サクラチヨノオーは負けられないんですっ!   作:タピタピ

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はじめまして、タピタピと申します。

シングレ見てチヨちゃん書きたくなったので書きます(多分10話ぐらい)。


基本本作はアプリ準拠でいきますのでご了承くださいm(__)m


サクラチヨノオーはお手伝いします!

 

 

「俺、トレーナーになりたいんだよね」

 

「じゃあ、私がトレセン学園に入ったら、私のトレーナーになってくださいね!」

 

 

 夕暮れ時、1人の人間の少年とウマ娘の少女がそんな話をしているのを私が外から見ているとだんだんとその2人の姿が薄れていき、次に目に映ったのはこの数週間でちょっとずつ慣れてきた天井でした。

 

 

「…………夢、かぁ」

 

 

 外を見るとまだ空は明るくなっておらず、いつも起きる時間よりも随分早く起きてしまったらしいです。

 夢の内容が頭に強く残っており、二度寝は厳しそうだと思った私は同部屋のアルダンさんを起こさないようにジャージに着替えて外に出ることにしました。

 

 

「はっはっ……」

 

 

 4月の下旬ということもあり、走るにはちょうどいい気温。外に出た私はいつもの道を慣らし程度に走っていました。

 そうしてすこし空が明るくなってきた頃、いつものように河川敷を通ると入学してからお世話になった後ろ姿が目に入ります。

 

 

「食堂のお兄さん!おはようございます!」

 

「うえっ!?ってチヨちゃん、早いね~。おはよう」

 

「ちょっと早く起きちゃいまして。お兄さんも起きるの早いですね」

 

「朝の仕込みがあるからね。慣れたもんだよ。よければこれ飲む?」

 

 

 そう言われてお兄さんから差し出されたのは学園の自販機で売っているスポーツドリンクでした。

 

 

「え、いいんですか?」

 

「うん。走ってたなら喉乾いてるでしょ」

 

「ありがとうございます!もしなにか私に手伝えることとかあったら言ってくださいね!なんでもやりますから!」

 

「お、助かるね~。じゃあその時はよろしく」

 

「はい!じゃあ私はそろそろ行きますね!これありがとうございます!」

 

「うん、頑張ってね」

 

 

 そうしてお兄さんから視線を外し、いつものコースに戻っていきます。の前にもらったドリンクを軽く口に含む。その味はどこか懐かしさを感じる味でした。

 

 

 

 *** 

 

 

 

 午前の授業を終え、昼休みになると多くの生徒は昼食をとりに食堂に向かっていく。食堂では朝ごはんから晩御飯まで食べれるように開いており、この時間は特に賑わう状態になっているのは座れそうな席が見当たらないこの状況が物語っていた。

 

そんな中、男は今日も今日とてフライパンを振るっていた。

 

 

「すみません、日替わり定食ください!」

 

「あいよ!日替わり一丁!」

 

 

 前にきた生徒が注文を伝えると、手を止めることなくコールを奥に告げる。何人か分はすでに準備が終わっているため、すぐに生徒に定食の乗ったトレイを渡す。

 

 

「ご飯はどうする?」

 

「大盛りで!」

 

「……大盛り?」

 

「……ウマ盛りで!」

 

「よぉっし!ご飯ウマ盛り、日替わりお待ち!」

 

「ありがとうございます!……相変わらずすごい量だなぁ」

 

 

 ご飯を受け取ったウマ娘はその山のような白米の量に呆れながらも席に向かっていく。うちのご飯は普通、大盛り、ウマ盛りが存在している。

 大盛りは3倍、ウマ盛りは普通の10倍の量になっている。ここはおかわり放題のため食べる奴はウマ盛りをするすると胃に入れていく。

 

 このような流れでいつものように列になっている生徒を捌きながらも、今日は特段と長いその列に下を巻いてしまう。

 

 

「理事長のヤロー、なーにが頼んだ、だ。結局作るのは俺らなんだよぉ!!!」

 

「副料理長も逃げやがったしな!」

 

 

 俺のそんな叫びに厨房で野菜を切っている同僚も続いてここを留守にしている副料理長に悪態をつく。

そんな俺らに1番稼働量が多いであろう料理長がいつものように俺らを叱咤する。

 

 

「馬鹿言ってんじゃないよ、ちゃんとした有給だろうが。お前らも取ればよかっただろう?」

 

「このキャンペーンを俺らが知ったのは昨日だよ!!」

 

「おや、それは可哀想に」

 

「「「ふざけんなよ料理長、理事長!!!!!」」」

 

 

 俺らの愚痴に全く悪びれる様子もなくそんなことを宣った奴に俺らはせめてもの抵抗として声を大にして叫ぶ。

 普通なら列になっている子達にも聞こえそうなものだが、厨房の料理の煩さと食堂の騒がしさで聞こえていないだろう。あ、1番前の子が気づいてビクッとしてたわ、すみませんでした。

 

 

「うるさい!口動かす暇あったら手動かしな、手!」

 

「動かしてますよ!?動かしてんのに列が減らないんだよ!?」

 

 

 昨日知らされた今日のキャンペーン。その名も「ご飯ウマ盛り一杯につきパフェ(全7種)1つプレゼントキャンペーン!」である。

 このキャンペーンは理事長がどこからか盛りだくさんのフルーツを持ってきたことから始まった。曰く「要望!これで生徒達のために美味いスイーツを作ってくれ!」らしい。

 

 このキャンペーンの問題点はパフェにはないのだ。もちろん生徒自体はパフェに釣られて増えるだろうが、パフェ自体はある程度の準備を事前にすることができる。問題はご飯をウマ盛りにすると、おかずの量が必然的に増えることであった。

 

 

「すみません!にんじんハンバーグ5人前、ご飯ウマ盛りでお願いします!」

 

「おお!いい食べっぷりだな!うっし、5人前とパフェお待ち!たくさん食べろよ!」

 

「ありがとうございます!うわぁ、パフェ美味しそう!」

 

 

 こんな量がいつもはちらほらなのが今日はこれが通常なのだ。そのおかげで今厨房は

 

「おい、ハンバーグの準備どうなってる!?」.

 

「今20焼いてる!盛り合わせ終わってるか!?」

 

「そっちは終わってる!おい、チャーハン切れたぞ!具材切れてるのか!?」

 

「あと少しで50人分切り終わるぞ!あと足りてないのは?」

 

「パフェの在庫の方は?」

 

「いちご、あとメロンが思ったよりも減り早いな。少し別にオーダーおすすめできるか?」

 

「できるぞ!あ、丼もの一鍋無くなったぞ!次持ってこい!」

 

 

 こんな有様である。それでも我々は歴戦の猛者、こんなところで諦めるわけにはいかないのだぁ!!!

 

 

「すいません、手伝いましょうか?」

 

「ん?ってチヨちゃんか。うーん、……手伝ってもらっていい?」

 

 

 そんな時に声をかけてくれた少女の方を向くと、そこにいたのは朝たまたま出会ったまるで仔犬のような愛くるしさで評判のサクラチヨノオーであった。

 

 チヨちゃんからの提案に俺は少し悩む。俺らはあくまでも彼女らのためにこうして汗を流しているというのに果たして手伝ってもらってもいいのだろうか、そんなことを考えたものの後ろには阿鼻叫喚の厨房。俺らにそんな矜持を保つだけの余裕はなかった。

 

 

「任せてください!アルダンさんもいかがですか?」

 

「そうですね、私もお手伝いします」

 

 

 その答えに満足したのか笑顔のチヨちゃんと隣に並んでいたメジロアルダンが手伝いに加わってくれることになった。

 

 

「おぉ!ありがとう!じゃあ並んでる子の注文聞いてきてもらって、ご飯ウマ盛り中にはパフェ選んでもらってくれる?種類は」

 

「ちょっと待ってください、今ノート出します!」

 

 

 感謝を伝え、簡単にこのキャンペーンの説明をしようとすると、チヨちゃんはそそくさとピンク色のノートを取り出した。その様子に準備ができたと考えた俺は説明を続ける。

 

 

「いい?パフェの種類は7つ。いちご、ぶどう、りんご、メロン、スイカ、モモ、マンゴー。大丈夫そう?」

 

「はい!アルダンさんいきましょう!」

 

「はい!」

 

「手伝い終わったらパフェ用意しとくから、何がいいとかある?」

 

「私は桃で!」

 

「私はぶどうでお願いします」

 

「わかった。じゃあ2人とも頼んだ!」

 

「「はい!」」

 

 

 お礼にパフェをプレゼントすると伝えると尻尾をピンと上げて列の方にかけていった。校則である「静かに走る」を体現する2人、相変わらずとんでもない学校である。

 

 

 

 *** 

 

 

 

 食堂でいつも以上に忙しくしているお兄さん方に手助けを買って出てから私は列の先頭にいる子に話しかけました。

 

 

「こちらでご注文お聞きします!」

 

「あ、じゃあ醤油ラーメンと唐揚げ定食お願いします」

 

「今キャンペーンやってまして、もしよければ定食についてるご飯ウマ盛りにすればパフェプレゼントしてます!」

 

「パフェ食べたいっ!じゃあそれで!」

 

「ありがとうございます!このまましばらくお待ちください!」

 

 

 パフェの存在を知って目を輝かせて厨房を見ている彼女から視線を外して私は自身のノート、チヨノートに注文を書き込んでいきます。

 このノートは基本的には私自身が自分の走りに思ったこと、改善したいことを書いているノートです。そんなノートの端っこに注文をつらつらと書いていきます。

 

 

「はい、次の方〜、あらヤエノさんではないですか」

 

「お二人は一体何を……?」

 

 

 そうして聞いて、書いて、伝えてをアルダンさんと繰り返していると、知り合いのヤエノムテキさんに遭遇しました。

 

 

「ちょっと厨房のお手伝いをしておりまして……」

 

「なるほど、例のキャンペーンのせいですごい人の数ですからね。もしよければ手伝わせていただいても?」

 

「よろしいですか?なら私たちが注文を受け取りますのでヤエノさんにはそれを厨房に伝えてもらってもいいですか?」

 

「承知しました」

 

 

 同じく手伝いをしてくれるということで3人体制になったことで効率は格段に上昇し、少しずつ列も短くなってきていました。

 昼休みの後は基本的には個人またはチームでの練習になるため、段々と人が減り、1時間とすこしが過ぎた頃には随分生徒もまだらになってきました。

 

 

「お疲れ様。本当に助かった!」

 

「ぜぇぜぇぜぇ……」

 

「ふぅ……」

 

「こ、このくらい……」

 

 

 列が無くなったのを確認するとお兄さんが受付口から乗り出して私たちを呼んでいます。

 その声で私たちはやっと終わったと近くの椅子に座りました。

 

 

「いやぁ、本当にありがとね?お礼のパフェとってあるけど、どうする?」

 

「「「いただきます!!!」」」

 

「お、おう……」

 

 

 お兄さんが声をかけると待ってましたと言わんばかりの声量でで私たちは声を上げていました。彼はその勢いに少し気圧されながらも少し足早に後ろに下がると3つのパフェを持ってテーブルに置いてくださいました。

 

 果物がごろごろ乗っていて今にもこぼれそうなパフェを私たちはほぼ同時に口に運びます。

 

 

「はぁ〜うま〜」

 

「本当に美味しいですね。それこそ外で売っていてもお金を払って食べにいきたいぐらいには」

 

「美味しい……」

 

 

 疲れた体には甘いものがよく沁みます!アルダンさんもヤエノさんも糖分に浸って頬が緩みに緩んでいます。

 

 その様子を見たお兄さんも笑顔を浮かべていました。

 

 

「そう言ってくれると俺らも頑張ったかいがあるってもんだな!みんなご飯食べてないでしょ?パフェで糖分補給したら注文しにきてな。チヨちゃんも朝の貸しはこれでチャラね」

 

「はい!」

 

 

 偶然にも朝の借りを返すことに成功した私は少しハッピーな気分でパフェを味わって食べてから大盛りのご飯を食べてからグラウンドへ練習に向かいました。その日に出たタイムはここ最近で最もいいタイムでしたっ!

 

 

 

 サクラチヨノオーの運命の日まであと1日

 

 

 





はい、ということでここまでご精読いただきありがとうございました!

よければ感想、評価お待ちしてます。


追記 咲-saki-『日仏雀恋大戦 最後にアガるのは私!』をご視聴の皆様。大変長らく更新が止まっている本作品ですが、ストックができたので8月から更新を再開いたします。大変お待たせいたしました。

また今作品から私を知ってくださった方も、よろしければそちらも見ていただけると幸いです!


それではまた次回お会いしましょう。
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