先生の元カノになったTS転生者です。   作:秋月 ヒカリ

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 今回はホシノの心が遂に、大人二人に対して開きます。
 ...あの、内容については寛容な心で読んで下さい!お願いします!何でもしますから!(何でもするとは言っていない)


シキ「まさか妹に続いて○まで出来るとは...」

 ~アビドス高校 保健室~

 

 

 「じゃあ、私たちは失礼しますが...。本当に、ホシノ先輩をお任せしてもよろしいんですか?」

 

 「ええ。今日はみんな疲れただろうし、早く帰って休んで?ホシノちゃんは、私とコウとで見ておくから」

 

 「...分かりました。でも、シキさんもお疲れでしょうし、あまり無理はなさらないでくださいね?」

 

 「うん、分かったよ。ありがとう」

 

 「それでは、また明日」

 

 「気を付けてねー」

 

 

 昼間の便利屋襲撃、からのまさかのホシノとの戦闘を終え現在は夜。

 

 倒れたホシノを保健室に運び込み、シキ自身もコウにより運ばれて今はベッドの上で上半身だけ起こしている状態である。

 

 ホシノ共々、みんなからは散々心配されてしまったが、少し横になっていたら大体は回復したので明日には普通に動けるだろう。

 

 

 (...やっぱり気のせいではないよね。キヴォトスに来てから、明らかに身体スペックが向上している。それに、外では使えなかった神秘を使えたり、この回復力...。私は一体なんなんだ...?)

 

 「シキさん?」

 

 「んぇ?どうかした?」

 

 「それはこっちの台詞だよ...。急に黙りこんで、何かを悩んでるような顔してるし...。やっぱり、どこか痛む?」

 

 「ううん、そんなことはないよ。ただ...キヴォトスに来てからの自分の変化について、考えてただけ」

 

 「変化?」

 

 「誰に習ったわけでもないのに、こっちに来てからいつの間にか使えるようになってた神秘とか...。身体スペックの異常としか言えないような向上とか...。私って、なんなんだろうなってさ...」

 

 「...シキちゃんはシキちゃんだよ」

 

 「コウ...?」

 

 

 コウに対して自分の内に抱える不安を吐露すれば、力強く抱き締められるシキ。そのままの状態でコウは続ける。

 

 

 「僕にとって君は、僕にとって変わらず”一番大切な人”だ。これは君に誓ったあの日から、ずっと変わらない」

 

 「...こんなに普通の人間から遠ざかっていってるのに?」

 

 「関係ないよ。(シキ)(シキ)だ。他の誰が否定しようと、僕は君を肯定し続けるし放さない。...もう、二度と」

 

 「...なぁに、それ?まるでプロポーズじゃん?」

 

 「...ごめん。本当は、もっとちゃんとしたところで言いたかったんだけど...」

 

 「いいんじゃない?たまには勢い任せもさ?」

 

 「...男としては、カッコつけたい見栄もあるんだよ」

 

 「それこそ心配しないでよ。私にとってコウくんは、ずっとカッコいいままだからさ?」

 

 「シキ...」

 

 「コウ...」

 

 

 抱き締め合ったまま、二人の唇が近づいていきその距離は縮まってまさに重なるその瞬間......。

 

 

 「...おっほん!」

 

 「「!!!」」

 

 「あ~その~...邪魔する気はないんだけどね?せめて私の居ないところでお願いしたいと言いますか~...ね?」

 

 「「...すみません」」

 

 「いや、こっちこそ何か...ごめん」

 

 

 そう、ここは保健室。完全にシキとコウは二人の空間...いわゆる「愛フィールド」を展開していたが、ホシノもいるのだ。

 

 

 「あの~...ちなみにどの辺から聞いてた?」

 

 「...アヤネちゃんたちが帰った後ぐらいかな?」

 

 「「全部じゃないですかっ!!うわあぁーっ!?」」

 

 

 

 

 

 ---閑話休題---

 

 

 

 

 

 「落ち着いた?」

 

 「「はい...」」

 

 

 一頻り羞恥に悶えたあと、何とか落ち着いた二人は顔を真っ赤に染めたままそう返事をする。

 

 

 「目を覚まして起きるタイミングを考えてたら、急にラブコメが始まってビックリしましたよ...」

 

 「「お願いします...忘れてください......」」

 

 「ちょっと無理そうですね」

 

 「「NOォーーーっ!?」」

 

 「うるさっ...」

 

 「「誰のせいだと...!」」

 

 「自分達ですよね?」

 

 「「はい...」」

 

 「まったく...。せっかく人が素直になろうと決めたっていうのに...。まったく、もう...」

 

 「...ん?そういえば、今のホシノちゃんって戦ってる時の口調と一緒だね?」

 

 「それは、その...元々はこっちが素なので」

 

 「あ!素直になるってそういう?」

 

 「まあ、はい。みんなの前では普段通りにしますが、お二人の前では自称”過去ホシノモード”でいこうかと」

 

 「「”過去ホシノモード”」」

 

 

 自分で言っておいてなんではあるが、二人からオウム返しにそう言われれば顔をほんのり紅くして、咳払いをして話し出すホシノ。

 

 

 「こほんっ!...今まで助けてもらっておいて、失礼な真似をして、すみませんでした。特にシキさん。勝手に暴走して、失礼なことも沢山言ったし、傷付けて、八つ当たりして...ごめんなさい!」

 

 「...顔を上げてよ、ホシノちゃん」

 

 「はい...」

 

 「あのね?戦ってる時も言ったと思うけど、私は...ううん、”私たち”は君たち生徒のためなら、どんなに傷付いたって構わない。それだけの覚悟を持って、君たちと向き合ってる」

 

 「うん。私たちは、君たち子供には幸せになってほしい。子供にとっての青春という時間は、「今」しかないからね?」

 

 「どうして...どうして、そこまでの覚悟を持てるんです?他人のために、とるに足らない私たち(子供たち)のために、どうして...?」

 

 

 ホシノの問いに、二人は満面の笑顔で答える。

 

 

 「「それはね?君たちの笑顔が大好きだからさ!その為なら、どんな苦労も平気、へっちゃらなんだよ!」」

 

 『---ホシノちゃん!』

 

 「......ぁ」

 

 

 二人の笑顔と言葉に、ホシノは大切だった人の笑顔と自分を呼ぶ声を幻視した。

 

 あの人とは似ても似つかないのに、どこかあの人を彷彿とさせる人懐っこい笑顔。その人間性。危険も省みずに誰かのために身を挺する、危なっかしさ。その全てが---

 

 

 (...ああ、だからか。だから私は、大人というだけでなく、どこかユメ先輩にも似た雰囲気を持つ二人だから...受け入れられなかったんだ...。ガキだなぁ...)

 

 「ほ、ホシノ!?大丈夫かい!?」

 

 「どこか痛むの!?」

 

 「うへ...?あれ?なんで、涙が...う、うわあぁーーーん!!」

 

 「おっと...!...よしよし、大丈夫。大丈夫...」

 

 「...シキさん、僕は少し外の空気を吸ってくるよ。悪いけど...」

 

 「うん、ホシノちゃんのことは任せて。行ってらっしゃい」

 

 「行ってきます」

 

 

 シキに必死に抱きつき、涙を流すホシノ。その姿を見て、コウは空気を読んで退出する。扉を閉める際に見えたシキの姿は、まるで我が子をあやす母親のように見えた。

 

 

 

 

 

 ---閑話休題---

 

 

 

 

 

 「うぅ、恥ずかしいところをお見せしましたぁ...」

 

 「ええー?赤ちゃんみたいで、とっても可愛かったよ♪」

 

 「う、うわあー!?忘れてくださいぃー!!」

 

 「ただいまー。飲み物買って...どういう状況?」

 

 

 コウが外の自販機で飲み物を買い戻ってくると、ホシノが真っ赤な顔でシキの肩を掴んでガックンガックン揺さぶっているところにでくわした。

 ちなみにシキは超良い笑顔である。

 

 しばらく混沌とした時間を過ごし、飲み物を飲んで落ち着いた頃にポツリとホシノが喋りだす。

 

 

 「...お二人には、本当に感謝しているんです」

 

 「ホシノちゃん?」

 

 「補給物資の件もそうだし、セリカちゃん救出の事も、アビドスの問題に対して真剣に向き合ってくれていることも、全部」

 

 「うん」

 

 「暴走中に言ったように、今まで近づいてくる大人は下心のある悪い大人ばかりでした。甘い言葉を並べてきても、実際に手を差し伸べる大人は一人もいなかった...。だから、あの人も現状をどうにかしようと、一人でどこかに向かって...そして、帰ってこなかった」

 

 「もしかして、昼間暴走しちゃった原因って...」

 

 「はい...。私がまだ一年生だった時に、居たんです。当時、たった一人で学校を守っていた、優しい先輩が...居たんです。居なくなる切っ掛けは、私との喧嘩でした。いえ、喧嘩とも言えません。どうしようもない現状に苛立った私がただ、先輩に八つ当たりしただけなんですから...」

 

 

 どこか遠くを見つめながら、ホシノの独白は続く。

 

 

 「自分で壊したくせに、それを弱い私は棚上げして、誰かのせいにして奪われた気になって...。挙げ句の果てにはこれですよ?かつての先輩の格好を真似て、本来の自分もねじ曲げて、一丁前に後輩たちを守っている気になって、傷付けて...!」

 

 

 ギリッ!と小さな手を握り締めたかと思うと、フッと力を抜き、自嘲気味に吐き捨てる。

 

 

 「助けに来てくれた恩人を、大人だからと信じず、あまつさえ傷付けて...ホント、何回同じような間違いを犯せば気が済むのか...。...いっそ、私自身がここから居なくなれば---」

 

 「駄目だよ、ホシノ」

 

 「え...?」

 

 「そんな悲しいことを言ったら、駄目だ...」

 

 「先生...?」

 

 

 コウは耐えられなかった。

 

 まるで血を吐くように懺悔するホシノを見て、こんなにも小さな身体でどれだけの痛みを、苦悩を、絶望を背負ってきたのかと。そう考えると、ホシノを抱き締めていた。

 

 

 「私たちは君の過去にどれだけの重みがあるのか、それは想像することしかできない。でもね?これだけは分かるよ。...君の先輩は、決してホシノを恨んでないし、それどころかホシノの幸せを願っているって」

 

 「...そんなわけないですよ。私はずっと可愛げなんてなかったし、それに最後は八つ当たりしてのお別れですよ?こんなヤツの事を、恨んでないなんて......」

 

 「ホシノちゃん。私にもね、大切な人がいたんだ...。だけど、私はどうしようもなかったとはいえ、その人を悲しませ、遺してきてしまった...。だからね?遺して逝ってしまう人の気持ちは、痛い程分かるんだ」

 

 「...どう、思っているんです?」

 

 「幸せになってほしい」

 

 「っ!シキ、さん...?」

 

 

 正面から見たその時のシキさんの顔を、私はきっと一生忘れないと思う。

 

 『幸せになってほしい』。そう言った時の彼女の顔は、触れてしまえば壊れてしまいそうで...だけど不思議と力強く、心の奥に確かに響く。そんな不思議な表情はきっと、この先二度も見ることはないと思うから。

 

 そして気がつくと、私は先生ごとシキさんに抱き締められていた。...今日だけで何回抱き締められるんだ、私は。でも......

 

 

 (暖かくて、安心するなぁ...。まるで、ユメ先輩に抱き締められているみたい...)

 

 「...先生、シキさん。私にも幸せになる権利、あるんですかね?」

 

 「もちろんっ!」

 

 「それは誰にでも、平等に与えられている権利だからね」

 

 「うへへ...。ありがとう、先生、シキお母さん...」

 

 「ふふっ、どういたしまし...って、え!?お母さん!?」

 

 「うんー。なんだかシキさん、お母さんみたいですっごく安心するんだー...ダメ?」

 

 

 潤んだ瞳でそう見上げてくるホシノを見た瞬間、シキの脳内には以下略。

 

 

 「...私がホシノちゃんのお母さんですっ!!」

 

 「わーいっ!おかあーさーん!」

 

 「ふふっ♪ホシノちゃんは甘えん坊ですねー?」

 

 「ねえねえ、ホシノ!シキさんがお母さんなら、私はお父さんかな?」

 

 「え、先生は先生ですよ?何言ってるんですか?頭でも打ちました?」

 

 「あ、そう...」

 

 「...だって、お父さんって言っちゃったらなんか本当に私、お二人の沼に嵌まりそうですし」

 

 「ん?何か言った?ホシノちゃん?」

 

 「ううん!何でもないよー。...うへへ♪」

 

 

 いつ以来になるか分からない心からの幸せそうな顔で、シキのたわわに埋もれて甘えるホシノ。

 

 母性大爆発、爆上げブンブンで甘やかすシキ。

 

 心を開いてもらい、嬉しい気持ちと間に挟まれない少しの寂しさを覚えるコウ。

 

 こうして今日もアビドスの夜は更けていくのであった。




 おふざけとシリアスで終わってしまった...。
 ちなみに、シキの「遺して逝ってしまう」発言は、ホシノとコウには普通に「残して行く」に変換されて聞こえています。

 ホシノに関しては...予定調和だから。(震え声)
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