悪魔で霊な元人間   作:P223

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32 スナップショット入間くん 後編

 

今俺たちは魔界のショッピングモール"邪音(ジャオン)モールに来ている"朝から色々見て食事も終わったところでまた再開しようかというところである

 

「食べた食べた、じゃあまた回る?」

 

「そうだね、アズ君とクララもいいよね?」

 

「はい、いつでも大丈夫です」

 

「いいよ!」

 

「エイコもいける?」

 

「……ん? うん」

 

そう言いながらもエイコはカメラを操作している、多分これは聞こえてない

なので目隠し

 

「わっ! なにすんのレイラ!」

 

「もう行くよって、みんな準備出来てるよ」

 

「え? あ! ごめんなさい!」

 

いそいそと荷物をまとめてエイコも準備した

全員準備完了したので再開だ

 

「じゃあ次はどこ行こうか」

 

「では僭越ながら、私が」

 

「アズ君、どこか行きたいところあるの?」

 

「先ほど、食事の際に時間が空きましたのでフロアガイドを確認しておりました、その中で気になったものがありましたので 良ければ入間様とご一緒できればと思いまして」

 

「そうなんだ! みんなもいいよね?」

 

「もちろん」

 

そんなわけでアスモデウス先行で行きたい店に付いた。

 

「ここです」

 

「へぇ~ ……ここ?」

 

「眩し」

 

「ギラギラだ!」

 

アスモデウスが案内したのは魔界でも屈指のブランド店、MUGUCCIだ

本来こんな店に学生である俺たちがいくのは場違い……とも言えない、なんせ過半数が貴族以上なのだ。

 

とはいえ俺もモデビルの仕事でこういう服を着ることもあるが、中々個人では来ることが無いのも事実、イルマもきっとそうだろうが何故アスモデウスはこの店に案内したのだろうか。

 

「こちらの店なのですが、ブランドではありますが我が家が出資してますので一つだけではありますがお手頃価格で購入可能となっています。 入間様以外のみんなも一度こういう店で買い物をする機会があっても良いかと思いまして案内させていただきました」

 

「そうなんだ…! ありがとうアズ君!」

 

株主特権のような物だろうか、なんにせよ聞く限りではどう考えても赤字になる程にかなり安くなっておりエイコでも一つくらいなら問題なく買えるようだった

 

「レイラ…! 私、こういう店初めてなんだけど!?何が何だか……このかばん高っ!?」

 

「そんなに気を張らなくても大丈夫、高級店ってのは店員もちゃんと教育されているからこそなんだから 分からなかったら聞けばいい程度に考えておきな、私も横で付いてるしね」

 

「う、うん」

 

因みに、この店は撮影不可だったのだがアスモデウス家の特権で許可が取れた。

アスモデウス様様である。

 

さて、安いのであれば俺も一つ買っておくことにしようか

普段は流石にここまで高価なアクセサリーなんかを買う機会はそうそうない、家にも貴族会(デビラム)用に一つある程度だ

幾ら貴族でモデビルという金が集まる状態であってもン十万からン百万まで行くものは買えないし買わない。それを買うくらいなら魔具の素材を買う。

 

イルマ達は何を買うつもりなのかと見てみる

 

「アズアズ見てー! ブリリアントクララ!」

 

「あほか貴様はッ!! すぐに戻せッ!」

 

「あはは ……あ、店員さんごめんなさい」

 

イルマ達はイルマ達ではしゃいでいるようで何より……何よりか?高級店でここまではしゃぐ客は店員も大変だろうが、これも仕事として割り切ってもらいたい。

俺たちは俺たちで見ているが、逆にエイコが空気に呑まれて借りて来た猫状態になっている。普段服を買いに行く時はテンションが高めな分レアな姿だ。

 

「これとかどう?」

 

「……もうね、どれもこれも見たことない値段過ぎて買えるって聞いてもどれがいいのかわかんなくなっちゃった」

 

「あるあるだ……」

 

今世はともかく前世では俺もそうだった、前世で買った中でバイク以上の高額なものは無いし服なんかユ〇クロとかで十分という感覚だった。

そこまでとはいかずとも良すぎる物ってのは一般人にはわからないものだ。

 

「ブランド品ってね、別にそこまで見た目の為に買うんじゃないんだよね」

 

「そうなの?」

 

「うん、すぐに分かるけど柄とかで見たらそこまで多い訳じゃないしね 高機能なものとかだと別だけどそれも見た目でって訳じゃない」

 

「じゃあなんでこういうのって買うの?」

 

見栄(みえ)だよ、自分はこれだけの物を買えるんだぞっていうステータス誇示の為に買うのが大半。 ま、もちろんそのブランドのデザインが好きで買うのもいるけどね」

 

正確には長持ちするとか、高級ならではのデザインってのもあるが多くは見栄の為だろう

 

「そうなんだ…… それでいつも持てる鞄とか時計が良く聞くのかな?」

 

「多分ね、だから今は買うって行為だけを考えたほうが良い 持ち歩くってのはそれだけのステータスを要求されるからねー」

 

「へぇ……じゃあこの鞄にしようかな、大人になったら使うって感じで」

 

エイコが選んだのはMUGUCCIの代表とも言える鞄だ、折角なので俺も同じものを買うことにする、モデビル中ですら使わないとは思うのでエイコと同じく大人になってからの楽しみだ。

ガーコのは……大人になったらエイコと共同でプレゼントしてみるのもいいかもしれない

 

そんなわけで俺たちもイルマ達も購入が完了したので店の前でみんなで買ったものを持って写真を撮り、退店。

 

最後は俺が行きたい店だ

 

「というわけで到着」

 

「ここは? 旅行用品店?」

 

「そうだよ、小型の懐中電灯から超大型のテント さらにはログハウスすら購入可能な旅行グッズなら何でもござれな大型ショップだよ!」

 

ここは俺の趣味の一つであるキャンプをする際に世話になる事の多い店…の系列店だ。

イルマは知らないがエイコは俺とキャンプに行くこともあるのでまずまずで、アスモデウスに関してはその出自から行ったことがないだろうということでチョイスした。

 

「どうよアスモデウスくん、こういうのは」

 

「確かに私はこういう店は来ないな、今日はそういうのばかりだが」

 

「きみの家ってこういうモールに来るイメージないしね」

 

「まぁな、我が家は服一つとってもオーダーメイドが殆どだし、買ったりするのも予約して店に行くのが多い。 それこそさっき行ったMUGUCCIなんかが大半だ」

 

「ブルジョワだねぇ 私の家も貴族の家系だけど割と来るんだけどな」

 

「こればかりは家の格というよりは家主の好みの問題な気もするがな」

 

「あぁ、アムリリス様って色頭(しきがしら)って言われるくらいに何時もキラキラしてるしね」

 

「今まではそれが普通と思っていたが、今日の出来事で多少は改めることが出来そうだ、感謝する」

 

そういうアスモデウスには少し驚きだ、イルマ相手以外でこういう素直に感謝をするやつとは思っていなかったといえば失礼だろうが、事実そう思っていた。

その認識は改める必要があるようで、ちゃんと感謝が出来るものであったのだ

 

「そっか、ごめんね」

 

「? なぜ急に謝った?」

 

「こっちの話 今日は私も皆の色んな面が見れて楽しかったな また良かったら来ようね」

 

「ああ、私も今日は楽しかった また来よう」

 

そんな会話をしながら俺とアスモデウスでイルマ達の方を見るが、そちらもとても楽しそうで笑っていた。

 

そんなこんなで帰る時間となったのでモールの入り口まで戻った。

 

「今日は楽しかったね、ありがとうレイラさん!」

 

「イルマくんも来てくれてありがとね、ほら、エイコも」

 

「うん、イルマさん!!!」

 

「わっ! 大きい声出してどうしたの?」

 

「本当にありがとうございました!」

 

「うん、そうだね また来よう」

 

「それだけではなくて! 入学式、助けてくれてありがとうございました!!! ずっと、ずっと言いたかったんです!」

 

「入学式?」

 

「ほら、覚えてる? イルマくんとアスモデウスくんが決闘したときの話、私もその場にいたんだけどね」

 

「決闘……あっ!あの時の女の子!」

 

エイコはあの時、イルマがいなければ俺もろとも大怪我を負っていたはずなのだ

それから守ってくれたイルマはエイコにとってずっとヒーローである、いつもお礼が言いたいと耳にタコができる程に聞かされたのだ。

その礼を言うことが今日の最後の目的だった。

 

エイコは感極まって泣いてしまっているが、その表情は晴れやかなものだ。本当に良かった。

 

「うん 無事でよかったよエイコさん」

 

「ありがとうございます……っ!」

 

「これからもよろしくね、また遊ぼう」

 

「……はい!」

 

エイコの大きな目標が終わった一日、そして友情の輪が広がった一日

また、こんな一日を過ごそう そう心に願ったのだった。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

時は経ち、とある日のこと俺は生徒会室に来ていた

 

「すみません」

 

コンコンとノック

 

「入っていいぞ」

 

「はい、失礼します。 生徒会長に用があってきました」

 

「お前は……丁度いい、私もお前に用があった」

 

目の前にいるのはアザゼル・アメリ我らが生徒会長である。

俺は彼女に借りていたサイリウムを返しにこの場に来ていたところだった。

丁度他の生徒会役員はいないので都合がいいだろう

 

「これ、借りていたものを返しに来ました」

 

「む……これは…! ということはお前が」

 

「その後はオフレコでお願いします」

 

「そうかわかった、用件はこれだけか?」

 

「はい」

 

実際これだけなのですぐに出るつもりだったのだが、会長側も俺に用があるようだった

 

「それで、アメリ会長の用とは?」

 

「あぁ……魔具研究師団のお前には伝えねばならん事だ ──魔具研究師団は活動休止となる」

 

「──はい?」

 

トラブルとはいつも油断している時に来るものだった。

 

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