まずはイントロ
灼熱のマグマが噴出す火山
その洞穴の前に黒い毛並みの狐がいた
その黒狐はニヤリと狡賢い笑みを浮かべると、その姿が揺らめいた
♪♪♪
「む、どうしたキングドラ」
岩石のような身体に頭部と四足を覆う鋼がいかにも頑強そうなドラン族の中でも古強者の『ヒードラン』は突然現れた同族の『キングドラ』に問い掛けた。
「………」
キングドラは黙ったままだった。
「…!貴様、何者だ!」
異変を感じたヒードランは口から強烈な熱風を吐き出した。
「あ~ぁ、やっぱ高位の魔族ともなるとバレちまうか」
攻撃を躱したキングドラの姿が一瞬、陽炎のように揺らめくと、そこには赤黒い毛並みの二足歩行の狐が現れた。
「その魔皇力、イリュージョンか」
「あれ?知ってた?」
「それは化ける対象との接触を必要とする…、貴様、キングドラをどうした」
「ええ~?それ訊く~?てか、言うまでもないじゃ~ん」
狐は、ふっ、と指先からヒードランに向けて何かを飛ばした。それは、血塗られたドラン族の鱗だった。
「なんと…、」
「ここの場所聞き出そうとしたら襲ってくるからさ~、正当防衛って奴だよ。ついでに槍も貰って来たけど」
狐は悪びれる様子も無くさらに続けた。
「でさ~、ちょっと後ろの扉開けて城の封印、解いてくれない?」
「巫山戯(フザケ)るな!貴様、灰すら残ると思うな」
「ぁ~あ、やっぱダメか…、なら………闇夜炸裂(ナイトバースト)!」
狐から暗闇色のオーラが発せられ、ヒードランに直撃した。
「そんな攻撃、効かぬ!」
ヒードランは頭部に魔皇力を集中させ鋼の強度を極限まで高め、狐目がけ突進した。
「鋼鉄頭突(アイアンヘッド)!」
しかし、その攻撃は外れた。
「バ~カ、さっきのはダメージじゃなくお前の命中率を下げたんだよ」
狐は突っ込んできたヒードランの足をけたぐりを入れ、洞穴の岩壁に激突させた。自らの重量がそのまま自分にダメージを与えてしまい、ヒードランは倒れてしまった。
「ぐっ………、」
「それじゃ、城の封印は勝手に解くから」
「馬鹿めその扉はドラン族でしか開けられない…」
「あのさ~、俺がどうやってここまで来たと思ってンのさ」
狐の後ろから、両手が竜の頭部になっている六枚三対の翼を持つ黒紫のドラン族が現れた。
「サザンドラ!?」
「………」
サザンドラは黙ったままだった。
「おのれ…、」
ヒードランが立ち上がろうとすると、地面が陥没し、足が嵌ってしまった。
「ぁあ、そこさっき穴掘っといたから」
狐はにやりと笑うと地面をトン、と踏んだ。
「お前ぇ、ボクに、やられちゃったね。あひゃひゃひゃ~」
地中に沈んでいくヒードランを見下ろしながら、狐は笑った。
(…く、無念…、あとはお前に任せるぞ………、キバゴ)
♪♪♪
洞窟の外
そこにはイカ、さそり、猫、とかげの姿をしたファンガイアが居た。
「お~、待たせたな」
そこに狐とサザンドラが洞窟から出てきた。
「目当ての城は手に入ったカイ?」
「ぉうよ」
狐は頷いた。
「カ~ロロロ、これで存分に暴れられる」
アクアクラス・クトゥルフィッシュファンガイア、カラマネロはイカで悪魔な笑い声を上げた。
「ふむぅ、腕が鳴るでぇ」
インセクトクラス・スコーピオファンガイア、ドラピオンは両腕の鋏をジャキンジャキン鳴らした。
「ひゃは、いい感じだぜ」
ビーストクラス・キャットファンガイア、マニューラは両手の鋭い爪を擦り合わせ研いだ。
「最っ高潮だぜ…」
リザードクラス・リザードファンガイア、ズルズキンは拳を掌に打ちつけた。
「さぁて、それじゃ行きますか」
ビーストクラスの中でも魔皇力と戦闘力が高く、それ以上に悪巧みと狡賢さ、話術に長けたフォックスファンガイア、改め、ゾロアークは親指と人差指を擦り合わせる気障な仕草をした。
そんな6体のファンガイアの様子を岩場の影から覗いているドラン族の子供がいた。
「どうしよう…、ヒードラン様が倒されるなんて………、」
ドラン族の仔(と言っても数十年以上生きている)キバゴは牙をカチカチ震わせながら立ち上がった。
「行かなきゃ、当代のキバの鎧の継承者のところに…、」
♪♪♪
湘南
紗羽の寺がある山の丁度反対側に、剣道の道場があった。
カッ
パァ~ンッ
暑苦しい湿気が充満した道場内に、乾いた竹刀同士のぶつかる音と胴を叩くが響いた。
「ふー」
面を取った操一朗は堪らず息を吐いた。その顔面はもとより、分厚い稽古着もたっぷり汗を吸って全身汗だくだった。
「よし、本日はこれまで」
操一朗の相手をしていたのは壮年の男だった。面の下の凛とした双眸は真夏の暑中稽古とは正反対に何処までも涼やか。栗色の髪の毛を伸ばし一房に結って、面長で鼻筋も通っているが、顎の先がやや丸みを帯びて愛嬌ある顔立ちをしている。
しかし、身の丈は180の操一朗と対峙していても見劣りしないくらいあり、それでいて安定した立居振舞を自然とこなしている。
「日比野先生、ありがとうございました」
操一朗の剣術の師匠、日比野佐内。若く見られるが、これでも50代目前。紗羽の実家の寺が保有している山の一部を間借りして剣道道場を開いている地元でも有名な教育者だ。
まだ小学校に上がる前、「強くなりたい」という単純な理由で五嶋に連れられて門を叩いた操一朗を、しかし日比野は何も言わずに弟子にした。
防具を取外し作法通りの礼をした操一朗に応じて日比野も礼をした。
「バイクで事故にあったと聞きましたが、何も問題もありませんね」
「来週にゃ全国大会がありますからね、おちおち怪我でヘタれてられませんよ」
肩まである茶髪の長髪をうなじの辺りで一房にまとめた操一朗は顔面の汗を稽古着の袖で拭った。
「さて、と」
操一朗は立ち上がると道場の隅の方で稽古をしている面子に声をかけた。
「おう!どうだそっちは」
そこには、ジャージ姿の合唱時々バドミントン剣道部が道場の熱気と慣れぬ剣道にへばって床に座り込んでいた。
「あ~…、やっぱ剣道の消耗って半端ないわ………」
「バドミントンの夏合宿が涼しく思える…」
辛うじて、紗羽と大智は立っていたが、肩で大きく息をしていた。
「これが…、ケンドー…」
「はぁ…はぁ…」
ウィーンも和奏もすっかりへばっていた。
「もぉ~、誰さ剣道の練習しよー、なんて言ったの」
「自分だろ」
「あんたでしょ」
「宮本だろ」
「コナツじゃないか」
「来夏でしょ」
操一朗、紗羽、大智、ウィーン、そして和奏からの総突っこみを受けて来夏のライフは0になった。
♪♪♪
「ほら、冷えた麦茶だ」
合唱時々バドミントン剣道部に盆に乗せた麦茶を配っているのは天原爽(あまはらさやか)。日比野道場の門弟の一人で操一朗とは同期の桜だ。長い黒髪に涼やかな目元、凛々しい顔付きでいかにも和風の美剣士といった感じだ。
「ありがと、爽もあんなに稽古してるのに息一つ切らしてないなんて…」
「鍛えているからな。それに、全国の個人戦ではあいつと決着を付けるからな。これしきではへばらんさ」
紗羽とは時々交遊のある、学外の友人同士だ。
「さぁ、慣れぬ稽古で疲れただろう。どうぞ」
「あ、どうも…」
和奏に気安く話し掛け麦茶を渡したのは軟派な眼鏡優男。
土門海。同じく操一朗の同期で、小学生から高校生を主な門弟としている日比野道場では3番目の腕前だ。ちなみに、2番は爽、1番は操一朗だ。
「よければ携帯のアドレスでも交換………」
「てい!」
パァン
背後から海を竹刀で打ったのは、髪をツインテにした少女だった。
「海兄、何初対面の子口説いてんのさ。てか、操一朗君の従兄妹さんだよ」
土門千春。海の妹で中3。剣道の筋はよく、後輩の女子の面倒見も良く、爽に継ぐ女剣士だ。千春は麦茶を来夏に渡した。
「ゴメンね~、海兄ってば可愛い子なら見境無くて。昔紗羽ちゃんにも初めて会った瞬間から口説くし、小学生だってのにさ」
「…あ~、うん、ありがと。あれ?あたしって声かけられた?てか、年上なんだけど…、ため口?」
来夏はぶつぶつ独り言を呟きながら麦茶を飲んだ。
「はい、大変でしたね。」
ウィーンに麦茶を渡したのはツンツンした髪の千春とほとんど背丈の変わらない男子だった。
天原無心。爽の義弟で非凡な剣道の才が・・・・・あるような、ないような、とにかく普段は名前に反して雑念だらけの少年剣士だ。
「ありがとう。剣を振るう真似事はよくやっていたけど、いざ本格的にするとなると疲れるね」
「君は中々筋がいいね。竹刀を打った時手の内を締めるという基礎ができているよ。何かスポーツを?」
「あ、はい。バドミントンを一応全国ベスト8です」
大智は師範の日比野から直々に麦茶を渡された。
今日は合唱時々バドミントン剣道部の活動の一環で、操一朗の道場に体験入門として来ていた。と言っても、素振りくらいしかしていないが。
「さて、それじゃ、本日のメインイベント行こうか」
他の五人が休憩を終えるのを待っていた操一朗は、再び防具を着けた。
「よ~し、やったるぞ~」
途端、来夏がやる気を出した。
「なぁ操一朗、本当にいいのか?」
「怪我しても知らないよ」
「むむむ、これはヒーローでは定番だけど、いざ自分がやるとなると…」
「あ~、操一朗ってば言ったら聞かないから…」
心配そうな大智、紗羽、ウィーン、和奏を操一朗は笑って一蹴する。
「大智だって変則バドミントンやったんだ。俺だってこれくらいはな」
爽達に手伝ってもらい、五人はジャージの上から防具を着けた。
真ん中に来夏、その来夏の左側に大智と紗羽、反対側にウィーンと和奏、そしてそれと対峙する操一朗は一人。
上段に構えた操一朗一人に合唱時々バドミントン剣道部の五人で試合をしようと言うのだ。
「始め!」
審判を買って出た爽の合図と共に来夏が突っこんだ。と言っても、摺り足もなにもできていないべた足だが。
「緒川覚悟~!」
「めん」
ぱん
左手一本でただ竹刀を振り下ろした面打ちは、来夏の頭上に見事に決まった。かなり手加減した面打ちだが、それでも来夏は頭を抑えて膝を着いてしまった。
「あっいぃったぁ~~………」
「操一朗、一本」
爽が操一朗側の手を挙げて宣言した。
「おのれ、コナツの弔い合戦だ!大智、左右から挟み撃ちだよ」
「え?お、おぅ」
振り下ろした竹刀を下段に取ると、操一朗は先に掛かって来たウィーンの竹刀を下から払い上げ、そのまま逆胴を打ち、その流れのまま、今度は大智の竹刀を下から払い上げて胴を打った。ちょうど無限大のマーク(∞)を描く軌跡だ。
パァンッ パァンッ
「逆胴、胴有り、操一朗三本」
最後に残ったのは紗羽と和奏。
「くっ、ソウ、外したらゴメン!」
紗羽は破れかぶれで竹刀を操一朗の小手に振り下ろした。
が、操一朗は正眼(中段)の構えで竹刀をほんの少しだけ紗羽の竹刀の軌道上にずらした。すると、紗羽の竹刀は横に反れ、代わりに操一朗の竹刀が紗羽の手元に伸び、そのまま小手に落とした。
ぱこ
「小手有り、操一朗四本」
そして、最後の和奏に向かい合った瞬間には、操一朗は竹刀を振り上げていた。
「ひっ…」
無論、手加減はするし操一朗なら万が一にも反れて肩を強打するという事はないが、和奏は咄嗟に目をつぶって身体を縮めた。
「…っ!」
しかし、そんな状態の和奏を前に、操一朗の竹刀が動きを止めた。
「あ、えい!」
ぱこん
その隙に、和奏が振り下ろした竹刀が操一朗の面を打った。
♪♪♪
「あ~、抜かった…」
操一朗はがしがし髪を掻いていた。シャンプーの泡があっちこっちに飛んでいる。
ここは剣道場から歩いて10分ほどの銭湯。負けた方は何か奢るという約束の下、合唱時々バドミントン剣道部に爽、無心、海、千春まで引き連れた大所帯で銭湯にやってきた。しかも入浴料全員分+牛乳代は操一朗持ちで。
「はっはっは、うちの最強君の弱点見つけたよ」
「海てめぇ…、全国一回戦はお前となんだかんな、覚えとけよ…」
そんなやり取りをしている2人に挟まれた無心が操一朗に話し掛けた。
「でも意外ですね、普段なら爽さん相手に本気でかかって行ってるのに」
「爽(あいつ)相手に手加減とかできるかっつーの、単に和奏だったからちょっと油断しちまったんだよ」
「…和奏さんって従兄妹なんですよね」
「あぁ、俺が4月で和奏は3月生まれだから俺のが一応年上だ。まぁ、兄妹みたいなもんだ」
「でも従兄妹なら…、その…、できますよね、結婚…」
「まあ法律上はな」
「しょ、小生も…もし従兄妹同士だったら爽さんと………」
「ん?なんか言ったか?」
「い、いえいえいえ、何も」
「あ、そ」
操一朗はシャンプーを流すと湯船に入った。
「あ~…、生き返る~~………」
「お前よくそんな熱湯に入れるな」
隣のぬるめの湯船に入っていた大智が話し掛ける。
「で、ウィーンは大丈夫か~?」
「ふぅ…、ふぅ…、余裕だね、大智…、江戸ではこれくらい入れないと江戸っ子じゃないんだよ」
顔を真っ赤にしながら操一朗と同じ熱湯湯船に浸かっているウィーンが答える。
「いや、ここ湘南だし」
♪♪♪
「ふぅ…、やはり稽古の後の風呂は格別だな」
「そうね~、たまにはこういうおっきなお風呂もいいわね~」
鍛えられたしなやかですらりとした手足に程好い膨らみの胸部、それとは対照的な張りのある胸部と太腿、臀部、それでいて太っている印象が微塵も無い健康体。
爽と紗羽は浴槽の縁に座ってガールズトークをしていた。
「それにしても、紗羽お前はまた育ったか?」
「う…、実はカップが1個ほど上がっちゃって………」
「あいつといい、お前といい、それじゃ色々苦労するだろう」
「そうなの、肩凝るし、服選びも悩むし、あと夏場だと谷間に汗が溜まってそれがね…」
「だがやはり男子というのはそういう女子の方が好みだったりするのだろうか………」
「え?爽気になる男子いるの」
「いや、クラスの女子がそういうことを言っててだな…、決して無心の事などではないからな…!」
2人の姿をぬるめのお湯に浸かりながら来夏、千春、和奏が見ていた。
「あ~…、なんか直にあの2人の身体直視できなわ~…」
「自分が惨めになる…」
「う~ん…」
和奏は自分の胸を見下ろした。来夏よりはある、が、それでも紗羽と比べると小さい部類に入ってしまう。母のまひるはそこそこ大きかったのであるいは自分も将来的には・・・・・
「ぷはぁ」
突然、隣の水風呂から美女が出てきた。
「青春だね~、命短し恋せよ乙女たち~」
紗羽と爽を足したような抜群のスタイルにマリンブルーのロングヘアーの女性はそのまま裸体を隠さず浴場から出て行った。
「あの人…、いつから潜っていたの…?」
♪♪♪
アヴァロン学園
ゴルフ事業で学校を運営していた『キャメロット』と『グラール』が合併した事で誕生したスーパーエリート校
日本の情緒もへったくれも無い中世の城塞のような外観のその学園は、その設立経緯から在校生はほとんどが帰国子女や海外からの留学生
中高一環教育で各種スポーツエリート育成に力を入れている
中でも前進時代からのゴルフ部は強く18ホールが丸ごと校庭に隣接している
そのゴルフ部と双璧をなす全校生徒の一割が所属しているのが、剣道部である
「突きィ!!」
ドォンッ!
喉元に突きを喰らった剣道部員が道場の壁際まで吹っ飛び、気を失ってしまった。
「あァん?『何寝てんだ?』『まだまだできんだろ?』『さっさと立てよ!』」
突きを打った方は防具を着けず竹刀だけ握っていた。
「チッ、」
飢えた狼のような風貌の男、ガラハド・サンダースは舌打ちをした。
「まったく…、稽古熱心なのはいいけどもう少し加減しなさいよ」
2m近い筋骨隆隆のオネエ口調のボールス・マーマンはガラハドを窘めた。
「ならボールス、ちょっと打ち込み付き合ってくれよ」
「いゃよん、シャワー浴びたばっかりなんだから」
「んじゃバリンでいいよ」
道場の隅で黙想していた短髪の男は瞑っていた目を開くと溜息を吐いた。
「今日の稽古でも十分相手したべさ、あんま根詰めっと来週の大会までもたんぞ」
東北弁で喋るバリン・フェニックスの左脇には大小2本の竹刀が置いてあった。
「その辺にしときなさいよ」
道場に一人の女子が入ってきた。入り口で一礼する姿だけでもその気品が溢れ出ている。
「ちょうどいいわ、生徒会の仕事でちょっと遅れちゃったし、私が相手してあげる」
剣道部部長兼アヴァロン学園生徒会長のモルガン・ウィンチェスターは眩い金髪をポニーテルに結い、紗羽以上の巨乳の上から防具を着けた。
「ほら、ガラハドも」
「あァん?必要ねェよ」
「そう、じゃあボールス、審判お願い」
「はいはい、じゃ、始め~」
♪♪♪
「ん~…、いい稽古ができたわ。これで個人戦、爽ともいい勝負できそうね」
「んだな。けど、向こおもそれなりに研鑚してるはずだべ。油断すんなよ」
道場を後にしたモルガンとバリンの後ろを、ぼろぼろになったガラハドを担いだボールスが歩いていた。
「ちょっと、いい加減起きなさいよ。大の男担ぐのって結構疲れるのよ」
「…うるせぇ、」
「そんなんじゃまた操一朗ちゃんに負けて今度こそモルガン盗られちゃうわよ」
ボールスがこっそり耳打ちするとガラハドはがばっと起きてボールスから降りた。
「あの『馬の尻尾野郎にゃ』『絶ッ対ぇ』『負けねェ…』!」
「はぁ~、操一朗ちゃんは一回戦で海きゅんとだから、そこで負けてもらわないとアタシが海きゅんと試合できないのよね」
ボールスは筋肉をくねらせながら溜息をついた。
「まあ順当ぉに行げば、俺が準決勝で当だるな」
「ガラハドは反対側だから操一朗とは決勝戦まで行かないと試合できないわね」
前を歩いていたバリンとモルガンも話しに加わってきた。
「上等ォだよ、今度こそぶっ倒してやんよ」
「うふふ、頑張ってね。私、弱い男は嫌いよ」
「…ッけ」
夕陽に照らされ地面に映った4人の影は、王の威厳漂う蝙蝠、狼のような闘士、水棲生物のような戦士、影が不安定な土偶、そんな異形の影だった。
そんな4人を見下ろす、黒い影
「奴が………、そうか、闇の鎧を受け継ぎし者か………」
黒い影は一瞬ゆらめくと、消えてしまった。
操一朗、無心、爽、そしてモルガンはまだ知らない
全国大会前のこの日常が、絶望の葬送曲の序章だということに
ゾロアーク:遊佐浩二
カラマネロ:関智一
マニューラ:沢城みゆき
ズルズキン:関俊彦
ドラピオン:てらそままさき
というイメージボイスで読んでみてください