神様に命を与えられた、一人の人形。
「幸せってなんだろう?」という問いの答えを探しながら、人形は旅に出る。
これは、人間になれなかった人形が“幸せ”に出会うまでの物語。
楽しんで書いたので我慢して読んで下さい。
途中退室はご自由に。最後まで読んで頂いた方には心より感謝を捧げます。
拍手も感想も大歓迎!当劇場は皆様の御来訪を心よりお待ち申し上げております。
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ある時、人形の前に神様が現れ、人形に命を吹き込みました。
人形は自分の体を見つめて神様に尋ねました。
「なぜ僕は木でできてるの?」
神様は答えました。
「それはお前が人形だからだ」
人形は他の人形を指差して尋ねました。
「じゃあ、なぜ他の人形は動かないの?」
神様は答えました。
「それはお前だけが、私が与えた命を持っているからだ」
人形はまた神様に尋ねました。
「どうして僕に命をくれたの?」
神様は答えました。
「それは、お前に幸せになってほしかったからだ」
人形は不思議そうな顔をして言いました。
「幸せってなに?」
神様は微笑んで答えました。
「幸せが何かは、お前が見つけなければならないものだ」
そう言い残して、神様は人形の前から消えてしまいました。
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人形は考えました。
(幸せ?幸せって一体なに?どうすれば見つかるんだろう?誰か知ってるかな?)
こうして人形は、幸せを探すために旅に出ました。
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人形は町にたどり着きました。
町の人々は、命を持つ人形を見て大変驚き、気味悪がりました。
それでも人形は尋ねました。
「幸せってなにか知っていますか? どうすれば僕は幸せになれますか?」
一人の男が嫌悪に満ちた声で言いました。
「人形なんかが幸せになれるわけないだろ! 幸せになりたければ人間にでもなってみろ!」
そう言って、男は人形に背を向けて去って行きました。
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人形は思いました。
(人間になれば、幸せになれるんだ! なら、僕は人間になりたい!)
こうして人形の、「人間になるための旅」が始まりました。
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人形はたくさんのものに触れました。たくさんの世界を見て回りました。
美しい自然の景色。幸せそうに笑い合う人々。人形に優しくしてくれる人間たち。
壮大な山々を、荘厳な滝を、一面に染まる紅葉を、そんな美しい景色に触れる度、人形の心は奪われました。
町を探す人形に道を教えてくれた人がいました。人形に優しく笑いかけてくれる人がいました。そんな人に合う度、人形は嬉しくなりました。
もちろん、いいことばかりではありませんでした。
人形を嫌い傷つける人がいました。人形を気味悪がり貶す人がいました。そんな人に出会う度、人形の心は傷ついてしまいました。
それでも――
そんなものに触れるたびに、人形の心は少しずつ温かくなっていきました。
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ある時、再び神様が人形の前に現れました。
神様は優しい顔でしばらく人形をじっと見つめて、優しい声で人形に尋ねました。
「幸せが何か、見つかったかい?」
人形は思わぬ再会に目を丸くして驚きました。
そして神様に会えた嬉しさと幸せを見つけられなかったことに対する申し訳なさから
人形はうつむき、地面を見つめて。
少し寂しそうに、小さな声で神様に答えました。
「僕、幸せになれなかったよ……人間になれなかったんだ……」
神様は優しく、こう答えました。
「幸せになるのに、人間か人形かは関係ないんだよ」
人形は驚いて尋ねました。
「そうなの!? じゃあ、幸せってなに? どうすればなれるの?」
神様は、優しく人形を抱きしめ、頭を撫でながら言いました。
「お前は旅をして、世界に触れて、たくさんの人に出会った。
それを、お前はどう思った?」
人形は、くすぐったそうに笑って言いました。
「綺麗な景色を見たよ! 幸せそうな人も、優しくしてくれた人もいた!
僕は……そんなとき、心があったかくなるんだ!」
神様は優しく微笑みながら言いました。
「それが幸せだよ。お前は、ちゃんと幸せを見つけられた。よく頑張ったな」
人形は嬉しそうに笑って言いました。
「本当に!? ちゃんと見つけられた!? 僕は幸せだったんだ!」
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これは――
人間になれなかった人形が、幸せになるまでの物語。
これにて、おしまい。
めでたし、めでたし。
……どこからか、拍手の音が鳴り響きました。
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