「一年の最終表現!音楽祭始まるよー! みんな席に着いてねー!!」
新任教師のバルス・ロビンの声が講堂に響き渡る。
今日は音楽祭当日だ
まず先に音楽祭のルールを説明しよう
1年全6組がそれぞれ約20分の持ち時間での出し物を行う
最後に各審査員が得点を付け、その合計点数がもっとも高いクラスが優勝し
審査員は全部で3人
大手アクドル事務所"デビムス"社長 キュパ
魔ーケストラ"ダンデ組"所属の他耳族 メーメー
元13冠・魔王デルキラ専属音楽家 アムドゥスキアス・ポロ
この三名がそれぞれ持ち点6点で採点を行う事となっている。
「今年は豊作との噂が耳に入っているので楽しみ 然り」
「この学校の音楽祭は毎年レベルが高いからの、わらわもしかとこの目と耳に焼き付けるでおじゃる!」
「そういえばアムドゥスキアスは何処へ行ってるので?」
「さぁ、気になるのがいるとかで一人で向かってたのじゃ」
「そうか 然り」
既に座っているのは二人、メーメーとキュパであった。
古風な話し方をしている方がキュパ、少し変わった語尾をしているのがメーメーとなる。
そこへ遅れてもう一人、高身長で一つ角の男性悪魔が合流した、アムドゥスキアスである。
「お待たせ~」
「どこへ行ってたので?」
「内緒よ」
そうして集まった後、ロビンがルール説明を行い、最初の演目の時間となった。
クラスの発表順はA組、C組、B組、D組、E組、危組の順番となっている。
「それでは1番!A組 始まります!!」
──コッ、コッ、コッ、コッ
足音が聞こえる。
誰もが寝静まった夜の森
悪魔行進曲
HALLOWEEN RAID
音が聞こえる、重く響くような音。
深い森の奥深く、恐怖に包まれるようなそういう音だ。
森には一人の小悪魔がいた、透き通るような紫の髪を揺らして、そのしなやかな足を前へと出した。
──ダンッ!!
驚くほどに大きな音、静かな場所にはよく響く。
小悪魔は自分の足音に驚き、周りを警戒している
ギャアギャアと遠くから音が聞こえてきた、悲鳴のようなその音は足音と共に一つ二つと増えて近づいてくる
──ダンッ!!ダンッ!!ダンッ!!
一つ、二つ、三つと……
気が付くとその悪魔の後ろには多くの悪魔たちが現れていた
何時しかその足音は一つの大きな生物のようにも感じられる
そして紫の小悪魔は呑み込まれ、彼らは一つ、こう言った
「さぁ──宴の時間だ!」
DRRRRRRR!!!!
その声を合図にスネアドラムの音が鳴る、そこからトランペット、バイオリンなど、音が次々と追加されていった。
「今宵は年に一度の宴の日、夜は我らが支配する」
そう彼らは言い放つ、今日はハロウィン、楽しい夜の収穫祭だ
収穫するは甘い夢かそれとも恐怖の悲鳴か
「TRICK OR TREAT?」
否
「TRICK AND TREAT!」
悪魔にゃどちらも関係ない、欲しけりゃ奪うししたけりゃするのだ
逃げろよ逃げろ、追い付かれたら腹の中。
笛や太鼓や
怖がったって構わない、我らにはそれは甘美な褒美、HALLOWEEN RAIDは続いてく
「全てを頂く、全てを……
そして前へ出た彼は、全てを欲しがる強欲の悪魔。
その巨体から放たれる方向のような力強い声は、その性をよく表していた
変わるは世界、変わるは音楽
楽しげな音は少し攻撃性を帯びて来た
どこかクラシックな音は姿を変えてロックな音へと変化する
「集めろ奪え俺に捧げろ、従え離れるな俺に付け!」
全ては己のものとする、収穫祭は誰のもの。
答えは一つ俺の物と強欲の悪魔はそう言った。
我らは一つとなって進む、強欲に呑まれて進んでいく
全てを呑み込み力と変える、HALLOWEEN RAIDは続いてく
「まだ我らは──止まらない」
ワァァァァ!!!
「すげぇ!!」
「ぞわぞわした!!」
「楽しかったぜぇー!!」
劇が終わると、一斉に魅入っていた悪魔たちが歓声を上げた。
「すぅぅ~~ごぉ~~い!!」
それは入間も同じで、わけ合って寝不足もありフワフワとしていた彼の目を完全に覚ます結果となっていた。
「あれってレイラさんのクラスだよね!」
「そりゃでしょ、だって最初にいたのそうだし」
「だよねだよね! 流石って感じ!」
「がーってなってバーって!なってた!」
「しかし……」
「どうしたのアズくん?」
「いえ……ただ、何か違和感が……」
「?」
と、ここで採点となった。
まずはキュパから
「全体のまとまりもよく、技術もプロレベル!
「おおっといきなり高得点だ!!」
「まぁ少し物足りぬ部分もあったが悪くないの!」
6点中4点、真ん中付近とはいえ決して悪い点ではない。
そもそも審査員の基準はプロ目線なので、満点の6点をいきなりつけるという事は中々出来ないのである。
最初の得点は基準となるのでこの点だった、もし順番が違えばもっと良い点だったかもしれない……その逆の場合もあるのだが。
続いて、メーメー
「5点、全体の調和性、合唱、楽器の連度、どれも良かった 然り」
「おお! これは開幕早々優勝候補か!?」
「故に惜しい、あと一つあれば満点だったので」
技術はプロ級まで押し上げられたA組だが、プロ級の実力を見せたが故に満点を逃したのだ。
メーメーは魔ーケストラに所属している、その為普段からプロの演奏を行っているし、それを聞いて来た。
なまじ学生を越えた演奏をしてしまったが故の悲劇、彼女のプロ目線での評価となったのだ。
「では最後にアムドゥスキアス様の得点ですが……アムドゥスキアス様?」
アムドゥスキアスは札を
ロビンはその事に対し困惑して聞きなおすが、それで札を上げるという事も無かった
「あのー……得点をお聞きしたいのですが」
「あのね……舐めてるの?」
空気が凍った。
アムドゥスキアスは明らかに怒ったような様子でにらみつける
「この組のリーダーは……アナタね?」
アムドゥスキアスの指がさす方にはレイラが居た。
ただ、レイラはそれを気にする様子はなかった
「聞かせてもらえる? アナタがこれをやらせたの?」
「はい」
即答だった。
元とは言え13冠の威圧感をその身に受けても態度を変えず、はっきりとそう答えたのだ
「そう、なら私の評価に他意は無いわね」
「そうですね」
「──チッ、じゃあもういいわ 消えなさい」
「あのー、得点を……」
「0点よ0点!!こんなもの! 未完成品に点なんて与えないわ!」
そしてA組の得点が出揃った
[4]+[5]+[0]、合計は[9]点となった。
A組の面々は舞台を降りて、客席に回る
レイラもまた同じように客席に行くと、入間達、
「あの……レイラさん、大丈夫?」
「ん? 大丈夫だよ、まぁこんなもんだよね 厳しいや」
入間が心配そうに言うのだが、レイラは気にしてなさそうにそう返した
あれだけ言われて更には未完成とまで言われたのだ、その心情を考えると入間は自分のように胸が苦しくなった
「その……ぼくは感動したし凄かったって思ったよ!」
「そう? そりゃ嬉しいな、私たちも死ぬ気で練習したからね」
「ガイスト、お前……」
「ん?アスモデウス君も慰めてくれるの?」
「いや、そうではないが……」
「まぁそういうのは後でだもんね、もしかしたら全クラス0点で私たちが優勝って手もまだあるし~」
「……まぁいい、気にしてないのなら私から言う事は何もない。 我々の演目や他のクラスの演目を見て腰を抜かすなよ」
「言うねぇ?」
というわけで、A組の演目は終了した。
次はC組の番だ。
音楽を書くって難しいですね