「と、いうわけで準備期間の後に音楽祭が開催されるわけだけど……」
ダリ先生が教壇の前で音楽祭の事を説明している、今はA組の教室でのミーティングの時間だ。
音楽祭……一年最後の表現科目である、実技の総まとめと言えばこの前に行った収穫祭なのだが、この音楽祭はこの一年で鍛えた表現力の総まとめなのだ。
ではなぜ音楽祭がここまで重要視されるのか、普通なら学問である終末テストの方が重要ではないのかという意見もあるだろう。
その理由は魔術だ。
魔術はイメージが力になる技術である、そのイメージが強固であればあるほどその
つまりは、悪魔としての力を鍛え上げるのに表現力という物は最高クラスに重要なものとなるので音楽祭が収穫祭と並んで最重要課題とされているのだ。
「うちのクラスはずっと準備して来たからね、心配はしてないよ……
「「「揃いましたー!!」」」
「そっか、じゃあ後で回収するね ……問題児よりも問題を起こそうって言うんだから、面白い」
ダリ先生は教師の中でも面白そうなことが好きである程度の好き勝手は許してくれる。
今回は教師陣でも一番厳しいカルエゴ卿に俺が直談判しているので尚更だ。
「じゃあ後は皆で決めてもらって、何かあれば僕に質問していいからね、それじゃ好きにやっちゃって!」
という事で俺たちの方に進行を渡されたので、周りを見ると大体いつも俺が前に出て話しているせいか俺の方をみんなが見ていたのでとりあえず前に立った
「じゃあまぁ、私が進行するけど……私でいいの?」
「いいだろ、なあ?」「おう」「だってなぁ……?」
「まぁ……そうだよね、あれは私が言い出したんだしね」
俺が指揮をとって進めるのが当然と言えば当然の事であった、かなり前から俺がクラスの皆に協力を頼んでいたことも何とか間に合ったので次のプランに進める時だ。
「とりあえずまずは皆の意見を聞きたいんだけど、音楽祭でやりたいことってある?」
「バンドとか?」
「俺はクラシックしたいかな」
「ミュージカルとかもいいよな」
「俺歌いたい!」
「ド派手な演出しようぜ!」
見事にばらばらだ。
ここまでバラバラだと何か一つ決めてやるのは難しいだろうか、そもそも悪魔は良くも悪くも自己主張が強く他者に合わせるという行為が苦手なのだ、そんな彼らをまとめて一つの事をさせるのが間違いなのだろうか……
だがなぁ……
「
「ガイストどうした?」
「アブノマがなんて?」
「いやぁ、ただの予想なんだけどね
「あー……それはありそうだよな」
「わかるわ、多分なんかデカい事するよな」
「ピクシー呼んできたりしてな」
「……ピクシー? あぁ、確かにね」
ピクシーとはこのバビルス一年の中で噂になっている存在だ。
毎日放課後の同じ時間にこのバビルスにはラッパの音が響き渡る、その音はかなり大きく綺麗な音であり、何かを訴えかけるような力強い音でもあるのだ。
そのラッパを吹いている存在をバビルスの生徒たちは"ピクシー"と呼び、ある種の都市伝説のようなものになっている。
まぁそのピクシーの正体は問題児クラスの13人目、俺の知り合いでもある"プルソン・ソイ"であるのだが、それは俺は秘密にしている。
因みに彼のラッパを特等席で聞かせてもらったこともあるのだが、魔ーケストラの物と比べると流石に少し劣るがそれでもその辺のプロと比べられるくらいには実力があるのだ。
彼の信条として"決して目立ってはならない"と言う物があり、普段は家系魔術の【
なぜなら、彼の今の
どうせ入間が何かしらして彼を連れてくるのであればこれは予想できる、音楽面で生徒で最高クラスのソイとビジュアル面で最高クラスのエリちゃん……そして、トップアクドルのくろむことケロリまで揃っているのだ。
見た目も内容もトップクラスなのに最高のアクドルのプロデュースも受けられるし、多分演出方面でもそう言った方向の補助がでると……
「……どう考えても学生の範疇じゃないよこんなの!」
「れ、レイラ大丈夫?うちも皆も協力するから、あんまりため込んじゃ駄目だよ?」
「ミーチェありがと……ただ理不尽に打ちのめされかけただけだからね」
こちらで同じことはまず出来ないだろう、ビジュアル面だけなら俺がモデビルの技術をフル活用すれば何とかなるだろうが、今回は音楽がメインの行事なのだ。
音楽的技術に関しては俺はそんなに出来る訳じゃない、一応同じ芸能界という事で多少はトレーニングに付き合ったりはしているが精々アマチュアクラスにも満たない程度だろう。
となるとだ……
「いつも通り変化球が必要になるね」
「変化球? あれ以外に?」
「うーん、あれも含めてのって感じかなぁ」
「へぇ、じゃあどうするつもり?」
「その前に皆に聞かないとね、ちょっとやりたいことを上げ過ぎてヒートアップしてるしまとめ直そう、よっと──みんなちょっといい?」
ガヤがうるさくなっているので拡声器で注目を集める。
一応俺を進行役に上げたのに俺が考え込んでしまったのと盛り上がったので忘れてしまっていたようだが、またこちらを向いてくれた。
「とりあえずまずは皆が出来ることを聞いていきたいんだけど、まずは楽器が出来る
何人かが手を上げる、意外といるようで聞いてみると男子の何人かが演奏できるらしい、ギターやトランペットと言ったメジャーなものばかりだが何もできないよりかは全然いい。
俺自身はリコーダー以外だと精々授業でやったピアノと学校で担当した木琴くらいだ。
正確にはピアノも猫ふんじゃったしか弾けないので弾けると言えるかもわからない。
だからといって今から楽器を練習して物にする時間は無いので今ある手札で何とかしよう
大体クラスの三分の一くらいが楽器出来るので彼らに楽器を担当してもらって、他のメンバーには歌なりダンスなりで合わせてもらう方がよさそうだ。
後は魔具を使ってごまかすという裏技もあるのだが……これは正直音楽祭的には良くないと思う、演出には魔具は使うつもりだが演奏に魔具を使うのは行事的にも意味合いが変わってしまう。
ただでさえ反則すれすれ行為をするつもりなのだからやれる範囲なら実力のみで対応したい、それにクラスの皆の評価が悪くなるのでよろしくない。
「因みにダンスか歌ならどっちがいいとかある?」
そう聞くとこれもまた別れて行った。
何人かはどちらでもいい
「とりあえず振り分けはこんな感じかな」
「それで? うちは何するんだよ?まだそれが決まってないんだが」
「あぁそれね──ってのはどうかな?」
「「「は!?」」」
「え?はぁ!? そんなのあり!?」
「それってどうや……それであれ!?」
「うっそだろ!?」
まぁ仕方ないけどこういう反応になるか、俺も正直ありかなしかだと言えばなしよりなんだろうけど俺達は悪魔だ、こういう方向のズルはむしろ上手く裏を突いたとなるのが悪魔だ、何かあったらその時は……まぁ、パワープレイで押し切ろう、悪魔とはそういうものだ。
ただ、俺達全員の負担はすさまじく多くなるが……それくらいこなさないと
それに、そろそろ
音楽祭編開始、この章は多分他より短くなりますが一番書きたかった章なのでよろしくお願いします