先生の元カノになったTS転生者です。   作:秋月 ヒカリ

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 原作アリウス編を読んで、ちょっと構想を練り直していました。その結果、今回オリキャラであるノバナには設定が追加されましたが、広い心で受け入れてくださると嬉しいです。

 あと更新長くなった上に今回長いです...。


戦闘は唐突に...

 「くそっ!コイツら、やたらと強い...!?」

 

 「相手は少数だぞ!数ではこっちが勝ってるんだ!怯むな!」

 

 「コイツら即席の連携だろ!?なんで全員が動きを合わせられるんだ...!?」

 

 「うわっ!?......しまった!一人抜けられた!!イオリ先輩っ!!」

 

 「任せろっ!!」

 

 「ふーん...?君が現場の指揮官さんかなー?悪いけど、おじさんの相手をしてもらうね?」

 

 「はっ!ちびっ子一人で何ができるっ!」

 

 「人を見かけで判断しちゃいけないよー?……それはそれとして、ぶち転がしてやるから覚悟しろよ?」

 

 (っ!?な、なんだ?まるで、委員長みたいな圧を感じる...!?)

 

 

 ゲヘナ風紀委員会とアビドスがぶつかり合い、既に30分。

 

 数でこそアビドス側が負けているがそこは元々、少数精鋭のアビドス組。数を各々の質でカバーしていた。

 便利屋も同様で、少数精鋭の力を遺憾なく発揮し、カヨコの言っていたように各々の得意とするレンジで、アビドスとノバナ達を援護して風紀委員会を各個に撃破していた。

 

 そして一番目を見張ったのがノバナ達、元カタカタヘルメット団である。

 過去にアビドスとシキにより、あっという間に制圧されていた彼女たちであるが、この場においてはその頃の面影を見せずに統制のとれた動きを見せていた。

 

 

 「よし...!上手いこと、小鳥遊が相手の指揮官にぶつかったな...。お前ら、作戦の第一段階はクリアだ!このままアビドスと便利屋のフォローに回りつつ、防衛線を維持!一人も通すな!!」

 

 『了解っ!!』

 

 「アイツらホントにあのヘルメット団?めちゃくちゃ強くない…?」

 

 「ん。まあ、元々あの子達には、負けはしないけど度重なる襲撃で苦戦はさせられてた。制圧出来た時には、補給と先生やシキの協力があったし。元々の実力は、それなりにあったんじゃないかな?」

 

 「そうですねー。敵だと厄介ですけど、味方だととっても心強いです☆」

 

 

 防衛線......先生と大将がいる場所を死守しつつ、元ヘルメット団の一同はノバナの指揮により戦線を維持。先生はノバナ達の活躍により、アビドスと便利屋への指揮に集中出来ていた。

 

 

 (今はまだ先生の指揮と、個人の質でカバー出来てるが......。このままじゃ、数の利にいずれ潰される。小鳥遊が敵の指揮官をどれだけ早く潰せるかだが......頼んだぜ、小鳥遊...!)

 

 「姐さん!10時方向、新手っす!」

 

 「わらわら涌いてきやがって...!ワカモの姐さん!頼めるか!?」

 

 「お任せを!」

 

 「頼みます!...お前ら!!もう一踏ん張りだ!気張れよ!」

 

 『おうっ!!』

 

 

 

 

 

 **********************

 

 

 「くっそぉっ!何なんだ、お前っ!!」

 

 「はーい、またハズレ~。ふあぁ...。欠伸が出ちゃうよー。こりゃあ、わざわざおじさんが相手しなくてもよかったかなー?」

 

 「っ!嘗めるなっ!!」

 

 「ほいっと。うーん、今のは良かったけど...。いい加減、飽きてきたかなぁ」

 

 「馬鹿にしてっ...!!射撃が駄目なら、直接...!!」

 

 「いやぁ、それはさー...。悪手でしょ?」

 

 「へ...?あぐっ!?けほっ!?」

 (なんだっ!?何をされた!?なんで私は、地面に叩きつけられている!!??)

 

 「馬鹿正直に普通、突っ込んでくる?さっきまでの戦闘で、私の何を見てたのさ?」

 

 「な、にを...!」

 

 「力の差は歴然だったじゃん。それを撃ち合いで駄目なら接近戦?...君、ホントに指揮官クラスの人?状況把握が出来なさすぎ」

 

 「っ...!!好き放題、言うなーーーっ!!」

 

 

 イオリはホシノと会敵してからずっと、いいようにあしらわれていた。

 

 スナイパーでありながら、突撃するというスタンスはある意味では相手の意表を突ける手ではある。しかしながらアビドスが誇る、小鳥遊ホシノは「え~?この子、マジかー...」くらいの感想は抱いても、動揺はなかった。

 

 イオリは決して弱くはない。むしろ強い者の部類に入る。しかし相手が悪すぎた。得意とする突撃しながらの正確な射撃も、ホシノからすれば”良い腕”ではあるが、あまりにも”素直”すぎる。この程度であれば、盾を使わずとも”見てから避ける”のは容易であった。そして、それは今も......

 

 

 「よっ、と。はあ...。避けるのも面倒になってきたし、さっさと終わらせるね?」

 

 「どこまでも馬鹿にして...!!」

 

 「じゃ、おやすみー」

 

 「がっ!?...ち、くしょう......」

 

 「イオリっ!?」

 

 「ん?新手かな?君も私とやる?」

 

 「....いえ、降参します」

 

 「うんうん。懸命な判断だねー。じゃ、全軍に攻撃の中止を通達してねー?」

 

 「わかりました...」

 

 

 イオリの元に辿り着いたと同時に、イオリの敗北を見てしまったチナツは即座に降伏。信号弾にて停戦を伝えるのであった。

 

 

 

 

 

 **********************

 

 

 『あれは停戦信号...!?先生!みなさん!ゲヘナの信号弾を確認!どうやら、ホシノ先輩がやってくれたようですっ!』

 

 「小鳥遊の力は身を持って知ってはいたが...。まさか、こうもあっさりやってくれるとはな...。恐れ入ったぜ」

 

 「ふふん!ホシノ先輩は私たちの自慢の先輩なんだから!当然よっ!」

 

 「な、何とかなったようね...。カヨコ、ムツキ、ハルカ...みんな無事?」

 

 「ふう...。うん、多少の怪我はあれど問題ないよ。ノバナ達が私たちのフォローもしてくれてたからね」

 

 「あれだけ敵味方入り乱れての戦闘なのに、ここまでやれるって凄いね!」

 

 「うぅ...。私なんかを庇ってもらって、すみませんすみませんすみませんっ!!」

 

 「いいってことよ!」

 

 「今は臨時とはいえ、仲間だからな!仲間を守るのは当然っ!」

 

 

 信号弾による停戦を確認し、一先ずの勝利に安堵してお互いを称え合う一同。そんな周りを見て、安堵の息を吐きながら先生はノバナに話をふる。

 

 

 「本当にノバナ達には助けられたよ。それにしても、凄く高い練度の指揮と連携だったけど、どこでそれだけの能力を?」

 

 「ん...。まあ、その、なんだ...。昔、アタシがいた所がな。そういう訓練をよくやらされてたのさ......」

 

 「それって...」

 

 「それより!先生の指揮も凄かったじゃんか!まるで戦場の全てが見えてるみたいな、的確な指示とかさ!見ててやっぱり大人は違うって思ったぜ!」

 

 「あはは...。それこそ私一人の力じゃないよ。大人とかは関係ない」

 

 「そうか?ま!何にせよ、これでゲヘナの連中も大人しく......」

 

 『あらあら、敗けてしまいましたか』

 

 「「「「「「「!!??」」」」」」」

 

 

 突如として割り込んできた通信に、驚く一同。そんな様子に構うことなく、通信の相手は言葉を続ける。

 

 

 『こんにちは、アビドスの皆様。私はゲヘナ学園所属の行政官、アコと申します。今の状況について少し説明させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか?』

 

 「そうだねー。ぜひ、お聞かせ願えないかなー?」

 

 「ホシノ先輩!?戻ってらっしゃったんですね!」

 

 「アコ行政官...」

 

 「アコちゃん...」

 

 『イオリ?反省文のテンプレートの場所はご存じですね?』

 

 「うぐ...!」

 

 『行政官ということは、風紀委員会のナンバー2...』

 

 『あら、実際はそんな大したものではありませんよ。あくまで風紀委員長を補佐する秘書のようなものでして...』

 

 「本当にそうなら、そこの風紀委員たちがそんなに緊張するとは思えない」

 

 「だ、誰が緊張してるって!?」

 

 

 風紀委員会の行政官を名乗る人物は淡々と、あらかじめ想定してあったかのような態度で話していく。

 

 

 『なるほど、素晴らしい洞察力です。確か...砂狼シロコさん、でしたか?』

 

 (私のことを知ってる...?)

 

 『アビドスに生徒会の面々だけが残ってると聞きましたが、みなさんのことのようですね。アビドスの生徒会は5名と聞いていましたが、随分と大所帯のようですね?』

 

 「いやいや、私たち5人が正規メンバーだよー。他のみんなは臨時の協力者さー。......知ってるでしょ?」

 

 『さらに言えば、私たちは生徒会ではなく対策委員会です、行政官。より正確に言えば、生徒会のメンバーはホシノ先輩になります』

 

 『ホシノ...小鳥遊ホシノさん、でしたよね?それでは、生徒会の方であるあなたとお話がしたいのですが......』

 

 「それならさ、先ずは銃をしまってくれない?停戦したとはいえ、こんな臨戦態勢でお話ししましょ?って言われてもねー?」

 

 『それもそうですね。失礼しました。全員、武器を下ろしてください』

 

 

 行政官の指示により銃を下ろす風紀委員会の面々。あまりの呆気なさに、面をくらってしまった。

 

 

 『先ほどまでの愚行は、私の方から謝罪させていただきます』

 

 「なっ、私は命令通りにやったんだけど!?アコちゃん!?」

 

 『命令に、「先ずは無差別に発砲せよ」なんて言葉が含まれていましたか?』

 

 「い、いや...状況を鑑みて必要な範囲で火力支援、その後に歩兵の投入...戦術の基本通りにって......」

 

 『ましてや他の学園自治区の付近なのだから、きちんとその辺りは注意するのが当然でしょう?』

 

 (ん?なんだか、今の会話に違和感が...?)

 

 

 先生は行政官とイオリの会話を聞き、若干の違和感を覚えた。どうやらそれは、先生だけではなかったようでホシノとアヤネも首を傾げている。

 

 

 『長々と失礼しました、生徒会のホシノさん。それでは、説明をさせていただきますね?』

 

 

 ーーー横乳説明中...。

 

 

 『...というわけです。お互いに、偶然、不幸な行き違いがありましたが、やむを得なかったこと...と、ご理解いただけると幸いです。ここはお互いに水に流し、風紀委員会の活動に、ご協力をお願いできませんか?』

 

 

 横乳...もとい、行政官の物言いに途中から険しい表情になるアビドス一行。

 

 

 「...いや、いやいやいや。その理屈は通らないでしょ?...そんなに私を怒らせたいのかな?

 

 『あらっ...?』

 

 「ん、ホシノ先輩の言う通り。あなた達が便利屋を追ってきたのは、わかった。けど......」

 

 『他の学校の敷地内で、堂々と勝手に戦闘行為をするなんて、自治権の観点からして明確な違反行為です!...それに!今の彼女達は一緒に戦った仲間です!私たちは仲間を売ったりしませんからっ!』

 

 「おぉ...。アヤネちゃんがここまで怒ってるとこ、初めて見たかも...?でも、うん、そうよね!私も、アヤネちゃんに賛成っ!」

 

 「はい!私も賛成です☆」

 

 

 アヤネの啖呵に感化され、行政官を睨み付けるアビドス。そして、そんなアヤネの「仲間」という言葉に感動して潤んだ瞳で気合いを入れ直すアル。そんなアルを見て苦笑しながら、アル同様に気合いを入れ直す便利屋メンバー。

 

 「『仲間』...。奥空やアンタ達は、過去の因縁も呑み込んでアタシ達をそう呼んでくれるんだな...。全ては虚しいだったか?やっぱり、あの時にあの教えに逆らったのは間違いじゃなかったな......

 

 「姐さん!ウチら、まだまだいけますっ!」

 

 「...よし!最後まで付き合うぞ!お前らっ!」

 

 『うっす!!』

 

 

 ノバナ達元ヘルメット団も、胸の内に熱い何かが沸き上がってくるのを止められず、先ほどの戦闘時よりも気合いは充分だ。

 

 

 『...なるほど。ふぅ、この兵力を前にしても怯まないだなんて...。やはり、信頼できる大人の方がいるからでしょうか?...ねえ、朝宮先生?』

 

 「私はなにもしてないよ?」

 

 『はぁ、食えない大人ですねぇ...。うーん...しかし困りました。こうなったら仕方ありません。ええ、穏便に済ませたかったですが、仕方ないんです。......ヤるしかないですよね?』

 

 「穏便?偶然?嘘をつかないで、天雨アコ」

 

 『あらっ?』

 

 「偶然なんかじゃないでしょ、最初からあんたが狙ってたのはこの状況だった」

 

 『...面白い話をしますね、カヨコさん?どうぞ、続けてください?』

 

 「...最初はこんなとこまで、アンタ達が追ってきた事が理解できなかった。こんな非効率な運用は、風紀委員長のやり方じゃない。だからアコ、これはあんたの独断的な行動に違いない」

 

 『...』

 

 「それにこの兵力。アコ、あんた最初から私たちとは別の集団との戦闘を想定してたよね?だとしたら結論は一つ。アコ、あんたの目的はシャーレ。最初から先生を狙ってここまで来たんだ」

 

 「ん!?」

 

 「な、何ですって!?」

 

 「先生を、ですか...!?」

 

 「え、私?」

 

 『ふふっ、なるほど。...ああ、便利屋にカヨコさんがいることをすっかり忘れていました。のんきに雑談なんてしている場合ではありませんでしたね。まあ、構いませんが』

 

 

 カヨコの推理を聞き、それを肯定しつつも余裕の表情を崩さず指を一つ鳴らす。すると何処に潜んでいたのか、大勢の風紀委員が姿を現す。

 

 

 『こ、これは...!完全に包囲されています!!』

 

 「一体どれだけの数を...!!」

 

 『少々やりすぎましたかね?でも、シャーレを相手にするのです。これくらいあっても困らないでしょう?』

 

 「...天雨アコっ!!」

 

 『やはり流石の頭のキレようですね、カヨコさん?ですが、一つだけ。この状況は意図的に作り出したわけではありません。それだけは信じていただきたいのですが...どうやら、難しそうですね』

 

 

 アコはそう言って話し始める。このような行動に出たきっかけは、トリニティのティーパーティーがシャーレに関わる報告書を手にしていると、情報部から上がってきたこと。自分はシャーレを知らないが、ティーパーティーが知っている情報ならこちらも知っておかねばと思ったこと。

 そして、今更ながらにチナツの報告書を確認してその存在を確認したこと等を、つらつらと述べていった。

 

 

 『...というわけで、不確定要素の先生にはトリニティとの条約が無事に締結されるまでは、私たち風紀委員会の庇護下にお迎えしようと思ったのです』

 

 「え、じゃあ私たちは...?」

 

 『ついでですね♪』

 

 「なんですってぇーーーっ!!」

 

 「アルちゃん、どうどう...」

 

 「ん、取り合えず状況が分かりやすくなって良いかも」

 

 「そうだね。...悪いけど、お母さんの大事な人は連れていかせないよ?」

 

 「お姉さまの想い人は、私たち姉妹がお相手します!」

 

 「いや、私たちもいるからっ!」

 

 「先生は渡しません!」

 

 「私たちだって、コケにされたままなんていられないわっ!便利屋の力、思い知りなさいっ!!」

 

 「当然、アタシ達もこっち側だ。元チンピラ、嘗めんなよ?」

 

 『多少の想定外はありますが...まあ、誤差の範囲ですね♪では、風紀委員のみなさん?戦闘開sーーー』

 

 『アコ』

 

 『...え?』

 

 

 まさに一触即発のその瞬間、アコの元に通信が入りその人物にアコは目を見開く。

 

 

 『ひ、ひ、ヒナ委員長!?』

 

 「委員長?」

 

 「てことは、風紀委員会のトップ?」

 

 『い、い、委員長がどうしてこんな時間に...?』

 

 『アコ、今どこ?』

 

 『わ、私ですか?私は...その、げ、ゲヘナ近郊の市内の辺りです!風紀委員会のメンバーとパトロールを......』

 

 「うっわ...思いっきり嘘ついてる。さっきまでと別人じゃん」

 

 『そ、それより委員長はどうしてこんな時間に?出張中だったのでは?』

 

 『さっき帰ってきた』

 

 『そそそ、そうでしたか!私、その、ちょーっと今は立て込んでいまして...!後程またご連絡いたします!』

 

 『立て込んでる?パトロール中なのに?何かあったの?』

 

 『え?そ、その...それは...』

 

 『他の学園の自治区で、委員会のメンバーを独断で運用しないといけないようなことが?」

 

 『...え?』

 

 

 途中から通信機からではなく、近くからヒナの声が聞こえると同時に確信を突かれ、間の抜けた声を出して呆然とするアコ。

 

 声のした方をその場の全員は振り返り、そして固まった。

 

 

 「...アコ。この状況、きちんと説明してもらう」

 

 

 底冷えするような声音と視線で、シキに抱き抱えられそのふわふわの髪を堪能されながら、その場の全員を威圧するその姿に、理解が追い付かずに固まったのだ(・・・・・・・・・・・・・・・)

 

 そして、その場の全員はシキとヒナを除き一斉に叫んだ。

 

 

 『『『いや、どういう状況っ!!??』』』

 

 「?」

 

 「あー...ヒナちゃんの髪...お日様の香りがする......。癒されるぅー...」

 

 

 こうしてゲヘナ風紀委員会との戦闘は、ぐだぐだで幕を閉じたのである。




 サブタイトルは、唐突に「終わる」って方の意味でした。
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