「でさ──」
ビー!!ビー!!ビー!!ビー!!
打ち上げ中に突然俺の端末が鳴り出した、けたたましい音でみんなを驚かせてしまったようだ
「びっくりしたぁ!! ガイストどうした!?」
「あ、ごめん 警報機が作動したっぽい、これは魔具研の師団室のやつだね」
「魔具研の? 大丈夫なのか?」
「どうかな、ちょっと見てみるね」
見て見ると、そこには火災警報との文字……うん、やばいな
「……っふぅー 皆ごめん、私ここで抜けるね! 緊急だこれ!!」
何がどうなったのかは分からないのだが、火災警報が鳴ったという事は俺の魔具たちの近くで炎が燃えているらしい、魔具の中には火に近づけるとダメになるものだってあるからこそ警報を付けたんだが、それが鳴ったという事は……あぁもうこうしている場合じゃないな
「お金置いとくから!」
自分の分とちょっと多めに金を置いて店から飛びだした、少し離れて広いところに来て羽を広げた。
「
口頭無口頭同時行使魔術、モモノキ先生と考えたとっておきなのだが、こんな時に初披露することになろうとは思わなかった
出しうる限りの最速でバビルスへと向かう、そこそこ距離はあるが1分程度でたどり着くはずだ
「なんだ? 流れ星?」
「あれ悪魔じゃね?」
「はっや!? なんだあれ!?」
ほんっとこういう時しか役に立たない特技なんだもんな!これ!
空飛べるのが楽しくてやってたところはあるが、まぁでも役立つだけましだ
「到着!!」
バビルスに到着し、そのまま急いで魔具研の師団室に向かっていく
焦げ臭さは無いが、近づくにつれて熱気があるので炎かそれに準ずるものが使われたのは間違いなさそうだ
「魔具は無事ッ!?」
バァン!と音が鳴るほどに叩きつけてしまったが、それどころではないので壊れていれば後で直す
まずは被害の確認を──?
「あれ、無事じゃん……それに、アスモデウス君? 何してんの?」
「なんだガイストか……」
アスモデウスの手には炎が灯っていたがこれを誤検知したのだろうか、彼の炎は確かに強いが不用意に周りに被害を加えるようなものではないので俺も気にはしないのだが、ここで何をしているのだろうか
俺を見た時は一瞬恐ろしい程の敵対心を感じたんだが、それもすぐに霧散した。
「なんか焦ったような感じだけど……なんかあった?」
「お前が気にするような事じゃ……いや、お前なら問題ないな ……ここに、先ほどまでアミィ・キリヲが来ていた彼は──」
「元祖返り、でしょ?」
「お前……知っていたのか」
「私の能力はそう言うのわかっちゃうからね、初対面の時から知ってたよ」
「なんだと?」
殺気、まぁ気持ちはわかる。
実際俺としても失敗したことの一つと言える、だが今でも考えることがあるのだ
当時は知らなかったことでもあるが、もしかしたら本能的に思いたかったのかもしれないことだ
「……元祖返りだとしても、この今の魔界に適応することが出来るかもしれない、もしかしたら危険じゃないかもしれないと信じたかったのかもね」
「だとしてもッ! 誰かに言うべきだっただろう!!」
「ま、そうだね、その通りだ」
「知っている筈だろう、元祖返りは危険な悪魔だ、私たちとは違う」
「違わないよ……違わないかもしれない」
「なぜそう言えるのだ」
「私も元祖返りなんだよ」
「ッ!?」
また炎が灯り俺の首元にあてられる、震える手で行うそれは戸惑いと義務感だろうか
「冗談はよせ、思わず焼くところだっただろうが」
「冗談じゃないよ、その証拠に私には悪周期がないみたいだからね ま、私自身最近その事を初めて知ったんだけどね」
「……」
「でも、実際他の元祖返りはだれもかれもが自分勝手で危険な悪魔ばかりだった、アスモデウス君の判断は間違いじゃないよ」
「お前は……なぜ自分が元祖返りだと言ったのだ。 アミィ・キリヲは先程話して元祖返りだと分かった、しかしお前はそうは思えなかった、お前が自分から言った今も尚信じられない程だ」
アスモデウスが選んだのは対話、俺を問答無用に排除することも出来たかもしれないがそれでも対話を選んでくれた。
何故言ったのかか、俺自身言っておいてなんだが、口から勝手に出たので少し驚いている。
だがまぁ……
「アスモデウス君ならなんだか、わかってくれる気がしたんだよね 私は元祖返りだけど、
「それは……」
「それと私は元祖返りだけどその中でも特殊だからね、そういう衝動も対策してる とにかく私は君たちに危害を加えるつもりは無いってだけは信じてほしい、もしそういう時が来たら遠慮なく焼いていいからさ」
「……はぁ、わかった だが、アミィ・キリヲや他の元祖返りは別だ」
炎を消してくれた、入学当時の彼だったら問答無用で焼かれてただろうから、彼も変わったという事なのだろうか
「当然……それに、アミィ先輩がまたここに来たってことは何かが起き始めてるっぽいね さっきのは咄嗟だったけど、言って正解だったかも、もし他の
「どういうことだ?」
「収穫祭の時、アスモデウス君って確かココ君とやり合ったでしょ? その時に、裏で元祖返りが動いてたんだよ、私はそいつとやり合った。 確か名前はオチョだったかな」
「なッ!? そんな事が……」
あの事に関してはバビルス教師陣や魔関署の方で大事にはしないことになったので、話が広がらなかったのだろう。
事実ココもオチョの事はあまり覚えていなかったようなので何かをしていたのは間違いない。
それをしたのは多分バビルスでも魔関署のどちらでもなさそうではあるが
「そのオチョが持ってた魔具とか、なぜ収穫祭に侵入できたのかとかを考えると裏で何かが動いているって事なんだと思う」
「まさかそれがアミィ・キリヲ?」
「だけじゃないと思うよ、アミィ先輩は"先輩"から命令されてたところもあるっぽかったし、それにアレだけの事が出来るならもっと大きなところだ アミィ先輩は確かにやばい悪魔だけど個人の力はそこまでだしね、資金が潤沢である程度の権力を持った悪魔がバックに付いてるはずだ」
「それは一体……?」
「さぁ、わかんない」
「おい」
「そうは言われてもね、オチョからも情報とれなかったらしいしアミィ先輩もだし あー……あれだ、ウォルターパークの時も元祖返り関連だったっけ、あれに関しては私も記憶操作受けてるっぽくて記憶が曖昧なんだけどね」
あの時は殺されたこともあり覚えている部分も多いのだが、出会った元祖返りの個人となると顔などは記憶には残っていない
精神系に耐性のある俺でこうなのだから相当な実力者なのだと思う
「確かあの時、お前は一時的に行方不明になっていたはずだ」
「おとさまが情報操作してくれたのに知ってたの!? さっすがアスモデウス家……まぁうん、その時に元祖返りと交戦して重傷だったんだよ、あの時は蜘蛛っぽい元祖返りとガンマンっぽい元祖返りと近接格闘が強い元祖返りにやられたってことは覚えてる」
「……よく命が無事だったな」
ばっちり死にました……とは言えないけども
「他に記憶に残っている部分はあるか?」
「え?他に? えーっと……確か、その時別れた半分が私に襲い掛かってきたんだよ、私が新しく孵化させようとしてた魔獣の卵をパクって逃げたからさ」
「そうか……二度とするなよ」
「あ、うん……ごめんね、あれは私にとっても浅慮だった」
真剣な顔だった。
俺は入間やクララのようにアスモデウスにはそこまで好かれていない気もしていたのだが、心配してくれるくらいには仲良くなれていたって事でいいのかもしれない。
元祖返りと伝えても大丈夫だった理由の一つにこれもあるのかも
「それにしても半分……となると全体で6人」
「6人?」
「あぁ、予測ではあるが間違いないだろう 6人の元祖返りで構成された悪魔の組織と言えば……」
「「
やっと繋がった、俺を殺したのもそいつらだろう。
だが、彼らが揃ってウォルターパークで何を行うつもりだったんだろうか、まさか魔獣でパニックを起こすだけじゃないはずだ
となるとまさか……
「あの時にアミィ先輩を脱獄させた?」
「どういう事だ?」
「うーん、オフレコで頼むね ウォルターパークの地下には罪人の悪魔がいっぱいいるんだよ、多分収監されているんだと思う、魔関署も連携でもしてんのかな アミィ先輩もそこに収監されてたんだとしたらきっと、魔獣騒動の時に脱獄したんじゃないかな……アミィ先輩の裏にも誰かが居るって考えるとその
「ウォルターパークでそんな事が……なるほど、確かにそれはあり得るな しかし、元祖返りが集まって一体何を起こそうと?」
「さぁね、私も元祖返りだけど彼らの気持ちはなーんもわかんないしわかりたくもない でもまぁ私がその本能に従って行動を起こすんならそれは大体テロか戦争だね、悪意を持って欲を満たすのが元祖返りだし」
「テロか戦争……」
こういう事は気づきたくなかったが、気付いてしまった以上心の片隅にでも置いておこう
もしかしたら近いうちにまた、やつらと会うことになるのかもしれないしな
「ぶっちゃけやれることも無いし、今はいつも通り暮らすしかないけどね」
「そんな悠長な……何か対策をせねば」
「いやいや、気持ちはわかるけどやれることはほとんどないよ? それとね、アスモデウス君 君は何者?」
「私は入間様の矛であり盾であるが……」
「その前に学生! 普通の学生なの! そういう事は大人に任せて私たちがやるべきことは今を学び遊び成長する事! 気になるかもしれないけどどうにもできないんだから今はとにかく学園生活を謳歌するよ!!」
「あ、ああ……そうだが、何かしておかないと入間様やあいつらにも被害がだな……」
「それも最も! だからカルエゴ先生やバラム先生、それとサリバン様に任せよう? あの
「……わかった、そうしよう お前の言うことも事実だしな 我々には我々で出来る事をするべきだ」
と、まぁそんな感じに元祖返りや六指衆、そしてその裏にいるであろう強大で凶悪な悪魔の事も共有しつつも学園生活を続けることとなった。
後でその辺の事をカルエゴ卿とバラム先生には伝えておくが、今できることはそれくらいなもんだ
それはそれ、これはこれと考えておかなければ"後悔しないような青春を謳歌する"という俺の野望は叶わないだろうし、楽しいことも楽しくなくなるってものだ