悪魔で霊な元人間   作:P223

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21 なんとか合流前夜祭!

 

師団(バトラ)披露(パーティ)前夜祭、準備をギリギリになって終わらせた俺は荷物運搬用の気球に乗ってなんとか開催前に合流したのだった

 

「本当にごめん!!連絡を返す暇も無くて、心配をかけました!」

 

「よかった! これで皆で一緒に楽しめるね!」

 

「間に合わないのかと心配したぞ」

 

「ばけちゃんあのでっかいの何!?!?」

 

「あれね、あれは飛行魔具の配達用(はいたつよう)浮遊珠(ふゆうじゅ)二式(にしき)、略してバルーンだよ」

 

((どう略したんだろう……))

 

当然地球の気球を元に作った魔具なのだが、その性能は少し違う。

元々気球とは暖かい空気が上昇する仕組みを利用したもので、バルーン部分にはほとんど何もない。

しかしこの魔具はバルーンの球皮*1内に荷物を収納する事を可能としており、大量の荷物を同時に運ぶことを可能としたのだ。

因みに仕組みは単純で重力系の魔術を仕込んでバルーン全体を軽くし、球皮内にはさらに軽くなる魔術を仕込んでいる。

移動は風魔術を利用して移動しているので環境にもいい魔具なのだ、欠点は割と脆いので攻撃とか受けると一発で落ちるので乗ってる人が守らなければならないところである。

 

因みに一式は元ネタ通りに炎魔術を仕込んだら中の物ごと大炎上を起こして、両親にこっぴどく叱られた。こわかった。

 

それらを三人に簡単に説明をしておいた

 

「ということは、あれはお前が作ったのか」

 

「あんなのも作れるんだ……!魔具ってすごい!」

 

「それだけじゃないよ運搬用だからね、本命はこっち!」

 

パチンッ!

と指を鳴らすとそれを合図としてバルーンからいくつもの魔具が飛び出してくる。

それらは砲台を付けた黒いドローンとも言えるほどの小型の飛行魔具たちであった。

 

「なんかいっぱい出てきたよ!」

 

「う、うん なんか怖い感じもするけどガイストさん、あれは?」

 

「あれは空中制御型花火筒、名前を付けるとしたらそうだな……」

 

「くろろーん!」

 

「はは、じゃあクララのそれで」

 

実際黒いドローンだしクロローンでもまぁいいだろう、なんか複製体みたいな名前だけどこの世界でクローンって名前見たことないし。

 

この魔具の機能はいくつも存在するが、メインなのはこれで花火を打ち上げる…もとい、起爆できるところである。

燃費もマルバス先生から教えてもらった改善案を利用したことの副作用でかなり良くなっているのでこのまま夜になるまで飛ばせておくつもりだ、スペースに関しては空でもあるし先生たちにも許可は取ってある。*2

 

他にも至近距離で爆発を受けるのでそれに対応した【保護(グラン)】を張れる機能や音声を届ける機能、遠隔操作する機能など色々つけた。

その為資金もかさんで部費だけじゃ足りなかったのでモデビル業で稼いだポケットマネーからも出したのは内緒である。

 

「というわけで、はいこれ。 イルマ君に」

 

「えっとこれは何? なんかのタブレットみたいだけど」

 

「花火とかの制御用魔具だよ、それを操作することであのクロローンを操作できるようになってるからね、時間とかも決めれるんで好きなように使ってよ。操作は簡単にしたから金までに余裕で間に合うはずだし一応デフォルトで設定してるからそれを修正してもいいよ」

 

「そんな重要そうなことをぼくが!?」

 

「イルマ君が発案で今回のメインなんだから当然だ、二人もそう思うよね?」

 

「あぁ、よくわかってるじゃないか 入間様が主役だ」

 

「いるまち頑張って!」

 

「う、うん……頑張る」

 

責任重大ではあるのはそうだが仮にも魔王を目指しているのであればこれくらいはこなしてもらわねばならないだろう。

いざとなったらこちらから助けてやれば上手くいくだろうしその辺は大丈夫だ。

 

「さて、と」

 

信号を送り気球を降ろす。

そこからバスケット部分だけを分離させて魔具研究(まぐけんきゅう)師団(バトラ)のスペースに持って来た。

 

「それは?」

 

「これは星だね、まだまだあるけど一旦はこの数あれば一晩は持つでしょ」

 

「ぎっしり入ってるね!」

 

「幾つくらいあるの?」

 

「そうだなぁ、クロローンに装填してるのも含めるとざっと1000発くらい?」

 

「「「1000!?」」」

 

そりゃ多く感じるだろうが少ないとも言える、学校の文化祭などで使うとしたら多いから何とも言えないがこの後2000発追加するときが楽しみである。

それはそれとして気になってたことがあるので聞いてみることにした

 

「そういえばアミィ先輩は?」

 

「あっ!」

 

「キリヲ先輩は今日ずっと見かけないのだ、これから探しに行こうとしていたところなのだが……」

 

「ふぅん…?」

 

ずっととなると別で何か作業でもしているのだろうか、魔インで確認してみるが既読もつかないので寝ている可能性もあるかもしれない。

 

「それで、今から探しに行くけどガイストさんもどうかな?」

 

「あー……ごめんなんだけど私無理かも」

 

「え、何かまだ予定あった?」

 

「そうじゃなくって……」

 

今俺が抱えている最後の問題である、イルマにタブレットを渡したのもこれが理由の一つとも言える。

 

「ここ数日全く寝てなくて本格的な開催まで師団室で寝てようかと……」

 

「おやすみなさい! クララ、付き添いお願い」

 

「りょうかい! ばけちゃん行くよ!おんぶする?」

 

「それくらいは大丈夫だからね……」

 

人間と比べると圧倒的に頑丈な悪魔の身体だとしても数日間連続の徹夜は流石にきついものがあった、おかげで間に合ったのもあるがちょっと無理したかもしれない。約束を少し破ってしまったのは反省だがおかげでいいものが出来たと思うので許して欲しいものだ。

 

クララに連れられて師団室に付くと、お泊り会をしたときに使った布団をまた敷いてくれたので遠慮なく休むことにした。

 

「じゃあ私は今から花火の準備の時間まで寝るから、間に合わなそうだったら起こしに来てね。」

 

「うん! ……ん?」

 

「んぅ? どうかした?」

 

「ここに置いてあった大きいの移動させたのかな…? まぁいいや!ほらばけちゃん無理したんだからゆっくり寝て!ね!」

 

「わかったわかった……じゃあおやすみ」

 

「おやすみ!」

 

そうして俺は一旦前夜祭の夜前まで寝る事にした。

まだ少しトラブルも残っているようだったがその辺はイルマ達に任せることにした、やれることはやれる人がやるのが一番良いのだ。全部自分だけでやるのは良くないのだ……

 

そんなことを考えているうちに深い眠りに落ちるのだった

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()…… まさかかくしんぼ……!」

 

そんな言葉は眠りについた俺には聞こえていなかった。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

「……ん」

 

この体になってからと言う物の少し寝るだけで好調になるようになった、とはいえ流石に数日の徹夜からなので絶好調とまでは言えないが師団(バトラ)披露(パーティ)の本祭終わりまでは持つ程度には体力も回復しただろう。

 

今は何時かを確認すると前夜祭も終盤と言ったところだった。

これから準備するには丁度いい時間とも言えるだろう。

 

「それじゃ、軽く顔をあらってパパっとメイクをして行こうかな……あれ?」

 

ドアを押して開けようとしたのだが開く様子がない、力を加えるがびくともしなかった。

 

「何か引っかかってるのかな? はしたないけどすり抜けさせてもらおうか」

 

全身に【霊体化】を発動させてドアをすり抜けようと進んでいくのだが

 

「……えっ、()()()()()()

 

どういうことがドアをすり抜けることが出来なかった

それだけではない、ドアだけでなく窓も壁も天井も床もどれも抜けることが出来ない状態であった。

 

「……まさかこれって」

 

ここで俺の家系魔術【霊体化】についておさらいしよう。

ほぼオフにしており体質のみ発動している第一段階、一部霊体化することで様々な部位に会った効果を発揮する第二段階、そして完全に霊体化して物理的な干渉を受け付けなくなる第三段階だ。

完全霊体化とも言える第三段階で触れられるものは二つ、それは()()()()()()となっている。

 

普通の壁なんかはすりぬけるし、魔具などで塞いだとしても魂の形を変えることで能動的であれば流動的にすり抜けることが可能である。

それが不可能となっているのが今の状況だ、つまり今俺は魔力の壁に閉じ込められている状態になる。

そしてこれを起こせる能力を持った悪魔に心当たりがある。

 

「アミィ先輩……これはあなたの能力か」

 

当然【保護(グラン)】や【保護繭(グランココン)】などで霊体化した俺を閉じ込めることは可能なのだが、それも一瞬だ。

長い時間閉じ込めることが可能なのは家系魔術を始めとした魔力消費の低い魔術のみ、もしくは魔力をため込んだ魔具を利用する場合のみだ。

もしかしたら位階(ランク)8(ケト)以上の悪魔であれば可能かもしれないが俺にこれだけの事をする理由がない。

 

理由があるとしたら常時悪周期とも言える元祖返りである彼が最も高い可能性だ。

 

何をするつもりかはわからないが俺を脅威と見て閉じ込めたのだとすると正直嬉しさがある、ならばこそだ。

 

「期待には応えないとね、アミィ先輩 私はあなたの脅威となろうじゃないか」

 

「といっても案外私が何もしなくとも何とかなるのかもしれないけどね?」

 

そうして俺は携帯を取り出して状況把握も兼ねて仲間に連絡を取るのだった。

 

*1
気球の上の膨らんでる膜の部分の事、風船部分

*2
3日前に突然電話で聞かされたムルムル先生は忙しそうだったとか

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