「レイラー!勉強教えて!」
「エイコ勉強出来るじゃん、いつも通りやりなよ」
終末日という名の夏休み前、バビルスでも学期末の期末テストもとい終末テストの時期まで数える程となった
一年三席をキープする為にも俺は普段から勉強は欠かさずやって来ているが、そうでないものは焦りに焦る時期ともいえるだろう
そんな中エイコとガーコと言うと、どちらも問題ないのだ
ガーコは大体何もしないでも学年平均をキープしているし、エイコに関してはかなりできる方なのだ。
入試の段階でも確か15位とかで普段の雰囲気からは想像できないのだが
実技の方はそこまでだったが、最近はカメラの腕を上げるために運動しているようで身体能力の方はかなり向上しているので今後が楽しみである。
「レイラって教えるの上手いでしょ!それを教えてほしいの!」
「え?何?どういう意味?」
「教え方を教えてって話!」
「はぁ?」
教え方を教えるとはどういう事だろうか、エイコは教師でも目指す事にしたという事なのだろうかそれか家庭教師のバイトでも始めるつもりなのかもしれない
「エイコ、その言い方じゃ理由がレイラに伝わってないわよ」
「ガーコ、理由って何の事?」
「それはエイコから言うべきよ、ほら」
「うん……えっとね? ………イルマさんに勉強を教えたいなって思いまして」
そう言ってス魔ホを取り出してメッセージを見せてくる。
連絡元はアスモデウスのようで、イルマ達と勉強をしている等の話が自慢げに記載されている
「なるほど、イルマくんって勉強苦手だったんだ」
「そう! それでイルマさんに二人っきりで勉強を教えればなんかこう……いい感じになるかもしれないじゃん!?」
「まぁそういう話もあるね……」
この魔界ではそう簡単に手に入らないものではあるが前世でちらっと読んだことがある少女漫画にもそういう展開があった気がする。
流石にそれを参考にしたということは無いだろうが、タイマンで勉強を教えるという行為は恋の進展にもなる、それなら俺が一肌脱ぐのもやぶさかでは無い
「よし、わかった どの教科をイルマくんに教えるつもり? 苦手な教科は聞いてる?」
「えっと……占星術が苦手らしいって書いてる」
「占星術……意外、でもないか」
占星術自体は前世でも存在するものだ、俺は今世から覚えたが占ってもらったこと自体は一度ある。
イルマがもし人間界から魔界に来たとすれば空の星の配置が違うせいだろうか、そういう意味では魔歴や生物学なんかも苦手なのかもしれないな
「因みに逆に得意なのは何?」
「特異なの? ……空想生物学だってさ」
「空想生物学ぅ? バラム先生のやつじゃん」
とはいえ確かにそれはわかる俺にとっても空想生物学は簡単だ、一番得意なのは魔具工学だがあれはテストに出ない
何故かと言うと空想生物学とはある意味人類学なのだ、地球の生物を空想の生物としてとらえ学ぶのがこの学問だ
とにかくこれはイルマではまず勉強する必要はない、アメリカやイギリス人が中学で英語を学ぶくらいには簡単だ
今回のテストは魔界歴史・占星学(術)・拷問学・薬学・魔術基礎だ、空想生物学は魔歴に含まれている。
「じゃあ教える教科を一つ決めておこうか、イルマくんが苦手な占星術か薬学じゃないかな」
「他のは?」
「魔歴はイルマ君が得意そうなんでそれなりに出来るだろうってのと、魔術基礎は絶対アスモデウスくんが教えてる。拷問学はいちゃつくシチュエーションには程遠いでしょ」
「いちゃ……っ そんなつもりは」
「はいはい、とりあえず占星術か薬学かどっちにする?」
「じゃあ薬学……レイラが一番得意でしょ、一番学べそうだし」
「ん、おっけ、じゃあやろうか」
薬学の教材を取り出していく、テストで出る問題は当然授業でならった部分から出るため教科書を見ながらするのが最も効率が良い。
そこから問題を出してみて今どれだけやれるのかを調べていこう
「じゃ、まず問題ね 第一問」
Q. 主に山岳地帯に生息するキノコ、魔タンゴの毒素を抽出するために行う手順は?
A. トレントの枝に着火した青い炎であぶり続け、その上部にガラス瓶を設置することで抽出できる。
「えっと、朝から昼まで天日干しを三日間続ける……んだっけ?」
「不正解、それは魔タンゴじゃなくてヘルカサゴの毒素の抜き方だね、下に容器を設置するってのも大事」
「確か何かで焼くんだったわよね」
「ガーコは惜しいね、焼くんじゃなくてあぶるってのが大事なんだよね、トレントの枝に火をつけてあぶるってのが正解」
「あー、そっちかー!」
「じゃあ 二問目ね」
この調子で問題を続けて出していく、20問ほど答えてもらったところで確認をする。
最終的な得点としてはエイコが20問中15問、ガーコが12問だった。
因みに俺も一応問題を二人に出してもらったが満点である、えっへん
「とりあえず二人共テストは問題なさそうだね、普通に及第点は余裕って感じだ」
「うん、一応復習はしてるしね」
「レイラにも偶に教えてもらってるしこれくらいは出来ないと悪いわよね」
これなら大丈夫だろうか、否、大丈夫ではないのだ
他人に勉強を教えるのであればその教科は完全に理解しているのが普通、そのうえで相手に分かりやすく伝える技術を含めてこそである
「というわけで、まずエイコには今回の薬学のテスト範囲で確実に満点を取るまでやってもらいます」
「え゛」
「当然よ、イルマ君が気になって質問してきた時に答えられなくてどうするよ、一緒になって悩むつもり?」
「それは……やだなぁ」
「でしょ、ならまずは完璧になるのが先決 じゃあ行こうか」
「え?どこに?」
「当然……もっと詳しい人の所だよ」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
そうして来たのはD組の教室前、この教室に俺が求める
「よし、じゃあノックをし……離れてっ!!」
ボガァァアン!!!
突然の爆発、とっさにエイコをかばって離れたので無傷であったが、危険すぎるだろう
「大丈夫二人共?」
「だ、大丈夫……」
「D組も大概やばいわね、こんな挨拶とは」
「なわけないでしょ、なんかの事故とかでしょ」
爆発の衝撃で吹き飛んだドアから一人の悪魔が飛び出してきた、それを追うようにもう一人である
「ちょいどいて!!」
「わっ」
ぶつかりそうになったので思わず離れる、フードを被った彼がどうやらさっきの爆発の原因のようでまだいくつか爆弾を持っていた
なんだかんだ言ってこういうトラブルはバビルスではたまにあるのでそこまで言う事ではないが個人的にはあまりお近づきにはなりたくない相手だ、魔具が壊されそうで怖い
「こら待てボケェ!! また俺らの評判が下がるやろが!!! ……すんませんほんまに、よく言って聞かせるんで」
「あ、いや、大丈夫ですよ?」
「よっしゃ!鬼ごっこやな!! ついて来い!!」
「あのアホ……!! この詫びはまた今度! それじゃ!」
それだけ言うとニット帽の男の子も走っていってしまった。
次いでもう一人近寄ってくる
「おや、可憐なお方が三人も どうも、ウ「ナンパしとる場合か! あいつら止めに行くぞ!!」」
片目隠れの男子が話しかけてこようとしたのを首根っこ掴んで豚っぽいのが連れていった……彼らは友達なんだろうか、わちゃわちゃしていてとても楽しそうである。
「な、なんか騒がしかったね それで要は誰に?」
「あぁ、今回用があるのはここの担任だよ ええっと……」
中を覗くと件の悪魔がちゃんといた、扉の方を見て少し頭を抱えているようではあるがどこか慣れた雰囲気を感じる
「いたいた、すみませーん! 先生ちょっといいですか?」
「お前たちは確かA組の……悪い、ちょっと待ってくれるか 扉を先に直さなければ」
「私たちも手伝います、こういうの得意ですし早めに話したいので」
「すまないな助かる」
こういう時に便利は魔具は今は持ち歩いていないので普通の掃除道具で扉の残骸を掃除しつつ考える
この先生はやはり生徒に対してかなり真摯に対応してくれているように感じる、バラム先生の様に人懐っこい感じはしないが教師と生徒の距離間ではある種理想とも言える尊敬すべき悪魔なのだ
彼の名はブエル・ブルシェンコ、回復術の先生でありD組の担任である。
回復術の繋がりから薬学にも精通しているので、俺以上にエイコの力になってくれるはずだ
公式ではブエル先生が薬学に詳しいという記述はないので捏造です。
まぁ、そもそも薬学の先生は情報がないんですけどね!