剣道全国大会会場
操一朗達白浜坂高校合唱時々バドミントン剣道部は会場前でもめていた。
「いいか、大智ん時みたいな応援は絶対すんなよ」
「なるほど、ソーイチロー、それはやってくれという…」
「振りじゃねぇよ!どこで覚えたそんなお約束」
「え~、せっかく横断幕とマラカスとか色々用意してきたのに…」
「剣道とか武道大会でんな応援されたら注意されんのは俺なんだよ!」
「てか沖田はなんで一人だけジャージ?」
「会場でのソウの付き添い。一応こういう時だけ限定のマネージャー」
「私達も手伝う?」
「いいけど、和奏、体育館の床で長時間正座できる?」
「う…」
♪声春~Wake up~♪
♪♪ノベルMOVEI♪♪
♪♪♪暗黒夢城(アクムジョウ)の女帝♪♪♪
「操、一、朗!」
会場に入り受付を済ませると、一人の女子が操一朗の腕に抱き着いて来た。
「モルガン、久し振りだな」
「えぇ、春の出稽古以来ね」
金髪美少女剣士、モルガン・ウィンチェスターは剣道着の襟元から零れんばかりの紗羽以上の巨乳を操一朗の細いが筋肉質な腕に押し付け(というか挟み込み)ながら微笑んだ。本来剣道など武道系は、汗臭い・かび臭い・なんか臭い、が当たり前だが、モルガンからはいい匂いがする。
「あら、今年は随分お仲間が多いのね。去年や一昨年はサワだけだったのに」
突如現れた美少女に紗羽以外の合唱時々バドミントン剣道部の面々は唖然としていた。
「モルガン久し振り。あんまりくっつかない、で!」
紗羽は操一朗とモルガンを引き離した。
「あん…、もぅ、いいじゃない久し振りに会った友達とのスキンシップくらい」
「やりすぎよ。てか、一応敵校同士なんだから、」
「それは男子の方でしょ、私女子部の個人戦だし」
モルガンは今度は操一朗の後ろに回りこんで首に腕を絡ませ背中に胸を押し付けた。分厚い剣道着の上からでも大きさと柔らかさが分かる。が、操一朗は特に反応するわけでもなく、うんざりしていた。
「モ~~ル~~ガ~~ン!!」
そこに狼の様に目付きの悪い男子、ガラハド・サンダーが猛ダッシュで近付いてきた。
「『試合前に!』『敵と!!』『いちゃついてんじゃねェ!!!』」
「え~、ダメ?」
モルガンは上目使いでガラハドを見つめた。
「ぐ…、ダ!メ!だ!」
ガラハドはモルガンの襟首掴んで引き離した。
「よぉ、ガラハド」
「よォ、操一朗」
操一朗とガラハドは互いを睨みつけた。ぱっと見、操一朗は馬の印象があるが、それは隙有らば肉食獣を蹴り飛ばさんばかりの迫力を放つ馬、対するガラハドは目付きに口角を上げて凶悪に笑う様は狼のようだ。
「『てめェモルガンに』、『ちょっかい出してんじゃねェぞ』、『今ここで叩き潰すぞ!!』」
「やってみろよ、『目付きの悪い』『吠えるだけの』『駄犬が』」
一触触発かと思われたその時・・・
「はいはいは~い、ガラハドも操一朗ちゃんもそ~こ~ま~で~」
180cm近くある2人の身体が浮いた。片手で掴んで持上げたのはさらに上背のある筋骨隆隆の男、ボールス・マーマンだった。
「おめえら会場の外でなぁにしでんだ?」
ボールスの影からバリンも出てきた。
「はっ、ただの挨拶だよ」
操一朗は眼鏡を押し上げ三人を見据えた。
「今年で最後、決着つけるぞ!」
「望むところよん」
「今年も勝たせてもらうべ」
「『来いよ』、『馬の骨の』、『クソったれ剣士!』」
ボールス、バリン、そしてガラハドと火花を散らす操一朗を、完全に蚊帳の外となっている合唱時々バドミントン剣道部はどうしたものかと傍観していた。
「ねぇ紗羽…、あれって操一朗の知り合い?外人さんだけど」
状況理解に困惑している和奏が紗羽に訊いた。
「うん、そうだよ。あの金髪がアヴァロン学園剣道部の部長で生徒会長も兼任してるモルガン。ソウと睨み合ってた目付きの悪いのはガラハド。あのおっきいのがボールス、で、東北弁で喋ってるのが副部長でエースのバリン」
「アヴァロンって、俺が全国の準々決勝で対戦した学校じゃないか」
「そうなのつまり大智の仇?」
「つーか緒川ってばあの金髪おっぱいさんといちゃついてなんなのさ、も~」
♪♪♪
操一朗は更衣室で上下真っ白い剣道着に着替えると男子トイレで防具の紐を湿らせた。こうすることできつく縛ることができ、試合中激しく動いても防具がずれることがない。
さらに操一朗は頭から水を被り髪をオールバックにして額を出し、一房に纏めた茶髪はヘアゴムではなく美路歌露洲(ミロカロス)がお守り代わりに持たせてくれた髪結い紐で縛った。
「うし!」
濃紺の垂れ、エメラルドグリーンの胴を着け、面に小手を納め、面手拭を被せ右手に持ち、反対側の左肩に竹刀ケースを担ぐと紗羽達と合流した。
「お、気合全開モードだね」
「なんか…、そういう髪型の緒川って初めて見たかも」
「う~ん、これがラスト侍…」
「しっかりな」
大智と拳を合わせると、不安げな表情の和奏と目が合った。
「あの…、操一朗…、頑張って」
和奏は小さなガッツポーズをした。
「おぅ、しっかり見てろ!」
操一朗は眼鏡を外すと和奏に預け、踵を反し・・・・、全くの反対方向に歩き出した。
「ちょっと~、ソウ。会場反対側だよ~~」
救急セットなどを収めたスポーツバッグを肩に担いだ紗羽が慌てて後を追う。
「緒川って…目、相当悪いの?」
「うん、操一朗って小2くらいから視力落ち始めて、裸眼だと周囲がぼやけてしか見えなくて、誰かが側にいないとどこ行けばいいか分からないみたい。」
「それでよく剣道できんな?」
「はっ?!まさかソーイチローは心眼の使い手…!?」
「一対一だし、先手必勝タイプだから相手が見えれば大丈夫みたい」
♪♪♪
大会はお偉いさんの挨拶も早々に、居合の演舞が行なわれた。打太刀(組み太刀の際、先に打ち込む方)は操一朗の居合の師匠関谷透、仕太刀(打太刀の攻めを受けて反撃する方)は操一朗の剣道の師匠である日比野左内だった。
観客席には妹弟子のなるの姿もあった。その近くには和奏、来夏、大智、ウィーンの合唱時々バドミントン剣道部の面子に加え、女子部の試合まで時間のある爽。それに千春、無心が座っていた。先週の内に会場内での付き添いを爽達に頼んでいたのだ。
「ソウ、緊張してる?」
紗羽は正座している操一朗の背中、胴紐の交差した部分に赤いたすきを結びつけた。
「は?するかよ」
操一朗は濡らして固く絞った面手拭を頭に巻くと面を被り、小手を嵌めた。
「うし!んじゃ、さくっと一勝だ」
♪♪♪
一回戦、同門土門海との対戦
開始直後、操一朗の面打ちで海は脳震盪を起こしそのままドクターストップ。二回戦に進んだ。
「はっはっは、流石は我がライバル」
「海兄、カッコつけても遅いから」
倒れはしたものの、早々に気がついた海は観客席で操一朗の試合を見ていた。
「うわ、でっかいな…」
「ソーイチローも大きいけど、あの人はそれ以上だね」
試合会場では早くも二回戦で注目の対戦が始まろうとしていた。
「んっふっふっふ、海きゅんの仇は取らせてもらうわよ、操一朗ちゃん」
ボールスは面の下でウィンクした。が、操一朗の視力ではそこまで見えていなかった。
構えは互いに上段。上段は火の構えとも言われる攻撃的な構えだ。2m近いボールスのそれは、対峙した者を射竦める構え、《断頭台(ギロチン)の構え(スタンス)》
操一朗も長身ではあるが、ボールスとの差は大きかった。
「せぁっ!」
開始早々、操一朗は両手持ちの竹刀から右手を離し、左手一本で握り全身を目一杯前へ伸ばし面を打とうとしたが・・・・
「ズりゃアッ!」
ボールスの断頭台(ギロチン)が操一朗の竹刀ごと上から打ち落とした。
ズバァッッン!
ボールスの竹刀が面布団(頭頂部の分厚く硬い部分)を叩く音が会場中に響いた。
「うっわ~…、すごい音…」
観客席の来夏は耳を塞いでいた。
「本来、上段からの面打ちにはカウンターを狙うのが上策だ。けど、操一朗も同じく攻撃型。そうなると、リーチや筋力、パワーの差で打ち負けるんだ」
海は真剣な表情で試合状況を解説していた。
中央に戻った操一朗とボールスは中段で竹刀を合わせると再び上段に構えた。が、操一朗だけは右足を一足分下げて上段に構えた。
「んふふ~、下がっちゃうなんてつれないわね~」
「………ふ~………」
操一朗は静に口で息を継ぎながら全身に気合を満たし、ボールスとの間合いと攻撃に移る拍子を取っていた。
「ずぉえぁりゃ~~~~~!!」
先ほどよりも強烈な一撃が振り下ろされた。
スパァッン!
面の下で、ボールスは呆然としていた。確かに自分の方が先に打ち、渾身の一撃だった。しかし、実際に打たれたのは自分の面。
「むぅ…、あれは柳生新陰流で言うところの《合撃(ガッシ)打ち》!」
「知っているのカイ?」
海はウィーンに頷いた。
《合撃打ち》
相手が頭上から打ち込んでくるのに合わせて自分も打ち被せる
一見単純な技だが、実際は相手の打ち込みを恐れない豪胆さ、相手の竹刀に自分の竹刀を被せる絶妙な拍子、それに加え相手との絶妙な間積りが要求される
柳生新陰流においては基本技とされているが、これを完全に会得し、実際の試合で使いこなすのは難しい
参考 詳伝社文庫『覇剣』より
「んふふ~、やるわね、操一朗ちゃん。まさか秘伝中の秘剣をこの身で受けることになるなんて」
「今のはたまたまだよ、そんな何回も決めれる技じゃねぇよ」
ボールスと操一朗は三度中央で上段に構えた。
「てぁっ!」
操一朗はボールスが打ち込むより速く、飛び込んで竹刀を振り下ろし、ボールスの面を打った、ように見えたが・・・
「流水の歩(ストリーム・スライド)」
今までの攻め方と打って変わって、ボールスは横に変化した。操一朗が打ったと思ったのはその滑らかな動きが生み出した残像だった。去年まではこんな攻め方も動きもしていなかった。
「っ…、」
「バイバイ、操一朗ちゃん。あとで慰めて、ア・ゲ・ル!」
前に流れた操一朗の面目がけ、ボールスは真横から悠然と竹刀を振り下ろした。
「………~っ!」
操一朗は歯を食い縛ると、竹刀を握った左手と上半身を無理矢理右側に捻り、ボールスの巨躯の下から胴を打った。
パァッン!
コンマ数瞬の差で、操一朗の胴が決まった。
♪♪♪
準決勝
相手は去年負けているバリン・フェニックス。大会唯一の二刀流の使い手だ。
通常二刀流は右手に大刀、左手に小刀を持つが、バリンの二刀流は右手に小刀を左手に大刀を持つ。
「…くっ…」
操一朗は目の前のバリンを攻められずにいた。
中段に構えられた右手の小太刀は真っ直ぐ操一朗の喉元に向けられ、左片手上段に構えられた竹刀は操一朗が飛び込んできた瞬間に振り下ろされる気配に満ちていた。
「たァッ!」
操一朗は真っ向から竹刀を振り下ろした。が、バリンは左手の竹刀にそれを打ちつけ、さらに踏み込み、操一朗の竹刀を払い落とし、右手の小太刀で面を打った。
パァン!
「え?今何が…、爽」
来夏は爽に状況説明を求めた。
「うむ、あれは彼の宮本武蔵の技、《石火の当たり》と《紅葉の打ち》」
《石火の当たり》
相手が打突を起こそうとする機を見て間髪入れず打ち込む
石を打ち合わせた瞬間飛ぶ火花のように強く速い打ち込みをこう呼ぶ
《紅葉のうち》
相手の竹刀を強打し刀身が流れるところをさらに切先を押さえるように打つと相手の竹刀はまるで落ち葉のように落ちる
参考 詳伝社文庫『覇剣』より
バリンはこの離れ技を立て続けに繰り出したのだ。
「バリンは技巧派の剣士、万能型と言ってもいい。そして今は操一朗の上段に対応した返し技中心の戦法を取っている」
「そんな…、ずるいよ、二本も竹刀持ってるし」
「来夏ちゃん、バリンはルール違反はしていなし、あの二刀流も万能型スタイルも厳しい稽古を誰よりも積んできたからああして本番でも使えるんだ。大丈夫、操一朗だって伊達や酔狂であの上段の構えというスタイルを貫いているわけではないさ」
操一朗は中央に戻りバリンと対峙すると上段に構えた。
「ここまできて自分のスタイルさ貫くとは天晴れだげんど、おめえの上段じゃ俺には勝てね」
「そいつは…、去年までの俺の上段………だ!」
操一朗は大きく前方のバリン目がけ跳んだ。しかし、気・剣が足りず体だけが先走った捨て身のタックルのようだった。
「そんなんじゃ二の舞だべ」
バリンは再びカウンター狙いで左手の竹刀を合わせようとしたが・・・・
キュッ
操一朗の何年も剣道をして画鋲が刺さっても痛みを感じない程分厚くなった足裏が床を擦り、操一朗の捨て身突進が突如止まった。バリンはカウンター狙いの竹刀が流れ、咄嗟に右手の小太刀で防御しようとしたが・・・、
ッパァン!
操一朗は未だ振り下ろしていない竹刀を、カウンターの狙いが外れてがら空きになっているバリンの面に振り下ろした。
「っ…、たまげたな、フェイントなんて…」
バリンは冷汗を流した。
「性に合わねぇ技だけど、お前に勝つためだ」
勝負の三本目、操一朗は上段、そしてバリンは右半身になり小太刀前に、竹刀を後ろにするように平行に突き出す構えを取った。そのまま飛び込み技も打てる、フェイントも、返し技も打てる、バリン流二刀流の究極形態とも言える構えだった。
「………」
「………」
二人はそのまま睨み合ったまま、その場から動かなかった。
「なぁ無心、なんで二人は動かないんだ?」
大智が無心に訊いた。
「たぶん、バリンさんは操一朗さんの攻撃パターンにフェイントが加わった事で読みあぐねているんだと思います。そして操一朗さんは警戒しているバリンさんの隙を窺って、一撃で決められる機を計っているんです」
「なるほど…」
互いに攻めない二人に警告をしようと主審が動いた時、決着がついた。
「すりゃぁっ!」
カッッ!
「ぐっ…、重てぇな、操一朗…、これがおめぇの想いを込めた一撃か…」
操一朗渾身の面打ちがバリンの面を襲い、バリンは交差した竹刀でそれを防ぎ鍔迫り合いに持ち込んだ。が、それは長くは続かなかった。
ガッ!
操一朗は竹刀を握ったまま両拳でバリンの胴を殴るように押し、その反動で振り上げた竹刀で引き面を叩き込んだ。
パァッンッ!
♪♪♪
決勝戦は昼を挟んで午後から。
今は会場外で昼食休憩を取っていた。
「はい」
昼食担当の和奏が重箱を開けると操一朗達はおぉ~と声を上げた。
三段重ねの上にはオレンジ・バナナ・ブドウ・メロン(五嶋の知り合いの某コーポレーション重役からのお中元)、真ん中には唐揚げと卵焼きに緑黄色野菜のピクルス、一番下にはおにぎりがぎっしり詰められていた。
「いたただきま~す!」
「あ、コナツそれは僕が目をつけていたのに」
ウィーンの手を掻い潜って来夏は真っ先に唐揚げにかぶりついた。
「お、この卵焼き甘いやつだ」
「ピクルス美味しいね。ミニトマトが特に」
「お母さんの卵焼きが甘いやつだったの。野菜はうちの家庭菜園のやつなんだ。」
和奏は水筒からお茶を紙コップに注ぎ操一朗に渡した。
「はい、リクエスト通りのお弁当でしょ。あ、野菜は私の権限で入れましたから」
「ちっ…」
操一朗はお茶で口を湿らせると三角に握られたおにぎりを一個手に取り、普段と違い小さく齧るとゆっくり咀嚼した。
「あ、あたしにもちょうだ~い!」
来夏が和奏が自分用に注いだ紙コップを横から奪い取って一気に飲んだ。
「あ、来夏それ…」
「あっつ~~~!!」
うら若きJK三年来夏は外で盛大にお茶を吹きだした。
「何これ?!熱々じゃん!」
「うん、操一朗が淹れて来いって。あと私も冷えているのよりは冷ましたぬるめの飲みたかったから」
「夏場は冷えた水より熱いもんの方がいいんだよ」
操一朗は小ぶりなおにぎりを早々に平らげると、ずずっとお茶を啜った。
「てか、操一朗おにぎり一個で足りんのか?」
「そうだよソーイチロー、腹が減っては武士も高楊枝八文目って言うでしょ」
育ち盛り男子高校生の大智と色々ミックスされたことわざを覚えてしまったウィーンは唐揚げとおにぎりを頬張っていた。
「この後まだ試合控えているしな、そういう時は、小ぶりな握り飯で軽く腹満たして、梅干でミネラルと疲労回復、身体冷やさないように熱い白湯か茶で水分、それにバナナで即効エネルギーチャージだ」
操一朗は半分に切られたKnight of Spear(バナナ)を一口で食べた。
♪♪♪
アヴァロン学園
レギュラーで唯一勝ち残ったガラハドは・・・
ガツ♪ガツガツ♪♪ガツガツ♪♪♪
猛烈な勢いで特大タッパーの中のおじやを掻っ込んでいた。
その傍らにはモルガンが散らばった空の特大タッパーを片付けながら呆れていた。その数すでに4個目。
「あのねぇ…、午後から決勝なのにそんなに食べて大丈夫なの?」
「あァン?問題ねェよ、すぐ消化しちまうから」
ガラハドはさらに梅干も4~5個一口に頬張るとタッパ―に種を吐き出した。
「おい、あれ」
「はいはい」
モルガンは1.5Lコーラをボトルごとガラハドに渡した。
プシュー
ガラハドはボトルを振り炭酸を抜いたコーラ飲み始めた。
「モルガン…」
ガラハドは口元のコーラを手で拭いながら隣でサンドイッチを上品に食べているモルガンに話し掛けた。
「なに?」
「………~、」
「なによ」
「『この大会で』、『優勝したら』、『話があるから』……、逃げんじゃねぇゾ!」
「ふふ♪楽しみにしてるわ」
モルガンが微笑むとガラハドは顔を真っ赤にして走り去ってしまった。
「もぅ…、」
モルガンは頬を膨らませながらも口元は緩んでいた。
♪♪♪
「はぁ…はぁ…」
ガラハドは会場の反対側まで全力疾走していたガラハドは曲がり角から出てくる人影に気付かず、そのままぶつかってしまった。
「…っと、スマン」
「いえいえ、大丈夫ですよ」
狐目の男はガラハドに頭を下げるとニヤリと笑った。
♪♪♪
一方、無心、爽、海、千春も弁当を囲んでいた。
「爽さん、大丈夫ですか?女子の部、午後の決勝戦はモルガンさんとですよ」
「ふっ、無心は心配性だな。私だって操一朗との稽古以外でも鍛えてきたんだ、私は勝つさ」
そんな中、何故かアヴァロン学園剣道部のボールスとバリンも混ざっていた。
「はぁ~…、ゴメンね海キュン、仇討てなくて」
「いや…、それにしても操一朗があそこまで強くなっていたとは…」
「今日のあいづの剣からは何か鬼気迫るもんを感じだぞ」
千春は負け組みを励ましていた。
「ほらほら、そんな顔しない。午後からはお互い同門が出るんだからしっかり応援しないと。てゆーかなんで2人はこっち来てんの?」
「んふふ、今頃あの子達、2人っきりでお弁当中よ」
そんな6人を覗く小さな影・・・・・・・
「キバの鎧の継承者…!!」
6人は突然の闖入者に驚いた。
♪♪♪
モルガンは昼食の片付けをしながら鼻歌を歌っていた。
「まったく…、優勝するなんて豪語しちゃって、負けたらこっちが爽に勝って優勝して言っちゃうぞ………」
頬を染めながら機嫌が良いモルガンは背後の気配に気付かなかった・・・・・
「………モルガン………」
それは先ほど走り去ったガラハドだった。
「あら、どうしたのよ」
「話がある」
「それは優勝したら、ってさっき自分で言ってたでしょ」
「今じゃなきゃダメなんだ…、お前が必要なんだ…」
ガラハドは甘く呟くようにモルガンに近付く。いつもの粗暴さとは違う雰囲気にモルガンは違和感を覚えた。
「ガラハド…」
モルガンはその声に気を取られ、上から近付く影に気付かなかった。
ガラハド(?)はモルガンの耳元に近付くと囁いた
「その血…、今目覚めさせてやろう」
「…ガブ…」
上空の影が降り立つと、モルガンの首筋に鋭い牙を突き立てた。
その時、世界が一変した
剣道の正式なルールはいくつか無視していますが、まぁご愛嬌です