人間界に行く方法を探してダリ先生に質問しようとしたところ、人間について詳しいらしいバラム先生を紹介してもらった。
しかし、バラム先生には悪いうわさもありそれを懸念したエイコとガーコと別れ、今俺は一人でバラム先生と対談していたのだった。
「ガイストさんだったね 君は人間のどんなことが知りたいのかな?」
今目の前にいるのが空想生物学の先生でもあるバラム先生だ、先ほどはいきなり抱き上げられて撫でられながら自己紹介をしていたのだが、満足したのかおろしてもらい対面しての会話となっていた。
「えっとですね、人間についてというよりは人間界についてなのですが良いでしょうか?」
「もちろん あ、でも 話せない事とかもあるから話せる部分だけになるよ」
「大丈夫です」
特に何か考えるまでもなく即答してくれたので、こちらとしても安心して聞けるだろう
「単刀直入に聞きます 人間界に行くにはどうすればよいですか?」
「に、人間界に行く……?」
流石に悪魔的にはタブーとも言えるような行為*1、バラム先生も驚きが隠せないようだった。
しかし、すぐ取り直し質問に答えてくれる。
「そうだね いくつか方法はある、と言われているね」
「あるんですか!?」
「噂程度だよ、僕も行ったことないし 本当に噂なんだけどね」
「は…はい」
そんなに念押しをするってことは確証がないってことだろう、だが可能性が低くても価値はあると思うのだ
「これは僕も先輩から聞いた話なんだけど、どうやらこのバビルスを
「えッ そうなんですか?」
「うん、でも僕も結構
「そう……ですか」
今の俺のランクは「
「因みにですが、先生の卒業時の
「僕の? あぁ参考にしたいんだね、僕の卒業時の
「教えてくれないんですか?」
「別に教えてもいいけど、
そういう事ならしょうがないか……
「でもならなんで
「簡単だからだよ 比較的にね」
「?」
簡単?
「
「どういうことですか?」
「
「なんと……?」
「あの13冠から選ばれるんだ、この意味が分かるかな?」
13冠、今不在の魔王を除いた中でのトップ層の悪魔たちだ
そんな悪魔たちが試験官ということは並大抵の事ではないのだろう
「先生の言ってる意味が分かりました……確かにこれは難しいですね」
「でしょ? だからまずは
「
「へぇ! 入ったばかりなのに優秀だなぁ! これからが楽しみだ」
ニコニコと笑いながらと褒めてくれる
こう言っては何だが、前評判では怖そうな先生だったが実際は結構優しい先生なのかもしれない。そう思った。
「因みに他に人間界に行く方法は……」
「特には無いかな、あっても言えないけどね」
「そうですか……とりあえず今は
「うん そうしたほうがいいね それでなんだけどッ」
ずずいっとバラム先生がこちらに近寄ってくる。圧が凄い
「人間界に行きたいってことは人間に興味があるってことだよねッ!」
「えっあっ はい」
人間というか人間に対する悪魔に興味があるんだが
「人間のどんなところに興味がわいたのか聞いてもいいかな? 意外とこういう話が出来る悪魔って少ないんだよ」
なるほど、確かに学術的な意味を覗いて一般的な悪魔からの人間の評価は味などが基本だ。
都市伝説みたいなものとも取れるので仕方ないのだろうが普通に興味だけで話が出来る相手が少ないってのも納得ではある。
俺も前世でバイクなどを含めた機械いじりをしていたが、本格的な話となると軽く話せる相手はそういうサークルくらいなものだった
ならばこそ、目標を定めた恩返しを含めてこの先生の話にとことん付き合おう。
出来る限り正直に、誠実に
「ではまず私たち
「うん」
「ガイストは冥界ともかかわりの深い悪魔です。それもあり、魂に触れる機会が多いのです」
一般的なものより少し深い我が家についての情報、あまり言いふらすことでもないがこの先生なら大丈夫だろう。
そもそも、俺が人間について話すにはコレを外すわけにはいかない……という言い訳だが、俺としても人間について話せる相手は欲しかった。
流石に
「それでですが、魂に触れるにあたって部分的に情報を得る場合があるんです」
正確には、魂と話すことが出来る(らしい)のだが割愛
「人間の魂とも触れる機会があったそうで我が家の資料には人間界の情報も多少はあるのです。 詳細は門外不出なので言えませんが」
「なるほど、それで人間界に興味を持って行ってみたいって思ったんだね」
「そうですね、それだけって訳でもないですがそういう認識で間違いはありません」
「そっか、うん 確かにそれなら納得だ興味を持つのも当然と言える」
納得してくれたようで何よりだ、ではこれからは人間談義といこう
「因みになんですが、先生はどうして人間に興味を?」
「僕かい? 僕の場合は人間だけじゃなくて他の生物も含めた全部に興味を持ったって言ったほうがいいかもね」
「そうなんですか?」
「そうだよ、だから空想生物学の教師になったのもあるしね 物心がついた頃には既に生き物に興味があったんだ、なんでこんな形をしてるのか、どうしてこういう生態なのかとかね」
そういうことを言う先生の顔は本当に楽しそうで、心から生物の探究が好きなのだと伝わってきた。
「調べつくされている生き物にもまだまだ秘密はあるだろうし、未知の生物なんて言わずもがな。 それにこんな生物がいるんじゃないだろうか、そんなことを考えているうちに人間についても知ったんだ」
「有名なのに未知にあふれた生き物 別の世界の生き物についてなんて殆ど情報は無いからね、僕もそりゃあ夢中になった」
「それから、魔歴に登場する色んな空想生物についても学んでいって今になるって感じかな」
今に至るまでに、色んなことがあったのだろう。
空想生物学は実在しないかもしれない生物を探求する科目なので馬鹿にされることもあったのかもしれない。
それでも好きだからやる、その先に今がある。
簡単な事ではないだろうが、俺もこんな生き方が出来ればいいなとそういう風に感じた。
「なるほど、先生は本当に好きなんですね 生き物が」
「うん」
「じゃあ人間について何ですけどうちの情報から言える範囲でもこんなのがあるんですが……」
「へぇ! 興味深いね!」
そうして、俺と先生は人間や空想生物について熱く語り合うのであった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「それではまた、失礼しました」
「それじゃあね」
ガイストさんが退出していく。
不思議な少女だった、人間に深い興味を持つ悪魔というのは多くないとはいえ珍しいものでもない。
しかし、その特殊な環境からの知識やその場所にいたのではないかという程の言い回し。
そして、どこか懐かしむかのような感情も感じ取れた。
「彼女は本当に見てきたのかもしれないな」
それを直接聞くようなことはしなかった。
僕の家系能力は【
気にならないと言えば嘘になるが、それで秘密を暴くのは違うだろう。いつか自分から言ってくれるならそれがいいに決まってる。
それにだ、彼女は人間をはじめとする人間界の知識が深いようで僕が知らないような情報も知っていた。
その全てが
今年入学したばかりの1年生の彼女とはこれから何度も触れ合っていくことだろう、それが今からとても楽しみである。
また来てくれると言っていたので、今度はもっとちゃんとおもてなししたくなった。
「今度カルエゴ君に美味しいお茶とかないか聞いてみようかな」
彼女との会話はとても楽しかった、もちろん生徒皆大好きではあるのだが。同年代だったら親友になっていただろうと思うほどに話が盛り上がったのだ。
今回は急だったというのもあるが生徒がたずねてくるというのは珍しいのでもてなしが少なかったので次はもっとちゃんともてなそうと思う。