…我ながら上手。今よりも上手…?文章のつながりが変なところはあるけど、それでも情景表現とか、起承転結がちゃんとしている。なんか憑いていたのかもしれない。そしてこの頃から鳥屋敷を使ったいたらしい。
「あーあ、面倒くさい」
すずは思わずため息をついた。すずは、最近ペットの犬のシロワンの世話が嫌になってきたのだ。もちろん、シロワンも毛を逆になでるすずが嫌になっていた。父、竜平に犬を飼いたいと言ったときは、
「すずが散歩も掃除もやるんだぞ。途中でいやにならずにやれるか?」
と聞かれたので、
「ちゃんとお世話できるよ!」
といったのに。
ある日、すずは竜平と、シロワンを連れて散歩に行った。よく晴れていて、シロワンの純白の毛がもう一つの太陽のようだった。
大きな交差点にきた。どこを向いても人、人、人。外なのに満員電車のようだった。やっと通り抜けたと思ったらシロワンが消えていた。人ごみの中を通っているときに、リードが手から離れたのだろう。
「父ちゃん、シロワンが消えちゃった…」
「大丈夫、シロワンはそんな遠くにはいかないよ。いっしょに探そう」
すずは、とぼとぼとついていった。
同じころ、下を向いて交差点をわたる男がいた。名前は領一。独身で日払いのバイトをしてくらしている。領一も犬が大好きで、『犬を飼う』という叶わない夢のためにコツコツとお金を貯めている。だが、ペットショップの犬は飼えないので、飼いたくても買えないのだ。
無心で歩いていると、目の端に真っ白いものが見えた。どうせ疲れで幻覚が見えるのさ、と無視する。と、また見えた。今度は違う、真っ白な犬だった。転んだのか、毛がボサボサだった。
「いったいどうしたんだ、ボロボロじゃないか。」
領一は優しく話しかけながら、自分のアパートに犬を連れて行った。
体をふき、餌を買ってきて食べさせた。領一は、一言では言えないほど幸せだった。
再びすず達。竜平がシロワンにつけていたGPSで探すと、知らないアパートの一室を指していた。竜平が心配そうな顔のすずに、
「きっと誰かがシロワンを見つけてくれたんだよ。ね、大丈夫」
部屋のチャイムを押すと、水色の服を着た男、領一が出てきた。竜平は、
「私の娘が白い毛の犬を逃がしてしまったのですが、知りませんか?」
と聞くと領一は、
「私も犬を拾ったのですが、お宅のでしょうか?」
と、白い犬を連れて、事情を話した。
「シロワン、こんないい人に見つけてもらってよかったね」
「シロワンという名前ですか、かわいい名前ですね。ではお返しします」
「シロワン、もうすぐおうちに帰れるよ」
すずがリードを引くが、シロワンは動かない。強く引っ張っても、動こうとしない。
「シロワン、どうしたの?おうちに帰れるんだよ」
シロワンは動かない。と、領一が
「シロワンが嫌がることをした覚えはないかい?変ななで方をしたり、お世話をしなかったり」
「・・・お世話してなかった。シロワン、ごめんね。明日からは、ちゃんとお世話するから!」
シロワンはゆっくり立ち上がった。
「君の犬は賢いね。また逃げないようにしっかりお世話するんだよ」
「うん!ちゃんとお世話する!シロワン、帰ろ」
すずはぴょんぴょん跳ねている。領ーがボソッとつぶやいた。
「また、一人バイト暮らしか」
「ん、一人バイト暮らしなんですか?」
「あ、聞いてしまったのですね。はい、そうです」
領一は自分のバイトのこと、犬が好きなことなどを話した。
「そうだったのですか、そういえば…」竜平は一枚の名刺を差し出した。
「私はMIMI(ミミ)の鳥屋敷です。今、社員募集しているのですが、どうですか」
「ああ、あのMIMIですか。課長とはすごいですねー。今度電話してみます」
「父ちゃん、早く帰ろ」
「そうだね、ではご連絡お待ちしております」
一週間後の朝、すずは元気よくシロワンのお世話をしている。
「はいシロワン、朝ごはんだよ」
「ワン!」
同じ頃。
「課長、おはようございます!」
「おはよう。相変わらず領一は元気だなあ」
「はい!今日は犬を飼うんです。茶色のトイプードルです」
「そうか、娘みたいに逃がさないようにな」
「あはははは」
今日は晴天。二人の犬好きの笑い声が高い空に響いた。