こんばんは、タピタピです。
ついに、最終話です。
最後まで見ていただけると、嬉しいです!
それでは本編へどうぞ!
「すみません!日替わり定食ください!」
「はーい!日替わり入りまーす!」
月日は流れて、あの有馬記念から2年と少し。
また桜の季節の3月がやってきて下旬、ちょうど今が満開の時期になりました。
今もなお、私はトレセン学園でお世話になっています。
ただ、
「チヨちゃん!こっち手伝って!」
「はい!今行きます!」
レースではなく、食堂が今のホームですが。
あの日、有馬記念を勝った私たちはその後シニア級へと上がり、怒涛の一年を過ごしました。
3月、大阪杯でオグリさんとヤエノさんと再戦。
ヤエノさんに徹底マークされたのちに、直線で領域に入ったオグリさんが大外から大まくり。ハナ差で初めての黒星をつけられました。
そして宝塚記念でヤエノさんと再戦。最近上がってきたイナリワンさんとヤエノさんがぶつかりあったことで隙をつく形で逃げ切り一着。
この頃から、体に違和感が本格的に現れてきてしまいました。
体のピークを過ぎてしまったんです。
何分無理をして長距離を走れるようになったりと体に負荷が多くかかっていたのは2人ともわかっていましたが、それでも早すぎる……!、とトレーナーさんも数日徹夜ながらに対策を考えてくれました。
それでも、解決法なんであるわけもなく。だから
『残り、走れるだけ。やれるだけやってみたいです!』
それからは練習メニューを変えながら夏合宿を超え、そして、秋の天皇賞がやってきます。
一年ぶりの対戦のスーパークリークさんと、アルダンさん、そしてオグリさん。
去年とは同様、逃げを強行した私にオグリさんとアルダンさんはペースを掴みきれず、最後まで伸び悩み、その一方でこの走りにいち早く反応したスーパークリークさんに最終直線で差し切られる結果となりました。
一年ぶりのリベンジを果たしたクリークさんは涙を流しながら会場に手を振っていた。その笑顔が綺麗で少し見惚れてしまったかも。
そしてジャパンカップ。
再び集まった世界の強豪たちとの激戦が繰り広げられました。
パワーをつけたオグリさんが中から強引に突破し、私は大逃げを図ることで前へ出ました。クリークさんは途中でバ群に飲み込まれてしまい、失速。
そして大阪杯以来の直接対決。
どちらも死力を出し切り、走りました、
領域に入り、加速をし、そして。世界に桜が舞った。
そして、最後のレース。有馬記念。
揃ったのは名だたるメンツ。オグリさん、ヤエノさん、アルダンさん、クリークさん、イナリワンさん。そして、
『……久しぶり』
『お元気そうですよかったです。今日も負けませんから!』
『今回は正々堂々勝ちに行くよ』
ダービー以来の対決になるアドバンスモアさん。
そのレースは荒れに荒れました。
逃げを図る私とそれを止めようとするヤエノさんとアルダンさん。
そして早い段階でのスパートをかけ始めたイナリワンさんに続くようにクリークさんとオグリさんが追随。
結果最終コーナー終了時点で6人がほぼ横並びという大波乱。
そこから抜け出したのは新鋭だったイナリワンさんでした。
最後のレースを終えた私に送られる拍手や言葉に涙が止まらなくなってまともにライブを踊れなかったのは恥ずかしい思い出ですが……。
そして私はドリームトロフィーリーグに移籍。ですがおそらくレースすることはないと思います。
今は別に目指したいことができたんです。
そしてそれを機に蓮さんがアメリカへ。それがちょうど一年前のことになります。
その穴埋めかつ、やりたいことのためにここで働いているというわけになるのです。
そして、今日は食堂はいつもよりひりついています。
なにせ、あの怪物がやってくる日なのです。
そんな雰囲気の中で他の生徒のご飯を作っていると、同僚の方が声を上げました。
「っ!料理長!きました!奴です!」
「!来たか!各員準備を開始しろ!チヨ!お前はまずオーダー聞きながら時間稼ぎだ!」
「はいっ!」
そうしてやってきたのは、
「ん、久しぶりだなチヨ」
「お久しぶりです、オグリさん。どうですか?最近の調子は」
オグリキャップ。未だ現役であり、最前線を引っ張っている人物です。それだけに周囲からのプレッシャーも多いでしよう。
自分のやりたいようにやれるぐらい吹っ切れたらいいのですが。
「少し、悩んだりはしてる」
やはりというべきか、悩んでいるようです。
なのでここは食堂を代表しまして!
「そういう時はまずはご飯からですね!いっぱい食べれば少しは楽になります!」
その答えに先ほどまでの暗い顔が吹き飛んだかと思うと、
「!そうだな!じゃあにんじんハンバーグ、醤油ラーメン、味噌ラーメン、豚骨ラーメン、塩ラーメン、餃子に、唐揚げ定食、カツ丼、牛丼、ミートパスタとカルボナーラ、ペペロンチーノ、鯵の塩焼きと味噌煮込み、あときつねうどんをそれぞれ10人分と肉じゃがもつけてもらえるか?」
???
「あ、あの、これ本当に食べ切れるんですか?私の現役の時の50倍くらいありそうなんですけど」
「?いっぱい食べろと言ったのはチヨだろう?」
純粋な目でキラキラをこちらに飛ばしてくるオグリさん。現役真っ盛りとはいえ、この量は異常すぎますよ!?
「流石に食べ過ぎで怒られますよ!?」
「そうか……」
流石に言葉が漏れるとしゅん、とそれはそれは悲しそうに俯く。
…………。
「…………ちゃんと消費するんですよ?」
「!もちろん!」
結局甘いんだよなぁ、自分ながらに思ってしまう。
でも本当に美味しそうに食べてくれるから嬉しくはあるんだよなぁ。
「…………料理長、行けますか?」
「行け、るさ」
苦し紛れとでもいうようなカスカスの声でそう告げる料理長。
「……分かりました。オグリさん、少しだけお待ちください」
「うん」
厨房内に戻る。
……どんなに辛いことがあっても諦めません。
サクラチヨノオーは負けられないんですっ!!!
いざ!フライパン!!!
「チヨノオー、ファイオー!」
「「「ファイ、オー!!!」」」
1時間後
「…………」
見事に燃え尽きました。もう0.01分咲きレベルです。
「チヨちゃん、お疲れ〜。ゼリー食べる?」
「ありがとう、ございます……」
同じく乗り越えた調理人さんからゼリーを手渡されると水と一緒に食べ進めます。
「うんまぁ〜」
「お、生き返ったか?これぐらいでへこたれてちゃ個人店なんてまだまだ先だぞ〜」
私の新しい目標の料理店を開くことを知っている料理長が疲れた顔をしながら少しこづいてくる。
「うぐっ……。料理長、オグリさんはどうなりました?」
「あぁ、満足した様子でありがとうと言っていたよ。最近色々大変らしいからな、ストレス溜まってんだろう」
その目にはやはり心配だったのか、どこか優しい目が見えています。……一割ぐらい、敵対心もありそうですが。
それでもやっぱり笑ってるオグリさんが1番です。
「じゃあ、頑張った甲斐がありましたね」
「?そういえばお前さんまだこんなとこにいてよかったのか?」
「?はい?」
何も心当たりがないので、そのまま聞き返す。
それに対して料理長はあたかも当然のように、
「いや、だって今日蓮が帰ってくる日だろ?」
「—————え?」
そんな爆弾を投下した。
***
学園の校則、その一つ。
廊下は静かに走れ。
「すみません!どいてください!」
できるだけ静かに、かつ早く。
今こそダービーウマ娘、年度MVP2年連続ウマ娘の力を見せる時です!!!
「うわっ!?ってチヨちゃん?どうしたのそんなに急いで」
「あ、マルゼンさん!と、トレーナーさんが帰ってきてるって聞いて!」
曲がり角で見知った顔、マルゼンそんに出会います。ただ、何分今は時間がないもので……!
「あら?まだ会ってなかったの。てっきり最初に会いに行くと思ってたのに。というかその様子だと知らなかったの?」
「知らなかったですよ!?なんで担当バに教えてないんですか!?」
なんでマルゼンさんには言って、私には言ってないんですか!?
「ふぅーん……。なら多分理事長室にいるはずよ、早く言ってあげなさいな」
「ありがとうございます!!!」
そのありがたい助言を聞いて方向を変更。
またできる限りの最高速で走っていく。
「サプライズでもするつもりだったのかしら?……ついていきましょ♪」
***
「うん?サクラチヨノオーじゃないか。どうしたんだ?」
「会長さん!蓮さん、トレーナーさん見かけませんでしたか!?」
理事長室に着くとちょうど中から1人の生徒、シンボリルドルフ会長が現れました。
この人は、まぁ言ってしまえば蓮さんの初めてを奪ったウマ娘なので、少し眉間に皺もよります。
「あぁ、さっきすれ違いで理事長室から出て行ったよ」
「そんなぁ〜」
ここまでの労力がまた水の泡になります。
「なんか行っておきたい場所があるとか言ってたが」
「行っておきたい場所……分かりました。ありがとうございますっ!」
蓮さんの行っておきたい場所?
「ん?マルゼン、君も一緒だったのか?」
「違うわ、付けてるの。ルドルフも来ない?」
「いや、まだ生徒会の仕事が———」
「行くわよー!」
***
「行っておきたい場所ってどこですかぁ……」
色々なところを走り回ったもののなぜか出会うことのできない蓮さん。ここまで会えないとなると帰ってきてないと言われた方が信じられるというものですね。
仕方なく、近くのベンチに腰をかけます。
「……あ」
そういえば、ここに来るのも久々だなぁ。
偶然辿り着いたのは最初、私たちの始まりの場所。あの池の近くのベンチでした。あの時と違うとすれば桜が今も綺麗に咲いていて散っていないことでしようか。
「「ふぅ……」」
「「ん?」」
なぜか重なったため息の行方を見るために隣のベンチを見ます。
相手もきっと同じで私の方を見ていました。
「…………あ」
瞬間、腰を上げてその人の元へ。
「チ「なんで連絡しないんですかぁ!!!」耳がぁぁぁぁ!!!」
抱きつきながら大声で叫ぶと、蓮さんは見慣れたスーツ姿で耳を押さえながら唸り始めました。
少し待って落ち着いたのか、持っていた缶コーヒーを一気に呷ると少しずつ内容を話し始めました。
「……いや、その、サプライズしたいなぁって」
「…………」
「いや、ごめんて。そんな目で見ないでくれ」
思わず細目になってしまったらしく、蓮さんから降参の合図。
手招きをされたのですっと蓮さんの腕の中に入ります。
「っ……蓮さんの匂い」
「はい!?」
「落ち着きます」
「いや、吸うな吸うな吸うな!!!」
この昔から嗅ぎ慣れた匂い。やっぱり、最初に感じた違和感は当たっていたんですね。
嫌がる蓮さんを尻目にレンニウムを補充し、少しして離れます。
「最近はどう?」
「そうですね、料理、というよりかは経営の勉強の方が難しくて……」
「あぁ、そうだよなぁ。個人経営ともなるとそういうのもあるよなぁ」
「蓮さんはどうですか?」
「うん。アメリカで面白いものも見れたし、学べたからね。そろそろ別の担当でも持とうかなぁ」
「いいんじやないですか?」
「え?いいの?」
「?はい。だって、担当が増えても私は蓮さんの特別ですから」
そういえばまだ言ってなかったですね。
私があなたの特別な居場所に、帰って来れる場所になりたいと思うから。
「蓮さん、
おかえりなさいっ!
「!———あぁ、ただいま。チヨちゃん」
サクラチヨノオーは負けられないんですっ! 終わり
はい!ここまでのご精読ありがとうございました!
1ヶ月で終わらせるつもりが2ヶ月持っていかれました。
ここまで見てくれた方、感想をくれた方、評価をくれた方、本当にありがとうございます!
よければ感想、評価等くれると嬉しいです!
それでは!この作品をここまでありがとうございました!