~ゲヘナ学園~
カイザーPMCとの戦いに備えて戦力を揃えるために、先生はアビドスを出て「ゲヘナ学園」へと足を運んでいた。
学園に入り、目的の人物を探すために近くにいた生徒へ話を聞いていたところ、声を掛けられる。
「あれ?シャーレの先生?」
「君は確か......。風紀委員の子だったよね?」
「銀鏡イオリだ。態々、ゲヘナまで何しに来たんだ?」
「えっと、ヒナに用があってね。何処にいるか、教えてもらえるかい?」
「はぁ?風紀委員長に会いたい?ゲヘナの風紀委員長に、そんなに容易く会えるとでも思ってるのか?」
「えっと、ごめんね?急で申し訳ないとは思ってるんだけど、どうしても今話さないといけない事なんだ」
「ふぅーん......?」
先生の言葉にイオリは少し意地の悪い笑みを浮かべると、ある提案を口にした。
ーーーそれが、いかに愚かなことかも気付けずに。
「そうだな、そんなに委員長へ会いたいならさ。土下座して、私の足でも舐めたら......ひゃんっ!?」
「ん......ちゅぴ......ぺろ......」
「ちょっ、話の途中......んんっ!?やんっ!ちょっと!?少しくらい、躊躇はないのっ!?ヘンタイ!」
「無いよ」
「即答!?何がアンタをそこまでさせるのさ!?」
「大切な物を守るためなら、私は自分のプライドも尊厳だって捨てれるよ。......それで守れるものがあるなら、私は躊躇わない」
「くっそ!絵面は最悪なのに、言ってることはカッコいいな!?......ひんっ!」
「あら?イオリ、何だか楽しそうね?」
「ふぁんっ!い、委員長っ!?」
(最っ悪だ!?こんなところを、委員長に見られるなんて!?)
何も知らない「空崎ヒナ」(17歳)。自らの所属する組織のトップが、突然エンカウントしたことにより、イオリの頭は沸騰しそうだった。
背後から声を掛けた形になったため、ヒナからは先生が土下座をしているように見えている。
「......自分の望みのために膝をつく姿なら、これまで何度も見てきた。でも、他者のために跪く先生ーーー。ううん、大人を見たのは初めて」
「あ、いや、その、委員長?」
「ふふっ、流石はシキが認めた男性ね。さあ、顔を上げてちょうだい?先生」
何も知らないヒナさんは、先生への株を上げながらゆったりと近付き、語り掛ける。
「言ってみて、私に何をしてほしい?」
「いや、その、委員長......先生は跪いてるんじゃなくて、その、足を、舐め......」
「するわけ無いでしょうっ!そんなこと!先生がっ!?」
「そうだよ、イオリ。大丈夫かい?少し、疲れてるんじゃないかい?」
「え!?あれ!?何で!?たった今まで、私の足を舐めてたじゃんっ!?」
「......ごめんなさい、イオリ。この間の事で、少し強く叱りすぎたのね......。今日はもういいから、ゆっくり休みなさい?」
「う、うわーーーんっ!!先生も委員長も嫌いだぁーーー!!」
この場で唯一の被害者となったイオリ。彼女は世の理不尽さに涙し、その場を走り去った。
「イオリ......。後で、差し入れでも持って行ってあげましょうか。さ、先生?私に用があったのでしょう?風紀委員会へ案内するから、そこで話しましょうか」
「(イオリ、ごめん!!でも、シキさんを通して信頼してくれてるヒナを、ガッカリはさせられなかったんだ......!!)そうだね、お願いするよ」
プライド云々言っていた大人の姿が、これである。一応、心の中ではイオリに謝罪し、ヒナと共に風紀委員会へ運ぶのであった。
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~トリニティ総合学園~
「......なるほど、ご説明ありがとうございます。ヒフミさんが仰っていることはよく分かりました。その先生の言葉が本当だとすると、このまま聞き流すわけにはいかなそうです」
先生から大まかではあるが、現在アビドスで起こっていることを聞いたヒフミ。その報せを聞いて直ぐに、ヒフミはティーパーティーのホストである「桐藤ナギサ」へ報告に走った。
「例の条約も目前に迫っていますし、今は下手に動くわけにはいかないのですが......。ただ、そのPMCという企業の存在が、我が校の生徒達に良くない影響を及ぼしそうなことは確かですね」
「で、では、ナギサ様......!」
「ふふふ、そう慌てないでくださいヒフミさん。......ええ、今回はちょっとした例外ということで、何か考えた方が良さそうですね」
「あ、ありがとうございます、ナギサ様......!」
「具体的には、そうですね......確かちょうど、牽引式榴弾砲を扱う屋外授業の予定があったはずです。せっかくですし、ちょっとしたピクニックをしましょうか♪」
「それは......L118の......?」
「はい。他ならないヒフミさんですし、全てお任せします。細かいことは私の方で。愛は巡り巡るもの......ヒフミさんがいつか私に愛をお返ししてくれる時を、楽しみにしてますね?ふふっ♪」
「あ、あぅ......。(な、なぜでしょう?背中に寒気が走ったみたいに......?)」
「それにきっと......いえ、間違いなく、「シャーレの先生」には借りを作っておいた方が良さそうですからね......」
「ナギサ様......?」
「何でもありませんよ。では、準備を始めましょうかーーー」
ナギサに対して何かしらの不安を感じながらも、今は頼るしかないヒフミであった。
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~アビドス 柴関ラーメン(屋台)~
「うん、大体こんなもんかな」
「わっ、屋台も良い感じじゃん!」
「ははっ!元々、柴関ラーメンは屋台から始めたこともあってな。懐かしい気分だよ」
「......その節は、迷惑を掛けてすまねぇ、大将......!」
「わ、私からも!ごめんなさいっ!」
「何言ってやがる!あれは偶然だろう?嬢ちゃん達が気にすることは、何もねえよ!」
((い、言えない!店に居たのは偶然だけど、事件の起こった背景を考えると2、3割は責任がありそうなことは言えないっ!))
大将の爽やかな対応に、アルとノバナは胸を押さえて良心の呵責に悶えていた。
「それはそうとさ~。やめるって聞いたけど、お店開いてくれて良かったよ~」
「それなんだがな。ちょっと前に誰かが、店の前にお金を置いて行ってくれたこともあったからな」
「そ、そそそそそそれは、良かったわねっ!!」
「お、おう?......まあ、本当なら引退して、ゆっくりしようと思ってたんだがな。営業してほしいと言われちゃあ仕方ない......っと、ほれ!柴関ラーメンお待ち!」
「大将?これ、また量を間違ってる気が......?」
大将の言葉にアルがやたら焦って返し、それに戸惑う大将。そして運ばれてきたラーメンの量にカヨコが突っ込むが、その顔は笑っている。
一同はラーメンに舌鼓を打ち、一息ついた後にムツキが声を上げる。
「あー美味しかった!さて、じゃあそろそろ行く?」
「......なあ、話を持ってきたアタシが言うのもなんだがよ。本当に良いのか?」
「愚問ね」
「社長、本当に良いんだね?この戦い、私たちには何のメリットもない。報酬も無しに、PMCと戦うなんてーーー」
「カヨコ。私は”愚問”、と言ったのよ」
「っ!?」
「カヨコちゃん、よく見てみなよ?」
「ん?」
「アルちゃんのあの顔に瞳、珍しくさ......心の底から自分の意思で、”地獄へ向かう”って表情じゃん?」
「地獄はどうか分からないけど......そうだね。確かに
「アル様っ!!ハ、ハルカは一生、アル様についていきますっ!!」
「......さあ、皆?私と一緒に地獄の底までついてくる覚悟はできたかしら?」
アルの問いかけに、便利屋の一同はお互いに顔を見合わせて答える。
「くふふっ!もっちろん!!いつでもいいよ?アルちゃん!」
「じ、地獄の底までお供します!」
「はぁ、何だか損してばっかりだけど......そんな顔されたら、仕方ないじゃん?」
「うふふっ、みんな良い返事ね。さあ、便利屋68......仕事の時間よっ!」
『うん!/は、はい!/了解!』
アルの号令で各々の得物を手にし、屋台を出る。
(なんだよありゃぁ!?カリスマが爆発してたぜ!へへっ!アルの奴についていくアイツらの気持ち、少し分かったぜ!)
「......なあ、ノバナちゃん」
「大将?どうした?」
「俺はよ?ノバナちゃんやあの子達が、何をしようとしてるのかは知らねえし、力にはなれないんだろう」
「それは......」
「だけどここで、ラーメンを作って待ってることは出来るからよ。絶対に、またラーメンを食べに来てくれよ?」
「ああ!約束するぜ!大将......行ってきますっ!」
「おう!行ってらっしゃい!今度はアビドスの子達と、先生達も一緒になー!」
走りだして振り返らずに、背中越しに手を振って大将に答えるノバナ。それを見送ってから大将は、彼女達がいつ来てもいいように仕込みを始めるのであった。
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「ん、準備完了」
「補給も十分、弾薬もいつもよりマシマシです☆」
「こっちもOKよ!カイザーの奴ら、ギッタンギッタンにしてやるんだから!」
「私の方も、アビドスの古い地図を全て最新化しておきました。一番安全なルートをナビゲートします!」
「今回は、アタシらのチームも加勢するぜ。お前ら!総力戦だ!シキの姉御を絶対に取り戻すぞっ!!」
『応ッ!!』
「お姉様......今、参ります!」
「(ユメ先輩......。あなたがくれたこの装備で、今度こそ......!)今回は、私も本気中の本気だからね。......待ってろよ、カイザーッ!!」
「皆、気合いは十分だね。それじゃあ......「カイザー殴り込み隊」、出陣だーっ!!」
先生の号令で、一気呵成にアビドス高校を飛び出す「カイザー殴り込み隊」。
今、カイザーPMCとアビドス勢との決戦が始まる。
ホシノの装備は臨戦装備です。次回からタグのご都合主義が唸りを上げます!