悪魔で霊な元人間   作:P223

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3 野次馬上等!特待生VS首席

 

「いやぁ~、面白かったねぇ!」

 

「レイラってこういうの好きだよね。」

 

「わかる、でも私もちょっと興奮したかも。やるわねイルマくん」

 

特待生挨拶の興奮がさめぬまま入学式も終了した、俺とエイコとガーコの三人は帰る前に学園内を少し歩こうということになって散策中である。

 

「クラス一緒になれるといいね」

 

「そうだねー、私もレイラとガーコと一緒がいいもん」

 

「嬉しいこと言ってくれるわね、私も同感よ」

 

そんなこと言いながらきゃいきゃいとしていると、他の一年生の話が耳に入って来た。

 

「中庭で首席と特待生が殺し合いだってよ!」

 

「面白そう!どっちか死ぬかな!?」

 

イルマくんとアスモデウスが、ねぇ?

 

「聞いた?」

 

「聞いた聞いた、行きたいって顔に書いてるよレイラ」

 

「着いてくわよ、私も気になるしね」

 

理解のある友人で俺も嬉しいよ

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

ドォンッ!!という音が鳴り響く中庭に到着した俺たち

決闘は既に始まっているようで人だかり(悪魔だかり?)が出来ていた

 

「やってるねー」

 

「悪魔がいっぱいで見えるかな?」

 

「ちょっと前の方に行こうか」

 

そんな事を言いながら悪魔をかき分けて、どうにか前まで出ることが出来た。

しかし状況がまだわからないので、近くにいる悪魔に状況を聞くことにした

 

「そこのお悪魔(ヒト)、今どんな状況?」

 

「ん?あぁ、アスモデウスが特待生に火球を乱射してるんだよ、特待生の方は何も出来てないな」

 

「おい、よく見ろよ。全然当たってねーぞあれ」

 

「マジ?」

 

まだ始まってそんなにたってない感じで、どちらも無傷のようではあった

 

「ありがと。良かったー、まだ始まったばかりみたい」

 

「だね、それにしてもあのアスモデウスって悪魔(ヒト)の火球凄くない?」

 

「凄いね、どれだけ練習したのかわからないけどかなりの連度だよ。それに無口頭だし」

 

アスモデウスの火球は通常の炎呪文ラファイアに通ずるものだろうが、一般の悪魔のそれと比べても圧倒的に高度で強力なのが分かる。当たればひとたまりもないだろう

それが難易度の高い無口頭呪文で行使できるあたり流石主席というべきか。

 

「でも、あのイルマくんも負けてないわよ。全て身一つで完璧に回避してるもの」

 

「そうだね、身体強化系の家系能力なのかな?」

 

アスモデウスはそのまま休みなく火球を放ち続けるが、一向にイルマに当たることは無い。

アスモデウスがむきになったわけでもないのにイルマは実に俺たちが来てから十分以上の時間の間無傷で逃げ切ることに成功していた。

 

「きっ貴様、なぜ当たらない…!?」

 

「すっすみまっ すみません……」

 

両者とも長時間の激闘だったのだろう、完全に息は上がっているようだが息の切れ方から察するに余裕がまだあるのはイルマの方だろう

 

「凄いね、どっちも」

 

「うん、でもどちらが凄いかというとイルマのほうが圧倒的だ」

 

「レイラ、それってどういう事?」

 

「一つは単純に体力、首席はもうかなりバテてきているがイルマくんの方は余裕が見える」

 

「確かに、アスモデウスの方はぜえぜえ言ってるけどイルマは少しハアハア言ってるだけだ、なんならもう普通ね」

 

「もう一つも体力関連だけど、ずっと主席が攻撃してるでしょ?それをイルマくんは回避し続けているわけだけど、簡単な事じゃないよあれ」

 

避けるってことはその分身体を大きく動かすわけで、あまり動く必要のない攻撃手(アスモデウス)と比べたスタミナの消費量の差は圧倒的だ。

それに、明らかな害意を持った攻撃を避けるってのは結構神経を使う物だ、それを加味した場合の彼我の差っていうのは考えるまでもないほどである。

 

そんなことをエイコとガーコに説明していると、先ほどの男子生徒も聞いていたのだろう軽く口を開いていた。

 

「へぇー、特待生(イルマ)すげぇんだな」

 

「さっきの子が言うに攻撃したほうが楽なんだろ?じゃあ舐めプしてんのあいつ?」

 

「そうじゃね?上下関係を教えてやってんだろ、おもしれーな特待生(イルマ)

 

その言葉はアスモデウスの耳にも入ったのだろう。

彼の顔は屈辱の色に染まる。

 

「私など…攻撃するに値しないということか…ッ」

 

「いえいえいえいえ!!!」

 

「僕なんかほんと虫ケラみたいなもので「てめーは虫ケラだってよ!」

 

「さっさと尻尾まいて逃げろとさ!」

 

「いいぞもっと()れーっ!」

 

思った以上に盛り上がったようだ、イルマくんの顔色的に多分そんなつもりは無いんだろうけど面白い方向に進んだなぁ

 

「おほほ…ちょっと楽しい」

 

「レイラったら……痛っ」

 

熱狂した悪魔に押されてエイコが転んで前に落ちてしまった。

 

「エイコ大丈夫?ほら「ッッッ何たる侮辱!!!」

 

「魔術が効かぬなら武術でねじ伏せるのみ…!!」

 

アスモデウスが炎を操り剣の形に変形させた。

 

「八ツ裂きにしてくれるッ」

 

そのままイルマの方へと駆け出すが、イルマは上手く受け流す

 

「えっ」

 

それは誰の声だったか、()かエイコかガーコか、それまた別の悪魔か。

私たちの方へと焔の悪魔(アスモデウス)が迫る。

このままではまずい、エイコを担いですぐにでも離れなければ。

 

周りを焚きつけた罰だとでもいうのか、だとしても私だけでなくエイコまで巻き込むことは無いだろうに

なんにせよアスモデウスの顔は正気ではない、このまま無事ということは無いだろう

せめてエイコだけでも守り通すべきか、そう思いかばおうとしたその時だった。

 

「キャアアアァァァ!!!()()()避けてぇ!!」

 

ガーコの声でハッとする、エイコだけが無傷なんじゃ意味は無い。

私とエイコの二人とも無事で初めて皆で笑顔でいられるのだ。

しかし、エイコも私も姿勢が崩れた状態で避けることも出来そうにない。

……だが素直に受けるつもりもない!

 

 

「【保護(グラン)】!!」

 

基礎の防御魔術、バビルスに入る前から練習していた魔術の一つだ。

保護膜の様に障壁が広がり、私とエイコを守ってくれる。

 

 

ガキィィィイン!!

 

 

私の【保護(グラン)】とアスモデウスの炎の剣が衝突する。

私の実力ではアスモデウスの炎に及ばず、【保護(グラン)】にヒビがはしる。

アスモデウスの顔には怒りがあり、前が見えていないのか力が弱まる様子もない

 

まずい、もうだめかもしれない。そう思った時だった。

 

「まって!」

 

アスモデウスにイルマが飛びついた。

そのままの勢いで二人は角度を変え。地面の方へと衝突する瞬間。

 

フワッ

 

二人の身体が宙に浮く。そして

 

 

 

ドシャアアアァァァッ!!!

 

 

 

轟音と共に二人が叩きつけられた音がした。

 

舞い上がった砂煙が晴れたその先には、それはそれは見事な……

 

 

「────ジャーマン・スープレックス…」

 

 

ウオオオオォォォォ!!!!

 

禁忌呪文を詠唱したときにも劣らない程の歓声が響く、奇しくもその中心まで引きずり出されてしまった私とエイコは気絶したアスモデウスの顔と現実逃避をしたイルマの顔をしっかりと見ていたのだった。

 

「レイラ!!エイコ!!」

 

落ち着いた()が【保護(グラン)】を解くと、ガーコが駆け寄ってきた。

 

「大丈夫!?怪我はない?」

 

「うん、大丈夫。レイラが守ってくれたから。それに…」

 

そういうエイコはイルマくんの方を眺めている。

自業自得とはいえ九死に一生を得たのは彼のおかげ。それは俺にとってもそうだが、エイコの顔は感謝だけのものではないだろう。

吊り橋効果か助けてくれた姿にときめいたのかはエイコにしかわからないが、なんにせよ

 

「もしかして、イルマくんに惚れた?」

 

「エッ!?!?いやそんなことはないよ????ナイヨ!」

 

「照れ隠し下手くそね」

 

「ね」

 

エイコも怪我はないようで良かった。

そんな時

 

「あの、すみません。大丈夫でしたか?」

 

イルマくんがこちらに話しかけてきた。

罰の悪そうな顔をしているので、罪悪感を感じているのだろう。

 

「あっいっイルマっっピャッ」

 

惚れたてエイコは倒れた。恋に恋する女子の彼女に早速の推し(イルマ)の供給には耐えられなかったのだろう。南無

 

「えっ!?大丈夫ですか!?やっぱりさっきのでどこかぶつけたんじゃ!?」

 

「あー、大丈夫大丈夫。そういうのじゃないから。ね、ガーコ」

 

「うんうん、ただの持病ってやつよ。恋の病って言うね」

 

「こい…?とりあえず、何ともないとしても医務室まで運んだ方がいいと思うんですけど、僕も彼を運ばないといけないし…」

 

彼というのは先程からノビているアスモデウスの事だろう。

 

「そうだね、手伝うよ。【重力操作(フラクタル)】」

 

「今のは?」

 

「軽くする呪文。持ってご覧」

 

「わっ!軽い!ありがとうございます!!」

 

「おおう」

 

太陽のような笑顔で笑ってくれちゃって…俺が元男じゃなかったら落ちてたぞ。

こりゃイルマくんはこれから色んな女の子を落とすぞー?エイコ、敵は多そうだ。頑張れ!

声には出さないけどね。

 

 

 

ぐらぁっ

 

 

視界がぼやける、急の事で気を張っていたんだろう。

安心感と共に魔力制御が少しぶれてしまった。

と言ってもぼやけたのは一瞬で既に視界は良好。ただ、魂視(スピリット・レイ)が暴発してしまった。

まだ慣れていないそれを戻すのはちょっと手間だったりする。

情報量が多すぎる以外に負担も特にないので運び終わったら戻すことにした。

 

「あれ、どうかしました?」

 

「いや、大丈夫。さっさと二人を運ぼう……えっ」

 

いやいや、そんなことがあるのか?

彼はあの三傑のサリバンの孫だぞ?

 

「じっと見られると怖いんですけどぉ……」

 

「……冗談だろ?」

 

「何が!?」

 

「レイラ?」

 

あの特待生が、禁忌呪文を唱えた彼が、大悪魔サリバンの孫がまさか……

 

 

 

 

 

 

 

人間のはずがない。





主人公の見た目を記載する回はかなり後になりそうなので簡単に書いておきます

腰までの長さがある白っぽい紫髪で後ろで高く結んでいる感じです(ポニテ大正義)
切れ目でまつ毛ばっさばさ、瞳の色はアメジストのような紫色、爪も同様に紫です。
趣味は旅行(キャンプ)と魔具制作、ショッピング。
身長は163cmなので入間君(158cm)よりちょっとだけ大きいです
羽は特殊な見た目で尻尾は一般女悪魔と同じハート型です

他の要素はちょっとずつ出していけたらなって感じで
ファンブック風の設定も書いてあるのでいずれどこかで公開できればなと思ってます。
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