特待生のイルマがまさか人間の魂を持ってるなんて思わなかった。
あの後父に人間の魂を持つ悪魔が居るのかと聞いたが、俺のような例はともかく純粋な人間の魂を持つ悪魔はいないとの事。
突然変異なら良いが、そうでない場合は……
「レイラおはよっ!」
がばっと背中から抱きつかれる、爬虫類のようなひんやりとしているが手入れが行き届いてすべすべな感触は1人しかいない
「ガーコおはよう」
「考え事?浮かない顔してるわよ」
「ちょっとね、特待生のことで思う所があったって感じ」
「もしかしてレイラもイルマくんに惚れた?」
「エイコの彼氏候補に惚れるとかないない」
「そっかー」
ガーコはあまり他人に話せる内容じゃない事を察したのか、それ以上は聞いてこなかった
俺はガーコのこういう気が効く所が好きだったりする
「2人ともおはよー」
「「おはよう、エイコ」」
「聞いた?今日は使い魔の召喚をするんだって!」
「使い魔かー、どんな子になるか楽しみだね」
「可愛い子がいいなぁ」
使い魔かぁ、前世ではペットを飼っていなかったので上手く世話が出来るかわからない。
こんな事なら犬か猫くらい飼っておくべきだったかもしれないな。
まぁ、どんな子だとしても愛を持って接すれば大丈夫、だと思いたい。
「あっ!あれって!」
エイコが嬉しそうな顔をしており、その視線の先には二人の悪魔がいた。
いや、それは少し語弊かもしれない。
一人は入学首席のアスモデウス、先日の一軒の時とは違い確かな冷静さと気品を感じさせる佇まいだ。
もう一人はこの俺の最近一番の悩みの種。
「い、イルマさ……」
ズドンッ!
銃声とも間違えそうなほどの音を立てて、扉が開かれる。
「粛に」
その一言には力があった、イルマの禁忌呪文のように好奇心での沈黙とは違う。
単純な抑圧による支配。それにより、この場の悪魔たちの注目を集め発言権を奪った。
「監督官の"ナベリウス=カルエゴ"である」
「この行事は常に私の担当だ、なぜか?」
「私が常に厳粛であるからだ、貴様らが使えないゴミかはたまた使えるゴミかを判断する。」
「例えば」
カルエゴ卿がコツコツと足音を鳴らしてこちらへ近づいてくる。
俺の
「祖父の威光を借りて栄えある場で下品な呪文を唱え、あまつさえその日の内に乱闘騒ぎを起こすようなゴミがいたら」
「即 処分対象である。」
その人物はもっとも有名な一年、イルマであった
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「は、話せなかった……」
「どんまいエイコ」
「せめてイルマさんに感謝の一言くらい言いたいのにぃ!!」
あの後トラブルもなく、カルエゴ卿による使い魔召喚の説明が行われた。
エイコがイルマに話しかけようとしたものの、傍にいるアスモデウスの事もあり中々近づけないままである。
「にしても、あの主席が見事なまでに取り巻きになったなぁ」
「性格変わりすぎよ」
「いや、変わってない!あれ見てよ!」
エイコがやや睨みがちにアスモデウスの事を見る。
「貴様ぁ!許可なくイルマ様の前を歩くな!!」
「アズ君!?」
なんていうか忠犬というか狂犬というかそんな感じになっている。
まだ短い間しか知らないがどう見てもおかしい
「変わってるじゃん」
「あの怖さはあの時から変わってないよ……恐ろしい、エイコのトラウマです。イルマさんにもっと近づきたいのにぃ…」
「あーそういう事ね」
苦手意識が出てしまったって感じかな、この様子だと火炎魔術にも苦手意識が出てるかも。
今度確認しとかないとね
そんなことをしているうちに俺の番となった。
「次!」
「あ、私の番だ。行ってくるね」
「「いってらっしゃい」」
エイコとガーコは既に召喚が完了している、二人共可愛い使い魔を手に入れたようで実に良かった。
俺の使い魔、どんなのが来るんだろうか
「貴様はガイストか」
「お久しぶりです、カルエゴ卿」
カルエゴ卿の家のナベリウスとは家系能力の関係から少し関りがある。
彼とも幼少期の頃から何度か会っているため軽く挨拶を交わす程度の仲ではある
自他ともに厳しい彼ではあるが、それは規律上での厳粛さであるだけであり彼自身は優しい悪魔だという事を俺は知っている。
なので俺は彼の事を気に入っている、結構なイケ魂だし。
「お父上は息災か」
「ええ、カルエゴ卿もお変わりないようで」
「結構、ではさっさと召喚をしろ」
「はい」
無駄な行動は彼を怒らせる、効率よく厳粛に使い魔の召喚を実行しよう。
1. 羊皮紙に血で丸を描く
いつも思うがこういうのって痛いのに良くみんなやれるよね、俺はいつもこういう時は怖くなる。やるけど
2. 魔法陣の中へ
専用の魔法陣、カルエゴ卿が作ったのだろうか
3. 羊皮紙を中央の蝋燭にくべる
もくもくと煙が上がっている、この煙は形を変えていき…‥変えていき…?
「あの、煙が消えたんですけど?」
「そうだな」
「使い魔は?」
「稀にだが、使い魔の召喚に失敗することがある。残念だが使い魔による評価は…何?」
カルエゴ卿が虚空に向かって話しているように思える、おそらくケルベロスと会話をしているのだろう。
「おいガイスト、家系能力を使え。」
「家系能力を?幽霊化するんですか?」
「好きにしろ、必要なのは目だけだがな。」
「目?なるほど
言われたとおりに
カルエゴ卿の魂が見えるようになる、その隣にはとりつくように犬の霊がいることも分かる。
これが彼の家系の
そんな事より、もっと目の前に見える物の方が驚きだった。
「これは…魂?初めて見るような、なんだろうこれ」
「ウィスプだ、目に見える魔獣とは違い常に身体が透明な生物だ。ふむ、そういう事なら大丈夫だろう。次!」
次の悪魔が呼ばれたので俺は二人の元に戻る。
それにしてもウィスプか、聞いたことがある。と言っても聞いたことがあるのは前世である。
火の玉とかの幽霊や精霊あとは光の球体だったかそういうやつだ。ウィルオウィスプとも言ったっけ?
「あ、レイラお帰り」
「どうだった?」
「召喚は出来たんだけど…」
二人に召喚した生物について伝えることにした
「「ウィスプ?」」
「そ、結構レアな魔獣らしいよ。私も
「レアなんだったら評価もいいんじゃない?最初の
「かな、とりあえず今日は帰ってからウィスプについて調べないと交流も出来やしないよ、鳴き声すら鳴かないんだよねこの子」
「それはちょっと寂しいかも、色々わかったら使い魔同士の交流もさせたいね」
「「わかるー」」
エイコの言うとおりで使い魔も生きているのだから他の使い魔との交流もさせてみたい。何も戦闘だけにか使えないなんてことはないだろうし、交流が息抜きにもなると思う。
ワッ
悪魔たちの歓声が上がる、誰かが召喚で凄いのを出したのかと思わず見ると丁度アスモデウスの召喚だったようだ。
「おっきいね」
「そうだね、あれはゴルゴンスネークだったかな。確か結構危険な大蛇だね、石化とかも出来るとか聞いたよ」
「石化!? 怖いなぁ…」
エイコはアスモデウス使い魔ってのも相まって苦手かもだが、俺はゴルゴンスネークはカッコいいので好きだ。
魂も気高さを感じるあたり上手く使えば相当な戦力になるだろう
アスモデウスもその結果に満足しているようで、イルマに嬉々として報告をしている。犬の尻尾がぶんぶんと振られている様が目に見えるようだ。
「次!!」
「あ、僕の番だ」
「頑張ってください、入間様!」
「イルマさんだ!!せめてあの雄姿を残せればなぁ」
「カメラでも買ったら?」
そうしているうちにイルマが魔法陣の前に立った。
皆期待の眼差しで彼を見ている、かくいう俺も彼がやらかすことには期待しているが。
それにしても彼は推定人間*1だがそもそも使い魔を召喚できるのだろうか?
イルマが羊皮紙を火に近づける。
すると煙が出て……何か様子がおかしくない?
ビカッ!!
「えっ」「はっ!?」
眩い光が放たれる、そしてズズズ...と魔法陣から何かが生えてきた。
「出た!こっ…これが僕の──」
!?!?
か、カルエゴ卿の上半身が魔法陣から生えてきた!?
「「はあぁあぁあああーーーー!?!?!?」」
「こっ これってまさか…」
我が家の歴史には人間の魂を多かれ少なかれ持つものが産まれることがある。その為資料にも少し残っていたのをふと思い出した。
使い魔召喚と双璧をなす召喚法、それが悪魔召喚だ。
本来悪魔が悪魔を召喚することは出来ない、使い魔召喚というものは従属可能な生物を召喚・使役する儀式なので同種族に位置する悪魔を召喚出来ないのも道理である。
しかし、悪魔を召喚することが出来るものがいる。
それが
我が家の中でも人間の魂が強いものが他の悪魔を召喚したことがあるという話もあるにはあった、その後殺されたらしいが。
「何だこれはっ 一体何をした貴様ぁ!?」
「僕にもさっぱり…!!」
カルエゴ卿も流石にこの状況では冷静に離れないのか対処を上手くできていないのだろう余裕がない感じだ
「とにかく今すぐ召喚をやめろ」
「はいっ!!」
「ぐぉあああああ!!ちぎれるちぎれる!!」
「ふはは、面白いなぁイルマくんは」
「イルマさん大丈夫かな…?」
「大丈夫でしょ、多分。ほら引っ張ってるし…あれ」
何を考えたのかイルマが魔法陣にカルエゴ卿の足を魔法陣の方に押し込んだ、確かにこれでも抜けられるんだろうけど儀式が成立するんじゃ…
ぼふんっ
「なっ せっ せんせっ」
煙が無くなった先にいたのはまるまるとして、ちいさくて、なんかふわふわで……
「ひよこ?」
「かわいい…」
「あれ、カルエゴ先生かしら?」
あ、多分カルエゴ卿と思われるひよこが気絶した。
「先生ーーーーーッ!!!」
「先生大丈夫ですか!? というか先生なんですかっ!?」
「ばかな… こんな… こんな……」
気絶したようでしていなかったカルエゴ卿っぽいひよこがプルプルと何か言っている。
「感服致しましたッ!!」
「まさかカルエゴ卿を使い魔にしてしまわれるとは…」
「やはり内心ではカルエゴ卿の態度にお怒りだったのですね!素晴らしい見せしめです!!」
「ちがうちがうちがうちがう!!!」
「ふざけるな貴様ぁあああッ!!! 今すぐ契約を解除しろッ」
「さもなくぶぇああああああああ!!!!」
あ、
今後話しかける時に笑わないように気をつけないといけないなコレは。
うん、だから今は仕方ない。今ならきっとバレないからね……
「ふ……ははっうははははははははははっっっ!!!!」
ああ、彼はコレからどれだけの事をするのだろう。
彼が人間だからじゃなくともきっと面白いことがいっぱい起こる。
それを特等席で見てみたい、そんな欲望が出来てしまった
これからの学園生活がとっても楽しみだ。
ところでウィスプの事どうしよう?父に聞けば何かわかるかな?