悪魔で霊な元人間   作:P223

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103 偵察・観察・ファントムゴースト

「さて、こんなもんでいいかな……展開、ステルスモード」

 

クロローンの黒い体が空を飛び、設定した場所へと向かっていく。

 

「さて、音楽祭までは長いようで短いしみんなの練習を見ないとね」

 

まず俺たちが行うのは音楽をテーマとしての出し物である。

これはどのクラスも同じことで実際にやる事はそれぞれ違えどそこだけは変わらない。

 

色んな事をしたいみんなの事も分かるのだが、全員の事を見てもらうには全員が舞台に立つ必要があるだろう。

演出周りは魔具を利用すればある程度は出来るだろうが、劇をする場合はそれだけでは無理だ

 

考えることが多すぎるし、やる事も多すぎる。

 

「ほんと【重力操作(フラクタル)】様様かも、材料とかいくら持っても重くないしね」

 

一応何するにも材料が必要となるのでいくらか材料を師団室から持って来た、と言っても紙とか木材とかそういったものばかりではある

 

「お待たせー、みんな持って来たよ」

 

「お、戻ってきたかガイスト」

 

「それで、みんな準備は出来た?」

 

「おー、みんなできてるよな!」

 

「おう!」「ばっちりだぜ!」「マジでやんの?」

 

と、みんなも準備が出来たようで俺は皆に合図する。

 

「じゃあまずはやってみようか」

 

メンバーは管楽器5人、弦楽器5人、打楽器5人、合唱隊5人、ダンスパフォーマンス5人に後は全体指揮の俺やリードボーカルにココなど色々合わせて計30人となる。

これだけバラバラではあるのだが、だからこそ出来ることがある。

 

「さ、練習を始めよう。私たちの"悪魔行進(パレード)"を」

 

悪魔行進(パレード)、列をなして音楽や色んなパフォーマンスをしながら進行していくイベントである。

これ自体に音楽が直接関係することは……まぁなくはないくらいなのだが、その形式的に音楽を加えることでより華やかで楽しそうな印象を与える事が出来るのだ。

夢の国の電子祭が分かりやすいだろうか、あれも音楽に合わせての進行で人々に夢を与えている。

 

今回は講堂で舞台上での演出のみとなるので、舞台から降りて客席まで練り歩いての演出は出来ないで舞台上での再現になるがそこは腕の見せ所と言ったところか。

 

まずは俺が指揮棒を振って管楽器に合図を送る

 

プァー……ップ、ペギュ!!

 

「……もう一回」

 

何度かしていくが全然上手くいかない、一人一人やらせてみると上手くいくのだが合わせると途端にダメダメだ。

悪魔の協調性の無さが悪い方向で目立っている、まずはこれをどうにかしないとやはりだめだろう。

 

P-PPP

 

「あ、ちょっと待ってね」

 

クロローンから通知が来たので確認をする、クロローンには他のクラスの偵察をさせていたのだ。

まずはB組、ハルノたちのクラスだ。

 

「みんなちょっと集まって、偵察来たよー」

 

「なんかすげぇなガイスト、色々と」

 

「俺にはお前が何で問題児(アブノーマル)クラスに入っていないのかが分からない」

 

と、男子がなんか言っているが無視して受信魔具をテレビ型魔具に接続して再生する。

 

『──私の欲は貴方と共にある事。』

 

聞こえてきたのはハルノの切なげな声が聞こえてきた、まだまだ慣れない様子だがこのワードやこの先の流れから内容は理解した。

B組は魔劇(まげき)"ラズの血婚(けっこん)"、人間界で言う美女と野獣にロミオとジュリエットを足して割ったような話だ、音楽祭というテーマで考えると音楽性より物語性を重視したこの劇はあまりいいとは思えないが、表現力を魅せるのであれば悪くない選択と言える。

 

「これ何だっけ」

 

「なんかの劇だよな、昔映画で見たことあるわ名前は……えーっと」

 

「"ラズの血婚(けっこん)"ね、これだから男子は」

 

「女子悪魔は一度は見るよねぇ、私も結構好きー」

 

男子たちはパッとしていないようだが、女子にとっては常識でガーコとシャフがちょっとあきれた様子で男子たちを見ている、ミーチェはこの劇がかなり好きなようで目を輝かせている。

 

「……私はちょっと苦手、恋は叶うけど最後には別れるしかないってのがさ」

 

「エイコにとってはそうだよね、私も最後にはずっと幸せなハッピーエンドの方がいいね」

 

俺は半分は男なのでというのもあるがこの話はそこまで好きという程ではない、劇としては好きだがね

 

さて、次はC組だ

 

「再生するよ──」

 

ドゥン!!GYARRRRIYYY!!!!

 

「「「うっるさ!!!」」」

 

再生した瞬間超爆音で音が鳴り始めた、おそらくギターの音なんだろうが音が大きすぎて聞き取れないくらいだ。

C組は何をしようというのだろうか、よく聞くとバイオリンの音も聞こえてくる、クラシックバンド?……いやなんだこれは?

 

「なんか俺達みたいだな」

 

「わかるわ、バラバラで好きかってやる感じ」

 

男子の誰かがそういうが俺としても同感だ、完全に混沌(カオス)と化しているがこれを上手くまとめればなかなかどうして変わった音楽になるだろう。

強いて言うなら混沌(カオス)合奏(バンド)と言ったところだろうか

 

「かっけぇ……」

 

「俺はまとまりなくてちょっと嫌だな」

 

「まじ?俺は良いと思うんだけどな」

 

これも賛否ありこちらは男子の中でも好き嫌いが分かれているみたいだ、混沌(カオス)がすきな悪魔(ひと)調和(ハーモニー)が好きな悪魔(ひと)の差だろう

 

「まぁ悪くないね、じゃあ次はD組──」

 

流し始めるのだが……

 

『どうする……?』

 

『どうするっつったってなぁ……』

 

『あいつらは?どこ行ったんだよ』

 

『MS……?ってバンドのライブらしい』

 

『あぁ、先生がなんか言ってたっけ』

 

『出し物決まってないのにどうすんだ……?』

 

と、D組はまだ決まっていないようで一旦は保留だ

残るはE組と危組だ

 

「E組ね」

 

──♪♪♪

 

透き通るような調和の音、ピアノに管楽器、弦楽器、打楽器の全てが高いレベルで一つになっている。

この音は学生のレベルではなく、聞くだけでプロのそれとわかる。

 

E組の出し物はおそらくこの"魔ーケストラ"だ、ただまぁこれは……

 

「すっご……」

 

「E組何者だよ……」

 

「初めからこれかよ……」

 

と、聞いたやつらも皆絶望的な事を言っているのだが、ただこれってやっぱり

 

「録音だよねこれ」

 

「「「えっ」」」

 

「学生がこれだけできるわけないし、電子音聞こえるしね」

 

『で、これを再現したいんだけど、どうする?』

 

『やはり私の作った魔具、"楽器演奏完璧くん"の出番では?』

 

『それじゃ俺達がやることなくなるって言ってんだろうが!』

 

やはり相談の段階だったようで、実際の魔ーケストラの演奏を聞いていたようだった。

この魔具の話をしている男の子は前の収穫祭であったランダムテレポート用の魔具の作者だろうか、丁度いいし音楽祭後にでも話しかけてみようかな

 

それはそれとしてE組は"魔ーケストラ"だが、演奏する曲などはこれからといったところのようだ。

 

「後は問題児クラスだね、えっと……」

 

「ガイストどうした?」

 

「おっかしいな、ちゃんとやってるんだけど繋がらないなぁ」

 

「届いてないとか?壊れたとか?」

 

「クロローンは私の最高傑作(マスターピース)の一つだし、そう簡単には壊れないはずなんだけどなぁ……」

 

仕方ないので、直に見に行くしかなさそうだ。

クロローンのステルスモードは認識阻害の応用というかそのまま認識阻害なのだが、流石に俺には効かないように発信機を付けているので場所自体はわかる。

どうやら王の教室(ロイヤルワン)の上で止まっているようだった、不具合なら少し残念だがまぁ仕方ない。

 

「じゃあちょっと行ってくるね、みんなは渡した楽譜と歌詞を読んでいて、振り付けはまだ依頼中だからダンス班は体操と筋トレよろしく!」

 

「おう、任せろ! 管楽器やるぞー!」

 

「うぃ、弦楽器はうちのとこね」

 

「打楽器は私のところだ」「ボボが打楽器出来るの意外だよな」「どういう意味だッ!!」

 

「う、歌は私とこちらへ!」

 

「ダンスはアタシのとこね、レイラはもういいから行きなさい」

 

「ありがとねガーコ、じゃあすぐ戻るから!」

 

一応それぞれの班ごとにリーダーを決めておいて助かった。

因みにリーダーはそれぞれ管楽器はワルブ、弦楽器はミーチェ、打楽器はボボ、歌はココ、ダンスはガーコとなっている。

ダンスの振り付けはモデビルのつてを使ってプロに依頼している、どうせ()()()だって同じことをするのだ、俺がしない理由はない。

彼らは皆俺が信頼するくらいには出来る悪魔(ひと)たちなので安心して俺も偵察に向かえる

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

王の教室(ロイヤルワン)上空、普段ならあまり来ない場所だが今はクロローンの回収もある為まずはここに来た。

いつもならソイがいる筈なのだが、魂視を使っても見えないのでいないようだ。

 

「あった、クロローン……これは、バレたかな?」

 

クロローンの残骸が屋上に落ちていたので回収した、しかしクロローンには攻撃を受けた跡があり所々が破損してしまっている。

パーツ単位では生きている部分もあるが、飛行機能や撮影機能はダメになっているようだった。

 

「ガイスト、やはりお前だったか」

 

「──!! ……カルエゴ先生、こんにちは」

 

「あぁ、偵察か?」

 

「……はい。」

 

いつの間にかカルエゴ卿に背後を取られていた、クロローンの破壊痕も何かに引き裂かれたような跡だったのでやったのはきっとカルエゴ卿だろう。

 

「お前は……いや、いい 全く、初めから知っていればお前も問題児クラスに入れていたのだがな」

 

「はは、私はこれでも問題ごとは気をつけてるつもりなんですけどね」

 

「だからたちが悪いのだ、いつも正式に許可を取りに来る、そのせいでお前の事を止められるものがいなくなるのだ、私含めてな」

 

「それはすみません、でも悪知恵(そういうの)も悪魔としては大事ですよね」

 

「そうだな、だからまだお前は通常クラスなのだ。 それでどうするつもりだ? 偵察をするのは勝手だが、私はここの担任なのでな、貴様を止める理由も権利もある」

 

「ですね、じゃあ聞いちゃいます、問題児クラスの出し物は何ですか?」

 

「いうわけがないだろうが、さっさと帰れ」

 

「……まぁそうですよね、仕方ない。 また来まーす」

 

「あぁ……は? おい貴様ッ!」

 

カルエゴ卿が何か言おうとしているが気にせず飛んで逃走。

離れた場所で地面に降りた。

 

「ふぅ……やっぱカルエゴ卿は凄いなぁ、でもこれくらいなら出し抜ける当たりナルニア卿よりは甘いよね──スピカ行ける?」

 

『OKマスター 撮影開始』

 

収穫祭の時にも行ったスピカによる偵察だ、スピカの能力で小さな人形に憑依することが出来る、さらに人形自体に魔具を仕込むことでスピカの意思で魔具の起動が出来るのだ。

そしてスピカはその小柄さを利用して潜入行為を出来るように収穫祭前に練習済みなのでこういった偵察が出来るという事である。

 

しかし、カルエゴ卿の事もあるので長く偵察は無理だろうから俺自身で確認してからすぐに離れよう……問題児クラスの出し物はっと

 

「やっぱりソイ君を使うつもりなんだ……すごいなぁ、今の今まで知らなかっただろうにもう仲良くなっている。」

 

ソイと他の問題児達の会話が聞こえて来た、よく舞台上に立つことを説得したもんだ、俺には真似出来ることではないだろう、出来たらもっと前に言ってるし

そうしているうちに丁度出し物の話になったようだ。

そして問題児クラスの出し物の内容も分かった。

"地獄踏み(ヘルダンス)"、大人数の悪魔が他の悪魔に合わせて長時間ぴったりと同じ振り付けで踊ったりするものだ。

一見普通のダンスに思えるかもしれないし実際普通のダンスなのだが、悪魔にとっては何よりも難しい事、そもそも色んなことをさせているうちのクラスでさえあのバラバラさなのだ、それを完璧に同じ振り付けなんて正気の沙汰とは思えない。

くろむならやる可能性はあるとは踏んでいたが、本気でやるとは思わなかった。

それも自我の強い問題児達をまとめてとなると無謀とも言えるほどだ。

 

「でもまぁ、やるよなぁ だって問題児(アブノーマル)だし」

 

今までの彼らを考えるとこれくらいやるのは予想できる、となるとこれに勝つ必要があるのか

 

「題材は"リリス・カーペット"か、くろむらしい選曲だ」

 

蠱惑の悪魔のリリスに誘惑されて落ちていく男たちの話、それをやるというのだな。

流石は高慢の女王、相手として不足はない。

 

「……悪いねくろむ、今回は私たちが全部頂くから」

 

とりあえずはこれで良し、次の段階に進めよう。

 




E組の情報マジでないですよね、色々調べても出し物はおろか所属生徒も誰1人わからないという謎さです

つまりは一般クラスにオリ主を配置するならE組が一番動かしやすそうですね(1敗)
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