「もうすぐだなぁ……使い魔大運動会」
「」フィ
スピカと戯れながらそう呟いた
使い魔大運動会とは、大イベントなどではなく、町内会レベルの物なのだがたまにはスピカを思いっきり楽しませるのもいいんじゃないかと思って参加しようと思っているのだ
言うなればドックランみたいな……?
まぁそんな感じの目的である。
──RRR! RRR! RRR!
「ん、電話だ」
相手はマネちゃん、となると仕事の電話だろうか
この時期はアクドルや他の芸能系は年末特番的な立ち位置の月越しで忙しいが、モデビルは撮影して雑誌に載ったりCMに載ったりが基本なので空き時間に仕事をすることが多く、スタッフが集まらないのでこの時期は暇なので珍しい
「もしもし?」
『あ、RAINさん! 急で申し訳無いんですけど──』
「へ? なんで私が?」
なんにせよ、スピカの運動は別の日に変更という事にはなりそうだった
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「13月の月越しに〜男も女もよっといで~っと」
荷物を抱えて作業アンド作業。
今回呼ばれたこととは別件なのだが、重力魔術が得意という事もあって荷物運びを手伝って欲しいと言われて設営を手伝っている。
流石に魔具でやるのは色んな問題があるとかで手作業なのでめんどくさい事この上ない。
だが、こういう設営に携わる事自体裏方の仕事を理解するのにも役立って、さらにはスタッフ陣への好感度も稼げるので一石二鳥というわけだ、まぁそれもあってか今回頼まれたので
人間だったら怪我や疲労が怖いかもだが、そこは魔術でどうにでもなるので今回も受け入れた
ちょっと表を経由していると
道が塞がってしまったのもあるのでちょっと声をかけて通る事にした
「ちょっと通りまーす」
「あれ、RAINちゃんなんで荷物運びしてるの? そもそも何でここに?」
「まぁ頼まれたし私は今手が空いてるんで」
「?? モデビル業だと普通ってこと? うちは流石にしないけどなぁ、めんどくさいし」
「どこもそうだけど私のやり方がこうってだけ、裏方の勉強もしたほうが撮影の連携がしやすいからね」
「へぇ、よくやるわねー で、結局何でここに?」
「んー、仕事 なんか予定してた
「仕事? モデビルの仕事なんてこの
「うん、だから今回は──なんだよ」
「……まぁなんでもいいけど、私たちの出番を邪魔しないでよ?」
「そっちも頑張ってねー」
何度か話した子だったけど、何という名前だっただろうか
アクドルはモデビルと比べても数が多すぎて分からない、くろむやギャリーといった知名度が高い子ならわかるんだがさっきの子は何人かのグループで組んでるアクドルだったはずだ
と言っても、息を合わせることが苦手なアクドルなので人間のアイドルみたいに息の合ったパフォーマンスが難しく、大体が別の行動をしてのまとまりとするので人気が出づらいのが欠点と言える。
「さて、こんなもんかな スタッフさん終わりましたよー」
「ありがとうございますRAINさん! 助かります!」
「じゃ、私はそろそろ控室に行きますねー」
「はい! この分は報酬に追加となりますので!」
そうして俺は移動して控室へと向かった。
控室は一人部屋っぽく、RAIN様と書かれた紙が貼られた部屋に入る
仕事の時間まではまだ少しだけ時間があるので、渡された予定表を確認しておく
「RAINさん、またスタッフの手伝いしてたんですか? しなくてもいいのに」
「あぁ、マネちゃん そうは言っても私がやりたくてやってる事だしね、それに今回はダメだけど準備に使えそうな魔具の実験もさせてくれるしね」
「まぁ先方の評価はいいんですけど、それで大怪我とかしないでくださいよ? ちょっとくらいの怪我なら回復魔術でなんとかなりますけど、大怪我は流石に無理があるんですから」
「もちろん、ま、もしそうなったとしても宛てはあるけどね」
「……もう」
宛てはプルシェンコ先生である
彼の家系魔術の【
怪我どころか欠損すらも何もなかったかのように回復するので医療系としては最高の能力だ
もう一つ死ねば治るが、流石にそれはちょっと人間としても悪魔としても無いかなと思う
「さてと、あとどれくらいの時間?」
「後1時間くらいですね、それくらいに集合らしいです」
「了解」
そんなわけで、時間まで予定を確認しつつ待機となった
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
途中外が騒がしかったが、トラブルも解決したのかすぐに静かになっていた
俺も時間となったので移動する
「お疲れ様でーす」
「お疲れRAINちゃん、今日はごめんね」
「いえいえ、でも私でよかったんです? 私アクドルじゃなくてモデビルですけど」
「まぁ大丈夫、それにこっちにも華が欲しいってゴンテツさんがうるさくってね」
「あぁ……あの
ゴンテツとはアクドルの専門家である
芸能人の専門家とは何だという話になってくるのだが、まぁ言ってしまえば名プロデューサーとかそういう立ち位置の人で自分からテレビにも出演して色々と解説したりする感じの仕事とのこと
ふわっとしているのは、他にそういう仕事をしている
「さ、そろそろ行こう ゴンテツさんも待ってるよ」
「了解です」
そう言って移動して席に着いた
「お疲れ様ですゴンテツさん」
「お疲れ様です、今日はよろしくお願いしますRAINさん」
結構紳士的な口調なようで心なしか優しい雰囲気を感じる
ゴンテツは無類の女性アクドル好きで、趣味でもアクドルのライブに何度も足を運ぶほどだという
因みに彼に見初められてプロデュースを受けたアクドルは大成するという噂もあるが真偽は不明だ
「ん、時間だねそろそろ始まるよ」
先程から話しかけてきているのはマチャラという悪魔で、彼はマルチタレントの類だ。
色んな番組の司会もこなしており、司会進行役と言えば彼と言うくらいには有名だったりもする。
カチッ!
そして時計の針が13の数字を刺した
『13月の月越しに~♪ 祭りをむかえる華騒ぎ~~♪』
『男も女もよっといで血湧き肉躍る!』
『『アクドル大運動会だ~!!!!』』
マイクのスイッチが入ると同時に軽快な音楽と歌が流れだす、アクドル大運動会の開始だ
マチャラの声が巨大なホールに響き渡り、開始の合図となった
この歌は男女パートがあり、実際にライブで歌っているので俺が女性パートを担当していたりもする。
『今年もやってまいりました!アクドル大運動会! 司会は私マチャラ、解説はアクドル専門家"ゴンテツ"さんです!そして!』
そこで振られたので挨拶をした
『特別コメンテーターのモデビルRAINです。 主にビジュアル面での審査を担当します』
『ありがとうございます! 今回は都合によりRAINさんには特別マスクを使用しての参加となりますがご了承ください!』
目元は見えるが、口が隠されているマスクである。
少しロックな雰囲気もあるが、特殊仕様で色々機能が付いているらしい、マルバス家が関わっている魔具でもあるらしく今回の報酬の一つでもある、リバースエンジニアリングが楽しみだ。
さて、なぜこんなマスクを付けているのかと言うと理由は二つ
一つは運動会の都合上色んなものが飛来するのだが、それから守る為である。
アクドルたちは動けるが、俺達は視界の為同じ場所に座っての対応になるからだ
もう一つは俺の顔を隠すため。
こう言っちゃなんだが、俺はこれでも結構人気のモデビルだ。
そんなモデビルが司会側にいると、アクドルたちの邪魔になってしまう。
なので元々は演出系の女性アーティストに依頼していたそうなのだが、その彼女の予定が急遽変更になったとかで、なぜか俺が採用された
理由は解散選挙で司会をした際に、それを誰かが撮っていてネットにあげたのを見かけたとからしい。
『それでは早速まいりましょう!選手たちの入場です!』
そして次々とアクドルたちが入場してくる
アクドル大運動会はチーム戦であり、4人1組で得点を競い合うイベントだ
水着撮影の時に出会ったネネットや意外と珍しい男性アクドルのビーバなど、単体でも知名度のあるアクドルがその仲間を連れて参加している形となっている
『ベルラブ所属のチームサジャ! 彼女はすごいですよ! あの若さで何と
『いいですね、衣装が大変よろしい"
『非公開ですね、セクシー売りしてるので今後どこかのタイミングで公開されるかもしれませんね』
『なるほど! しかし大胆と言えばやはり……!』
DRRRRRR!!!
『こ、この音は!!』
GYARYYYY!!!!
バイクでの派手な登場、燃えるような軌跡を残しながらもステージの中央へと降り立った
彼女の名は
『ロックアクドル!! チームギャリー!!』
大歓声とともにギャリーの名前のコールが爆発音とも相違ない程に聞こえてきた
『凄い歓声です! 流石若手のスター!』
『ハーレムを率いての参戦です うらやましい限りですね』
『あれで自分から誘ってないっぽいからすごいですよね、あの
俺も壁ドンされたことがあるし、そういう意味で彼女は天から授けられた才能としての女性悪魔たらしなのだろう
入間とは別ジャンルではあるが、女性という面を見ると結構すごいかも知れない
『彼女は今日の目玉!ですよね!』
『はい、"強欲VS高慢" ギャリー様のその派手なパフォーマンスと欲しいものは必ず手にしてきた実力でついた異名が"強欲の歌姫" それに相対するは──』
そう、音楽祭での強欲の男のモチーフが彼女だ、そしてもう一人のモチーフ、高慢な女はエリザベッタではなく……
『どんな"
『高慢の歌姫!! チームくろむー!!』
そう、彼女は誰よりも高慢で可愛いアクドルなのだ、こういうイベントでギャリーと正面衝突するところをこの特等席で見られる俺は幸運という他ない
『そして謎のアクドル イルミちゃんも参戦です!』
???
何でいるのだろうか彼は……それ以上にこれは……
魂視を思わず発動、そして理解してしまった
チームくろむのメンバーはくろむをリーダーに、入間と……リードとアメリさんがいた
『んんっ ふふっ、し、失礼しました……すみません、ちょっとこれは ふふぉっ!!』
何がどうしてこうなったのか、これは思っていた以上に面白いことになりそうだ
というわけで、司会側での参戦です。
モデビルがアクドル大運動会に参加はちょっと無理!!