悪魔で霊な元人間   作:P223

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ちらっと情報を見ていたら色が付いててびっくりしました、本当にありがとうございます!
これからも予定している完結まで、見てくれている方と西先生に最大限の感謝をしながら書いていきます

こんなタイミングでなんですが今回はショッキングな展開なのでお気を付けて
ほとんどこの回の為に残酷な描写タグをつけたようなものなので

ただ、すっきりしないのは嫌いなので今回は長めです(多分2話分くらい文字数あります)


57 パークチェイス!蜘蛛と骸骨、時々乙女?

 

「後悔するな後悔するな……! 自分で決めた事……!」

 

ウォルターパークにて突如巨大魔獣が召喚された事件が発生した、その原因が元祖返りだという事を魂視で確認した

そしてそいつらがその魔獣を新たに召喚しようとしてる事に気づいた俺は何とか召喚用の魔具……卵を奪い取る事に成功した

 

そしてその卵を持って逃げているところが今……で、これどうすればいいんだろうか、この園にいるはずカルエゴ卿にでも渡せれば1番いいのだろうが、この状況じゃ見つけ出すことなんて出来そうにない

 

「待ってよー なぁーんてな」

 

「遊びすぎるなよアトリ、すぐに済ませて合流だ」

 

「……さっさとすませよう」

 

最高速度で飛行して飛んでくる攻撃を避ける、卵は保護用魔具に入れたので直接攻撃を受けなきゃ大丈夫だろうが、いつ何が原因で魔獣になるのかがわからない

 

ぺとり

 

「えっ?」

 

腕に何か蜘蛛の糸のようなものがついている……ってまずい!

 

「おいで〜♪ 殺してやるからさ」

 

「やっば!」

 

咄嗟に腕を霊体化する、魔力は通っているようだったが霊体には決まった形はないし、粘着性は物理な現象なので簡単にすり抜けた

 

「うっわずりぃ! 見ろよシィちゃんあいつズルしてんぞ!」

 

「うるさいな……」

 

「では次は俺の番だ」

 

タタタァンッ!

 

次は銃声が響く、これは流石に予想済みで無口頭【保護(グラン)】で弾を逸らした

……正直ギリギリだ、一歩間違えれば俺は死ぬだろう

 

「くっそ、怖いなぁもう!!」

 

速度上昇し、更に距離を空ける。

唯一相手に勝っているこの速度、そして俺の持つ手札全てを最大限利用しなければこの状況は乗り切れないだろう

 

今俺の持つ魔具は少ない、学校行事の用に準備していたわけでないので精々普段使うのに便利な魔具程度だ、どれも戦闘や逃走に役立つようなものはない、撮影で貰ったウォルターパークのグッズや学校の購買で買えるような微妙な品もあるが邪魔なだけ

【バースト】は隙が多い上、1発限りなので3人相手だと無理だし……どうする?

 

「考える暇……ある?」

 

シーダと呼ばれていた元祖返りがまた来た、顔を狙ってきているのでさっきと同じように部分霊体化で回避を──

 

ドゴォッ!!

 

「ごふっ!?」

 

腹に衝撃、これはフェイントだ

もう部分霊体化に対応してきた、余りにも踏んできた場数が違いすぎる

ふらつきながらも攻撃の反動を利用して距離を取る。

 

「げほっ! ごほっ! あぁもう!」

 

「その能力は厄介……でも対応できないわけじゃない……よ」

 

「シィちゃんさっすが! 俺も負けてられないな〜」

 

逃げる方向は考えないといけない、今いる位置は園の北西付近のはずだ。

魔獣はそれぞれ北東、南東、南西にいる。

北東はドラゴンっぽいの、南東はでかいネズミ、南西はミノタウロスだろうか、どれも戦っている様子で暴れているのがわかる。

こちらの支援も願いたいが戦闘中に元祖返り3人を連れて行くのはさすがに危険だし俺自身巻き込まれる可能性も高い、それに一般人の避難中だろうからそれもだ

 

「こうだな?」

 

タ・タ・タタァンッ!

 

マエマロがリズムをずらしての銃撃、【保護(グラン)】で守るが全て位置が違うため守りきれない

 

「くっ! つぅッ!!」

 

足に命中、太腿付近だが走ったりするのには影響はなさそうだ

しかし、日常では味わわない程の激痛で思考が霞む

 

何で俺がいやだ、助けてほしい、許して

そんな言葉が頭によぎる。

 

ぺとり

 

「あっ!」

 

「多少やれてもガキはガキだな〜」

 

ぐいっ

 

粘着性の糸に絡め取られて引き寄せられる、このままでは袋小路だ

しかし、部分霊体化をするだけの余裕がないし、しても意味ないくらいに絡め取られている

 

「【ラファイア】!」

 

「それくらいでその糸は燃えないって……まじ?」

 

「ぐうううぅ!!」

 

絡め取られた足ごと燃やして溶かした皮膚を潤滑剤のようにして抜けた、足がダメになった訳じゃないがもうモデビルの仕事は出来ないくらいには爛れてしまった

泣きそうだ、後悔している、でもやるしかない

 

「捕まえた」

 

隙をついてシーダが俺を羽交締めにしてきた。

 

「いや、まだだ! 【チェルーシル】!」

 

【チェルーシル】は物の形を変える魔術、服を膨張させて少し隙間を作った後に解除し、素早く霊体化して抜けた。

 

「しぶとい……そろそろ諦めて卵を渡して……そしたら見逃してあげるから」

 

「シィちゃん!? そんなのつまんねーよ!」

 

「うるさいアトリ……ボク達の任務は卵の回収だけ、他のは必要ないから……済ませたらかえる……よ」

 

「マロはどうなんだよ!?」

 

「フッ……今はそれで良いだろう、十分収穫はあった」

 

何を言っているんだろうか、霞む思考では理解が及ばない

この女は俺のことを助けようとしているのだろうか、元祖返りが?

 

「だからね?……ほら……返して、見逃してあげる……よ?」

 

「……やだ」

 

「え……? このままじゃ死ぬんだ……よ?」

 

「やだよバーカ、絶対に返さない、これは魔関署に届けるから」

 

「何でそこまでするの……?」

 

何でだろうか、ただ緊急というだけで俺がここまでする必要はなかったはずだ

命を大事にしていれば良いし、魔獣が増えたとしてもここにはカルエゴ卿にバラム先生、他にも高位悪魔もいるはずだ。

 

ならば何故俺はこんなに相手を挑発してまでしてこんなことをしているのか

 

それは簡単な話だ

 

「ムカつくから、楽しかったんだよ、ウォルターパーク」

 

そしてこれから友達と楽しむ予定だったんだ、それを全て台無しにしたのがこいつらだ

俺は思っていた以上に腹が立っていたのだろう、だから俺は邪魔をした、だから俺は今こいつらの足を引っ張っている。

 

そうした方が……もっと愉しいから

 

「えっ?」

 

愉しいから?何でそんな事を考えたんだ?俺は?

 

「もう良いだろシィちゃん、コイツは死にたがってる 終わらせるぞ、合わせろマロ」

 

「任せろ」

 

タァン!!

 

銃弾が放たれる、射線上にまた【保護】を……いやこれは弾が逸れた?

逸れた弾はそのまま後方へと……

 

──キィン

 

弾が反射した。

よく見るといつの間にか糸が蜘蛛の巣のように張られている、あれで弾を反射したのか

 

キキキキキィン!!

 

俺の周囲を無限に反射しながら銃弾が飛び交う、弾は時間と共に増えていき次第に俺の身体に命中していく。

 

「うぐぁぁぁぁぁあ!!!!」

 

足、腕、翼

風穴が増えていき、次第に体が動かなくなっていく、不思議と感触はもうないので逆に余裕が出来た

魔術も切れて、持っていた荷物も全て地面に落ちたことで俺は空中に浮遊するように留まった

 

「……あった」

 

俺の保護魔具を見つけたのだろうシーダの声が聞こえた、もう目は見えない

 

「最初から……渡していたらこうは……ならなかった……のに」

 

「まぁ……私もあく……まなので……よくを…ゆう…せんしただけ……」

 

「でも無意味だった………何で笑ってるの?」

 

なんでかと言われれば簡単だ

 

「ざまぁ……みろ」

 

「えっ?………まさか」

 

バキィ!!

 

何かが壊れた音がした、多分保護魔具だろう

 

「どうしたんだよシィちゃん、さっさと戻るだろ? 俺も飽きたし帰りてぇーよ」

 

「……ない」

 

「あ?」

 

「卵がない……どこにやった?」

 

保護魔具は一つなんていつ言った

もうここにはない、既に届けたから

 

「ざまぁみろ……お前らはもう……おわり……だ」

 

「はぁ? どういう意味だよ」

 

「お前らの写真……と卵…は……もう……わたした…から……」

 

「嘘だろ? いつそんな余裕があったんだよ」

 

「ざまあみろ……ざまぁみろ……ざまぁ……」

 

タァン

 

──もう音も聞こえない。

 

★★★★★★★★★★★★★

 

時は過ぎ、魔獣事件を解決した入間達はパレードに参加していた。

 

「君たちは我がウォルターパークの英雄だ! この事、深く感謝するよ!」

 

「はい……ありがとうございます」

 

ローズベルトの感謝を受け、パレードの中心として大きな乗り物に乗せられて他の客からももてはやされている入間だが、浮かない顔をしている

 

「アズくん、レイラさんと連絡ついた?」

 

「いえ、何度かしているですが電話も繋がりませんし魔インも既読すら付きません」

 

「そっか……」

 

レイラとの連絡がつかない、その一点が入間の心残りである

魔獣事件の直前までは連絡はついていたのだが、事件の後からはパタリと連絡が途絶えたのだ

 

「事故に巻き込まれたのかな……」

 

この事件にて入間は自分以外の危機と言うものを理解した、それは自分のものよりもうんと怖いものだ、そしてそれが現実に起こっていると言うのは入間としても相当な不安である

 

「彼女は対応力の高い悪魔、きっと大丈夫ですよ」

 

そうは言うアスモデウスだが楽観的な考えという訳ではない、入間の不安を感じ取り側近としてどうにか助けになろうとしているだけだ

 

「ばけちゃんは大丈夫だよ! だってばけちゃん魔具とかいっぱい作れるし色んなこと出来てすごいもん! ……大丈夫だもん」

 

そうは言うが今にも泣きそうなクララ、彼女は破天荒で自由に見えるが誰よりも繊細で仲間想いな悪魔だ

 

フィ…

 

「ん?なんか聞こえない?」

 

フィ……フィ……

 

「聞こえますね、なんだかフィフィと」

 

フィ!

 

「うわっ!なんだこれ!!ぬいぐるみがよじ登ってきた!」

 

その音の方向からリードの声が聞こえて来た

リードの手には小さめのぬいぐるみが握られている、そのぬいぐるみはフィフィ言いながら暴れていた

 

「どしたよリード、なにそれ?」

 

「ジャジー見てくれよこれー なんかよじ登ってきたんだよコイツ」

 

「これ確か射的の景品だったよな……お、なんか持ってる なんだこれ?箱?」

 

ぬいぐるみが隠し持っていた物だが、ジャズの手にかかれば簡単に盗れた

ぬいぐるみが持っていた物を回収すると同時にぬいぐるみはその役目を果たしたと言わんばかりに力をなくした、もうただのぬいぐるみのようだ

 

「なんかわかんねーけど開けてみるか! プレゼントかもだし!」

 

複雑な作りだが、意外と抵抗はなく簡単にその箱は開いた

その中には小物がいくつか入っていた

 

「なんだこれ……?卵?」

 

「それはダメだ、渡せ」

 

「あ! ちょっとやめてくれよ先生!」

 

ジャズがつまみ上げて見ていたところをカルエゴが箱と一緒に取り上げた、その卵を見る目は険しい

 

「それ俺が盗ったもんなんだから返してくれよー!」

 

「これは魔獣の卵だ、それでも欲しいか? さっきの戦いを1人でもう一度したいと言うなら止めんが」

 

「……差し上げまーす」

 

こうさーんと両手を上げて箱の中身を全て渡す事にしたジャズ

興味も無くしたのでパレードの方へと戻っていった

 

「他の中身は、このウォルターパークで撮った()()()()と髪飾りか」

 

「……!! 先生その髪飾りよく見せてください!!」

 

「お、おい 危険かもしれんのだぞ!」

 

当然入間が来て戸惑うカルエゴだが、鬼気迫るその表情を見て髪飾りを取ろうとする行動を止めることはなかった

 

「大丈夫ですこれは! ……やっぱり」

 

入間が髪飾りを持つ手が震える、この髪飾りは見慣れた物だった

 

「入間様……それって」

 

「なんでそれがそこにあるの?」

 

他の魔具研メンバーもそれはよく知っていた。

 

「これ、レイラさんの髪飾りだ……」

 

レイラがずっと付けている髪飾り型魔具、基本的には撮影と入浴以外では外すこともないそれがそこにあった。

 

★★★★★★★★★★★★★

 

「やっぱり入間君は僕の天敵やなぁ」

 

アミィ・キリヲが物陰から入間をみている

六指衆(むさしのしゅう)の目的はこのキリヲを救い出すことだった

 

上司から連絡も来て帰らなければならなくなったキリヲだが、これからの事を考えると心躍るようだ

 

「そういえばなんでキミらそんなに汚れてんの?」

 

「……ちょっとありまして」

 

「聞いてくれよ〜、めんどくせー女が俺らの魔獣一匹盗んだんだよ!」

 

「めんどくさい女?」

 

ふとキリヲの脳裏に1人の女子悪魔がよぎった

 

「モデビルのRAINって言うんだけどさ、そいつのせいで時間差攻撃も失敗したし俺らは救助に参加出来なかったしで散々だぜ」

 

「あぁ、それで3人しか迎えの時おらんかったんか で、RAIN?ってどんな悪魔(ひと)なん?」

 

「ガイスト・レイラですよ、家系能力【幽霊(スピリット)】の学生です」

 

キリヲの質問にウエトトが答える、その口調は明らかに目上のものに対するものだった。

そして、それを聞いたキリヲはまた嬉しそうな顔をした。

 

「へぇ!またガイストさんかぁ! 彼女も中々おもろいからなぁ、また遊ばせて貰いたいなあ」

 

「それは無理ですね」

 

即否定され、少し不機嫌になるキリヲだが冷静に聞き返した

 

「なんでなん? 別に誰と遊ぼうと僕の勝手やん」

 

「いえ、そう言う訳ではなく……彼女は死にました」

 

「えぇ? ……ってそりゃそうか、流石にガイストさんでも六指衆(むさしのしゅう)3人相手はキツイわなぁ」

 

「ちょぉーっとだけ苦戦したけど余裕だったぜー?」

 

「フッ……我らの合体技で仕留めたくせによく言うな」

 

「んだよ! いいじゃんか別によぉ、余裕だったのは変わりないしさ」

 

レイラの死、それはキリヲにも伝わり彼は何を思うのか

 

「……なんや、つまらんなぁ やっぱ入間君じゃないとあかんのかもなぁ」

 

それは意外と淡白な物だった。

 

「ただ変だよなぁ、死体が残らず消えちまった……まぁいいか」

 

アトリの独り言は誰にも聞こえていない

 

★★★★★★★★★★★★★

 

「お客様、お客様!!」

 

声が聞こえる、誰の声だろうか

 

「そんな所で寝たら風邪をひきますお客様!!」

 

女性の声……? 

 

「支配人、変わってもらえますか?」

 

「あ、田中さん」

 

パチンッ!!

 

指を鳴らす音と共に急速に意識がはっきりとしてくる。

最初に目に入ったのは眩しいくらいの照明だった

 

「眩し……何?」

 

「お目覚めでしょうか、まずはチェックインだけお願いいたします」

 

「え……?」

 

何が何だかわからない、俺はウォルターパークで無謀にも特攻した後にボコボコにやられて死んだ筈じゃ

 

「私……生きてるんですか?」

 

「……なるほど、わかりませんがお客様の認識では死んだという事なのでしょうね」

 

「はい?」

 

死んだ?ならまた転生なりなんなりするのではないのだろうか

 

「混乱しているご様子、まずは説明をした方がよろしいようですね」

 

「えっと、お願いします……?」

 

状況の整理の為にも聞いておきたい、どうやらこの悪魔(ひと)は親切で真面目なようだし

 

「まずお客様は突然このホテルに突然現れました、そして今いる場所は"冥界"、地獄でも天界でもなく、その中継地点かつ交流地です」

 

「はい?」

 

「お客様は事情をお持ちなご様子、一度落ち着くまではお休みくださいませ」

 

「大丈夫ですよ、怖い人もいるかもですけどみんな真面目で優しいですから」

 

大きめの角が生えた女の人が優しく声をかけてくれる、周りをよく見たらここは何処かのエントランスのようだった

 

「まずは自己紹介を、私は田中、ただのホテルマンです」

 

「私はメイ、ここの支配人をさせてもらっています」

 

何が何だかわからない、状況の整理なんてしようがない

何が起こっているんだ

 

「では改めまして!」

 

支配人の女性が号令をかける、合図と共に近くにいたスタッフが集まってきて並びました、そして息のあった一言

 

「「「ようこそ "ホテル ヘルヘイム" へ!!」」」

 

 




折角日間ランキングに載ったのに直後でこういう賛否分かれる話で申し訳ありませんが初期プロットからこうだったので……

というわけで、完全オリジナル展開 ウォルターパーク後半戦…ホテルヘルヘイム編です
ちょっと魔入間から離れますが、レイラの秘密なんかを出すための大切な回ですし正直ずっと書きたかった部分です、よろしくお願いします

因みにホテルヘルヘイムは上下巻のみで簡単に買えますし魔入間とのコラボ読み切りなんかもあるのでおすすめです
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