「それでは続いてC組の発表です!演目は──」
A組の演目が終わり、続いてC組の番となった
C組
ロックとクラシック、相反する音楽ながらも互いを認め、わかり合った。そして今こそ二つの音楽が一つに──
「なるわけねぇ!!」
ロックこそが最強、ロックこそが頂点。すべてをねじ伏せ暴風の中に巻き込んでいく
爆音、轟音、かき鳴らすは己の欲を満たすため
この激しい音楽こそが全てのトップだと雷鳴が鳴る
「最高の音は一つで充分」
クラシックこそが全ての音楽で最も至高、全てを
調律、制御、ただ鳴らすだけでない音だからこそ欲を満たせる
この清廉なる音楽こそが全ての頂なのだと、鐘の音が鳴る
光と闇
秩序と混沌
陰と陽
表現する言葉は多々あれど、表現したいことはただ一つ
俺の/私の
音楽の方がやっぱりすごい!
なれば後は音で殴り合うだけ。
秩序と例えたが、この場まさしく
ぶつかり合った二つの音楽は魔界の
「何だ今の!?!?すげえ!!」
「最後とか立体音響みたいで、ビビった!」
「最後までバチバチに喧嘩してて最高だったぜ!!」
血の気の多い悪魔たちには好評で、音楽祭という大舞台上で行う音による喧嘩は悪魔たちを湧きたてた。
生徒の評価はかなり良く、先ほどのA組よりも盛り上がっているようにも感じた
「それでは得点の発表をお願いします!!」
ロビンの合図で、三人の審査員が順番に得点の札を上げていく
「単体単体では良かった しかし、全体で見ると未熟な点が多かった、A組の協調性の連度と比較して[3]点とする 然り」
「なるほどー、魔ーケストラという視点から見るとやはり全体のまとまりが気になるわけですね!」
「ロックとクラシックという対立は題としては良かった 今後に期待 然り」
メーメーの評価は厳しいが、それは魔ーケストラという協調が必要な音楽家という視点からの話、そういう音楽をしている以上クラシックに好みが偏っているのもあったのかもしれない。
「妾としてはこういうのは特に好み! アクドルでも色んな音楽を取り入れる事もあるのじゃが、こういう方面は新たな発見! [5]点じゃ!」
「おー! 高得点! 残りの1点は何ですか?」
「対立は良かったのじゃが、団体と団体というよりは個人個人での対立となっておったのが減点対象じゃ、クラスの発表なのじゃから、全体でのチーム戦を見て見たかったという部分が1点分じゃな」
「なるほど! 悪魔には難しい事ですが、確かにそれが可能であれば最高得点も頷けます!」
キュパはアクドル的なバラエティ目線での評価となった。
ロックとクラシックの対立構造は画的にも良く、盛り上がりやすく好ましものだったことからの点数となった。
「そしてアムドゥスキアス様は……[3]点!厳しめの評価ですがその理由は?」
「ロックVSクラシックというコンセプトは良かったけど、一人一人の主張が強すぎたわね、勝負だからって押してばかりじゃダメよ、時には相手の音も受け止める度量も必要よ」
「それから個々の技術についてだけど──」
個人への指摘もそこそこに、審査員たちの点数が出揃った
[3]+[5]+[3]でC組の点数は[11]点となり、[9]点のA組を抑えて現状トップとなった
「……」
入間がレイラの方をうかがうのだが、その表情は変わらず何を考えているのかを察することは出来なかった。
「ありがとうございました! 次は前半最後の演目!B組の演目となります!」
C組の熱狂もそこそこに、B組の発表が始まった
B組
魔
ラ 劇
ズ
の
血
婚
永劫の呪いと強大な力に多くの富を持ち、多くの悪魔たちに嫌われた龍の悪魔がいた
それに恋した悪魔がいた
「あぁ、貴方は一体何者なの」
彼女の名はラズ、その麗しさから貴族悪魔の城に囚われ全てを失った女悪魔である。
彼ら二人が出会ったのは深い夜の月に照らされる純白の城であった
彼女が囚われ人形のように扱われていた一室の前に、現れたのが彼だ
二人は目が合った瞬間、運命的な恋に落ちた
「お嬢さん、助けてやろうか」
彼はそういう、気まぐれながらも彼女がここに囚われているのを良しとはしなかった。持ちうる力の全てを使い、助け出そうと考えた
「ダメ、貴方がどれだけ凄い悪魔でも、この城の主人に逆らえば全てを失ってしまいます」
これは事実だった。魔王にも次ぐ力を持つ城の主人にかかれば富を失い、一生を追われ続けて過ごすことになる、それは嫌われた龍でも例外ではなかった
「それでもいい、貴女が救われるのなら。私は永劫の罪を背負いましょう」
龍の言葉はラズの心に強く響いた、それと同時にラズには龍が自分の代わりに犠牲になるのだと確信した
「貴方はきっと私を安全な場所に置いて去ってしまうのでしょう、それでも私は貴方と一緒に歩みたい」
「しかしそれは……」
「この気持ちはきっと恋、初めて逢うのにおかしいですよね。 でも私はこの気持ちに嘘は付けそうにありません」
「こんな城に囚われ、家も家族も財産も無い私ですが 何もかもを捨てて、私を選んでくださいますか?」
魂をかけた告白、龍にはそれだけで理解した、彼女はもう一人では生きていけないのだと
「私の寿命は永遠と言えるほど長い、貴女はきっと後悔する」
「大丈夫、私は後悔なんてしません。絶対に!」
それが決め手だった。龍に気づいた兵士たちが周囲を囲む、龍を退ける為、そしてラズを逃がさないために
龍は姿を変え、ラズを乗せ空に飛んだ、色んな場所を二人で逃げ、色んな経験を二人で共有した
「私達、いつまでも、いつまでも一緒よ」
それはいつの言葉だったか、綺麗な夜景を眺めた時、強大な敵を退けた時、それともとある町で一緒にダンスを踊った時だっただろうか
「ずっと二人で」「ずっと一緒に」
「「永遠の愛を信じてる」」
しかし終わりは訪れる。二人の愛を確かめ合った花畑でラズは龍に抱かれ目を閉じた
「貴方こそ、我が生涯」
花が散ったその場所に、龍はその身を捧げるのだった。 いつまでも──
「「「……」」」
劇が終わり、少しの余韻のあとに万雷の拍手が鳴り響いた。
少女と龍の恋物語、すこしロマンティックで悲しい話に皆心を奪われていた
「ズビッ……! とてもいい劇でした! B組ありがとうございます! では早速評価に移りましょう!」
「おおっとアムドゥスキアス様[4]点! ここにきて最高得点だー!」
「まぁ悪くなかったわ、まだまだやれる部分も多かったけれど全体を通して筋が通ってた。 でもそうね、そこのヒロインの子。 ダンスがまだ慣れてないわね?ダンスパートで細かいミスが目立っていたわ」
「は、はい!ありがとうございます!」
アムドゥスキアスに指名されたハルノは緊張しながらも直接の指導に感謝した
「ま、結構良かったわよ」
と、今まででかなりの好印象だった。
それでも点数は[4]点であることから、彼(彼女)の厳しさがうかがえる
「続いてはキュパ様……っと[5]点! これもまた高得点だ!」
「ラズの血婚は多くの魔劇でも取り扱われてきた題材じゃ、その分実力が求められるのじゃが……うむ、実に良い出来であった! 強いて言うならば、もう少しバックミュージックに気を使っておれば満点だったのじゃ!」
「なるほど!惜しかったですね! ありがとうございます続いて、メーメー様も[5]点! 最高得点更新だー!!」
「ほとんど言われてしまいましたが、とてもいい出来でした、しかしそれは学生の範疇。 学生ではトップクラスですが、プロとして見て粗があったのでこの得点という事で」
[4]+[5]+[5]、合計は[14]点で現在一位となる。
前半の演目はこれで終わり、次は準備時間を挟んでから後半組の発表だ。
「皆行こう!」
入間の号令で問題児達が動き出す
失恋の物語は終わり、彼らが繰り出すは恋を探す悪魔の話
"リリス・カーペット"
その演目はもうすぐだ
D組とE組はがっつり魔主役なので端折ります。