灰の神は、演じきった   作:ククルス

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咆哮のレゾナンス(Asuka Resonance)

 

 

──夜を裂くカウントダウン。

 

部屋は静まり返っていた。

夜の残り香をまとった空気の中で、ガラスの水槽のように冷たい沈黙が、リビングに満ちている。

 

飛鳥 明日香は、ソファの上で丸くなったまま、目を覚ました。

 

クッションを抱いたままの腕に汗が貼り付き、膝を立てた足元には毛布がずれ落ちている。

テレビも照明もつけっぱなし。天井に回る空調の微かな音だけが、時間を流していた。

 

午前4時57分。

スマホの画面に浮かぶ時刻の隣には、『明日香×鈴|FIGAROte W主演撮影』の通知が光っている。

 

「……寝てないし……」

 

自嘲にも似た声を吐いて立ち上がると、足元にちょん、と跳ねる羽音。

 

「……スズ?」

 

ケージの中で、オカメインコのスズが羽を膨らませていた。

羽繕いをしていたらしい。まるで、主の起床を察していたかのように。

 

「おはよう……ボサボサね、あたしとおそろい」

 

顔を洗うでもなく、明日香はそのままベランダの引き戸を開けた。

外は、まだ夜の名残を引きずっていたが、東の空には淡い藍が滲んでいた。

 

港区の高層住宅群。その隙間に吹く風が、髪を撫でる。

眼下にはまだ人気もない道路。タクシーの尾灯が一つ、滑るように通り過ぎていく。

 

遠く、東京タワーのシルエットが微かに見える。

 

「……今日、か……」

 

眠れなかった理由なんて、言うまでもない。

 

鈴。

影橋 鈴。

 

「あんたと並んで立つのに、寝られるわけないでしょ……」

 

呟きは、誰にも届かない。インコすらも眠りに戻っている。

 

思い出すのは──昨日のリハ現場。

 

あの瞬間、確かにあたしは怒鳴っていた。

撮影の緊張と、透の空気と、鈴の“何も言わない”姿勢が、どうしようもなく胸を刺した。

この二人を重ねるなんて認められるはずがない。

だってそこに、──あたしは居ないから。

 

共演するのが初めてな訳じゃない。

それでも前回の透との撮影で気を良くしたのか、FIGAROte編集部が似た様な意図で

あたしを徹底的に崩しに来ているのが、むかつくほどにわかるから。

 

「──なに黙ってんのよ……言い返しなさいよ……!」

 

声が震えていた。

その震えは怒りよりも、恐れと焦燥が混ざっていた。

そして、鈴は──ただ黙って、あたしを見ていた。

 

あの視線。

言葉が無いのに、何かを“見透かす”ような眼差し。

 

“あたしは、あなたの叫びの奥まで、もう見ている”。

 

まるでそう言われたようで、背筋が冷えた。

 

だからこそ、悔しかった。

だからこそ、泣きたくなるほど、認めたくなかった。

 

「……違う。あれは、ただの静けさなんかじゃなかった」

 

あれは、言葉にならない答えだった。

 

威圧でも拒絶でもなく、ただ「そこにいた」という“証明”。

明日香の叫びに、誰よりも先に反応したのは、あの無音だった。

鈴はきっと、あたしより今の“あたし”のことを理解している。

 

「……ズルいよ、ほんと」

 

怒りがふつふつと湧く。

けれど、その怒りの中に混じっているのは──敗北感。

自分でも気づきたくない感情。

 

「でも、今日は……こっちの土俵だ。モデルとして、カメラの前で。逃がさないから、鈴」

 

スマホを手に取って、もう一度スケジュールを確認する。

撮影は午前9時開始。FIGAROte誌の巻頭特集。

“静と動の神々”というコピーが、スライドで表示される。

いつもの、あたしと。いつもの、あの子だ。

 

「静と、動。あたしは“動”でいい」

 

その代わり、吠える。見せつける。モデルの極地は、“視線”と“構図”の戦場。

 

ただ美しいだけじゃ、勝てない。

ただ表現力があっても、勝てない。

 

それを、証明する一日が始まる。

 

 

 

──代官山「STUDIO ORCA」、午前8時前。

 

代官山の一角にある、撮影スタジオ「STUDIO ORCA」。

二階建て、撮影エリアは1階が“自然光ブース”と“スモーク/逆光対応ブース”。

空間白を基調にしたコンクリート打ちっぱなしの内装。

光がよく回るよう、天井は5メートル近くあり、大型のLEDライトが複数吊り下げられている。

 

あたしが入ったのは午前8時より少し前。

 

「アスカち〜ん♥ おっはよ〜! もうヘアメイク待機入ってるわよ〜♪」

 

付き合いの長くなったマネージャーのカレンがいつもどおり、浮かれた声で近寄ってくる。

そして当然のようにボディタッチからのハグだ。

この近すぎるスキンシップといい、名前も容貌すらまるで外人のようなのに

北海道生まれだというから日本人なのだろう。

 

「テンション高すぎ。朝だよ?」

「だって今日は勝負の日じゃ〜ん? アスカちんの“女王の目力”見せつけなきゃ♪」

「……黙ってて」

 

とは言いつつ、明日香は少しだけ口元を緩めた。

 

メイクルームへ案内されると、すでに数名のスタッフがセッティングを進めていた。

ヘアメイクは今季FIGAROte専属に選ばれた桐生、スタイリストはパリ帰りの原田、

照明は女性フォトグラファーである雫川と相澤チーム。

 

白壁に立つ大型バウンス板、Broncolor製のモノブロックストロボ、

Aputure LS600でのサイド光。影を作らないハイキー気味のセッティングだ。

 

「今日のテーマは“対神性”。天と地の女神。飛鳥さんには動的構図を狙います」

 

スタイリストが、Saint Laurent 2025SSの黒ガウンを差し出す。

素材は落ち感のあるシルクジョーゼット。踊るような動きが撮れる衣装だ。

 

鏡越しに、反対側のメイク席を見る。

 

すでに鈴が、Y's × Rick Owensのガウンを身にまとっていた。

白の中に墨のような濃淡。静かな彫刻のような立ち姿。

 

目が合う。

──いや、合わない。

 

鈴の目は、鏡越しの自分を見ていた。

まるで「こっちに背中を向けたまま、心だけが見透かしている」ような視線。

 

「……ほんっと腹立つ」

 

吐き捨てるように呟き、明日香は立ち上がった。

 

「ねぇ、あのガウン、足元にインソールパッド入ってる?」

「あっ、見てたの? 鈴ちゃん、身長185あるのにローヒールなんて変態よねぇ♥」

「……ふん。勝負は視線と構図。高さじゃなく、“存在感”で並ばせてもらうから」

 

その一言に、周囲のスタッフが一瞬、息を呑んだ。

あたしの言葉にカレンは笑っていたが、雫川だけが無言のままカメラを構えていた。

 

「左右対称に立たせたとき、どちらが主役かは“無意識”に現れるの。

 私は、その“現れ”を撮るだけ」

 

そう言って、シャッターを一度、試しに切った。

 

「……あたしが主役に決まってるでしょ!」

 

飛鳥はレンズに、真正面から睨みを利かせた。

その瞬間──一枚目の戦いが、始まっていた。

 

 

 

午前9時ちょうど。

「STUDIO ORCA」第2スタジオ、FIGAROte巻頭特集の対峙カット撮影が始まる。

カメラを携えた雫川のコールとともに、静寂が支配する。

 

「──シャッター、開けます。鈴さん、左。飛鳥さん、右。構図、センター分割」

 

モデル二人は無言で定位置に立つ。

 

光源は3点配置。

・Aputure LS600×2(左右トップからの柔光)

・Broncolor Siros 800S(センターリム)

・足元からはLED Panelでうっすらと起こし、目の光を整える。

 

背景は白のライティング布。だが背景紙ではなく、舞台幕のような風合いが意図されていた。

“舞台であること”を前提とした世界観。

 

明日香と鈴──目と目が合う。

しかし、言葉は交わさない。

 

先に動いたのは、明日香だった。

 

「構わない? あたし、リードしても」

 

鈴は一歩も動かない。ただ、視線だけで──「応じる」と伝える。

 

その瞬間。

明日香のヒールが、スタジオ床に強く刻まれる。

姿勢は斜めに傾ぎ、ガウンが風を帯びて舞う。

 

「照明、合わせて」

 

雫川の指示が飛ぶ。アシスタントがサイド光のバウンスを調整。

 

パシャ、パシャ、パシャ。

 

──瞬間ごとに、明日香の“女王の目”が画を切り裂いていく。

 

全身に込められた緊張。肩甲骨の開閉、肘の角度、指の開き。

すべてが「敵意」であり「存在主張」だった。

 

そのたびに、鈴の“静”が深まっていく。

 

彼女はまるで、対の“神像”のように、そこに佇む。

視線は明日香ではなく、“観ている”者へ向けられている。

 

カメラ越し、観者に「なぜ、貴方は私を見るのか」と問うような存在。

 

「くっ……!」

 

明日香が吠えるように睨み返す。

 

「シャッター、もう一段階上げて。1/800、F4.5、ISO400固定──飛鳥さん、右手を上げて。鈴さん、視線だけ下に落として」

 

その指示が出た瞬間。

鈴のまつげがゆっくりと伏せられた。

 

パシャ。

 

その一枚に──全員が息を呑んだ。

 

「……ああ、これが……“共鳴”か」

 

雫川が、誰にでもなく呟いた。

 

それは、構図における勝敗ではなかった。

“並び立つ”という奇跡の瞬間だった。

 

 

昼休憩。スタジオ内の2階にあるカフェスペース。

照明を浴び続けた緊張のあと、スタッフは皆、無言で弁当をつついている。

 

明日香はペリエの栓を開けながら、撮れたてのモニター画像をチェックしていた。

 

「……あたし、映ってる?」

 

その問いは、隣にいた雫川へのもの。

彼女は静かにうなずいた。

 

「ええ。映ってます。あなたの“視線”は、何百枚のうち数枚だけ、見事に焼き付いてます」

「数枚……?」

 

「そう。“狙って出す”人じゃない。あなたは、“叫ぶように溢れた時”にだけ、撮られる。

 そして鈴さんは──“黙っていても、カメラが勝手に拾う”人。

 どちらが強いとも、優れているとも言えない」

 

あたしは唇を噛んだ。

 

「……前までは、あたしが“映る側”だった。

 魅せるのは得意だった。煽っても笑っても、必ず一枚は勝ちカットが出た」

「でも、今日のは?」

「……わかんない。勝ち負けとかじゃない、って言いたいけど。

 ……たぶん、あたし、“主役”じゃなかった」

 

その言葉に、雫川は一瞬目を細めた。

 

「でも、“主役じゃない”ことで、一番美しい飛鳥さんが撮れました。

 今日のあなたは、“相手の隣に立つ”ための覚悟を見せた顔をしていた」

「隣に……立つ……」

 

そう。あの鈴の横に、同じ“存在”として立ち続けるために。

主役争いじゃない。共鳴。

 

だが、それは言葉にするほど簡単じゃない。

あたしという存在が、鈴を意識すればするほどに“勝ちたい”、“見てほしい”という気持ちが強くなる。

感情も、覚悟も、嫉妬も、全部呑み込んで、ひとつの画に焼き込まれるだけの価値を出す必要があった。

 

「じゃあ──」

 

明日香は立ち上がる。

 

「午後は、“わたし”をもう一段階上げる。

 負けてたまるか。主役でも、脇役でもいい。“その写真”を撮られるのは、あたしの番」

 

その言葉に、雫川がカメラを静かに構え直した。

 

「──じゃあ、女王様。午後は、“吠える”準備を」

 

 

 

午後2時。

「STUDIO ORCA」の第2スタジオは、空気が張り詰めたまま凍結していた。

 

誰もが、次の一瞬に全神経を研ぎ澄ませていた。

理由はひとつ──二人の女王が、ついに“本気でぶつかる”瞬間を迎えたからだ。

 

「セッションB開始。スモーク入れて。ライティングは左右2灯だけ、逆光強めに」

 

雫川の声が、戦場に火を入れた。

 

背景は黒幕。前景には、薄い霧のようなスモークが這う。

まるで、神域に踏み込むかのようなセットだった。

 

明日香は、先ほどとは別人だった。

衣装は黒のボンデージドレス。金属的な質感と肌のコントラストが強い。

 

髪を軽く濡らし、首筋を光らせ、

瞳にだけ──燃えるような“火”を宿している。

 

彼女は、目で“殴る”。それが、飛鳥 明日香というモデルの本質だった。

 

一方の影橋 鈴は、白の薄布を羽織る。

まるで異国の女神。髪はそのまま、表情は無。けれど存在感は“絶”。

 

──誰もが息を呑む。

 

カメラが動いた。連写音が空気を裂く。

 

パシャ、パシャ、パシャ。

 

「──飛鳥、近づいて。もっと、もっと!」

 

その声に応じ、明日香が一歩、踏み込んだ。

 

まるで、白と黒の女神が交錯するような光景。

互いのドレスが触れ合い、布が交差し、光が混じり──その瞬間。

 

鈴が、明日香の肩に手を置いた。

その瞬間──あたしの内側で、何かが爆発音を立てて燃え上がった。

 

肩先に触れたその手は、軽い。力なんてまるでない。

だが、その柔らかな“圧”が、彼女の鼓動を一気に跳ね上げた。

 

(なにこれ、なにこれ……やばい、マジで……ッ)

 

──心臓が、喉元までせり上がっている。

全身の神経が、まるでステージライトの下に曝されたようにむき出しになる。

 

触れられただけなのに、全身に“電流”が走った。

けれど、それは不快でも嫌悪でもない。むしろ──

 

(……チャンスだッ。今、この瞬間──“あたし”で勝つ!!)

 

喉が渇いて、唇が震えていた。

それでも目を逸らさない。鈴の視線を、正面から受け止める。

 

感情が暴走しかけているのを、技術で押し止めた。

撮影中だ。カメラが見ている。感情を、“絵”にしなければ。

 

(あたしは、飛鳥 明日香だ。モデルだ。……今日が、最高の一日になる!)

 

今、この一枚に、すべてを焼き付ける。

その狂気にも似た集中が、写真に“咆哮”を刻み込んでいった。

 

──シャッター音が消える。

 

一瞬の静寂。そして。

 

「……今の、もう一回ください」

 

カメラの背後から、雫川が震える声で言った。

 

「二人が……いま、ひとつの存在に見えたんです……!」

 

 

 

スタジオセットを照らしていたライトが、ふっと光を落とす。それは、撮影終了の合図だった。

照明が切られたことで、静かな拍手が場に満ちていく。

 

モニターには、最後の一枚が映し出されていた。

──あまりにも近い距離で並び立つ、二人の女神。

 

視線の高さ、顎の角度、呼吸のテンポまでもが、まるで“シンクロ”していた。

互いの額が触れ合いそうな距離で立つ明日香と鈴。

まるで鏡像のように、視線が“同じ場所”を見据えている。

そこには、演技でも演出でもない、“溶け合った二人”がいた。

 

(これ……これって……)

 

明日香は言葉を失っていた。

画面のなかの“自分”が、誰かと一体になって写っているのを見たのは、生まれて初めてだった。

 

強がりも、睨みも、笑顔もない。ただまっすぐに、何かを見ている──そんな顔。

そして隣には、自分と同じ目をして、自分と同じ息をしている、鈴がいる。

 

(こんな顔……あたし、知らない)

 

「……これが、“あたしの顔”かよ……」

 

喉の奥から漏れた声は、かすかに震えていた。

その隣で、鈴がそっとモニターを覗き込む。

 

「今日の明日香さん、今までで一番──綺麗だった」

「えっ……ありがとぅ……」

 

その純粋な賛辞は、飾らない彼女からの、たったひとつの本心だった。

思ったことをそのまま口にするか、胸の奥にしまい込むか──鈴は、そのどちらかしか選ばない。

だからこそ、「一番綺麗」は、明日香にとって暴力的なまでに真っ直ぐだった。

 

その横で、静かに頷く声がする。雫川だ。

 

「そう。あなたの“いま”を、写真が記録したの。

 共演じゃない──“共鳴”だったのよ、今日の撮影は」

 

その言葉に、明日香は一瞬だけ涙ぐみ、すぐに目を逸らした。

 

「……ふん。あたしの方が、ちょっと多く写ってたろ」

「ええ。でも、どちらかが“主役”じゃなかった。

 二人がいて初めて、今日の“画”になったの」

 

その時、鈴が小さく口を開く。

 

「……明日香さん、強かった」

「は?」

 

「途中で、視線を逸らしそうになった。でも──それでも、見てくれた。

 ボク、……ちゃんと見られるの、好き」

「……あ?」

 

「ありがとう」

 

思わず、言葉に詰まった。

 

「……なによ、それ」

「褒め言葉。……貴女の、好きなファンレターの言い回し、真似した」

「やめなさい、恥ずかしいっ!」

 

叫ぶように言いながら、明日香はバッグを掴み、足早に控え室へと逃げ出した。

その背中に浮かんだ“笑顔”を、誰もが見逃さなかった。

 

(──うわ、なにそれ、恥ずかしい!)

 

雫川の「共鳴だったのよ」、鈴の「綺麗だった」、そしてあの「ありがとう」──

耳の奥が、カァァッと熱くなる。

 

(なにが“ありがとう”よ! 鈴のマネ、って!)

 

鏡を見れば、耳まで真っ赤だ。控え室までの逃げ足は、まさに限界ギリギリ。

 

(……でも、でもさ)

 

(いまの“あたし”、たぶん──ほんとうに誰より綺麗だった)

 

自分でそう思えることに、驚いていた。

 

 

 

──パルティール南青山、飛鳥の部屋。

 

深夜、帰宅後。

MacBookの前で、飛鳥は再生を繰り返していた。

──今日の撮影の静止画スライドショー。

 

肩を寄せ合うような鈴との2ショット。

互いに反発しながら、同じ“光”を目指した軌跡。

 

その中に、一枚だけ──心底驚いた顔の明日香が写っていた。

 

あの瞬間だけ、心が震えていたのだ。

 

「……これ、載せようかな。

 “今日のあたし”って、SNSに。初めて“自分が好きな自分”かもしれないし」

 

パチリとスクリーンショットを撮る。

一拍おいて、タイトルをつける。

 

 

SNS投稿

『#咆哮のレゾナンス』

『#二人で一枚』

『#FIGAROte次号見てね』

『あの“()”となら、また撮りたいかも。』

このツイートが投下された直後──《Tbitter(つぶやきサービス)》はまさに“戦場”と化した。

 

「うおおおおおお!!!!!」

「飛鳥と鈴の共演、奇跡すぎる……神の仕事……」

「FIGAROteの予約完了! 雫川の写真展も行く!」

「“また撮りたいかも”って何!? 結婚!? 共演再び!? 命ください!!」

 

#咆哮のレゾナンス は日本のトレンド1位、世界でも4位に食い込んだ。

 

オタ垢も業界人垢も、メディア関係者も──誰もが二人の“邂逅”に狂喜乱舞。

ハッシュタグ祭りが24時間続き、急遽FIGAROte編集部がサーバーを強化したという噂まで出る始末。

 

一部のファンは、“飛鈴派”なるユニット名を勝手に立ち上げ、ファンアートを連投。

 

「まさか、天才モデルと感情ゼロの人形が、ここまで溶け合うなんて……」

「これ、もはや恋より尊い、共鳴愛ってやつじゃね?」

 

 

明日香本人のもとには、夜中のうちに各メディアとインスタライブ出演の打診が殺到。

 

だが、彼女はそのすべてを未読スルーし、

スズのケージに顔を寄せて、ぽつりと呟いた。

 

「ねぇスズ。あたしさ……ちょっと、楽しくなってきたかも」

 

ケージのなかで、オカメインコが一鳴きする。

それは、確かに「共鳴」の返事のようだった。

 

 

 

その投稿が、たった1時間で20万リツイートされることになるのは、また別の話だ。

 

 

 




申し訳ございませんわ!
二日間創作なーにも手が付かず無気力で遅くなりましたの。
明日も投稿出来たらいいなぁ……くらいのモチベーションですわね……。

アドバイスくれた詩仙堂黒猫さま、本当にありがとうです。
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