先生の元カノになったTS転生者です。   作:秋月 ヒカリ

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 ちょっと時間空きましたが、前回の続きです。どうぞ!


ゲヘナ風紀委員会

 ~アビドス高校~

 

 

 柴関ラーメンが爆発する少しだけ前のこと...。

 

 対策委員会では、シキが帰ってくるのを待ちながらワイワイと談笑していた。すると、軽い地響きと共に異変を感知したアヤネが叫ぶ。

 

 

 「!?前方、半径10km内にて爆発を検知!近いです!」

 

 「その距離は...市街地?まさか襲撃!?」

 

 「確認中です!...爆発地点確認。シロコ先輩の言う通り、市街地ですね。正確な位置は......柴関ラーメン!?」

 

 『!?』

 

 「柴関ラーメンが跡形もなく消えてしまいました!」

 

 「はあ!?どういうこと!?何であの店が狙われるのよ!」

 

 「戦略拠点でもなく、重要な交通網でもないのに。もしかして、またセリカが狙われた?」

 

 「うえっ!?わ、私っ!?」

 

 「うへ...。目的は分からないけど、大将のことが心配だしさ?とりあえず、柴関ラーメンに向かおうか」

 

 「そうだね。それと、入れ違いになるといけないから、シキさんには私から連絡を入れておくね?それじゃあ、みんな...出動だ!」

 

 

 こうして柴関ラーメンへ向けて、アビドスは動き出した。

 

 

 

 

 

 **********************

 

 

 ーーー時間は戻って現在。

 

 跡形もなくなった柴関ラーメンを呆然と見つめるなかで、真っ先に正気を取り戻したノバナが慌てて叫ぶ。

 

 

 「...はっ!!た、大将!?大将は無事か!?」

 

 

 ノバナの叫びを皮切りに、全員が我に返り大将を探し始める。

 

 しばらく瓦礫を掻き分けながら捜索をしていると...。

 

 

 「い、いた!!姐さんっ!こっちですっ!!」

 

 「見つかったか!よくやった!!」

 

 

 ノバナの仲間の一人が大将を発見して声を上げる。全員で大将の元へ駆け寄り、安否を確認する。

 

 

 「大将の容態はどうかしら、カヨコ?」

 

 「...うん、気絶してるだけみたい。ぱっと見た限りでは大きな怪我は無いね。ただ、ことが事だから早く病院に連れて行った方がいいのは確実だね」

 

 「うし!なら、アタシ達の車に乗せてくれ。大型の車だから、アル達も一緒に乗んな!」

 

 「わ、私たちも?いいの?」

 

 「アル、お前の顔に「大将が心配です」って書いてあるぜ?」

 

 「え!?...わかったわ。みんな!車に乗って!急いで病院に......」

 

 「アンタ達!!そこで何してんのよっ!!」

 

 「へ...?」

 

 

 大将を抱えて車に乗せようとしていたタイミングで、何者かに叫ばれて間の抜けた声を出すアル。

 

 その場の全員が声の主の方を見ると、そこには怒りに燃えて瞳孔の開いたセリカが唸り声を上げながら威嚇していた。

 

 

 「アンタら...!!大将をどこに連れてく気よ!?アタシだけならまだしも、大将を傷付けるなんて...。覚悟は出来てんでしょうね!!!!」

 

 「い、いや違う!誤解だっ!アタシらはただ...!」

 

 「...ん、この状況で言い訳されても信じられない。とりあえず、大将は返してもらう」

 

 「言い訳じゃなくて...!ああ、もうっ!話を聞いてくれっ!」

 

 『っ!?...先生、あの方が手に持っているのは何かの起爆装置です。状況的に見て、恐らく...』

 

 「そうか...。見慣れない子もいるけど、少なくとも便利屋はこんな酷いことをするような子達じゃないって、私は思ってたんだけどな......」

 

 (待て待て待て待て!?確かに状況だけ見れば、アタシ達は圧倒的に”黒”だ...!だけど、本当に今回は何もしてないんだぞ!?何でこうなる!?)

 

 (ちょっとーーーっ!?アビドスの連中、完全に臨戦態勢じゃないっ!?え?戦うの?まさか、ここで!?何でこうなるのよーーーっ!?)

 

 (カヨコちゃん...。さすがにこのタイミングで戦闘はキツくない?準備できてないよね?)

 

 (この後にまた、傭兵を雇いに行く予定だったからね...。ご飯を食べるだけの予定だったし、準備らしい準備は何も...。しかも、結果的にとはいえ跡形もなく店が吹き飛んだ要因の一つは、ハルカの仕掛けた爆弾の影響もあるし...)

 

 (あうぅぅ...。すみませんすみませんすみませんっ!!責任を取って私、自害します!!)

 

 (わー!?ダメだよ、ハルカちゃんーっ!?)

 

 

 ノバナは急に身に降りかかった不幸に嘆き、便利屋は予定外の出来事に冷や汗と焦燥を隠せずにいた。

 

 内心でどうのりきるか考えていると、ノバナは不意に袖を引かれてそちらを見て愕然とした。

 

 

 「あ、姐さん...。アイツら、アビドスですよね...?ということは、その、や、ヤツがどこかにいるんじゃ...!?」

 

 「あ...。やだっ!やだよっ!?また”悪魔”が来ちゃうっ...!!」

 

 「お、お前ら...!?」

 

 「えっ?ちょ、ちょっとノバナ!彼女達、いったいどうしちゃったの!?」

 

 

 仲間である彼女達が、怒り心頭のアビドス勢を見てトラウマスイッチ・オン。

 

 便利屋の面々がその様子を見て、何事かと目を見開いていた。ノバナは仲間の様子を見て、アビドス勢に向けてなりふり構わず土下座をする。

 

 

 「頼むっ!!話を聞いてくれ!!」

 

 「え!?ちょっ...!?」

 

 「アタシ達は本当に何もしてないんだっ!!状況的に、何を言っても信じられないのはわかる!!だがっ!!頼むっ!!何か落とし前をつけろって言うなら、アタシ一人の首で勘弁してくれ...!!」

 

 「く、首って...。そんなのいらないわよ...」

 

 「なら、金か!?それなら、この身体を担保にしてでも金は作ってくる!!」

 

 「あ、姐さん!?やめてください!ウチらのために、そんな...!」

 

 「いいんだ。お前達がアタシを慕ってくれるように、アタシにとってもお前達は大事な家族だ。お前達を守るためなら、アタシは平気だから...」

 

 「うぅ...!姐さん...!」

 

 「ん、状況はよくわかんない。けど、なんだかこっちが悪者のような気分になってきた...」

 

 「うへー...。先生、みんな?とりあえず、話を聞くだけ聞いてみよーーー」

 

 

 ードガアァーーーン!!

 

 

 それは突然だった。ホシノがノバナ達のあまりの様子に一度、落ち着いて話を聞こうと提案しようとしたその瞬間、突然砲弾が降り注ぎ爆風に包まれた。

 

 

 「ごほっ!...何?何が起きたの...?」

 

 「ぐっ...!気をつけろ、アビドス!こいつだ!こいつにさっきもやられたんだ!!」

 

 「げほっ!ごほっ!...これは!」

 

 『砲撃です!!3kmの距離に多数の敵影を確認!50mm迫撃砲です!』

 

 「迫撃砲、ですか...?」

 

 「50mm迫撃砲といえば...」

 

 

 アヤネの報告に困惑するアビドス組。唯一何かに感づいているらしいカヨコだけは、その報告に顔をしかめる。

 

 

 『兵力の所属、確認できました!!ゲヘナの風紀委員会!一個中隊の規模です!』

 

 「やっぱりか...!社長!ムツキ!ハルカ!早く隠れよう!奴らが来た!」

 

 「ま、まさか...?」

 

 「風紀の連中だよ!ここまで追ってくるなんて!それもこのタイミングで...!いや、このタイミングだからこそ...!?」

 

 『次弾、来ます!!伏せてくださいっ!!』

 

 

 アヤネの警告を受け、その場に伏せる一同。伏せたと同時に近くへ再度着弾。巻き込まれはしなかったが、瓦礫などの破片が容赦なく降り注ぎ、少なくないダメージを負う。

 

 

 「ぐっ!」

 

 「あうっ!」

 

 「くっ!」

 

 「あたっ!?」

 

 「先生っ!ご無事ですか!?」

 

 「ワカモ...。なんとかね...。アロナがいなかったら、即死だった...!」

 

 『お任せください!先生は、このスーパーアロナちゃんがお守りします!』

 

 「アロナ...。例のタブレットの方ですね。先生に何かあれば、お姉さまに顔向けできません...。アロナさん、引き続きよろしくお願いします」

 

 『どんとこいですっ!』

 

 

 声も姿も認識できないが、ワカモはアロナへ先生をお願いして臨戦態勢をとり、敵を見据えるのであった。

 

 

 

 

 

 **********************

 

 

 ~ゲヘナ風紀委員会~

 

 

 「ターゲット、現在沈黙しています」

 

 

 状況を観測していたメンバーからの報告を受け、長い銀髪をツインテールにした褐色肌の少女が一つ頷き、命令を下す。

 

 

 「よし。歩兵、第2小隊まで突入」

 

 「...イオリ、もう少し様子を見た方がいいのでは?」

 

 

 銀髪の少女...「銀鏡イオリ」へ同じく風紀委員会所属のチナツが声をかける。チナツの進言にイオリは小首を傾げて尋ねる。

 

 

 「ん?どうして?」

 

 「どう見ても彼方には、便利屋以外の人達がいます。これ以上は、便利屋以外の方々にも被害が出ます...!それに、あの制服の方達はアビドスのーーー」

 

 「...チナツ。相手が誰であれ、公務の執行を妨害する輩は全員敵だ」

 

 「しかし...!...いえ、どちらにしろ一度こちらの事情を説明するのが先かと」

 

 「説明?必要か、それ?」

 

 「イオリ...!」

 

 「労力が惜しい。もし邪魔するなら、部外者とはいえ問答無用でまとめて叩きのめす」

 

 (イオリ...。今は、何を言っても取り合ってくれそうにないですね...。嫌な予感が止まりません...)

 

 

 イオリの猪突猛進さに深い溜め息を一つ吐き、チナツも自身の装備の点検を始めた。

 

 

 

 

 

 **********************

 

 

 ~アビドスside~

 

 

 「ゲヘナの風紀委員会って...つまり、便利屋を捕まえに来たってこと!?」

 

 『わかりません...しかし、こちらに友好的とは判断しかねます』

 

 「確かに。明らかに砲撃範囲内には私たちもいた。だけど...」

 

 「うん。躊躇なく砲弾をブチ込んできたね。...おじさん、久々にキレちゃいそうだよ...!!」

 

 

 便利屋を捕まえに来たとかどうとかなど、最早どうでもいい。大将の店を潰し、何の警告も無しに問答無用で攻撃を仕掛けてきた事実に、ホシノの怒りは爆発寸前だ。

 

 

 「ホシノ先輩、気持ちはわかりますが相手は他校の公の集団です。下手な対応をすれば、政治的な紛争の火種になるかもしれません...」

 

 「ノノミちゃん...。......ふぅ。大丈夫、私はまだ冷静だよ。でも、この状況をどうしようかねー?」

 

 

 ノノミの言葉に、多少の冷静さを取り戻したホシノ。

 

 しかし、状況は依然として変わらない。そうこうしていると、シロコが声を上げる。

 

 

 「戦おう」

 

 「シロコちゃん!?」

 

 「どう転ぶにしたって、相手がこっちの自治区を攻撃したって事実は変わらない。ならどの道、政治的な問題は既に起きてる」

 

 『...そうですね。シロコ先輩の言う通りです。こんな暴挙、許容することはできません!』

 

 「そうよ!これは私たちの学校と権利を無視するような真似よ!...ちょっとアンタ!」

 

 「は、はい!?」

 

 「有耶無耶になってたけど、もう一度確認するわ。本当に、アンタ達は大将に手を出してないのよね?」

 

 「...ああ。アタシらは大将に手は出してない」

 

 「そう。便利屋、アンタらは?」

 

 「(ハルカの爆弾の事は今は黙っておきましょう...)ええ、私たちも誓うわ」

 

 (ねえ、カヨコちゃん?アルちゃん、爆弾の事話さなかったね?)

 

 (ムツキ黙って。今はその方がこっちにとって、都合がいいんだから)

 

 (ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい......)

 

 

 セリカは便利屋達に確認を取ると、少しの沈黙の後に便利屋達に告げる。

 

 

 「...よし。アンタ達!今回は私たちに手を貸しなさい!柴関ラーメンを壊した代償をアイツらに払わせるわよ!!」

 

 「!!...ああ、任せろ。柴関はアタシらにとっても、大事な場所になってたんだ...!借りは返さねえとなぁっ!!そうだろ!?お前らっ!!」

 

 『おうよっ!!』

 

 「...そうね。確かに大将には、私たちも良くしてもらってたもの。いくらアウトローでも、受けた恩は返さないとね?」

 

 「くふふっ!私たち便利屋は”非情”だったんじゃないのー?」

 

 「...時と場合によるのよっ!!」

 

 「はあ、やるしかないか...。どうせ逃げられそうにないしね。でも今日は手持ちの弾薬が少ないから、援護ぐらいしかできないからね?」

 

 「が、頑張ります...!!」

 

 「ホシノ先輩!」

 

 「まったく...。やんちゃな後輩を持つと、先輩は苦労するねー。...先生?号令、よろしくー」

 

 「了解。...それじゃあ、みんな。出撃だ!」

 

 

 

 

 

 *******************

 

 

 ~ゲヘナ風紀委員会~

 

 

 「アビドスの生徒、及び便利屋達が臨戦態勢に突入しました」

 

 「ふん!あれっぽっちの戦力で、一個中隊級の兵力に挑む?...総員、戦闘準備!奴らにゲヘナ風紀委員の力を教えてやれ!!」

 

 『了解っ!!』

 

 

 チナツの報告に鼻を鳴らし、部下達に命令を下すイオリ。自身も後に続こうと足を動かそうとしたその時、チナツに呼び止められる。

 

 

 「待ってください、イオリ!」

 

 「わっ、とと!...何さ、チナツ!」

 

 「アビドス側に民間人を確認。少々、お待ちください。これは...え!?」

 

 「何?どうしたの?」

 

 「あ、あの方は...シャーレの先生!?」

 

 「ん?なんだそれ?」

 

 「え、ちょっと待ってくださいよ...!シャーレの先生があっちにいるとしたら...!?この戦闘、行ってはいけません!」

 

 「はあ?どういうことだ?」

 

 「アビドス、接近中!発砲します!」

 

 「ダメです!待って!」

 

 「...あっちも撃ってきた!応戦開始っ!!」

 

 「ああ...。始まってしまいました...。今は見当たりませんが、どうかシキさんが出てきませんように...!!」

 

 

 チナツは戦闘後に起きるであろう問題が丸く収まる事と、戦闘中にシキが出てこないことを祈りながら、戦闘に身を投じる。

 

 こうしてアビドス対ゲヘナ風紀委員会の戦いの火蓋が切って落とされた。




 アビドスとゲヘナ風紀委員会の初邂逅!次回、決着!
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