「RAINさん視線もう少し下でお願いします」
「はい」
今日は久々のモデビル業である
収穫祭、音楽祭、魔具コンと連続してやる事があったため中々こちらの方に力を入れられなかったのだがどれもが終わったためマネちゃんがしっかりとスケジュールをみっちみちにしてきた。
一応連続しての撮影は少なくしてもらっているが、いつも以上の拘束時間で顔には出さないが少し疲れることもある
「はい!では今日の撮影は終わりです!」
「「「お疲れ様でしたー!」」」
そんな感じに今日も撮影が終わり、マネちゃんに預けていたス魔ホを返してもらって確認すると、何やらオペラさんから連絡があったようだ
あの
「え?入間君の誕生日がもう過ぎてる?」
どうやら、また時間を空ける必要がありそうだった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
魔界の秋も短い物で、ちらほらと雪が見られる時期になった
冬用のコーデに身を包みつつも、いつもよりは少しだけ気合を入れたファッションとなっている
「じゃ、いこっか」
「そうだね!」
「そうね、プレゼントはちゃんと持った?」
「もちろん、普段ならあげないようなのを用意したよ」
そんな風に3人で話しながらも目的地へと進んでいく
今回の目的は、入間の誕生日会。
その中でも悪魔なら必ず一度はすると言われている"降魔の儀"と呼ばれる特別なものだ。
これは魔界特有のイベントであり、人間界的にいうとまぁ七五三とかそういうタイプのやつである
俺も幼い頃に一度やった覚えがある、当時はまだ魔界になれてない事もあったしそこまでの関係構築も出来ていなかったので来たのは確か、カルエゴ卿とナルニア卿、他だとムルムル家の誰かは来ていたはずだ、後はたしかプルトンさんも来てた記憶がある
「うーん、大人ばっかだ」
「? レイラどうかした?」
「いやこっちの話、私の時の降魔の儀は同年代いなかったなーってさ、エイコ達と知り合う前だったし」
「わりとそんなもんだよねー、私の時もエイタとガーコ以外はいなかったし」
「あたしもそうよ、寧ろ今回が異常なのよね」
と、まぁそういうことである
三傑の孫のしかもある程度成長した後の降魔の儀なのでそれはまぁ凄いことになりそうだ
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「ここだね」
「礼拝堂って凄いとこ借りたよねー」
「格が違うわね」
この場所はガブリアン礼拝堂、魔界の教会である
魔界なのに教会とは?と言う話もあるだろうが、意外と魔界にも信仰というものはある
邪教の類ではあるが、オチョの2番信仰なんかもそれの一つだ
俺も最近は何度か家業の付き合いで教会に行った事もあるんだが、意外といろんな宗教があって面白かったりもする
「あ!ばけちゃーん! こっちだよ!」
「クララは先に来てたんだね」
「うん! イルマちの折角の誕生日だからね!」
ここだけの話、クララと付き合ってきて分かったことがある
クララは基本的に他人の名前を覚えないのだ
例えばアスモデウスならアズアズ、俺ならばけちゃんとかそういうあだ名をつける傾向がある、一度名前を覚えてるか聞いてみたが覚えてなかったし誕生日なんかも覚えてない事が多いのだが、入間だけは別なのだ
イルマち、そのあだ名は入間の名前がそのまま入っており同時にそれは彼女にとって入間が特別なのだという証拠にもなる
それが恋か友情かは知らないが、きっとクララにとっても良いものなのだろう
「ばけちゃん? 入らないの?」
「そうだよレイラ、早く行こ? ガーコももう行ってるよ」
「あぁ、ごめん そうしよっか」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
降魔の儀には手順がある
まずは参列者はグラスなどに
その炎を主役の大桶に移して、捧げ物という名のプレゼントを渡して感謝の言葉を捧げるというものだ
「ヤー」
「ハウェヤー」
この儀式ではこの言葉をよく言うことになる、意味合いとしてはまぁお越しくださってありがとうございますとか産まれてきてくれて感謝します的な意味だ、いあいあ!みたいな感じとも言える、流石にあそこまでヤバいものではないけども
「入間さん! ありがとうございますっ!」
「わぁっ! エイコさんありがとう!」
そんな感じにエイコも無事にプレゼントを渡せたようでよかった
ガーコも既に渡しているので次は俺の番だ
器の火を大桶に移して入間にプレゼントを渡す
「入間くん、いつも助かってるよ それに
「っ! こちらこそ! ……ありがとう!」
他の
入間はきっとこの魔界でたった一人の人間ということに恐怖と罪悪感を持っていると思う、そして、それは俺も同じだったのだ
この世界でたった一人、人間の魂を持っていた俺は他の悪魔達ともなかなか馴染めず、バレると何をされるかという恐怖にも駆られ、そして他に同じ人間がいないということに強い孤独感を感じていた
バビルスに入る頃にはエイコたちとも知り合っており、寂しさは薄れていたのだが、それでも心の中にぽっかりと空いた穴は埋まることはないとそう思っていた
それが埋まったのはきっと、あの時だ
入間と初めて会った時ではなく、あの桜を見た時、その時に俺はこの言えもせず、家族にすらどうしようもない孤独から解放されたのだ
その時の思いをこのプレゼントに込めた。
敢えて小声で誰にも聞こえないように、そして日本語で
「桜のブローチ、入間にはよく似合うと思う、気が向いた時にでも付けてみてくれ」
「うん、ありがとうね ⬛︎⬛︎さん」
よかった、入間にはちゃんと意味が伝わったようだった、効果も何もないシンプルな装飾品、いつもの魔具製作ではなく俺自身の過去の技術のみで作ったアクセサリーだ、人間として彼と付き合っていくという意思の証明でもある。
そしてもう一つは
魔界語に戻してチケットを渡した
「魔劇のリリスカーペットの舞台チケットだよ、自分たちでやった劇を観に行くのもまた良いんじゃないかな? VIPエリアのチケットだからみんなで行きなよ」
モデビル業のコネで手に入れたチケットだった、ゼゼとも話してVIPエリアそのものを貸し切るタイプのチケットを手に入れたのだ
かなり大変だったが、せっかくなら入間の友達みんなで行って欲しいから各地の関係者に頭を下げて回った。
「それじゃ、また後でね」
そう言って次の
こう考えてみると、俺も案外彼に対してかなり重い感情を持っているようだと自覚する、恋心や依存心ではなく同類に対する共感や仲間意識だろうがなんにせよ、彼を失うような事があれば俺はきっと2度と埋まらない心の穴が生まれることになるんだろうとも理解した
「レイラおかえりー」
「ただいま、にしても凄いよね ご馳走もいっぱい用意されてるし」
「あの辺の変わった料理美味しかったわよ、寿司って言ったかしら」
「あーね、東の方のやつだしねー 私も後で食べよ……っとなんか集まってるなぁ」
どうやら入間がサリバン公の話の後に感極まって泣いてしまったようだ、それに触発されてみんなが集まっていくので、せっかくだし俺たちも混ざることにした
この魔界にて生を謳歌するのは考えるより難しいことだ
彼らが健やかに過ごせるように人間の俺としても、悪魔の私としても……そして、魔界の閻魔としてもいつまでも願っている
原作的には次回からはアクドル大運動会なのですが……
原作のこの回は10月末で、アクドル大運動会は12月末となりますので、丸々2ヶ月飛ぶ計算になります(キャワワなアクドルになってもらいますと言われた事自体は誕生日回直後なのでおそらく11月頭)
なので時間保管をかねての閑話日常回を何話か挟むつもりですのでアクドル大運動会編まではもう少々お待ちを
因みにその後も1〜3月周辺は日常回をたくさんやります、好きなので
因みにレイラの誕生日は7月26日です。プロフ帳回で出てますが。