あるところに、賢い者がいた。ある日、その国の王様が、賢い者に褒美をやろうと言った。なんでも好きなものをやろう、お前は何が欲しい、と。賢い者はこう言った。
「1ヶ月間、毎日米粒をください。しかし1日目は1粒、2日目は2粒、3日目は4粒というように倍々にしていただきたいのです」
王様は不思議に思いつつも承諾したが、倍々に増えていく恐ろしさに気づくことができなかった。最初の数日は大したことのない数なのだから。多分王様はあまり頭が良くなかったのだろう。
結果、15日を過ぎた頃から米の数は膨れ上がった。さらに次の日にはその倍になる。量だけでなく数えるのにかかる人員も増えていき、王様は酷い目にあった。
あなたも、そんな話を聞いたことがあるだろう。
その話を聞いた時、ある男は、しめたと思った。ちょうど、その男も王に貰う褒美を考えているところだった。さらに都合の良いことに、この国の王も頭が悪い。数日前に裸で民衆の前を歩き、笑い者になったばかりだ。あの愚かな王ならば、この笑い話も知らないだろうと男は考えた。ついでに王を困らせることもできる。必死になって米粒を数える王を、実際に数えるのは別の者だろうが、それを想像すると男は面白くてたまらなかった。
男は、もう一ついいことを思いついた。2倍ではなく、2乗にしよう。例えば4なら、倍ならたった8にしかならないが2乗なら16、その次は256。倍よりもずっと速く増えるじゃないか!
そして、王の前で男はこう言った。
「1ヶ月間毎日米粒をください。しかし1日目は1粒で、毎日、前の日の2乗分の米をいただきたいのです」
王は笑顔で承諾し、そんなもので本当にいいのかと言った。男は必死で笑いを抑えながら、もちろんですと言った。王は1粒の米を男に与えた。
男は、数日後の王の顔を思いながら眠りについた。
1粒スタートで、30日間、前日の倍の米を貰う場合
5日目…16、10日目…512、15日目…16384、20日目…524288、25日目…16777216、30日目…536870912
合計…1073741823≒10億
21.5トン、米俵358俵
1粒スタートで、30日間、前日の2乗の米を貰う場合
1日目…1、2日目…1^2=1×1=1、3日目…1^2=1×1=1、30日目…1^2=1×1=1
合計…30
1ヶ月後、男の前には米が30粒あるだけだった。
2粒スタートで、30日間、前日の2乗の米を貰う場合
合計…2^536870912
1億6100万桁になるので書けない