会話が増えてくると文字数増えるのはいいが、漫画を丸パクリしているみたいだ。一部省略する。その部分は鷹野が居たり話しかけたりしたから変わった部分だ。ちなみに漫画に無い部分のセリフはミュージカルからいただいたりしている。でもちゃんと原作に忠実にしたい気持ちもあって揺れる。
2025年1月9日 07:05
原作のセリフはそのままだが、量は少ないのでいいと思う。多分。
入団式
「第104期訓練兵団諸君、貴様らはこれから3年間戦闘方法や巨人に対する知識を身につけてもらう。また巨人が壁内に侵入した場合には、他の兵団と共に行動することがある。 覚悟はいいか!! 」
「ハッ!」
「声が小さぁい!覚悟はあるのか!?」
「「ハァッ!!」」
ほとんど悲鳴だ。縦横美しく並ぶ訓練兵の頭の奥に、1人髪がなくロングコートをきた者…キース・シャーディス教官の声が響く。南方訓練兵団の崖と木製の壁に囲まれた中心の広場で。他にも数人の訓練兵団のマークのついたコートを着た兵士がいる。
数時間前。何人かの訓練兵になるであろう子供と共に馬車に揺られてついた訓練兵団。後ろにも前にも何台かの馬車が合流してきた。
名前と出身を言うと確認を受けた上で荷物が預かられる。
その後、今後授業をやるであろう大学の講義室のような高低差のある教室で学力テストを受ける。机の上には捻れた装飾が施された鉛筆のような筆記具が置いてある。周囲では迷いなく鉛筆を走らせる音も聞こえるが、見える範囲でも数人は頭を抱えたり、諦めて机に突っ伏したりしている。問題は大方ハンジが馬車で教えてくれたおかげで答えを書くことができた。数学もさほど難しくなく、迷わず鉛筆を動かせた。しかし、12歳が解くには難しい。中学入試レベルだ。
確かに一部を除いて皆精神年齢が高い。テストが終わった時コニーは熟睡していたらしく、試験管に叩き起こされていた。
その後訓練兵団の服を支給された。質が良いとは言えなく、ごわごわしている。しかしさすが兵士の服、造りは良く両手を動かしても突っ張らない。服を着たら広場に出て並び、今に至る。
鷹野はこの列の後ろの方に立っている。左前にはジャン、マルコ、コニーが、さらに前にはユミル、アルミンが、その前にはアニの姿もある。エレンやミカサはさらに前にいるようだ。
教官は最前列の端の兵士に話しかける。全て最初はこの言葉から始まる。
「貴様は何だ!」
何しにここへ来た、と言う質問にも馬鹿みたいだとか意味がないとかと訓練所の外まで聞こえそうな大声で多種多様な罵倒をされている。『通過儀礼』だ。一部は舐めるように睨まれるが何も言われない。2年前のウォールマリア崩壊時に巨人と地獄を見てきたものなのだろう。一列終わると後ろを向く。わからないが、これにも意味があるのだろう。
目の端で誰かが動いた。頭を動かさずに右を見る。隣にいるのはサシャだ。実写版やミュージカルでの彼女より髪の毛がばっちり整えられてなく、前髪も後ろ髪も伸び放題だ。暇さえあればどこでも鏡を取り出してすぐ乱れる前髪を整える奴に嫌気がさしていたので好感が持てる。サシャはずっと手に持っていたらしきものを口へ持っていく。もちろん鷹野は知っている。芋だ、みたところじゃがいもだ。いつの間にくすねたのだろうか。サクッ、と言う音で他に数人気付いたようだ。少し生焼けのような気がする。
アルミン達がいる列になった。
「オイ、貴様。貴様の名前は何だ!?」
「シガンシナ区出身!アルミン・アルレルトです!!」
「そうか!馬鹿みたいな名前だな!!親がつけたのか!?」
「祖父がつけてくれました!」
「アルレルト!貴様は何しにここに来た!?」
「人類の勝利の役に立つためです!!」
「それは素晴らしいな!!貴様は巨人のエサにでもなってもらおう!!3列目、後ろを向け!」
アルミンの列が一斉に後ろを向く。なるほど、確かに面構えが違う。巨人をいっぱい倒すぞとかそんな生半可な考えじゃないのだろう。覚悟というか殺意というか、そんなものを感じる。アルミンは例外だったのは普通の巨人を見ていないからか、根がいい人なのか。
その後も一部の人を除き通過儀礼は続く。罵られる中の一部は頭突きを喰らったりプロレス技のようなものを受けたりしている。その中、右ではサシャがずっと芋を齧っては咀嚼している音が聞こえてくる。教官はもう鷹野の前の列まできている。そろそろ気づかれる頃だ。あだ名が『芋女』になるのはどうでもいいしむしろ面白いが、何時間も走らされるのは流石に防いであげたい。
「ねぇ、サシャだよね、名前」
サシャは突然話しかけられたことに少し驚いている。
「なんで私の名前を知っているのですか?」
「さっき門で名前言ってたから。それよりその芋」
「ああ、これですか。お腹が空いていたとき調理場にちょうど良い頃合いのものがあったので。…もしかしてあなたも欲しいのですか?」
「いや、そういうわけじゃなくてその、教官にバレると殺されますよ……正確には死ぬまで走らされる」
口調がサシャのようになりつつ、動きでバレないようできるだけ舌だけ動かして小声で話す。
「そんなに欲しいんですか?わかりましたよ。もうひとつあるので、ほら」
懐から更に芋を取り出し、少し見つめて舌打ちし、後ろで手を組む鷹野の右肘の裏に押し込む。そしてまた一口芋を頬張る。堂々としたものだ。
教官は今左手で逆の心臓を捧げていたコニーの頭を掴んで空中にぶら下げている。ようやくサシャに気付いたらしい。我が目を疑っている表情だ。コニーから手を離し、コニーは口からいろいろ吐き出しながら崩れ落ちる。
「オ…イ…。貴様は何をやってる?」
ああ、見つかってしまった。走らされる。しかしサシャは一瞬教官の方を見たがそのまま芋を飲み込み、また齧る。
「貴様だ!貴様に言ってる!!何者なんだ!?」
やっと自分のことだとわかったらしい。慌てて芋を飲み込む。
「ウォール・ローゼ南区、ダウパー村出身!!サシャ・ブラウスです!」
「貴様がその右手に持っているものは何だ?」
「ふかした芋です!調理場にちょうど頃合い物があったので!つい!」
「貴様…盗んだのか…。なぜだ…なぜ今…芋を食べ出した?」
「冷めてしまっては元も子もないので…今、食べるべきだと判断しました」
夕食抜きになるぞ芋女、と鷹野は思った。
「彼女はお腹が空いていたのです!サシャはそういう人なんです!」
教官は隣でサシャが持っていたものより少し小さな芋を持つ鷹野にも気づく。サシャに話しかけなければとばっちりを受けなかったのに。余計なことをしてしまったと今更後悔する。
「お前もか?貴様は名前は何だ!?」
「トロスト区出身、トリンク・タカノです!しかしこの芋は彼女がただ押し付けてきただけて私わたくしは無関係です!割り込んでしまい申し訳ございません!!」
変に声が上擦ってしまった。こちらを見ている前列の人全員がサシャと鷹野を見ている。後ろからも視線を感じる。
「ふむ、そうか。まぁよい。しかしブラウス、貴様は芋を盗んだ罰として、今から死ぬ寸前まで走れ!」
「まさか、今からですか?」
「そうだ」
「ハッ」
「そして夕食抜きだ」
教官は音量としては小さいようで、よく通り威圧感のある低い声で去ろうとしたサシャに告げる。
「そんなぁ!教官…それだけはぁ…」
「行ってこい」
さらに低く、有無を言わせぬ声だ。夕食抜き、という言葉で崩れ落ちて縋るような目で教官を見つめていたすぐ起き上がり、敬礼をして絶望的な顔をして走っていった。
「今年は229名が入団した。遠方より来たものもいるだろう。訓練は明日から始まる。今日はしっかり休め」
脚が痛くなり始めて意識が飛び始めた頃、やっと解散した。鐘が鳴ったら夕食を食べにいかなければならないが、それまでは自由時間らしい。
とりあえず各自決められた兵舎に行ってみる。既に鷹野も含めた何人かの荷物が置いてあった。向かって左右には二段ベッドが並んでいて、中心にある長机には筆記具といくつかの雑貨が人数分置かれている。テストの時のものと同じ鉛筆だ。新品ではないようだ。それにしても、漫画の『イルゼの手帳』で見たものと同じ鉛筆ということは、庶民が使う筆記具は全てこれなのだろうか。きっと主にこれしか生産していないのだろう。
そういえば、誰が同室なのだろう。主人公グループの人がいればもちろん嬉しいが、名も知らぬ人と仲良くなり、彼らを遠巻きに眺めながらただの訓練兵として生きるもよかろう。トロスト区戦を生き残って駐屯兵団にでもなれば、しばらくは安定した生活を送れる。それなりに戦いにも巻き込まれるだろうが運が悪くない限り死なない。でも俺はそれでいいのか?エレンの言う通り家畜のように生きるのか?狭い世界で満足か?憲兵団には入れないだろうし、調査兵団は、きっとすぐ死ぬ。決断するのはまだ先だけど。
「お、お前は芋女の近くにいた奴か?お前は走らされなくてよかったな」
「タカノ…だっけ?あまり聞かない名前だったから印象的だったよ」
後ろから声が聞こえた。振り返るとそこにいたのは焦茶の髪に瞳には緑と水色の針が散らばっている…エレンと、金色のパサっとしたオカッパのアルミン。丸く大きな目は果てしなく続く海と広がる空を見ているようだ。抱きしめたい。
「アイツまだ走らされてるぞ。ぶっ通しでだ」
そう言って後ろから来たのはライナー。ベルトルトもいる。その後にも知らない人に混ざりジャン、コニー、マルコも来た。同室になったから主人公グループが形成されたのか、何かに秀でた者が集まったのか。女子寮のミカサ等を除いた全員がいる気がする。
全員で25人くらいだろうか。コニーを含め早速2段ベットに登ってはしゃぐ奴らや、それを険しい目で見ている者、端で周りを睨みつけている者、鷹野のクラスの男子を見ているようだ。鷹野はどちらかというとあまり騒ぐ方ではなく、たまに少人数内ではよく喋る感じだ。エレンとアルミンを含む数人は私服に着替えて荷物を整理すると、すぐに外に出て行った。
鷹野も自分の荷物を探す。他の人もそうだが、あまり大きいものではない。着替えと少ない日用品、後はエレンでいう鍵のような訓練とは関係なくても大事なものだろう。鷹野の寝床は向かって右側の窓の隣、つまり最奥の下の段だ。唯一自分だけの場所だと言えるが、仕切りもないので寝る時以外は皆好き勝手使うのだろう。一部には自分のテリトリーを侵されたくない者もいるだろう。でもどうせ、と鷹野は思う。元々この壁内には自分の物なんてなかった、着ていた制服も持って行かれてしまったのだから。そうして少ない荷物を棚にしまって兵服を脱ぐと、ハンジに貰ったお守りだけを曲げないようポケットに入れ……そういえばサシャの芋をまだ持っている。まだ食べる気分じゃない、これもズボンのポケットに押し込み、外に出る。
彼らは既に食堂の入り口付近のテラスにいた。手すりに寄りかかりながら何か話している。もう女子寮からも多くの人が来ていて食堂に入っていく。コニーの後ろには長い髪をふたつに括った…確かミーナもいる。サシャはもう5時間は走っている。死ぬまで、とは言え元々かなり体力があるのだろう。山の中で狩猟をしていたからだろうか。
「…ガンシナ区だ。そこから開拓地に移って…12歳になるまでそこにいた」
エレンは『通過儀礼』を受けなかったので皆は出身を知らないようだ。
「ってことはよ、「その日」もいたよなシガンシナ区に!見たことあるのか?」
マルコが咎めるのにも気付かず、コニーが興奮気味に質問している。
「超大型巨人!」
その声に反応して食堂に入ろうとしていた数人が集まってくる。エレンは唖然とした顔をしている。最後は小走りでエレンのところに来た鷹野もコニーを止めようとしたが、もう遅かった。
「超大型巨人?今そう言ったか!?」
「本当に見たのか!?」
「あぁ……」
見張りにも使われるのか高い塔の上の鐘が鳴った。
「鐘が鳴ったぞ!話は中でも聞ける!」
誰かが言った。
「そうだよ。初日から教官に絞られたくはないだろ」
鷹野も言い、「ほらほら」と人の群れを追い立てた。
鐘がなる前からもう食事ができたらしい。各々が好きな席につきパンとスープを食べている。鷹野も並んで器を取り、スープを注いでもらい、パンと水ももらう。終始エレンの周りには人だかりができている。
エレンが座り、その周りには三重どころではない人の壁ができる。いつのまにか近くにミカサがいる。
「なぁ、エレンだったよな!超大型巨人見たって話本当なのか!?」
鷹野もミカサの向かいに座る。スープはシチューを薄めたような見た目をしている。取り巻きはもう食べ終わったのだろうか。
「……だから…見たことあるって…」
「本当か!?どのくらい大きいんだ!?」
「壁を跨いだのか?」
「俺の村でもそう言ってた!」
パンを齧る。酷く固い。スープを口に含むと、これは冷め切っていて水っぽい。具も小さいのが浮いているだけだ。
「イイヤ…そこまででかくはなかった。壁から首を出すくらいだ…」
「どんな顔だったの?」
「ウォール・マリアを破った「鎧の巨人」は!?」
ジャンやベルトルトは遠巻きにこっちを見ている。ベルトルトの隣にはアニの姿もあった。
「そう呼ばれていたけどオレの目には普通の巨人に見えたな」
「じゃ、じゃあ……」
「おい!あんま問い詰めるなよ!」
鷹野の声に食堂が静まりかえった。エレンも昔のことを思い出したのか手を振るわせている。
「別に色々聞いたところで巨人が消えるわけじゃないし、ただ巨人さんから逃げたんじゃないんだぞ。恐ろしい体験をしたんだ。それに後3年経ったら嫌でも皆巨人を見ることになるさ」
「…みんなもう質問はよそう。思い出したくないこともあるだろう」
マルコも場を諌めてくれた。しかしエレンは先程とは一変自分の手を顔に皺を寄せて睨んでいる。
「違うぞ…」
あの固いパンを噛みちぎる。バリッという音が聞こえるまで静かだ。パンはちぎってスープに浸すと食べやすい。
「巨人なんてな…実際、大したことねぇな。オレ達が立体機動装置を使いこなせるようになれば、あんなの敵じゃない!さっきは思わず感極まっただけだ!そんで調査兵団に入って…この世から巨人共を駆逐してやる!そして…」
「オイオイ正気か?」
静寂の中熱弁を披露したエレンの言葉を遮ったのはジャンだ。
「今お前調査兵団に入るって言ったのか?」
「あぁ…そうだが…。お前は確か憲兵団に入って楽したいんだっけ?」
「オレは正直者なんでね…心底怯えながら勇敢気取ってやがる奴より、よっぽどさわやかだと思うがな」
「そ、そりゃオレのことか」
鐘が鳴った。食堂の時間が動き出した。周りで見ていた人は流れるように外へ出ていく。遠くから眺めていて手が止まっていた人は慌ててスープをかきこんでいる。皿を片付けながらエレンとジャンを見ていたがそれ以上喧嘩に発展したりはしなかった。
外はすっかり暗くなっている。今までに見たこともないほどたくさんの星が見える。星にはそれほど詳しくないが、知っている星は見当たらなかった。灯りが少なく、あっても大して明るくないからだろう。そろそろサシャが走り終わる頃のはず。広場を見てみるとサシャが教官と話している。話している、というよりはギリギリ立っているサシャに教官が指導している。
ようやく解放されたらしい、よろめきながら寮に向かっている。お腹も空いているはずだ。
「ねぇ」
サシャは気付いてないようだ。
「おーい、サシャー!」
やっと気付いたのか、よろめいただけなのかこちらを向く。
「あぁ……誰…でしたっ…け……」
「ほら、芋をくれたじゃん。タカノだよタカノ。あの芋だけど…まだ食べてないから食べ_」
「い……も……?芋ぉ!」
水平にジャンプをしたように飛んでくる。慌てて芋を話して飛び退くと、正確に芋を空中でキャッチした。と思えば、それはもう全て口の中にある。しかし噛む間に口の中から出てきてしまう。それも口の中に放り込みながら喋る。
「あ……あなたは…恩人です!……神……様ぁ…」
「大丈夫だよ、ゆっくり食べて」
早く寮に帰らないといけない。さっきまでいた教官に見られてないことを願う。
寮に戻ると幾つかのグループに分かれて会話をしたり、はしゃいだりしている。1人でいる者や既に寝ている者もいる。鷹野ももう眠かった。明日はもう立体起動初歩の訓練が始まる。みんなと話すのは明日でもいい。自分の寝床に行くと誰かがうずくまっていた。
「あの…そこ俺の場所だから、どいてくれないかな」
「えっ……あっ…あぁ…ごめん」
顔を上げたその顔に見覚えがある。朝、馬車に乗っていた。あの時も端でうずくまっていた。
「君さ、今日の朝馬車に乗ってたよね、あの調査兵団の人が降りて行った。俺はトリンク・タカノって言うんだけど、君は?」
「……イサヤマ」