悪魔で霊な元人間   作:P223

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29 くろむとイルミのアクドルライブ

 

「我ら! イルミとゆかいな仲間たち!」

 

仕事も兼ねて来たくろむのアクドルライブ中にくろむが体調を崩したとかでトラブルが発生、暴動すらも起きる勢いだったが解決したという連絡があった。

対処をしようとも考えていたがやめ、待っていたら来たのがこれだ

 

……冷静に考え直してみたが、訳が分からない。

どうしてこうなったとしか言えない

 

正直、素人がいきなり大勢の観客の前でプロのパフォーマンスを???

 

無理無理無理無理

 

でもなぁ

 

「やってのけるんだろうなぁ、彼」

 

「彼?」

 

「あれ、会長気付いてないんですか? 男ですよ、あの真ん中の子 後左のデカいのも」

 

「嘘だろ……? となるとまさか本当に入間なのか…?」

 

「あ、やっぱり知り合いだったんですね 間違いなくイルマです、アレ」

 

「まじか…………まじかぁ」

 

頭を抱えてしまった、結構仲が良かったのだろうか。それとも、単純にバビルスの生徒が女装癖があると勘違いでもしてるのだろうか。

どちらにしても面白いのでほおっておくが

 

「あ、会長サイリウムあります?」

 

「あぁ、あるぞ 幾つか持たされた」

 

「余ってるなら貸してくださいよ、私仕事のついでで来たんで持ってないんですよね 物販行く時間もなさそうですし」

 

「いいぞ、ほら」

 

「どうもです」

 

二本のサイリウムを拝借、両手に持って準備も完了だ。

とはいえ、イルマが歌って踊るイメージが全くと言っていいほど無いのだが、出来るのだろうか?

設定(?)は森の妖精クラりんとシャイでクールなアリス*1と恥ずかしがり屋で秘密主義ののイルミの三人らしい……

 

何というか、元々女性のクララはわかるしアスモデウスはまぁ男だなってわかっていればわかる程度には低い声をしているがイルマ……もう完全に女だ、声とか仕草とか容姿とか

 

「あ、始まるみたいですよ 今は楽しみましょ」

 

「あ、ああ」

 

「い、いくよっ」

 

その言葉を合図としてBGMが鳴り出す、くろむが歌っている曲とは別のBGMのようで歌を歌う用でもなさそうだ。

 

現に、イルマ……もとい、イルミたちは歌は歌わないようで各々のパフォーマンスをしている。

 

クラりんは家系魔術の【呼び出し(トイトイ)】という能力*2で打楽器を取り出して演奏したりシャボン玉を飛ばしたりしながら持ち前の元気さでステージ上を飛び回っている。

アリスは得意らしい炎魔術を使って図形を描いたり、色を調整して煌めくメッセージボードのように紹介メッセージを表示したりしている。正直一番恥ずかしそうだが、イルミの為に頑張っている姿が応援したくなる

イルミはパフォーマンスらしいパフォーマンスは持っていないようだが、他の二人と連携してクラりんと踊ったりアリスの炎で回避パフォーマンスをしたりして沸かせている

 

「やるなぁ あれで多分素人ですよ、あの三人 凄いですよねー」

 

「あぁ…… 私はアレを素直に応援していいのだろうか」

 

「いいんじゃないですか? あれだって言ってしまえばただの表現の一つなんですし、自由な悪魔らしいじゃないですか」

 

「それはそうなんだが…… 少し複雑だ」

 

そう言うアメリ会長の表情は暗いながらも頬が少し赤らんでいる。

もしやそうなのだろうか? イルマなら可能性はあるだろう、いや、あって欲しい

これに関しては部外者の俺ならこれを聞くのも問題ないだろうし、面白い立ち位置に立てそうだ

 

「会長、もしかしてイルマの事好きなんですか?」

 

「好き…? あぁ好きと言われればそうだな」

 

思ったより反応が薄い、というよりこれはわかってない感じだろうか。

無自覚な恋心と言ったほうが妥当だろう、いやはやこれはこれで面白い。

となるとここは言うよりは流す方がいいだろう、それに魂視を切ってないので分かったがもう彼女が来たようだ

 

ヒュオオォォ…

 

「なんか寒くね?」「空調でも壊れたか?」

 

気温が数度下がる感覚がした、丁度これはついさっき感じたものと同じだろう。

この温度の原因はおそらく家系魔術の影響、そしてその家系魔術を持つものもきっと彼女だ。

 

パキィィン!

 

ステージの左上あたりから氷の坂が現れた、その頂点に見えるのは一人だけ

 

「いつまで 私のステージで暴れるつもりです?」

 

完全無欠のスーパーアクドル、くろむだ

 

「さ、本番ですね 会長も切り替えて楽しみましょ」

 

「そうだな、あれの事は一旦後にして今はこの瞬間を楽しむことにしよう」

 

そして二人そろって先程は振る機会の無かったサイリウムを構える

空気が変わった、一度はイライラが爆発しそうだった悪魔たちもイルミたちの活躍で鎮静化、そして今くろむが来たことで期待へと変わる

 

イルミたちが舞台裏に戻ろうとしたところをくろむが引き留めてイルミにマイクを握らせた。

……まさか歌えるのだろうか?正直、イルマがくろむの曲を聞いてるイメージは無かったのだが

 

しかし、くろむの表情に不安などが見られない事から俺も不安を捨てる、もしダメだったらその時はその時だ。二人のアフターケアくらいならRAIN(レイン)でも出来る。

 

~~♪

 

BGMが流れ始める、最初の曲は『キミの小悪魔黙示録』のようだ くろむの代表曲である。

 

「「悪魔たるもの油断は禁物 ある日突然ハートを奪われる」」

 

「「ズッキュン!」」

 

杞憂だ、杞憂だった これすらもイルマはやってのけるのか、彼は自信があまりないほうだが間違いなく持っている側の人間だ。

ならばアフターケアも不要、俺がやる事は全力で楽しむことだけだ。

 

声を出せ!

 

「ズッキュン!!」

 

「ガイスト!?」

 

会長が驚いているがそれは後だ

 

「あぁ かわいいあの娘は KOAKUMA 髪先触ってみる? スルリとエスケープしてあげる♪」

 

「はなしたい?」 「はいっ!!」

 

「触りたい?」 「はいっ!!」

 

「「そんなに言うなら遊んで ア・ゲ・ル♪」」 「ハイパーウルトラLOVERY くろむ!」

 

「好き? どうかしら 見抜いてみてよ」

 

「私のためなら魂だって捧げるでしょ?」 「もちろーん!」

 

「KOAKUMA KOAKUMA 君の事振り回してあげる」

 

「KOAKUMA♪」 「KOAKUMA-!!!」

 

ライブは大盛り上がりであり、俺たちを含める悪魔たちからも大歓声が上がる

これこそアクドルならではであり、俺のようなモデビルでは作り出せない光景だ。

これを普段からしているくろむも咄嗟ながらこなしてしまったイルミたちも尊敬に値するだろう。

 

その後も他の曲*3も何度かやった後にライブも終了した。

予定はもうないので帰宅してもいいのだが、くろむが心配なのでアメリ会長とは別れて控室へと戻る事にした。

 

「すみませんでした!!」

 

流石のアクドル、廊下まで声が聞こえてきた。

くろむも暴走してダウンしたことを反省しているようで関係者に謝罪して回っているようだ。

この様子だと大丈夫だろうが、挨拶ついでにマネちゃんを回収しよう

 

「お疲れ様でーす」

 

「あ、RAIN(レイン)さん お疲れ様です」

 

「マネちゃんも大丈夫だった? 皆忙しそうだったけど」

 

「私は設営とかじゃないですからね、普通に控えで見てましたよ」

 

「そっか」

 

それだけ話すとくろむの方に向かった、くろむは何かの紙を嬉しそうに抱えながらイルマ達と会話していた。

 

「くろむお疲れ、ライブ良かったよ」

 

RAIN(レイン)、貴女も対処してくれたのよね 本当にありがとう、助かりました あと迷惑かけてごめんなさい」

 

「いいよいいよ、友達だもんね それに、面白いものを見せてもらったし」

 

トモダチ…?とか言ってるくろむをほっておいてイルマ達の方を見る、彼らはもう衣装ではないようでバビルスの制服を着てしまっていた。

今は俺もRAIN(レイン)として認識阻害魔具を起動していない状態なので初対面として話す必要があるだろう

 

「君たちだよね? イルミちゃんとゆかいな仲間たちっての」

 

「えっ!? イヤソンナコトハナイデスヨ?」

 

「嘘下手だなぁ ライブは初めて? もちろん出る方ね」

 

「……はい」

 

押しに弱い。

にしてもやはり初めてのようだが初めてであのパフォーマンスが出来るとは、天才としか言えない。

 

そういえば気になったのでくろむに耳打ちで聞いてみる

 

「にしても何でここにイルマが?」

 

「なんか放送師団(バトラ)からチケットを貰ったんだって、トラブルが無ければ一位だっただろうからってさ その上で交流イベントにも当選するしでここに来たらしいわ 人気アピで嫉妬しちゃうわよ」

 

「何それ私聞いてない 同じ師団(バトラ)なのに ……あぁ、それで感情不安定で暴走を」

 

「それだけじゃないけどね、でも私も甘かったわ もっと感情の制御くらい出来ないとやっていけないわね」

 

それだけ話すとイルマ達との会話に戻った、くろむは他のスタッフに呼ばれたのでそちらへと向かう

 

「そういえば貴女は?」

 

「私はモデビルのRAIN(レイン)、くろむとは知り合いで良く一緒に仕事をする仲 よろしくね」

 

「よろしくお願いします! ところでモデビルとは…?」

 

「新しい服とかを着て写真撮って貰ったり、商品の紹介をしたりする仕事だね 後はファッションショーに出たりなんかもあるよ」

 

「……ああ!モデル!」

 

隠す気はあるのかイルマよ

ともかく他の二人とも自己紹介をしたが俺がレイラだということはばれてなかったので一安心。

別に言ってもいいかも知れないが、それでくろむの正体バレに繋がると申し訳ないので仕方ない。

 

その後イルマにサインをねだられたり、仕事後の食事にイルマ達も付いてくることになったりなんかもあったが、トラブルもなく無事に一日が終わった。

珍しい仕事から珍しいものを見れたりなんかもあってなんだかんだ楽しい一日だったと言えるだろう

 

 

 

そういえばアメリ会長にサイリウムを返し忘れたことに気が付いたが、同じ学校だし連絡先も聞いてないので後々学校で返すことにしようかな。生徒会室にいるだろうし

 

 

*1
アスモデウスの名前らしい、アスモデウスは家名である

*2
自分が認識しているものを複製して産み出せる能力

*3
流石にくろむ単体だった




アニメだとキミの小悪魔黙示録は2番以降もちゃんと放映してくれてるの良いですよね、見ましょう(ダイマ)

何ならクララの家とかの原作では歌ってないシーンでもガッツリ歌いますからね、やっぱNHKはちげぇぜ!
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