前に行われた
魔界全体の中でも
実の所、我がガイスト家はこういうパーティはそこまで参加しない。
昔は不思議に思っていたのだが、今なら魔界での立ち位置がかなり特殊で魔界と冥界の二つに所属している我が家が魔界で多くの権力を持つと問題があるからなのだと分かる
しかし今回はそういうの抜きで来なければならない理由があった。
「ではお手を」
「よろしくね、ゼゼくん」
紫のドレスに身を包んで、ゼゼの手を取り会に現れた
今回だけに限り俺はゼパル家の付き添いとしてこの場に出ていた、ゼゼ自身は位階がまだ未鑑定なのだがそこは俺のパートナーとしての参加になるのでこちらも特別参加だ。
そういう意味で考えると俺が音楽祭で
まぁ流石に名前はガイストのままだ
「おいあれって」「ゼパルの……?」「ゼゼ様どうして……?」
と、ガヤが聞こえてくる。
「注目を集めてますね、ただでさえ全知全能のゼゼだけでなく才色兼備のガイスト嬢がペアで現れたのだから仕方ない!」
「絶好調だねぇ」
ゼゼくんはこれでかなり人気なのだ
モデビルとしての美貌もさることながら、三大英雄の家の一つでもある事から貴族家系の女悪魔たちからも良く言い寄られている。
まぁ今回はそう言う事にはならないが
「あの! ゼゼ様、そのお隣の方は……?」
「あぁ、こちらはガイスト嬢、俺のパートナーです」
「ええ、どうぞよろしくお願いいたします」
ニコリと微笑みかけると、どこぞの令嬢の子が顔を赤くして離れていった。
今回ゼパルとして来ているのは、前の音楽祭でのゼラさんの助力への対価がこれである、簡単そうには見えるが実質的にこれによっておこる事と言えば俺の結婚相手が殆どいなくなるという事でもある。
ゼパル家が俺という悪魔を囲っているという事の誇示にもなる為、俺がここからもし他の家の悪魔に惚れたりしたとしてもその家がゼパル家以下の家であればその相手と結婚することが難しくなった
因みに、ゼパル家以上の家となると同じ三大英雄のフルフル家とバルバトス家になるのだが、そのどちらとも関係は浅いのでそこまで可能性はないと思う
俺自身ゼゼは嫌いではないが、結婚とかはまだ考えていないので今後彼と関わっていくことで何か変化があるかどうかで変わるだろうとは思う。
「では踊りましょうか」
「喜んで」
ゼゼの手を取って真ん中で踊り始めた、前にアメリさんと踊った時と同じ女性側なのは不満だが、流石にゼゼに男性側をさせるわけにもいかないので今回は甘んじて受け入れた。
何年だったかもう覚えてはいないが、この世界に降り立ってからダンスも練習しているのでゼゼの華麗な踊りにも何とかついていけているが、彼の踊りは俺のそれと比べてもかなり上手いように感じる
踊っているが踊らされているともいえる、こういうダンスは男女を額縁と華と表現することもあるが、今は超豪華な額縁に出来る限りの輝きを見せた華である。
その場の悪魔たちの視線も俺達が全て持って行っているが、まぁゼゼと俺なのだからここは敢えて当然だと言っておこう。
一曲終わるころにはまた見える顔も変わってきており、その中にアメリさんを発見した
「アメリ嬢、いかがでしょう一曲?」
「あっ……私は」
複雑そうな顔だ、困っているようだがこの
ゼゼの方を見ると分かっているのか、助けに行こうとアイコンタクトをしてくれたので向かおうとしたその時だった
──ワッ!
「あれはまさか!」「おおっ見ろ!あの方は!」「三傑の……!」
三傑?
三傑と言えばレディ・レヴィ、その孫のレヴィアタン・レイヂもしくはベリアールと孫のベリアール・ベリィ・ラズベリィがいるが、そのどちらも今回は来ていない
では答えは一つ、サリバンと入間であった
登場するだけで周囲の目線を独り占めするのはケロリが嫉妬する気持ちも少しわかる、俺達は自分を磨いて磨いてやっとこの域に達したのに入間はあっさりと1年足らずでこの立ち位置まで来たのだ
だが、その注目は良い方向へと向かっていた
「あ、アメリ嬢! 私と一曲踊りませんか?」
その一言だけで今回の主役は変更された。
アメリさんに踊りの誘いをしていた悪魔は、そのセリフと同時にすごすごと離れていった。
彼も一応
「あれがイルマ……」
「あぁ、そう言えばゼゼくんは初めてだっけ?」
「えぇ、ガイ……レイラ嬢の話では聞いてましたし、ウォルターパークなどの話題は耳にしていましたがこの目で見るのは初めてですね」
「数か月後には同じ学校でよく会うだろうし一旦挨拶しておく?」
「いえ、あの感じですとあの二人はパートナーなのでしょう、その邪魔をする野暮なことはしませんよ」
「それもそうか、じゃ、挨拶は入学後だね」
そう言う気を使うのは好きなんだが、アメリさんと入間がすっごくいい感じに踊っているのはエイコを応援している俺からするとちょっと危機感を感じてはいる。
もういっその事入間が全員娶ってくれないかなとかも思ったりはする、魔王にでもなればそれくらい許されるだろうしな
「やっ! 来てたんだね」
「サリバン様、ごきげんよう」
「さ、サリバン様!」
その様子を見ているとサリバン公が後ろから話しかけて来た、ゼゼは緊張しているが、俺は入間へのカミングアウト後は入間の屋敷に良く行っていたりするので今となっては近所のおじさんくらいの仲となっていた。
まぁその中にも入間の為に作った認識阻害魔具や羽型魔具といったサポートの礼もあるのかもしれないが、いい関係が築けているとは思っている。
因みに隣にはアメリさんと似た男性悪魔が居た、確かアザゼル・アンリと言ったか。
前にナベリウスの家に遊びに行った時にナルニアさんが話に出していた気がする。
「アザゼル様もごきげんよう、今日はご令嬢も含めての参加のようですね」
「あぁ……まさかサリバン様まで来るとは思っていなかったのだがな」
「申し遅れました、私はガイスト・レイラ、こちらはパートナーのゼパル・ゼゼと申します」
「私はアザゼル・アンリだ、知っているとは思うけどな」
ゼゼと二人で礼をした。
アンリさんは魔関所の所長でもあるのだが、こうして顔を合わせるのは初めてだったかもしれない
ちょっと気が向いたのでどういう魂をしているのか魂視で確認して見るが、純粋で厳格そうな優秀な魂だった、しかしどこか迷いが多くみられる感じがした……うむ、なんだか少し違和感がある
「んー……」
そう思ってアメリさんと入間の方を見ると、彼らは会場から外に行くようで丁度外へ出るところでもあった。
そこでやっと気が付いた、どこか似ているのだ。
アメリさんの魂は優秀な悪魔の魂なのだが、その家族のアンリさんや入間と並んでいると良く違和感が分かった。
状態としては俺と似たような状態と言えるのだ。
しかし、形式は少し違うようで俺の魂の割合は人間の割合が実は多く、人間6割もあって悪魔と閻魔が2割ずつという配分となっている。
因みにそれでも身体は悪魔だし、寿命やその他特性は大体が悪魔と同じなので気にするほどの事でもない
話が逸れたが、アメリさんの魂配分は目測だが、悪魔が8割で人間が2割って感じに見えた。
俺のようにそう言う魂用に特別に調整された身体って訳でもないのでもしや彼女は……?
「うーん」
今は突っ込むことではないと思うが、もしこれが何かの実験だったりするのであれば俺も完全に無関係というわけにはいかないんじゃないだろうか?
「ま、気にし過ぎかな」