガキンッ!!と、メイスと盾の衝突する音を響かせながら、何度も攻防を繰り返す二人。

 

 それを遠目に眺めながら、便利屋とアビドスの面々も戦闘を続けて---

 

 

 「ねえ?あの大人、何なの?なんで普通にヘイローを持つ生徒とやりあえてんの?」

 

 「ん、シキは特別。でもまさか、ホシノ先輩と渡り合える程とは思ってなかった」

 

 「なにそれー、外から来た人って皆そうなのー?」

 

 「どうなんでしょうねー☆」

 

 「ちょっと怖いですね...」

 

 「「アンタ/アナタたち!真面目に戦いなさいよ!」」

 

 

 戦闘...せずに、もはや観戦モードになっている面々にセリカとアルがツッコミを入れる。

 

 

 「そうは言うけどさ、アル。もう、そういう段階じゃないと思う」

 

 「え?」

 

 「うん。シキにあなたたちを抑えるようには言われたけど、下手に戦ってもし流れ弾でも向こうにいったら多分、その時点でアウト」

 

 「ええっと...?」

 

 『皆の選択はそれで合ってるよ』

 

 「先生っ!」

 

 

 後方でモニターしていたコウが、シロコたちに通信を繋ぐ。

 

 

 『シロコの言うように下手に戦闘をして二人の気を散らすよりも、シキさんにホシノは任せた方がいい。...万が一、今のホシノがこちらをターゲットにしたら、きっと取り返しがつかなくなる』

 

 (ホシノの心がね...)

 

 「で、でも!このまま指を咥えて見てるだけなんてっ...!」

 

 『そこは信じてあげてほしいな?』

 

 「シキを?」

 

 『二人をさ』

 

 

 先生にそう言われ、後輩たちは二人の行く末を見守る。今にも飛び出したい気持ちを抑えながら。

 

 対して便利屋も逃げようと思えば恐らく逃げられたが、なぜだか全員その場を動く気になれず、同じように戦いの行く末を見守るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 見守られながら戦うシキとホシノ。

 

 二人は肩で息をしながら一旦距離を置き、睨み合う。

 

 

 「...なあ、ホシノよ。なぜお主はその手に銃を握る?」

 

 「はあ?何ですかその問いは?そんなの、このキヴォトスではそれが当たり前だか---」

 

 「ワシが聞きたいのは、そんな事ではない。お主は何を守るために...誰のためにその力を振るうのか、ということだ」

 

 「そ、それは、学校を...後輩たちを守るために......」

 

 「ならば今のお主はどうだ?本当にそう思っているのか?」

 

 「何を言って...」

 

 「お主の過去にどんな事があったのかは、ワシには分からん。だが、お主が学校を、後輩たちを心の底から大切にしていることは理解しているつもりだ。...だが、今のお主には何も見えていない」

 

 「...そうやってまた、知ったような口をきくんですね。...貴女たち大人はッ!!これまでも同じようにすり寄ってきたッ!!何も知らないくせにッ!!何もしなかったくせにッ!!アンタも...アンタたちもォーーーッ!!」

 

 「なっ!?」

 

 

 シキは冷静に対話をするつもりだった。しかし、自身の言葉がホシノの逆鱗に触れたらしく、有らん限りの声で叫んだかと思うとホシノは一瞬で距離を詰め、炎を纏った拳(・・・・・・)で殴ってきた。

 

 

 (神秘の具現化っ!?...いや、なんだ?このざらつく感覚は...?まさか...!!)

 

 「反転しかけているのかっ!?」

 

 「分かってるッ!分かってるんですよッ!私じゃあ何も守れないってッ!!」

 

 「落ち着け、ホシノッ!!このままでは、お主は...!!」

 

 「でも、しょうがないじゃないですか...。私にはもう、これしかないんです...。此処しか(アビドス)私には残ってないッ!!あの人(・・・)との思い出もッ!!贖罪できる場所もッ!!此処しか...ッ!!私にはもう、何も残ってない(・・・・・・・)ッ!!」

 

 「ッ!!...この、大馬鹿者がァッ!!」

 

 「がふっ!?つあ...」

 

 

 シキはホシノの言葉に激昂した。

 

 何も残っていない?何も守れない?違うだろう...!!

 

 

 「自分で言っていただろうッ!!大切な後輩がいるとッ!!守りたい場所があるとッ!!」

 

 「がっ!?ぐっ!?」

 

 「お主との戦いを通して、何となくではあるがお主の想いは伝わってきた...。だからこれだけは分かるッ!!その気持ちが”本物”であるとッ!!」

 

 「ぐぅ...!!こ、のおぉーーーッ!!」

 

 「だから...だからッ!!お主自身の言葉で、それを否定するなッ!!お主は”一人じゃない”ッ!!」

 

 「が...はっ......」

 

 

 ホシノはシキの拳を食らい、宙を舞いながら思う。

 

 完璧に叩きのめされた...。そう感じた。

 

 感情のままに拳を振るった。そこに理性などなく、癇癪を起こした幼い子供のように、ただ拳を振るった。

 間違いなくこれまでで最高の力を発揮していると、相手を凌駕していると、そう感じていたのに...全ていなされた。

 

 そしてこれだ。地面に叩きつけられ、無様に転がっている。

 

 

 (ああ...。私って、本当に馬鹿だなぁ......)

 

 

 そう思いながら、途切れそうになる意識の中でふと視線を横にずらすと、涙を目に溜めながら自身に向かって走り寄ってくる後輩たちの姿を目にする。

 

 

 ---お主は一人じゃないッ!!

 

 

 (ホントだねぇ...。後でちゃんと謝るからね?みんな...。先生、シキさん......)

 

 

 そうしてホシノは意識を手放し、唐突に始まった戦いは幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シロコたちが気を失ったホシノを、校舎に運び込んでいく姿を見ながら、満身創痍の身体でシキは便利屋に問う。

 

 

 「...さて、お主らはどうする?続きを今から始めるか?」

 

 「それは...」

 

 「---撤収よ」

 

 「っ!...社長?それでいいの?」

 

 「雇った戦力は全滅したし、何より...興が削がれたわ」

 

 「はあ...。了解。ムツキ、ハルカ、聞いてたよね?帰るよ」

 

 「はーい!」

 

 「あ、アル様がそうおっしゃるなら...」

 

 

 アルはコートを翻し、颯爽と歩き去っていく。その後を、カヨコは額に手をあてながら、ムツキはスキップをしながら追いかける。最後にハルカがペコリとシキに一礼して、三人を追いかけて走っていった。

 

 

 「おっと...」

 

 「シキさん!」

 

 「ありがとう...コウ」

 

 「まったく...無茶しすぎだよ、シキさん!心配したんだよ?」

 

 「でも、信じてくれてたんでしょ?」

 

 「当たり前だよ!」

 

 「ふふっ...。こうやって君に抱き止められると、安心するなぁ...。このまま運んでもらったり?」

 

 「それも当然。傷だらけのお姫様をこれ以上、酷使させるわけないでしょ?」

 

 「...ばか」

 

 

 ふらつき、まともに立てないシキを横抱きに抱え、しっかりとした足取りで校舎へ向かうコウ。

 

 その腕の中では、シキが安心しきった顔で身体を預けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「なあ?私たちの扱い、酷すぎない?」

 

 「所詮、私たちはモブってこったろ?やってらんねー...」

 

 「とりま、飯食って帰るベ」

 

 

 取り残された傭兵アルバイター達は、途中で意識を取り戻していたが、空気を読んで倒れたままでいた。

 

 しかし、自分達以外の人気が無くなったのを確認し、それぞれの帰路へ着くのであった。




 はい。というわけで、謎のホシノ戦でした!
 いや、ちゃうんすよ...。ちゃんと理由はあるんすよ...。ユメパイを復活させるための伏線的な?そんな感じのサムシングが...ね?

 タグには「ご都合展開」ってつけてるから許して...許して...。
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