灰の神は、演じきった   作:ククルス

14 / 37
詩と旋律(うた)の誕生

 

 

制作会議室。夜。

 

再撮影の決定が降りた直後──監督・脚本・助監督・音響・衣装、そして役者たち。

ふたたび集まった製作陣が、目の前の“書き直された脚本”を囲んでいた。

神楽舞、儀式詩、《帰座の詞(いざのことば)》──。

新たに加わった要素は、そのどれもが“物語の心臓”に位置する。

 

新たに書き換えられた脚本に各々がそれぞれの反応を示す。

脚本を読み終えた三神の顔に、ため息も眉間の皺もない。ただ一言「いい」と呟く。

そして短く端的に言った。

 

「……で、これをどう形にするかだ」

 

それだけで、十分だった。

 

場面転換。翌朝。スタッフ詰所。

 

「……で? 作詞作曲、誰がやるの?」

 

滝本が台本を振りながら問う。

若林は原稿用紙の端に書かれた詩草案を見せる。

三神は手元のホワイトボードに「祈り=残すためのことば/別れ=帰すための歌」と書いている。

 

「……なんとなくそれらしい言葉は、浮かんだんです。でも、形にはならない」

「だったら、音が先でもいい。誰か、旋律を──」

 

言いかけたその時だった。

 

ぽつりと、透が鼻歌を口ずさむ。

頭を抱えながら手元のペンを叩いていた彼が、無意識に出した音。

 

その場に沈黙が落ちた。

 

「……それ」

 

鈴だった。

壁際に立っていた彼女が、ゆっくりと振り返る。

 

「それがいい……。その旋律……千鳥なら、きっと来る」

 

鈴の言葉に──全員が動いた。

 

「録れ!」

「オフマイク回せ!」

「透、動くな!歌え!」

 

わけがわからず席から跳ねて立ち尽くす透を、音響と録音スタッフがじりじりと囲む。

咄嗟に歌うよう命じられ、困惑しながら口ずさむ旋律。

鈴はその光景をポカンと見ていたが、神代が彼女の耳に口元を寄せて何事か呟くと可笑しそうぬ笑った。

 

録音された透なりの鼻歌を、誰に依頼して作曲という形に整えるか。

という段になったところで鈴がまたしても、率先して意見を発言した。

この現場で撮影を始め一カ月、たった一カ月ともいえる。

だが、その経験はこの仲間たちになら彼女に物怖じさせない勇気を与えていた。

 

「ボクの父、小津 正芳なら……絶対に形にしてくれると思います」

 

神代は『よくできました』と言わんばかりに頷き、三神ら製作陣も小百合との共演のこともあって

ここまで来たなら、全員巻き込んでやれ。といういたずら心に満ちた考えが満ちた。

そして、ひとつの“核”として、──鈴の父の元へ音声ファイルが送られる。

小津 正芳、音楽家で業界では鬼才と呼ばれた傑物である。

作詞作曲は当然ながら、音楽監督や指揮者まで務め現在もなお伝説を築き続けるその一人。

仕事は選んでもなお、依頼件数が多すぎて一年待ちなどざらにあるのだ。

 

その夜。小津(影橋家)の自宅スタジオ。

 

譜面が、静かに音へと変わる。

メールで送られてきた見知らぬ男……それも若い人物の鼻歌、そして添えられた娘の言葉。

 

「これが、来てもらうための歌なの。帰ってもらうための祈りなの」

 

結局、役者の道を歩んでいることに複雑な想いがないわけではないが、

目に入れても痛くない愛娘の久しぶりの願い(おねだり)である。

正芳の指がピアノの鍵を叩く。

わずかに震える手で。

娘の声が、静かに、重なるように響いている幻を思い浮かべながら──

 

二日後。

 

完成した旋律と詞が、現地合唱団に届き。

地元の協力者に連絡が走り、老いた神主が口ずさむ節回しに混ぜる形で練習が始まる。

 

さらに翌日。

 

三神の手配で、東京から神楽と能楽の両方に精通した老講師がロケ地に到着した。

名前は観月 志郎(みづき・しろう)。

かつて舞台芸術の分野で文化勲章を受けた老優であり、現在は後進の指導にあたっている人物だ。

 

「声を出すというのはな……息の“根”を使うんだよ、坊主。

 胸ではない、腹でもない、“脚”から音を通すんだ」

 

透は面食らっていたが、反論せず頷いた。

神楽の発声を試み、途中でむせて──隣の鈴も、無言で真似をする。

 

「……貴女はいい声をしている。だが、それを“どう祀るか”は知らない。

 祈りに必要なのは技術じゃない、“還す気持ち”だよ」

 

観月は言いながら、詩の一節を読み上げる。

 

 さあ還れ 神よ

 さあ還れ 愛しきものよ

 

「これが“迎え”であり“別れ”だ。

 舞台に立つなら、ただ演じるな。“願え”。

 それが祈りの身体だ」

 

鈴は目を見開き──そして、静かに立ち上がる。

 

「……ボク、歌います。

 ……ボクの“願い”を、声にしてみたいんです」

 

決意を瞳に宿らせて、老講師を真っすぐ見据える。

その目に観月は口角を上げ、低く笑った。

 

「なら、いい舞になるだろうよ。

 “型”に魂が入るとき──それを“神楽”と呼ぶのさ」

 

合唱団などの協力者も含めて練習を始め三日も経過するころには、「ふん、いいんじゃないか」と満足気に呟いて

観月は旧校舎の音楽室を立ち去った。

その背に二人はお辞儀する。そしてその姿勢のまま隣の鈴に目線を向ける。

 

「こうしてみると……まるでずっと昔からあったみたいな歌だよな」

 

透が呟く。

鈴は、静かに頷いた。

 

「ううん。これが、いちばん最初。……ボクたちが“生んだ”の」

 

 

 

撮影に向けて仮設された舞台──かつて奉納舞が行われていた能舞台の跡地に、白布が張られ、白栞の舞の稽古が始まった。

冷え込む朝、吐く息は白く、足元には落ち葉が散っている。

鳥の声と、舞台板を踏む音だけが空間に響いた。

 

観月は正面に座し、静かに口を開く。

 

「舞は“止まる”ものだ。跳ねるな、揺らすな。

 内側の波だけで、外界を震わせろ。

 ……それが“祀る者”の舞だ」

 

鈴──白装束の稽古着に身を包んだ影橋 鈴は、黙って頷いた。

 

動きはぎこちない。

脚の位置、腕の角度、首の角度ひとつにも迷いがある。

“踊る”ことと“舞う”ことの違いが、まだ身体に落ちていない。

 

観月は扇を開いて、ひとつ舞を見せる。

ゆるやかで、静止に満ちた動き。

それは風のようであり、水のようでもあった。

 

鈴の背筋が、ぴんと伸びる。

 

──もう一度、やってみる。

 

今度は、歩幅を狭める。手先に力を入れすぎず、

舞台の中心に向かって、静かに踏み出す──

 

「……いい」

 

透の声が、木陰から漏れる。

 

彼もまた、舞台の端でその所作を見守っていた。

見守るのではない。

見届けていた。

 

白栞の舞が、たしかに“願い”になっていくその瞬間を。

 

観月は目を細めて呟く。

 

「……よく、気づいたな。

 舞台は、“誰かに見せるもの”じゃない。

 “誰かに届くように在るもの”だと。」

 

鈴は汗を滲ませながら、深く一礼した。

そして静かに言う。

 

「……次は、詩とあわせて舞ってみたい。

 透、歌ってもらえる?」

 

突然の申し出に一瞬、透が戸惑う。

けれど──「もちろん」そう言って、彼は足元の譜を拾い上げた。

 

白い陽が、古びた舞台に差し込む。

鈴の立ち姿が、その光の中で輪郭を持ち始めていた。

 

 

 

稽古を終えた白栞が静かに袖へ下がった頃、仮設の舞台に響き始める合唱団の歌声。

仄暗い照明のもと、境内に設えられた簡素な布幕が風に揺れる。

 

透は袖で衣装の襟を整え、譜面を持った合唱団の一員と簡単な音合わせを繰り返す。

その間、地元の神主が合唱団に向けてゆっくりと語る。

 

「この唄はな、もとは神を呼び、神を還す……いわば“戸を開ける唄”だ。

 “向こう側”との境目を作り、同時に、帰る道をつくる。……それを忘れぬようにな」

 

演者もスタッフも、静かに耳を傾ける。

透は神主の言葉を聞き終えると、ふと白栞の方へ目を向けた。

 

舞台の端に座っていた白栞が、透の視線に気づいて立ち上がる。

二人はそっと言葉を交わす。

 

「……ねえ、透。歌って、何のためにあると思う?」

「誰かに来てもらうため。……誰かに帰ってもらうため、だろ?」

 

白栞はその言葉に、深く頷いた。

その瞬間、白栞の“目”が変わる。

明日、役者として舞台に立つ“白栞”に切り替わるその光を、透は確かに見た。

 

 

 

夜の社、撮影準備の時。

 

風は冷たく、息を吐けば白く煙る。

吐息のたびに指先が凍えるほどの寒さに、スタッフも演者も肩をすくめながら準備に奔走していた。

冬の夜、だが映像では“夏祭りの夜”として仕上げる。

その無理を通すため、照明は徹底的に調整され、カメラの色温度設定は昼間に近い黄みに寄せられていた。

 

境内には、焚き木の火がすでに用意されていた。

その周囲をぐるりと取り囲むように、浴衣や甚平姿のエキストラたちが配置されていく。

「寒い……」と震える声が漏れるたびに、スタッフがホッカイロを配って回る。

 

地元の有志合唱団が設営された簡易舞台に並び、配布された儀式詩を手に音合わせを繰り返す。

監督の三神は腕を組み、モニター越しの映像を見つめていた。

 

「……悪くない。夏に、見える」

「録音、セミの音は用意してあります」

「風景の別撮りとあわせて、編集では夏に見せます」

 

西園の小声に、若林も頷く。

 

「……鈴さん、大丈夫かしら。あんな薄着で」

「衣装下に極薄のヒートテックを仕込んでます。問題ないです」

 

滝本は懐から自分のカイロを取り出し、北里に渡した。

 

「鈴ちゃんの袖に、もう一個隠してあげて」

 

その近くでは、神代 雅がふっと肩をすくめながら一歩踏み出す。

 

「まったく、こんな寒い中で『夏の祀り』なんて、どれだけ無茶ぶりなのかしらね」

 

真野 剛士が肩をすくめて笑った。

 

「そのぶん、画になったら報われますよ。俺も……今日は真面目に南條やるつもりです」

 

神代はそんな真野を見て、少しだけ驚いたように目を細めた。

 

「……ふふ、少しは見直したわ。ちゃんと役者だったのね」

 

真野は帽子を取って軽く頭を下げた。

 

「そりゃ、千鳥様の御前ですから」

「口だけは達者なのね。……けど、悪くなかったわよ、あの芝居」

「どうも」

 

透が蓮見の衣装に身を包み、焚き木のそばで目を閉じて精神を集中させている。

白装束の鈴は、その隣で静かに舞いの所作を確認していた。

 

──撮影当日は冬。

だが、観客に届けられるのは夏の幻。

この夜、幻想は現実となる。

 

演出のすべてをこの一度きりのロングパートに込めるため、境内には複数台のカメラがあらゆる角度から設置されていた。

ステディカム、ドローン、固定カメラ、クレーン、そして──

白栞の背後から千鳥の正面を余さず収めるべく、巨大なロボットアーム型のカメラが境内の端から伸ばされていた。

まるで白栞の視線と同じ高さ、同じ呼吸で舞台をなぞるように滑らかに可動するその動きは、緻密な事前演算と制御によって支えられている。

 

「このタイミングで、千鳥の入るライン……いけるか?」

 

三神の指示に、カメラオペレーターが頷く。

 

「誤差五センチ以内で制御済みです」

 

準備は、すべて整っていた。

 

 

 

【シーン68:演舞の再現/儀式の夜】

 

焚き木の火が、風にゆらめき、闇夜の中に赤と金の模様を描く。

社の境内に設えられた舞台には、厳かな沈黙が漂っていた。

 

照明は最小限。焚火の炎が中心となり、周囲の松明が薄ぼんやりと空間を包む。

スタッフが息を呑み、カメラが回り出す。

 

「──シーン68、テイク1」

 

カチンと音が鳴る。

 

静寂を裂いて、鼓の音が響く。

影橋 鈴が演じる白栞が、焚き木の中心に立つ。

ゆっくりと手を上げ、舞を始めた。

 

その所作は巫女というより、人ならぬ存在を思わせる。

袖がひらりと翻るたびに、風が生まれるようだった。

 

白装束の袖に、光が宿る。

あたりの観衆──撮影を知らずにやってきた祭り客たちまでもが、知らず知らずに声を潜めていた。

白栞という忘れられた存在が、皆の目に写り台座の上を華のように舞う。

 

元の脚本ではなかった、若林が再撮影をしてまで取り入れたかったシーン。

本来、彼女は最後まで蓮見と南條以外に認識されぬまま消えゆく存在なのだ。

白栞は実体を持たぬ記憶であり、影。

それを残し、人としての人生を取り戻すために設定した要素である。

 

境内の周囲では、村の古老たちと、地元有志の合唱団が配布された儀式詩を手に、旋律を唱え始める。

 

 『ひかりははじまりの火』 

 『はなびらにやどりて  ちをうみ  ひとをまもり  まことをしる』

 

ゆらめく焚火のなか、演じる白栞が、蓮見のほうを振り返る。

八代 透演じる蓮見は、彼女を見つめ返す。その視線に、ためらいはない。

 

やがて蓮見もまた、炎の輪に足を踏み入れる。

白栞と向かい合い、手を取り合う。

 

合唱が続く。

 

 『ときをわたりし かみのこよ  まいおりて いま うたえ  つたえよ いのりを』

 

演舞は最高潮に達する。

蓮見が白栞の手を取り、高く掲げる。

 

その瞬間、風が吹いた。

焚き木の炎が、夜空にゆらめいた。

その光の中で、白装束の少女──白栞が舞う。

 

神楽鈴が鳴るたび、吐く息が白く流れ、髪が揺れた。

風は静かに吹いていた。

 

蓮見の声が、儀式詩を読み上げるように境内に響く。

地元の人々は手渡された紙を手に、歌詞をなぞるように歌い始める。

 

あくまで、これは祭りの催しとして周知されたもの。

だが、忘れ去られた“本来の意味”を知る者は、この場に確かにいた。

神霊へと感謝を捧げ、役目を終えた少女が人として還る、そのための詩。

 

演舞の最終節。

鈴の舞が止まり、焚き木の火が一段と高く燃え上がる。

 

 

その瞬間──風が吹いた。

 

火の粉が舞い、白栞の視線が正面に向く。

カメラは白栞の目線と同じ高さで揺れる。

そこには──千鳥が、いた。

 

白装束に似た羽衣のようなものを纏った千鳥が、微笑みながら白栞の頬に両手を添える。

 

続くカット。

白栞の横顔に寄せたカメラに、千鳥の手だけが映る。

そっと滑るように、右へと離れていく。

 

千鳥の姿は映されない。

だが、その存在は観る者の想像のなかに刻まれる。

──そして、白栞の目から、涙が一筋、こぼれ落ちた。

 

その瞬間、空から静かに、白いものが舞い降りてきた。

 

「……雪?」

 

誰かが呟いた。

一粒、また一粒と、儀式の終わりを祝うように、初雪が灯火の光に照らされながら舞い降りる。

厳しい寒さが続いた年の、最も早い初雪だった。

 

スタッフの一人が小さく笑いを漏らす。

 

「神さま……ほんとに、いたんじゃないか?」

 

白装束が舞い、木々の枝が鳴る。

観衆が息を呑む中──蓮見はこの舞で、神霊が還るように白栞の雪が解けるようにいなくなってしまうのではないか?

という気持ちを呑み込みながら詩を歌う。

 

やがて、舞が終わり。

二人は静かに頭を下げ、境内の隅で見守っていた南條が、ゆっくりと手を合わせる。

 

「……よく、還せたな」

 

彼の声は、感慨と安堵に満ちていた。

──白栞の姿は最後まで消えなかった。

 

 

 

映画“鈴が鳴るとき”の最後の撮影シーンが、こうして終わる。

『──カット!』とやや普段より声量を高めた三神がマイク越しにスタッフへ、指示を飛ばす。

夏祭りの中、民衆には知らされぬまま催しとして行われる儀式シーンの撮影終了。

 

これで本当に撮影は終わり、舞台の上の演者たちにできることは終わった。

 

「カット、OKです──!」

 

スタッフが拍手する間もなく、社の静寂が戻ってきた。

三神は立ち上がり、演者に向かって小さく頷いた。

 

「……よかった。今のカット、使える」

 

若林はハンカチで目を拭いながら台本を抱きしめ、西園は何も言わずレンズを拭いた。

焚き火の火が静かに落ちていく中、鈴は衣装のまま、冷え切った足元を見つめていた。

 

「これで……終わり、なんだね」

 

隣に立つ透が、彼女の冷たく冷えた手をそっと取った。

 

「うん。ちゃんと、届いたよ」

 

その言葉に、手から伝わる暖かさに鈴は小さく微笑んだ。

 

「お疲れ様です、鈴さん!」

 

頑張った鈴を労わるように北里が駆け寄り、分厚いコートと毛布を差し出す。

手を取り合った透から引き離され、鈴は「あ……」と少し残念そうに声を漏らす。

 

真冬の深夜、まして山中撮影は年若い女性の体力を想像以上に奪うもの。

翌日、体調を崩してしまっては……と撮影中の北里の心配は限界値を超えていた。

コートの上に毛布で包まれ雪ん子の様相になった鈴はぬくぬくとしながら、

先ほどまで繋いでいた手をにぎにぎと動かす。

 

そのとき、ひとりのスタッフが控えの車から花束を取り出して駆けてきた。

 

「お二人とも、クランクアップ、おめでとうございます!」

 

透と鈴、それぞれに花束が手渡される。

冷えた指先で受け取った瞬間、鈴の目がまた少し潤む。

 

「ありがとう……本当に、ありがとう」

 

スタッフたちが次々に駆け寄ってきて、演者たちに声をかける。

 

「最高だったよ!」「お疲れ様!」「鈴ちゃん、本当に綺麗だった!」

 

若林がそっと歩み寄り、花束を抱える鈴に頭を下げた。

 

「ありがとう……あなたの演技が、この物語を救ってくれたわ」

 

それに応えるように、鈴は深く礼を返した。

透のほうにも、スタッフ数名が抱きつくようにして感謝の言葉を述べる。

 

「透くん、もう主役でもいけるよ!」「いや、まじでヤバかった……泣いたもん」

 

西園が遠巻きにそれを眺めながら、ひとこと。

 

「……絵になるな。人間が画面に映る理由が、ようやくわかったよ」

 

撮影機材が片付けられていく中──

俳優もスタッフも、誰ひとりその場を離れようとしなかった。

 

 

 

火の名残り、歌の残響、そして消えゆく幻影のような熱気だけが、夜の境内に残っていた。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。