悪魔で霊な元人間   作:P223

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56 迷子の迷子のイルマ君

 

「何でこんなに……?」

 

モデビルの撮影後フリーになったのでイルマ達と合流しようと思いウォルターパークに魂視を使用したところ、なんと地下に大量の犯罪者っぽい悪魔がいる事と地上にも元祖返りの悪魔がいることが分かった

地下はまだうわさでそういう施設があるというのは聞いていたがわかるが、地上にいるのは何故なんだろうか

 

何も起こらなければいいのだが、楽観視してもいいものか

丁度バラム先生が来ているとケロリが言っていたので、連絡をしてみる

 

『もしもし、ガイストさんどうかした? いまちょっと緊急自体で忙しくてね、急用でなければあとでお願いしたいんだけど』

 

緊急自体……?元祖返りと関係しているのならやばい気がする

 

「バラム先生、今ウォルターパーク内で合ってますか!? この園の事でお伝えしたいことがあります!」

 

『……そっちも緊急のようだね、聞かせてくれるかな?』

 

「では手短に、この園に元祖返りが居ます 数は……確認できる限りでは5()()です 私の家系魔術で確認しました、地下ではなく地上です!」

 

『元祖返りが!? となると……入間くんが危ない!』

 

「イルマくんが!? 何があったんですか!?」

 

『はぐれたんだ、今探してる!』

 

「わかりました! 私も今ウォルターパークにいますので見つけだします!そういうの得意なので!」

 

『待って危──』

 

プツッ……

 

最後何か言っていた気がするが、急ぐので確認は後だ

魂視で場所を確認する………

 

「あれ?わからない………あっ!?」

 

完全に忘れていた、サリバン公経由でイルマに渡したブレスレット型魔具。

その効果は魂の偽装である、人間であるイルマの魂は悪魔を惹きつける性質がある。

前世の都合もあり魂の半分は人間の俺にはその効果はないが、父のグレイブや他に魂を観測できる悪魔がいた場合はその限りではないのだ、それにイルマが人間だということがバレると不都合があるのも確かだ

 

では何故悪周期の時なんかは人間の魂として見れたのか、これは単純で俺の髪飾り魔具の効果である。

髪飾り魔具の一定距離内にあるブレスレット魔具はそれぞれ交信する事で俺だけはその偽装の影響を受けなくて済むのだ

 

このウォルターパークはかなり広く、イルマが近くに居ない場合は偽装効果が俺にも働くせいで魂視での捜索が出来なくなった

 

「どうする……?」

 

当然電話もかけたが繋がらなかった、そうなると次に参考になるのは……

 

「元祖返りか」

 

魂で判別しやすい要素はいくつかある、種族の違い、性別の違い

後はあまりに純粋すぎる場合だ

 

悪周期になったりして原初の悪魔に近づくほど悪魔の魂は純粋になる。

元祖返りはその純度が限りなく高いのでよく目立つのだ

 

しかし経験からもわかるように元祖返りに近づくのは危険だ、仮に霊体化しても魔術による攻撃は通用するしそもそも半透明になるだけで普通に見える。*1

 

「あれだけ一方的にやりますって言っておいて出来ませんでしたは恥ずかしいしなぁ……どうしたものか」

 

こんな事なら魔具にGPSでも仕込んどくべきだっただろうか、前世の倫理観を出したのが失敗とは思いたくないが失敗と言わざるを得ないだろう

 

迷子の時の対処、他に方法は……ある!

 

「園内放送だ! RAINなら裏道も通れるし使えるはず!」

 

多分迷惑をかけるし後で怒られるだろうが緊急自体なので仕方ない!

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

「すみませんッ!ちょっと通ります!」

 

「うわっ!? え?RAINちゃんまだ居たの?」

 

「訳は後で!」

 

放送室場所は事前に従業員用マップで把握しておいたのですぐにたどり着けるはず

一応魂視を使って邪魔な悪魔(ひと)は避けて……

 

ドンッ!!

 

「いたっ!」

 

「わっ、すみません 大丈夫ですか?」

 

誰かにぶつかった……何故だ、魂視は生物に対しては透視のように場所が把握できるはずなのに──

 

「あの?」

 

「だ、大丈夫です」

 

「急いでいるようですが、何かあったんですか? たしかモデビルの悪魔(ひと)ですよね」

 

「……ちょっと仲間が迷子になっちゃって放送室でアナウンスしようと思ったんです」

 

「えぇ!? 勝手にはまずいですよ! こっちでスタッフに伝えておきますのでお仲間の名前をお聞きしてもいいですか?」

 

「はい、サリバン・イルマです 名前が名前なので目立つかもしれませんのでイルマとだけ言って欲しいですね」

 

「サリバン……? サリバンってあのサリバン様ですか!? そのご子息ですか?」

 

「孫ですね、とにかくお願いします。 人畜無害な感じの黒髪でちょっと小さめですので目立たないかもですが……あっ、これです」

 

そういえば魔具研の皆で撮った写真がス魔ホにあるのを思い出したので見せておく、これできっとイルマを見つけてくれる

丁寧な対応をしてくれて助かった、一安心だ

 

「へぇ、仲がよさそうだ 因みに君って名前は何だったっけ」

 

RAIN(レイン)ですよ」

 

「そうじゃなくて本名の方」

 

「……? レイラですけど」

 

「じゃあ家系能力は?」

 

「【幽霊(スピリット)】……?」

 

質問に答える、聞かれたので当然だ

 

「イルマって君の仲間なんだよね、どんな関係?」

 

「同じ部活の友達です……」

 

「ブカツ?トモダチ? それは何?」

 

「それは……」

 

──RRR! RRR! RRR!

 

「はっ!? 電話!? って今私何を……」

 

「もう解けたのか、外部からの刺激があったとはいえ効きが悪すぎるなぁ 残念、もうちょっとだったのに」

 

「えっ!? ……いない、なんだったんだ?」

 

それになんか気持ち悪い、余計なことまで話していたような気がする。

考えてみればおかしいのだ、普通なら魂を感知できない相手なんて俺にとっては天敵とも言えるレベルの相手、警戒するのが当然なのに全然警戒できなかった。

精神系魔術……?

俺にはその手の術は効きづらいはず、それを貫通してとなると相当の高位魔術か家系魔術だろうか、そういう意味では戻ってこれたのは奇跡かもしれない、下手すりゃ隠している事全て話してしまったかもしれない……危なかった

もしや今の悪魔(ひと)も元祖返りだったのだろうか、だとすると厄介すぎる能力を持っていそうだ

 

──RRR! RRR! RRR!

 

そうだ、電話が来ていたのだった

救世主とも言える電話の元は……アスモデウス?

 

「もしもし」

 

『あ! レイラさん?入間です!レイラさんが探してくれているって聞いたから!』

 

「ありがとうイルマ君、おかげで助かったよ」

 

『え?』

 

「バラム先生はいる? いたら代わってくれる?」

 

『あ、うん わかった』

 

『代わったよ、大丈夫だった? さっきは急に切るからびっくりしたよ』

 

「すみません、気が()いていました それより、伝えなきゃならないことがあります」

 

『何かな?』

 

「多分ですが……元祖返りに遭遇しました、そして精神系魔術にかけられました 幸いその手の魔術には耐性があるので何とか戻ってこれましたが……」

 

『それは本当かい!? 怪我はない!? 今はその元祖……悪魔(ひと)は近くにいるのかな!?』

 

「いえ、急に消えました ただ、気配が全くと言っていいほどなかったです、私の観測用の魔術にも引っかからなかったので何らかの認識阻害も使っているかもしれません」

 

『わかった、とにかく精神系魔術を受けたなら一度カウンセリングを受けなきゃだ、今は何処にいる? 合流を……』

 

──ドォンッ!!

 

突然の轟音と同時に大きな振動が起き屋根が崩れてくる、すぐにでも

 

「すみません!ちょっと電話もう無理そうです! とにかく元祖返りに気をつけてください! 数は……6()()です!!」

 

完全霊体化を使用して、建物をすり抜けて回避する。

その後空中まで飛び上がり、周りを確認する。

 

多数の悪魔たちを確認、どれもパニックを起こしているようだ

他には新たに大きな魔獣が3体いる……それぞれに魔力のつながりが見えるので何かありそうだ

 

元祖返りは……いない?

 

「なわけあるかッ!!」

 

よく見ろ感じろ探し出せ……………………………見つけた!

 

「ってマジか……それはやばいって!」

 

急がなければならないかもしれない

 

★★★★★★★★★★★★★

 

六指衆(むさしのしゅう)、元祖返り6人で構成された犯罪集団の名前である。

"あらゆる悪事にその団体あり"と言われたその組織は今ウォルターパークで巨大魔獣を召喚し、惨劇を演出していた

 

『お~ 結構でけ~な! 色々ぶっ壊してくれよ~ 俺らの仕事が終わるまでな』

 

『フッ…… 仕事が終わっても鎮圧されるまでは時間がかかるだろうな、その頃には被害もかなり多くなっていることだろう』

 

黒い帽子に特徴的なメイクの悪魔のアトリと骸骨のガンマンのマエマロ

 

『ですが驕りは危険です、我々は自身の大きさを正しく認識し最適な行動をとるのが一番確実に物事を進めれるのですから』

 

『えぇ♪ 速く助けに行きましょう?』

 

紳士の小悪魔(しょうあくま)ヒュダーリンと眼鏡系美少女小悪魔(こあくま)ミキィ

 

「行こう……ウー(にい)

 

「でもその前に、追加しておこう どうやらここにはサリバンの孫がいるらしいから、念には念をだ」

 

寡黙な女性悪魔シーダと特徴の無い悪魔 リーダー・ウエトトだ。

彼らはそれぞれ別の場所から目的地へと移動している途中だった。

 

ウエトトが懐から取り出したのは卵のようなもの、中にはゆらゆらと炎のようなものが揺れていた。

 

『でもよ、魔力の巣はもうないんじゃなったっけ?』

 

「そうだな、だからすぐには無理なんだけど、きっといっぱい魔術を使ってくれる悪魔(ひと)達がいるはずだ。 それを利用すれば孵化出来るよ、時間差孵化ってやつだ」

 

『おぉ! さっすがウー(にい) 用意周到だねぇ~♪』

 

「じゃあ、その辺に設置してしまおうか 設置さえすれば爆弾のようになるし、見つかっても取り外しなんて出来ないからな、少なくとも仕事の間はだけど」

 

そう言ってウエトトが隠すように建物の裏に卵を設置しようとした、その時だった

 

「ん? わっ!」

 

──パァン!

 

ウエトトの腕が上に強く弾かれた、その衝撃で卵が空へと飛んでいく

 

「シーダ!」

 

「了解」

 

シーダがその強靭な身体能力を活かし、空中の卵を回収しようとした

しかし、この場にはもっと速い悪魔がいたのだ。

 

ぱしっ

 

「なんかわかんないけどゲット! 変な魔具だし調べてもらわないとねッ!」

 

速度だけなら全悪魔中最高クラス、家系()()幽霊(スピリット)】や魔具を利用した行動が得意な悪魔、ガイスト・レイラがそこにいた

()()から飛び出した彼女の手の中には孵化前の卵があり、壊れないように優しく握られていた。

 

「保護魔具にしまってっと……さっきはよくもやってくれたなぁ!!この無個性催眠変態ヤロー!!」

 

「へっ、変態って…… まぁいいさ、それ大事なやつだから返してくれない?」

 

「誰が返すかっての!」

 

「……隙あり」

 

レイラの背後にいつの間にかいたシーダが蹴りを仕掛けた、しかしその蹴りはレイラの身体をすり抜けて当たることは無かった

それに驚いたシーダの隙をつき、レイラはその速度を活かして距離を取った

 

「あっぶな! とにかく、私は……逃げるッ!! じゃーね、六指衆(むさしのしゅう)!!」

 

「まぁバレてるか…… シーダ、アトリ、マエマロ 彼女を追え、殺しても構わないからあの卵を回収しろ 彼女の能力は【幽霊(スピリット)】、確かあれは魔術なら効くはずだ、シーダは場所の把握しつつプレッシャーをかけて攻撃はアトリとマエマロに任せろ」

 

『『「了解」』』

 

これより開始されるのは命がけの鬼ごっこ、鬼は3人獲物は1人だ

勝利条件は……不明である。

 

*1
父による霊体化で確認させて貰った




これでシーダが元祖返りじゃなかったら泣く
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