『ふぃー……失礼しました 思った以上にツボに入るものがあったもので、他意は無いです』
『落ち着いてよかった、では選手も集まりましたので早速第一種目……の、前に! 準備運動! アクドル体操~~!!』
てーんてーててててて♪ てーんてーんてててて♪
軽快な前奏が始まった
アクドル体操はこのアクドル大運動会では毎回最初に行われる伝統的な曲である
アクドル最初期からずっとあるのでアクドルは皆大体知っている、一番から何番かまで複数あるのだが大体使われるのは一番と二番のみだ
ラジオ体操みたいな感じだが、"大きく腕を掲げて輝きのポーズ"など、魅せる為の運動が大半である
因みにちゃんと体操にもなっているので、体もほぐれて怪我の予防になっているがどちらかと言うとまんべんなく全員をみせる為のものでもある、どうしても種目が始まると身体能力が高かったりアピールが得意な子が目立ってしまうので人気アクドルのチームメンバーの新人アクドルなんかは目立てなかったりもするのだ。
にしてもくろむチームの方が気になって仕方ない
まだアクドルをしたことがある入間……イルミはわかるが、リードとアメリさんは何でいるんだろうか、謎だ……
『それでは一度アクドルの皆様は退出の後、第一種目となります 準備がございますので開始までしばらくお待ちください』
そう言ってアクドルたちは観客たちに手を振ったりしながら控室へと戻っていった
因みに準備時間の途中には休憩用の売店やハーフタイムショーのように配置された別のパフォーマーの出し物を見たりなんかで時間を潰すこととなっている
まぁ、そんなわけで本格的に始まるまでは俺も少しだけ時間が空くのでちょっと行くとしよう
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
コンコン
というわけで早速デビムスの控室の前へと来た。
「どうぞ」
「失礼します」
丁度何かを話していたのかチームメンバーが全員揃っていた
その中でも表情を見る限りアメリ会長が思ったよりもやる気のようで、意外とこういうのが好きだったのかと驚いた
とりあえずそれは置いておいて気になったことを聞くこととした
「いや、ほんとにこれどういう状況でこうなったの?」
「RAIN……あんたこそ何で司会に居んのよ」
「なんかドタキャンが入ったとかで暇してた私に声がかかってきたんだよね」
「あー、そうなの……それでそのマスクは?」
「顔を部分的に隠しとけってさ」
「でしょうね、顔出してたらアクドルの邪魔だし」
「そんなにかなぁ」
「そんなによ」
と、そこでイルミとアメリさんの方も見る
この二人は俺がレイラと知っているので魔具の有り無しが関係なしに誰か理解出来ているはずだ
「にしても、イルミちゃんがこういうの参加するとはねぇ 本格的にアクドルやる気になったって事?」
「い、いや そんなことは無いけど……でも、勝ちたいとは思ってるよ」
「そっか」
どうせまた何かに巻き込まれて自分からやる気になったんだろう、この子はいつもそういうところがある。
だからみんな頼りたくなるのかもしれないな
「それでそっちは?」
「ん、私か?」
「ええ、お名前は?」
「知っているだろう、私はア「ではなく、アクドルの名前」 ……メリーだ」
「へぇ、やっぱ違うんだ トラブルでの助っ人ってとこ?」
「まぁそんな感じよ」
くろむにも確認するがどうやらそうらしい
こっちは司会側なので参加している全アクドルの情報が共有されている、とはいっても俺も急遽の参加となったので体操中に一気に読んだのだが
そこにはくろむチームはくろむをリーダーに、イルミ、リンディ そして、メルンだったはずだ
確か彼女は野生児系のパワフルなパフォーマンスをする子だったと思う、病欠だろうか
「で、そっちはリンディ?」
「え? 僕?」
「他に誰がいるのかな」
「あ、はい そうです!」
リードはRAINとレイラが繋がっていないからか、司会側であり運営側でもある俺に対して少し緊張した様子が伺える
ふむ……
「いやぁ、一応運営側として確認が必要でね どうやら申請情報に虚偽が含まれているって情報があってさ」
「……え?」
「チームくろむのメンバーは全員女性のはずなんだよね、くろむにイルミ、メルンの代わりだろうメリーもどう見てもそうだし ……でもねぇ、きみはねぇ?」
「ひえっ」
「嘘はいけないね、うん 運営として虚偽をとがめる必要がある 嘘だった場合は即失格だったりもあり得るかもね」
「あ……えっと その……! こ、これは!」
「からかうのもその辺にしときなさい」
「ははっ、そうしとく ごめんねリード君」
リードは顔が真っ青で冷汗が凄いことになっている
彼は思った通りからかうといい反応をしてくれる
さて、アメリさんや入間から微妙な顔で見られてるし、これ以上はくろむを怒らせそうなので誤解を解くとしよう
「私はモデビルのRAIN、またの名を っというか本名はガイスト・レイラだよ」
「ガイスト・レイラ…… え、レイラちゃんなの!?」
「だよー、学校ではあんまり言わないでね で、リード君は何でここに? 入間君はどうせまたなんか安請け合いしたんだろうけど」
「そんなことは無いけど……」
「えっとそれは……」
入間がなんか言っているのをよそ目にリードの訳を聞いた。
どうやら収穫祭の時にレジェンドリーフの件でケロリ達に作った借り以外にも新たに入間が借りを作っていたらしく、その借りを返す事とギャリーが目的で参加したらしい
「なるほどね、それで踊ったり歌ったり出来るの? 仮にもこれプロの祭典なんだけど」
「それについては私が保証するわ、イルミは知っていると思うけどリンディもやれるしメリーも運動神経は並外れているからやりようがあるわ」
「へぇ、じゃあ私からはこれ以上はやめとくよ」
くろむにそこまで言わせるのなら少なくともプロと比べても遜色ない程度には動けるのだろう、問題児達はどいつもこいつもハイスペックだ
因みに、リードは当然だが尻尾がスペード型で男性っぽいが、そこはそういう女性もいるので問題ない、ギャリーなんか尻尾が二本あるし俺も尻尾じゃないが羽がかなり特殊だし色々とごまかしが効く部分である
「それじゃそろそろ私は戻るよ、贔屓は出来ないけど応援してるよ」
「ええ、魅せつけてあげるわ、私たちの凄いところをね?」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
『さあやってまいりました!!第一種目66m走! Aブロック注目はやはりチームカラムのカラムちゃん!いやはやチームサジャのトリンドちゃんもダークホースか!? お二方いかがでしょうか』
『そうですね、とっても楽しみです できれば大きく動いてほしいですね』
『ゴンテツさんが何を言いたいのかはスルーとして……飛び入り参加となったメリーさんは身体能力ではトップクラス、一見の価値ありです』
俺らの年代で
普段からアクドル活動をしているのであればそれもいいのだが、今回限りの助っ人という事なのでメリーは名前以外の殆どが秘密となっている
アメリさんはアクドル衣装のような露出度の高いものは苦手らしく、恥ずかしそうにしているが走れるのだろうか
周りのアクドルたちには受け入れられて話しかけられているのでそっちは大丈夫そうではあるが
『位置について』
……と、思ったがここで表情が変わった、どうやら心配はなさそうだ
『よーい』
──パンッ!
ドッ!!!
爆発が起きた……正確には圧倒的な膂力によって踏み込んだ足で地面が土煙に包まれた。
衝撃を受けた同レースのアクドルたちはそれに対応できずに吹き飛ばされていく……あの
「……まぁでもこうなるよね」
マイクには入れずにそう漏らす、アメリさんはバビルスの中でもみんなのあこがれであり、その力も最高クラスの悪魔なのだ。
高くても
『ぶっちぎり!ぶっちぎりです!! 他の選手は走行不能!? 突如現れたえっとアレは──』
『デビムス所属!チームくろむ! 超新星アクドルのメリーちゃんです!!!』
《xbig》ワァァァァ!!!《/big》
マチャラにはまだ情報が入ってなかったようで名前と顔が一致していなかったようなので割り込んで言っておいた。
改めて思うが運動会とはいえ、彼女をここに出してきて良かったのだろうか……あまりにも世界観が違いすぎる、参加アクドルたちはご愁傷様と先に言っておこう
それと、アメリさんが力加減を間違えるとは思わないが念の為医療用魔具をアクアに持ってきてもらうようにしておこうと連絡を飛ばしておいた。